0526
「グライバという奴を倒した後は、そいつが乗ってた馬が攻撃してきたが返り討ちにした。ただ、余程俺を恨んだのか邪生になったんで……浄化したんだった! 心臓を出しておかないと」
俺はアイテムバッグから灰色になった馬を取り出し、心臓を抜き出して9等分にしたら皆に食べさせる。然したる変化も無いのはいつもの事だな。その後、朝食が出来たので食べ始める。
「結局のところグライバという奴の言った事が正しいなら、皇帝に命じられて俺を殺しに来たらしい。皇帝直属の秘匿部隊の隊長だと言っていたからな」
「成る程ね。もしかしたら帝国魔剣流の奴等は、全員その秘匿部隊の連中なのかもしれないよ。だからこそ、帝国の者だけしか入門出来ず、殆どの実力の無い者は落とされるんだろうさ」
「表向きは剣術を教えていて、裏ではその剣術を生かして帝国に邪魔な者を始末するという事ですか。分からなくはありませんが、目立ち過ぎる気もしますけどね」
「だから秘匿部隊なんじゃないの? 多分滅多に動かさないんでしょうね。それなら周囲にはバレ難いでしょうし、分かっても口を噤むんじゃないかしら? 口に出せば殺されるかもしれないし」
「高い確率で殺されるだろうね。似た様な事が何度かあれば、誰も口に出さなくなるだろう。公然の秘密という奴の出来上がりだよ。後は秘密を知る者達が秘密を守ってくれるだろうさ。誰だって巻き込まれたくは無いだろうしね」
「まあ、そうだろうな。……話は変わるのだが、アルド。魔剣術とやらは使える技術なんだろうか? 昔、学ぼうとした事がるからこそ聞いておきたい」
「あっ、僕も聞きたい。剣から魔法を出すって本当に役に立つの?」
「ハッキリ言えば、魔力を感知出来る相手には然して役に立たない。魔力を感知出来れば、魔法を使う前に怪しいのが分かるからな。これから怪しい事をしますよ、と教えてくれてる様なもんだ。当然だが、魔法は魔法、剣術は剣術として扱うべきだ。正直、中途半端なんだよなぁ……」
「中途半端な技術なのか……。頭で考えるだけなら良さそうに思うのだが、実戦では使えないという事か。そういうものも在るとは聞いた事があるが」
「中途半端なのは、剣を扱いながら魔法も使わなきゃいけないからだ。魔法を自然に使えるならいい、だけど魔法陣を描く為に集中しなきゃならない。となると戦闘に使える集中力は減るんだ。当然、戦いの駆け引きに集中出来なくなる」
「あ~……。それは駄目だね、話にもならないよ。上の空で戦えるほど、戦闘というのは甘く無いんだ。更に言えば、自分から不利な状況を作り出してるじゃないか。アルドが中途半端と言う筈さ」
「逆に言えば、正しい身体強化ほど使い熟せる様になれば、それなりに使える技術ではある。とはいえ、結局はそれなり止まりでしかないんだけどな。正しい身体強化を使って戦いに集中した方が、明らかに強いのは間違い無い」
「「「「「「うんうん」」」」」」
流石に皆も分かるのか、それ以上は帝国魔剣流に関する質問は無かった。朝食も終わりカマクラと焼き場を壊したら出発するのだが、俺はグライバの死体を取り出す。
穴を掘って死体を放り込み【浄炎】で燃やした後で【粉砕】する。その後、穴を埋めたらその上からグライバの剣を突き刺す。墓はこれぐらいで良いだろう。
「わざわざ墓を作ってやるのかい? そこまでする必要があるのか疑問があるけど……」
「これで、多少でも皇帝に不満を持ってくれれば良いんだよ。こっちは墓まで作ってやったんだ、殺し合いである以上は逆恨みされてもな。そう言えるだけの事をしておけば、残った奴等もそこまでこちらを恨んだりはしないだろう」
「まあ、お墓がありますし、ちゃんと戦って敗れてますからね」
最後にもう一度【浄化】してから、俺達は走り出す。この世界にも剣の流派ってあるんだなぁ……と下らない事を考えながらだったが。
大した時間も掛からずディザレフトに到着した。野菜はまだあるので、中に入って見回るフリをしながら魔道具を使い浄化する。終わったら東門から出て先へと進む。これで皇帝の直轄地から脱出できるな、やれやれ。
皇都が近いと妙な奴が来るし、今日1日でなるべく遠ざかりたいもんだ。阿呆どもが追いつけないほど素早く移動するのが1番良いだろう。
そんな事を【念話】で話し合いながら東へと走って行く。歩く傭兵や馬車を幾つも追い抜きながら進んでいると、ディザレフトの東にあるアモズの町に到着した。門番に登録証を見せて町の中に入り浄化を終わらせたら、少し速いが食堂に入る。
大銅貨9枚を支払い昼食を注文すると、直ぐに出てきたんだが……何でここで虫料理が出る? いや、勿体ないから食べるけどさー。皇都の近くにダンジョンがあるらしいが、そこも虫ダンジョンなのかね? 通り過ぎたし確認するつもりもないが……。
美味しい物もあるし、浄化もしてるから問題は無いんだ。ただ、虫を見るとあの面倒臭いダンジョンを思い出すんだよ。
トラウマではないと思うが、本当に面倒だったからなぁ……。心の底にこびり付いているらしい。虫に良い思い出が無い事が原因だろうな。
皆も多少だが嫌そうな顔をしているのは、あのダンジョンの事を思い出しているからだろう。周りの客も虫料理を食べている以上は、俺達への嫌がらせという訳でもないし文句も言えない。さっさと食事を終え食堂を後にした。
微妙な思いをしながら町を出て先へと進む。更に東へと走って行き、メブイの村に立ち寄って浄化したら先へと進む。
道を進む傭兵や商人の馬車が減ってきた頃、モイズの村に到着した。ここから東には2つ目の山、<ドルクス山>がある。
この山を越えれば、エルダ海洋国との国境は近い。そう考えるとガイアルム王国より、エルダ海洋国に手を出していたというのも分かる話だ。
王国の方が遠いので、単純にして絶対でもある距離の問題が解決出来ないんだろう。軍を送るにも苦労をするからな。
王国との戦争に負けただけでも、かなりの出費になった筈だ。そうならない様に、長い時間を掛けて万全の準備をやっていたにも関わらず、俺にひっくり返された訳か。
怒る気持ちも分からなくもないが、お門違いでもある。そもそも帝国国内でも勝手をやった奴等が居て、そいつ等の所為で露見した事も多いんだ。
俺一人がやった事なんて高が知れている。ハッキリ言って、俺がやった事以上に帝国が自爆したと思える部分は多い。どうしても誰かを悪者にしたいんだろうが、それを始めると帝国が傾きかねないのを分かってるのかね?。
モイズの村の宿に行ったが既に満室だった為、銀貨1枚分の野菜を買って村を後にした。まだ夕方前なので、今の内にカマクラを作る場所を選定しておこう。
と言っても、村の人に聞いたところ、東に少し行けば川があると教えて貰った。なので向かっているんだが、思っているよりも大きいな。
川幅は10メートルくらいかな? もっと小川をイメージしてたから、思ってるよりも大きく感じてしまった。川は東のドルクス山へ進む道の少し北を東西に流れている。
その川の近くにカマクラと焼き場を作り、夕食作りを始めるのだがダリアが川へと行ったので追いかける。ダリアが川に向かって「ニャー! ニャー!」叫ぶので何かと思ったら、魚が食べたいらしい。
釣りをしている時間も無いので、【念動】を使い魚を9匹捕まえたらカマクラに戻る。焼き場の近くで小麦粉を捏ねてくれている皆の横で、まずはスープを作ろう。
かす肉と野菜を入れて煮込み、ある程度火が通ったら表面を焼いた邪生の肉を入れる。多少煮込んだら、後はゆっくりトロ火で放置するだけだ。
鱗などを取ってから3枚おろしにしたら、骨を完全に【分離】して塩を振り【熟成】を使う。早速魚を焼いていくのだが、ダリアさんの興奮が凄い事になっている。
ちょっと落ち着きなさい。
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0526終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨145枚
大銀貨515枚
銀貨241枚
大銅貨440枚
銅貨220枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




