0534
俺達はさっさと食事を終えて宿の部屋へと戻った。有名な奴等が帰ってこないんだ、真っ先に疑われるのは余所者の俺達だろう。犯人が誰であっても関係なく、真っ先に疑われるのは常に余所者だ。なのでさっさと宿に戻ってきた。
「しっかし、俺達に真っ先に疑いを掛けて来そうだな。関係ないと言っても、明確な証拠なんて絶対に無いし困ったもんだ。明日、さっさとこの町を出られれば良いんだが……」
「分からないねぇ……。確率は半々ってトコじゃないかい? アタシ達が関係ないって言ったって、それを証明なんて出来っこないんだからさ。やった、やってないの話になるに決まってるよ」
「ダンジョン内ですし、死体なんて消えてしまいますからね。普通はダンジョン内での出来事は全て自己責任なんですが、中途半端に名のある者だと面倒な事になったりするんですよ」
「私達は1層で追い抜いた後、1度も彼等を見ていないのよね。だから余計に分からないし、それを押し通すしかないと思うんだけど、そうなると何処まで行ったのか聞かれるでしょう?」
「適当な層の事を言えば済むのではないか? 16層ぐらいの事を言えば多分大丈夫だろう。そこまで行ける者も居ないだろうし、仮に居たのなら、その者達より1層先まで進んだと訂正すれば良い」
「それが最高記録を超えていても仕方がないね。僕達が犯罪者にされるよりはマシだよ。それにしても帰ってきてないだけで、まだ殺されたとは決まってないし、もしかしたら帰ってきてるかもしれない」
「希望的観測ではあるが、ある程度のクランなんだし可能性はあるか。しかし17~18人居たが、誰かに裏切られたのか? あの女性4人は裏切らないと思うから、おそらくはそれ以外の奴だと思うが……」
「侯爵家のボンボンだから気に入らないとか、弱いのにクラマスだから気に入らないとか。嫉妬なんかを考えたら、殺される理由なんて幾らでも在るからねぇ。考えるだけ無駄か」
「そうですね、考えるだけ無駄です。碌でもない者は碌でもない事しかしません。例え理由を聞けたとしても、理解出来ない戯言を喚くだけですよ」
まあ、その通りだろうな。おっ……ダリアは余程疲れてたのか今日はもう寝てしまった。フヨウと共に2人用の布団に寝かせたら、ベッドに連れて行かれたので【房中術】と【喜昇】と【極幸】でキメておく。
2匹が寝ている布団の近くでゆっくり聖水を飲んでいると、宿の周りに監視者が集まり始めた。【空間把握】で調べると昨夜監視していた奴等だ。俺達の泊まっている部屋を監視しているが、奴等はどうも俺達が殺したと疑っているらしい。
面倒な奴等に疑われたと思っていると、慌ててやってきた奴が「坊ちゃんだけが帰ってきた!」と言って、監視者全員を連れていった。クランマスターだけが帰ってきたって事か? いったい何があったのかは知らないが、俺達への嫌疑は晴れたのかな?。
分からないが、押し入ってくる事は多分無いだろう。俺も今日は疲れたし、もう寝るか。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界217日目>
おはようございます。結局、あれから起こされる事も無く朝まで眠れました。という事は、俺達への疑いは無くなった可能性が高いな。それでも、この町に長居して良い事は無さそうなので今日出てしまおう。
「おはよう。ダリア、フヨウ」
「ニャ」 「………」
ダリアとフヨウの水皿に温めた聖水を入れてやり、2匹と一緒にゆっくりしていると皆も起きてきた。昨日はあれだけ精神的に疲れたのに、今日はいつもより早いな。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「………」
「今日は出来るだけ早めに町を出たいからね、早く起きられて良かったよ」
「いや、それがな。昨夜、監視者どもが殺気立って居たんだが、クランマスターのお坊っちゃんだけ見つかったらしく、慌てて監視者どもが走って行ったんだよ。それ以降、まったく動きが無いんだ」
「へー。じゃあ私達への疑いは無くなったと見て間違い無いですね。もし、そのお坊ちゃんが私達の事を言い出したなら、間違いなく夜中に叩き起こされてる筈です」
「ええ、そうでしょうね。まあ、その前にアルドが飛び起きて蹴散らすと思うけど……。私達も無実の罪を被る気も無いし、物音で起きたら一緒になって暴れると思うから、アルドの事は言えないわね」
雑談しながらも、部屋の中を綺麗にして荷物を片付けたら部屋を出る。宿を出て食堂に行き、大銅貨9枚を支払って朝食を注文した。
昨日の朝と同じメニューだが、美味しい物は美味しい。朝から幸せな気持ちになりながら町の入り口へと行き、登録証を見せたら出発する。
更に東へと進んで行くのだが、この国は南側の殆どが海に面している。実は帝国にも海に面した土地はあるのだが、帝国は崖になっていて近づけず、使う事が出来ないそうだ。
王国にも海に面した場所がある可能性はあるが、そもそも大森林の向こう側がどうなっているかは誰にも分からない。今まで調べようとした者は居るそうだが、確たる証拠は何も無い与太話しかないそうだ。
そんな話はアルメアから聞いた事があるが、近づけないなら意味が無い。海水で塩を作るにしても、海産物を獲るにしても、海に近づけなければ出来ない事だ。そんな帝国と違い、エルダ海洋国は海に面している土地の半分が海を利用出来る。
砂浜も多く、海を十二分に活用出来る国だと言えるが、その所為で蛮族国家に蹂躙された歴史を持つ。蛮族国家としても塩の利権は大きかったんだろう、塩を作る為に奴隷の様に使い潰されていたそうだ。
今はエルダ海洋国として塩を作っているが、過去に何があったかは国として受け継いでいるらしい。そんな話を聞いている。
誰からだって? 道の途中で助けた商人だよ。東の村への道を走っている途中で魔物に襲われている馬車を助けたんだが、東の村まで護衛してくれと頼まれたんだ。
その護衛中に御者をしながら話掛けてくるんで、この国の歴史なんかを色々聞いている。いつもより遥かに遅いが仕方ないし、ここから東の村までは遠くない。ゆっくり行くのは構わないんだが、傭兵を雇うのをケチるからこうなるんだ。
そんな事を考えながら歩いていると、ドードの村に到着した。商人は急ぐ様に村へと入って行ったが、何を焦っていたんだろうな? 不思議に思っていると、登録証を見せた門番が溜息を吐きながら教えてくれた。
「あの商人は傭兵を雇わずに行商をしてる事で有名なんだ。傭兵の通りが多い道を選んで移動し、金も払わず助けてもらうって魂胆さ。そんな事を続けてたらいつか死んじまうと思うんだが、あの商人は聞く耳を持たない事で有名なんだよ」
成る程、それで護衛を雇ってなかったのか。そのうえ逃げる様に村に入って行ったのは、俺達が事実を知る前に逃げようとした訳ね。村の中に居るんだから意味が無いと思うんだがなぁ……。ああいうのはその場凌ぎしか考えないからな、あんなもんか。
まぁ、俺達には関わりは無いし、浄化したらさっさと出て行くからどうでもいい。村の中を多少ウロウロして浄化したら、村を出て更に東へと進んで行く。走って進める様になったので、やっとイライラせずに進んでいけるな。
途中で商人や傭兵などを追い越しながら進んで行くと、騎士団っぽい連中が魔物と戦いを繰り広げていた。俺達は横目に見ながら通り過ぎたが、道の周辺の魔物を討伐でもしてたんだろうか? でも、それって普通は傭兵の仕事だよなぁ……。
傭兵が不足している訳でもなさそうだし、妙な光景だったな。そんな事を話していたらデウの村に到着した。今日はアホの商人の所為で遅れているが、仕方がないと諦めよう。
村の入り口で登録証を見せて中に入り、適当にウロウロして浄化したら、少し早いが昼食をとる事にした。村の食堂で大銅貨9枚を支払い昼食を頼んだが、ビックリするぐらい平凡な食事だった。
どうやらこの村の近くでは海に入れないらしい、それで平凡な料理にならざるを得ないんだな。この国ではむしろ珍しいのかね?。
▽▽▽▽▽
0534終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨144枚
大銀貨515枚
銀貨235枚
大銅貨333枚
銅貨220枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




