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0543




 皆とゆっくり紅茶を飲んだ後、洞窟を出て出発する。東に向かって進むのだが、北に行ったり南に行ったりしながら蛇行する様に進んで行き、結構な距離を移動してグンツの町に到着した。


 結局、洞窟を出てからは1度も魔物に襲われる事は無く、スムーズに移動する事が出来た。朝の早い時間に町を訪れたからか無駄に警戒されたが、何とか町に入れて貰う。そこまで遠くないと聞いていたので、朝食を食べなかったんだよな。


 町の人に食堂の場所を聞き、そこへと向かう。この町は頂上が平らな山の上に作られていて、空中都市とか言われるような感じの所だ。


 食堂は3軒あるらしいが、それぞれの方角の見晴らしの良い所にあるそうだ。俺達はその1軒、北の方角に向いて作られた食堂へと入り、大銅貨9枚を支払って朝食を注文する。


 この国でも普通に貨幣が使えて良かった。こっちでは独自の貨幣を使ってるなんて言われたら無一文だったぞ。


 ゆっくりと朝食を待っていると、出てきたのは味付けされたスペアリブと切って焼いたサツマイモだった。……えっ!? 山岳地帯でサツマイモ?。


 えーっと……確かサツマイモの原種って南アメリカだったかな。そうだとすると、別に山岳地帯にあっても珍しくはないのか。それにしても、サツマイモねぇ……。



 「この紫の皮と黄色いのは何だろうね? 見た事が無い物だと、食べて良いかの判断がつかないよ。パンとかは見当たらないから、コレがパンの代わりって事なんだとは思うんだけど……」


 「コレはサツマイモだよ。いや、この国ではどう呼ばれてるかは知らないけど、これは芋の1種だ。どちらかというと甘い芋に分類されるけど、原種に近いと甘みが少ないのかもしれない」


 「うーん……確かに、少し甘みがありますね。これはこれで美味しいと思うのですが、ちょっとパサパサしてます。もうちょっと水分が欲しいですが、こういう物なんでしょう」


 「本当ね。ちょっとパサパサしてるわ。甘みがあるのにコレだと、勿体ないと思ってしまうわね。もうちょっとどうにかならないのかしら?」


 「コレは切って表面を焼いただけだから、こうなるのは仕方ないさ。水分を足すなら蒸し焼きにすれば良いんだけど、この国では水は貴重な物に分類されるからな。むしろ水が勿体ないと言われるだろう」


 「飲み水が足りない程ではないんだろうけど、潤沢にあるとは言えないだろうね。地形的に仕方がない部分もあるだろうし、人が多いとその分水の消費も増えるからどうしようも無いんじゃないかな?」


 「……! そうか、ダンジョンか。確かにダンジョン攻略や素材の回収には人数が必要だが、人が増えると消費する水の量も増えてしまう。ダンジョン内で水を汲んでくると言っても限度があるだろうしな」


 「ダンジョンで水を汲む仕事っていうのも、なかなかに斬新な仕事だね。王国なんかでは考えられないけど、ここなら成立する仕事になりそう。足りない物を補うのは、何処でも商売になるんだね」


 「まあ、需要と供給が商売の基本と言えば基本だからなぁ。真水の需要があるなら、商売として成立するのも当然と言えるだろう。ただ、邪気で汚染されてるから浄化しなきゃいけないが……」



 雑談しながらの食事を終えて食堂を出た俺達は、町の人に聞きながら宿へと向かう。大部屋がある宿に行き、6人部屋を大銅貨14枚で2日間借りる。今日はこのままダンジョンへと行き、中を少し探ってみよう。


 食糧店に行って、野菜とサツマイモを銀貨3枚分購入してからダンジョンへと移動する。北側の少し下った所にダンジョンは在り、この国では1つしかないダンジョンに多くの人が入っているらしい。


 いわゆる戦士階級の人達が入って素材を持って帰ってくるそうだ。戦士階級とはいわゆる僧兵の事だと思えば分かりやすい。


 戦う人達というか、魔物を殺して捌く人達だと言えばいいのだろうか? 血の穢れを浴びても良い人達みたいなものだ。実は僧侶の人達は血を穢れとまでは言わないが、それに近い感情を持っている。


 しかし、魔物を殺して肉を食う為には解体しなければいけない。その解体を行うのが戦士階級の人達だ。戦士は戦う者、だから血で汚れるのは当たり前の事だとされているらしい。


 これは押し付けるという意味ではなく、戦士階級として受け入れている証でもある。話を聞いていて、そう感じた。


 食糧店でそんな話が聞けるとは思ってもいなかったが、なかなか興味深い話をしてもらえた。古い時代の日本だと、獣を殺したり解体するのは穢れている”人”とされていたからな。


 それに比べれば、嫌な事を引き受けてくれている戦士階級に感謝するという、この国の方がマシだと思う。


 おっと、横道に逸れた思考は打ち切ろう、既にダンジョン前だ。この国では傭兵ギルドが無いので、ダンジョンの周りが壁で囲われてはいない。


 そもそもこの国の人しかいない訳だし、ダンジョンに良からぬ事をする者もいないだろう。悪党でも、この町まで来るのは大変だろうしな。


 順番が回ってきたので、いつも通り少し待ってから迷宮紋に乗る。この国のダンジョンの1層目は、何と山だった。


 【探知】を使って確認すると北東の方に進んでいる人が居るので、俺達もそちらに移動する。魔物を狩っている者もチラホラと居るが、殆どは子供で大人は指導をしているらしい。


 僧侶も戦士も戦うが、僧侶は血で汚れない様に打撃武器で戦う様だ。戦士は剣や槍を持っているので、そもそもの戦い方が違うのだろう。


 なかなかに凶悪なメイスを持って子供を指導している女性も居る。熱血指導に見えるが子供達の体力に配慮しているのかね? 熱血指導に酔ってると、子供が怪我をしかねないんだが。


 まあ、俺達には関係の無い事か。あちこちの指導を見ながら転移紋で2層へと進む。2層も再び山だったので北東へと向かう。


 適当ではなく、北東に進む者が多いのでこっちで間違いないだろう。転移紋があったので3層へと移動する。3層も山だったので再び北東へ行き4層へ。あれぇ? 4層も山だぞ!。


 このパターンって今まであったっけ? いまいち記憶に無いが、あったとしても4層連続は非常に珍しい事だ。再び北東に行き、転移紋から5層へと進んだのだが山だった。


 もしかして、このダンジョン山の地形しか無いのか? そう訝しみながらも北東から6層へ。光が止むと、そこは平原だった。どうやら5層毎に変わるらしい。


 【探知】と【空間把握】で詳細に調べると、大きな湖があり、そこで水を汲んでいる人が結構居る。荷車に甕を載せている人も多く、水で商売は事実の様だ。


 1層から5層の山は、山と言っても小山ばかりなので荷車が使える。だから湖まで荷車や甕を持ってこれるのだが、帰りは大丈夫なのかね? そんな心配をしながら南西に向かう。


 多少だが南西に向かっている人たちが居るので、転移紋は多分南西だ。【探知】の反応が消えたので間違いない。


 7層に着くと、予想通り平原だった。南西の転移紋から8層へ。8層も南西から9層へと行くのだが、この層ではもう水を汲む人は居なかった。9層も南西へと行き、やっと地形が変わる10層に到着した。


 10層は、まさかの山だった。ここは山地獄かよ! そう言いたくなるのを堪えて先へと進んで行く。11、12、13、14と進み、次で15層だ。流石に昼を少し過ぎているので、転移紋近くで食事にしよう。


 メルとアルメアにチャパティを作ってもらい、俺は海産物と野菜を寸胴鍋に入れて煮込んでいく。魚は一口大にして、骨は全て【分離】してあるのでウチの女性陣も文句は無いだろう。


 【熟成】を使いつつ煮込んだら海鮮スープの完成だ。山岳地帯の国では贅沢な食事なので、ダンジョンの中とか人目につかないところでしか食べられない。


 どんな目で見られるか分からない上に、襲われる事は無くても寄越せとか売ってくれと言われるかもしれない。余計な揉め事は御免なので、仲間内だけで楽しもう。


 あー……はいはい、分かってますよ。ダリアさんは魚が入っているとテンション高いね。



 ▽▽▽▽▽


 0543終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨9枚

 大金貨36枚

 金貨143枚

 大銀貨515枚

 銀貨232枚

 大銅貨215枚

 銅貨220枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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