0540
夕食後、宿の部屋へと戻ってゆっくりと過ごす。鍋で聖水を沸かし紅茶を淹れたら、ゆっくりと落ち着いて香りと味を楽しむ。
たとえ紅茶といえども落ち着くもんだなぁ……。そんな事を考えていると、皆から聖水が足りないと催促された。なので【念動】で浮かし、【加熱】して沸騰させてから鍋に聖水を入れる。
聖水で淹れている以上は元の世界より美味しくなる筈なんだが、美味しくなってはいない。多分、元の世界より茶葉の品質が悪い所為だろうと思う。
こればっかりはどうする事も出来ないので諦めている。お茶好きに厳しく吟味されてしまう世の中でも無いし、無数のお茶好きがSNSに投稿する世の中でもないからな。
この時代では品質なんて有って無いようなものだ。それでもある程度は美味しいのだから、聖水は凄い水だよ。
メルとアルメアはともかく、他のメンバーは若干顔を顰めながらも飲んでいる。良い傾向だと思う。いつの日か、飲まないと落ち着かないという気持ちになってくるだろう。茶を喫するとはそういうものだ。
まあ、そんな下らない事は横に置いとこう。ダルダン聖国の国境の町は結構遠いらしく、段々と山岳地帯に入っていくので道は険しくなっていくそうだ。
それでもボルダイクに塩を買いに来る人は多いらしい。向こうからは山岳に出てくるファングゴートの牙を使った武器や、牙そのものを売りに来るみたいだ。
こっちでは山岳地帯の魔物の素材を加工した武器が人気で、持ちつ待たれつの関係が出来ているらしい。
山岳地帯は厳しい環境だからか魔物の素材は強靭な物が多いそうで、こちらでは錆びない武器として重宝されている。東の海には海賊のような連中も居るらしく、武器の需要は無くならない。魔物も居るし当然か。
明日の予定も含めて話をしていると、ダリアとフヨウが眠っていたので【念動】で布団に移動させる。【房中術】と【精気】で全員を完全に満足させた後、紅茶を淹れてゆっくりと楽しんでから眠る。今日も一日お疲れ様でした。
<異世界220日目>
おはようございます。今日からダルダン聖国に入ります。ダルダン聖国には傭兵ギルドが無いそうなので、エルダ海洋国以降はギルドの登録証に価値が無くなる。
ダルダン聖国から来る者達も傭兵では無く僧兵のようなものらしく、男女共に髪を剃っているそうだ。本当に仏教僧みたいな感じだが、神様を崇拝してるんだよなぁ……。
俺的にはちょっと違和感があるが、この世界はそういう世界なので受け入れないとな。実際に神様が降臨する世界では、空想の神様や仏様は生まれない。
ちなみにだが、ダルダン聖国では多くの者が僧侶らしいのだが、妻帯も肉食も飲酒も普通に行われている。元の世界の僧侶とは全く違うので、そういうものだと思えば違和感は無くなると思うが……。
戒律っぽいのは、朝昼晩の一日3回の礼拝があるのと、悪行の禁止ぐらいらしい。
礼拝はともかく、悪行の禁止は普通の事だろうと思うんだが、戒律にする事に意味があるんだろう。礼拝に関しては、神様の像に祈るだけらしく決まった形は無いそうだ。
「おはよう。ダリア、フヨウ」
「ニャ~」 「………」
2匹に温めた聖水を出してやったタイミングで皆も起きてきた。今日も早いけど何かあったのかね?。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ」 「………」
「今日からダルダン聖国かー……初めて行く国はちょっとワクワクするね! 山岳地帯って聞くけど、今のアタシ達にとったら然したる障害にはならないだろうさ」
「まあ、そうでしょうね。山岳には羊系の魔物や山羊系の魔物が多いと聞きます。また虎や馬も居るらしいですが、何よりも恐ろしいのは鳥系の魔物の様ですね」
「昨日ギルドで聞いたわね。何でも上空から急降下で襲ってくるらしくて、嘴で鉄の兜を貫通するそうよ。気を付けないと危険だから、殆どの傭兵は近寄らないらしいわ」
ダルダン聖国ってどんな所なんだという話をしながら、宿を出て食堂に行く。大銅貨9枚を支払い朝食を頼むと普通の食事が出てきた。たまにこういう事があるなと思いながら食事をし、終わったら町を出る。
ここからはメンバーの誰も知らない場所へ行く。何だか冒険者になった気分だと思いながら東へと走って進む。
傭兵も商人の馬車も無い場所を走っていくのは、それはそれで気持ち良いものだと思う。自然を満喫しているというか、周りの目が無いから解放感があるというか。
なかなかに気持ちよく走っていると、遠くに山が見えてきた。結構高い山で、それが複数連なっている様に見える。
山岳地帯と聞いていたから当然だとは思うが、東へと抜けていく道はあるんだろうか? 最悪は道無き道を行くしかないな。崖になっている様な場所を越えていく覚悟がいるか……。
そんな事を考えながらも山々にどんどん近付いていく。その麓の辺りだろうか? 村のような町のような場所があった。アレがダルダン聖国の国境の町であるアボイの町だろう。
まずは、あの町で情報収集をしないといけない。闇雲に東に行こうとしても、抜けられるとは思えないし。
町の前に門番が居るので一応登録証を出したが、「必要無い」と言われた。今まで身分を保証してくれていた物が役に立たないというのは厳しいな、場合によっては村や町に入れない可能性がある。
ここの門番は普通に通してくれたので良かった。町の中に入ると頭を剃った人ばかりなので、見慣れない光景に戸惑ってしまうなぁ。
町の人に話を聞いたりしながら情報収集をする事にして、一旦全員と別れる。これからは、こういう事をしていかなきゃならない。
ちょっと面倒だが、心のどこかでゲームみたいだという非現実感がある。元の世界だとスマホで調べれば地球上の現在位置は分かったし、どこにどんな村や町があるのかは直ぐに分かったからな。
足で情報を集めるって古い時代の警察みたいだ。そんな風にも考えながら色々な人に話しを聞いていく。
有意義な話が聞けたり、大した情報じゃなかったり。それでも情報の対価を寄越せと言われないのは、悪行をするなという戒律があるからだろう。少なくとも変な揉め事には巻き込まれてはいない。
情報収集のついでに町を浄化していたが、情報を集め終わるまでにとっくに浄化は終わっている。今は情報収集も終わったので皆を探して歩いているが、意図的に技を使っていない。風情が無いし。
俺以外は2人1組で動くように言っておいたので、誘拐などの犯罪には巻き込まれて居ないと思うが……。
皆を探していると、町の入り口近くに集合していた。俺も合流し町の外に出て次の村へと出発する。まずは徒歩で皆の聞いた話を持ち寄る。場合によっては移動する方角を変える必要も出てくる為だ。
「皆の情報収集はどうだった? 俺が聞いたのは、近くにある村は北東の方角にある山の中腹辺りだと聞いた。このダルダン聖国は大半の村や町が山の中に在るらしく、見つけ辛いので遭難しない様に注意しろと言われたよ」
「アタシもそうだね。1番近いのは北東の村だと聞いたよ。ただ、そこから先は村々の距離が長くて大変らしいね。修行僧達が色々な町や村を巡る修行をするらしいんだけど、毎年死者が出るんだって。アタシ達も十分に気を付けないとね」
「それ、私も聞きました。いきなりフラフラして落ちて死ぬ者や、鳥に突撃されて殺される者、更には虎の魔物に喰われる者など、様々な危険があるそうです。今までの常識は通用しないと考えた方が良いでしょう」
「私が聞いたのは村や町の場所だが、北東の村の後は東に行けば村があるらしい。ただ、この村への道は北から回り込む様に進む必要があるそうだ。大きく回ってくる必要があるらしく時間がかかるので、移動に半日掛かるらしい」
ダナとメル、シュラとアルメア、ディルとフォルで情報収集してもらったけど、この分かれ方でキチンと成果が出てるな。割と別々の情報が得られてる。
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0540終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨143枚
大銀貨515枚
銀貨235枚
大銅貨238枚
銅貨220枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




