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0547




 昼食を食べ終わったものの、皆は微妙な顔をしている。理由はおそらく主食が合わないんだろう。


 正しくはサツマイモに飽きてきたというところか。芋を主食とする感覚が無いから、どうしても違和感がぬぐえないんだろうな。慣れれば問題ない筈だが、多分慣れるまでこの国に居ないだろう。


 宿の部屋に戻り、鍋で紅茶を淹れているとダナとメルが小麦粉を求めてきたので2人に聞く。


 すると全粒粉ではなく、小麦粉だったので胚乳のみに【分離】した後に【粉砕】した小麦粉を渡す。残った部分は使えるので、容器に入れてアイテムバッグに戻しておく。


 小麦粉を捏ねて何かを作っている様だが、俺は言われた事だけをする。結局2人がやっていたのはパン作りだった。

 

 酵母を使わないパンであり、いわゆるフラットブレッドと呼ばれる奴だ。王国やその近辺の国でも酵母を使わないパンが主流だったし、俺は特に気にもしなかった。


 がっしりしたパンも嫌いじゃないし、何より小麦の味がする。ふわっとしたパンは柔らかいが、がっしりしたパンに比べて味が薄いと俺は思う。


 ただ、2次発酵させたパンは前の世界以来食べていないので、味を正しく覚えているとは言い難い。肉体も違うので、うろ覚えなのはしょうがないと言えるのだが。


 2人が捏ねた生地をフライパンで焼いていく。パン窯で焼くのが一般的ではあるが、そんな物はここには無いのでフライパンを使う。


 細かい事はどうでもよく、多分パンが食べたいだけなんだろう。焼けた物をすぐ千切って食べているが、よく噛んで味わっているらしい。そこまでだったのか……。


 今の女性陣は、外国に出張した一部の日本人みたいになっている。米を探してうろつき、無くてストレスを溜める日本人が、念願の米を手に入れたような状態だ。


 そう考えれば、美味しそうにパンだけを食べているのも分からなくは無い。本当に美味しそうだが、面倒臭がってチャパティばっかりだったからかね?。


 全粒粉じゃなくて、小麦粉のみの物が食べたかったのかもしれない。そう思って聞いてみたら、そこは気にしていないらしい。


 フラットブレッドもチャパティも殆ど変わらない気がするんだけど、子供の頃からフラットブレッドで過ごしてきたからこその違いなんだろう。


 皆が美味しそうに食べているのを見ると、俺もちょっと食べたくなったので適当にアイテムバッグを探る。


 すると烏賊と蛸の干物があったので、烏賊の干物を出して聖水を少し【合成】する。程好く柔らかくなったら齧って食べていると、海産物だからかダリアが足をペシペシ叩いてくる。


 柔らかくなっている烏賊を千切ってダリアに渡すと、ガジガジと齧り続けて干物のエキスを吸うように食べていた。猫はああいう食べ方をするんだなぁ、と思ったが魔物だったのを思い出した。


 アレはダリア特有の食べ方なんだろうと思い直すと、欲しがっているフヨウにもあげた。あっと言う間に溶かして吸収していて、風情も何も無かったが……。



 「ん! ……何か効いてきた気がする! するんだけど、こんなものなのかな? 思ってるよりは性欲が強くならないね。何と言うか、ジワジワと湧き上がってくる感じだと言えば分かるかな?」


 「ん~……まぁ、言いたい事は何となく分かるけどね。こう、一気にグワっと効いてくるんじゃなくて、ジワジワと効いてくる感じだという事は暴走なんてしないだろうさ」


 「暴走するような薬じゃないって言ったろ? ただ、自分の体の状態に関わらず活性化されるんだよ。活性化状態で休めば治癒能力も向上してるんで、肉体も精神も大きく回復するんだ。その活性化を、死にかけの奴が性欲のみに注ぎ込むと死ぬってだけだ」


 「死にかけている者に、止めを刺す事になるという訳ね。誰かを死なせる薬ではなくて、死に掛けの者が飲んで暴走すると死ぬ。私も魔力薬を作れるから良く分かるけど、確かに最悪のケースよ、それは。飲み方を指示しても聞かない人っているのよね」


 「薬は飲み過ぎても駄目だし、飲むタイミングを逃しても駄目だ。正しいタイミングで、正しい量の薬を、正しい方法で飲む。これ等を守らないと、最悪死ぬかもしれない。そういう自覚が無い奴も多いからなぁ」


 「本当にね……」



 メルも同じ様に悩んだ事があるんだろう。用法容量を守るのは当たり前なのに、沢山飲めば強く効くと思ってる馬鹿が多過ぎるんだよな。


 仮に体が回復した気になっても、体にダメージのある回復の仕方をしているおそれもある。そういう危険性を理解しない、出来ない奴は元の世界でも多く居た。



 「それは横に置いといて。それよりも、何だか猛烈に体が熱くなってきたんだけど!? これって効き過ぎなんじゃないの!? こんな状態で寝るなんて絶対に不可能だよ!」


 「何だか顔も真っ赤になってますし、薄っすらと汗も掻いてますね。黄金の鶏冠を使ってるんですから、当然の結果と言えるのかもしれませんが……」


 「そういえば、伝説の黄金の鶏冠を使ってるんだったね。精力剤の効果とか色々な話と、久しぶりのパンですっかり忘れてたよ。水で煮込んで柔らかくして食べるだけで、滋養強壮に抜群の効果があるんだ。その効果を最大に引き出すような薬だろ? そうなっても仕方ないさ」



 最高級精力剤の効果に苦しんでいる? フォルは放っておいて、俺達はリバーシをしたりお茶を飲んでゆっくりしたりしている。


 フォルの効果だが、あれは健康な人が飲んだために活性化され過ぎただけだと思う。そのうち落ち着くだろうから放っておけば良いというか、時間をかけて解決するしかない。自業自得だから諦めてもらおう。


 ベッドに寝ているフォルはともかく、他のメンバーも必要な物はいないので精力剤は封印したんだ。


 必要としている者には売ってもいいけど、黄金の鶏冠を使ってると言っても信用されないから、多分安値でしか売れないだろう。結局は救助用というか、困っている人を助けるぐらいでしか使えないと思う。


 1人以外はゆったりとした時間を過ごし、夕方になったので食堂に行く。行った事の無い最後の食堂に行き、大銅貨9枚を支払って夕食を注文する。


 出てきたのは昼と同じサツマイモ料理と、羊肉を使った野菜炒めだった。普通の味というか、特に山岳地方の味という個性も無い普通の食事を終えて、宿へと戻った。


 明日はここから東へと進むのだが、ある程度の道筋は既に分かっている。この町から北に向かって進み、2つの村と1つの町を越えると首都がある。


 とはいえ首都は奥まった所にあり、攻め難く守り易い場所となっているそうだ。俺達は行く気も無いのでどうでもいいが、大半の者はここから北に行くらしい。


 俺達の場合は更に東へと進んで行くのだが、山岳を越えると向こう側は大きな平地になっているらしい。向こうの国がこちらに攻めてくる事は殆ど無く、嘗ての蛮族国家ぐらいだそうだ。


 蛮族国家の時代も支配下においただけで、ほぼスルーされていたそうで被害はあまり無かったと言われている。


 そんな話しを聞いたが、何と言っていいか分からなかった。俺達の国は奪う物も無かったと自虐されても答えようが無いし、こういう話し方をされるのが1番困る。ネタで言ってるのは分かるんだが、止めてほしいのが本音だ。


 ちなみに、東へと抜けるのに村3つと町1つを越えていく必要がある。とはいえ山岳地帯はそこまで広くなく、3つの村も1日で踏破出来るぐらいでしかない。もちろん俺達だから可能だという話でもあるんだが。最後の町は東との国境の町となる。


 東の国に関しては、どんな国なのか分かっていない。謎の国という訳ではなく、単に情報が伝わり辛い国だというだけだ。


 首都なら知っている者も居るんだろうが、わざわざ寄り道をする理由も無いしな。ダンジョンも攻略したし、この国に長居する理由が無い。


 ダリアとフヨウが寝たので、【房中術】と【至天】でキメてしまいさっさと寝る事にした。明日から移動だし、早めに寝ないと大変だろうからな。


 それじゃあ、おやすみ。



 ▽▽▽▽▽


 0547終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨9枚

 大金貨36枚

 金貨143枚

 大銀貨523枚

 銀貨223枚

 大銅貨188枚

 銅貨220枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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