0539
まだ起きているディルもフォルも紅茶を欲しがったので入れてやると、微妙な顔をしている。渋味のある飲み物に慣れていないからだろう、これに関しては仕方がない。
飲み慣れれば美味しい物なのだが、そこまで飲まない気もするな。そもそも俺が飲む為に買った物だから別に良いんだが。
俺がゆっくり飲んでいると、2人も真似してゆっくり飲んでいる。ゆっくりとした時間が流れた後、【鋭覚】と【喜昇】で撃沈して寝かせておいた。
俺は聖水を【念動】で浮かせて【加熱】して沸騰させた後、茶葉の残る鍋に入れて煮出す。更に濃くなったが気にせずに飲んでいる。何度も煮出すとこんな事はよくある。
最高の一杯を客に出す訳でもなく、自分で飲むだけなのでこんなものだ。それに段々と濃くなったり薄くなったりする味のグラデーションも、それはそれで味わい深いものでもある。
家での茶の楽しみ方みたいなものだからな。格式ばったり、コレが正しい淹れ方だ! なんて言う必要も無い。そもそもお茶なんて好きな様に飲めば良い。
さて、飲み終わったしそろそろ寝るか。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界219日目>
おはようございます。今日も東への移動ですが、そろそろ海洋国の東の国であるダルダン聖国の事も考えておかないといけません。
一応町で聞いたんだが、ダルダン聖国というのは国土の多くが険しい山岳の国らしく、この国も草原の遊牧民と同じく神官ではなく僧侶の国らしい。
大僧正が国のトップらしいので、元の世界のチベットみたいな国なのかと想像したが行ってみない事には分からない。
ただ、山岳の多い国らしいので村や町は少ないと思う。ここから東へ行くのに、海洋国が船を使う理由はちゃんとあるって事だろう。
聖水を鍋に入れて【加熱】し沸騰させた後、紅茶の茶葉を入れて煮出していると全員が起きてきた。今日は珍しいな。
「「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー!」 「………」
「それが紅茶ってヤツかい? 何だか不思議な匂いがするけど、嫌な匂いじゃないねぇ……あっ! ありがとう。……ふ~ん、何か赤いけど、だから紅茶って言うのかい?」
「ああ。正確には茶葉が赤褐色になるまで発酵させた茶葉だから紅茶と言うんだよ。で、その発酵は熱を加えると止められるんだ。俺が飲みたい緑茶は、葉を摘んでから発酵が始まる前に熱を加えて、発酵を止めた茶葉なんだ」
「あまり良く分かりませんが、コレではないという事は分かります。……ん~。何か渋いというか、あまり美味しい飲み物とは思えませんが……」
「まあ、渋めのお茶は慣れていないと美味しくないだろうね。普通は甘い物を食べながら飲むか、砂糖や牛乳を入れて飲むんだよ。今はどっちも無いから出せないけど」
「私は特に問題ないわね。渋いけれど、その渋さ以外にも味が有って美味しいわ。渋さ以外を感じるには、確かに慣れがいるでしょうね」
「私も嫌いじゃないね。確かに主様が言われていたホッとするという意味は分かる。何と言うか不思議な飲み物だけど、好きとまで言えないけど嫌いじゃないよ」
「私は昨夜飲ませてもらったが微妙だったな。何度も飲めば慣れるのかもしれないが、何度も飲む気にはなれない飲み物だ。唯の水の方が私にとってはマシだな」
「僕も似た様なものかな。ただ、懲りずに手を出していき、そのうち慣れる気もするけどね。味が有るのと無いのを比べれば、余程酷いもの以外は味が有る方がマシだからさ」
「ふむ。確かにそれもそうか……。結局、私も手を出して慣れそうな気もしないでもないな」
まあ、好きにしてくれて良いけどね。ダリアは少し飲ませたところ、直ぐに俺の足をペシペシしてきたので気に入らなかったらしい。今は温めた聖水を飲んでいる。
フヨウは味を感じないので気にもしていない。それどころか、昨夜の茶葉を溶かして食べていた。茶殻を食べてくれるのは地味に助かるよ、ありがとうフヨウ。
皆とお茶を飲んだ後、綺麗に浄化して宿を出発する。昨日と同じ食堂に入り大銅貨9枚を支払って朝食を注文すると、何故かパンとサラダとスープと焼き魚だった。
皆が若干嫌な顔をしたので、昨日考えた事を話して骨を【粉砕】した。ジャリジャリして食べ難いかと思ったのだが、そこまで身の中には多くないので気にはならないらしい。
皆は楽に食べられる事の方が大事らしく凄く感謝された。そこまで骨を取る作業が嫌だったらしいけど、自分の子供の頃を考えたら少し納得した。最初は誰だって面倒臭いから嫌がるか……。
その内、三枚おろしにして焼いた魚は美味しくないと言い出すのかもしれないな。油と旨味が落ちすぎて、スカスカな味になってしまうんだよなー。
肉も丸々1匹を焼いたりするが、魚も同じで1匹丸ごと焼いたのが1番美味しいんだよ。代わりに骨を取ったりするのが大変な訳だが、コレは代償のようなもんだから仕方がない。
皆も満足する食事ができたようなので、気分良く町を出発する。一路東へと走って行くのだが、既に海洋国の半ばを過ぎているので気合を入れて行こう。
ブムの村、ポーンの村、アッデの村を浄化してオロッソの町へと到着した。田舎町という風情だが、この町の東にジュウの村があり、その先は王の直轄地であるボルダイクの町だ。つまりエルダ海洋国の東の端となる。
まずはこの町で昼食を食べるのだが、ウロウロしながら浄化している際に釣り人を見つけた。その人物は白髪のお爺さんで、【空間把握】を使うと糸を垂らしているだけで針が付いていなかった。
太公望かと思ったが、関わりたくないのでスルーしておく。若干だが、関わる事に嫌な予感もしたしな。
食堂に入り大銅貨9枚を支払って昼食を頼む。すると、ここではパンとスープだけだった。ただし、椀が大きく魚の身と大量の貝が入っているが……。殻を捨てる為の大皿も目の前に置かれたので、早速食べ始める事にした。
ダリアの分の貝は全て外してやったので、美味しそうに食べている。フヨウはいつも通り殻ごと溶かしている様だ。
皆も殻から外す手間を面倒臭がっているが、焼き魚と同じく味を嫌ってはいない。むしろ、とても美味しそうに食べている。魚は白身だが、淡白だから貝と一緒に煮込んだんだろうか? 貝のエキスが染みていて美味しい。
パンがボソボソなのが気にならない程に美味しいなぁ……スープに浸せば問題ないからかね? むしろボソボソだからスープを吸うのもしれない。
美味しい食事を堪能したので、この町も気分良く出発できて何よりだ。再び東へと出発し、ジュウの村を浄化して通り過ぎ、ボルダイクに辿り着いた。
堀はあるものの3メートルぐらいと狭く、木造の柵があるだけの町だった。帝国側の直轄地と違って手抜きにしか見えないが、東から攻められる事は殆ど無いのかもしれない。とはいえ、この町は海洋国で1番東の港があるんだがな。
門番に登録証を見せて中に入ると、町とは思えない長閑な風景だった。町の規模だけど村のような、そんな妙な印象の町だ。まあ、見えている風景の多くが畑と港と船だからだろうな。
町の人の家も見えるが、そこまで多くないうえに小さい家が多い。むしろ宿があるのか不安だ。浄化しながらウロウロし町の人に話を聞くと、宿は1軒しかないそうで大体空いてるそうだ。
聞いた所に行くと繁盛してなさそうな佇まいの宿があった。入って部屋が空いているか聞くと大部屋しか空いておらず、予想よりも埋まっている事が分かった。
寂れた佇まいではあるものの、お客は入っているらしい。それでも東の端だから儲からないのか、それともワザとああいう佇まいにしてるのか……まあ、どっちでもいいか。
大銅貨6枚で大部屋を借り、宿の外に出る。今は地球でいうところの午後3時辺りであり、夕食を食べるにも早い時間帯だ。今の内にギルドへと行き、ダルダン聖国の情報を少しでも集めておきたい。
俺達は傭兵ギルドへと行き情報を集めたが、ダルダン聖国側の国境の町しか教えて貰えなかった。それしか知らないという方が正しいらしいが……。
仕方なくギルドを出るともう夕方だったので、食堂に行き大銅貨9枚を支払って食事をする。何故か出てきたのは、魚の身を挟んだトーストサンドとサラダとスープだった。
奇妙な感じがするが気にせずに食べてみる。すると柑橘類で味付けしたソースが掛かっていて、意外に美味しかった。皆も気に入ったようで、バクバク食べている、ダリアの分は小さく切り分けてやった。フヨウはいつも通りだ。
ある意味、1番綺麗な食べ方だな。
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0539終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨143枚
大銀貨515枚
銀貨235枚
大銅貨247枚
銅貨220枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




