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0525




 無手の俺に対して遠慮でもあったのかもしれないが、一向に俺が腰に差している神鉄の太刀を抜かないので業を煮やしたのかグライバは攻めてきた。


 右肩に剣を水平にして置き走り出したグライバは、右肩を跳ね上げる様にして斜めに振り下ろしてくる。その際に剣を半回転させて剣を縦向きに変えていた。


 どうやら、そういう剣術らしい。無駄に長い剣使ってるもんなぁ。そういう風に振る必要があるか。


 後ろに跳んで回避したが、振り下ろした後に素早く横回転をする事によって、今度は斜め上に斬撃を見舞ってくる。


 とはいえ、もう1度バックステップで回避すれば済むので特に問題は無い。長い剣を使っていれば、こういう戦い方になるのはしょうがない。



 「ほーう。それなりには出来るみたいだな?」


 「何を勘違いしているかは知らないが、長剣を使っている以上は似た様な斬撃になる。長剣の相手と戦った事があれば対処は容易い」


 「成る程な、お前等不老長寿が強い理由はそれか。多くの経験を積んでいれば強いのは当然だからなぁ。だがな! その程度で決まる程、戦いっていうのは甘くねぇんだよ!」


 「それについては同感だが、甘く見ているのはお前だろう? 喋っている暇があるなら、さっさと攻めてこい」



 再び右肩に剣を乗せたグライバは同じ様に攻めてくるが、回避するのは簡単だ。同じ斬撃を繰り出してきたので今度は半回転しながら踏み込んで避け、回避と同時に左の腹部に突き上げるフックを叩き込んでからバックステップで距離をとった。



 「鎧の上から素手で殴って何の意味がある。革鎧だと思ってなめてるのか? 碌に戦いもせず回避する事ぐらいしか出来ないのか、お前は。俺が疲れるまで待つつもりか知らないが、生憎だが俺ばぁっ!!」



 俺は身体強化を使い、高速で近付いては先程と同じフックを喰らわせた。俺は今まで身体強化をしていなかったんだが、どうやら俺が必死で回避していると勘違いしたらしい。武器を持っていないのも挑発だと思われたのかね?。



 「勘違いするなよ? お前如きの命ぐらい、いつでも獲れるから遊んでいるだけだ。戦いを甘く見ているのはお前だと言っただろう。真面目にやれ」


 「クソがッ! 遊んでるテメェが言うんじゃねえ! テメェこそ真面目にやれや!!」


 「なら真面目にやらせてみせろ。お前の実力じゃ真面目に戦う気にもならんぞ」



 再びグライバは右肩に剣を置き、俺に突進してくる。俺に向かって走りこんで来るが、剣の振り出し直後にニヤリとした。



 「掛かったな、バカが! <火走り>!!」



 俺は当然【探知】も【空間把握】も使用しているので、魔力の高まりも分かっているのだがバレてないと思っていたらしい。


 奴が振り出し直後に魔法陣を出したのは直ぐに分かったし、それが【火弾】の魔法陣である事にも気付いたので斜め後ろに回避している。



 「ふーん……魔法と剣術を組み合わせたものか。古くから在るもので、別に珍しいものでも何でも無いな。それがお前の切り札か?」


 「バカな……何で避けられる!? おかしいだろうが! 剣からいきなり魔法が出てくるんだぞ!」


 「だ~か~ら~、別に珍しいものでも何でも無いと言っているだろう。お前にとっては必殺だったのかもしれないが、俺にとっては唯の技でしかない。お前は経験というものを甘く見過ぎだ」


 「クッソ……さっさと死ねや!! <風突>!!」



 今度は剣を腰溜めに持って【追風】で加速して突いてきたが、俺は余裕を持って回避する。そもそも身体強化をしなくても勝てるほど弱いんだが、本当にコイツが裏で1番なのか?。


 かといって【探知】にも【空間把握】にもカマクラを襲おうとしている者の反応は無いしなぁ……。



 「<土礫>!! クソォッ! 何で全く当たらねぇんだ!! おかしいだろうが!」


 「癇癪を起こした子供か、お前は? 流石にこれ以上は無いみたいだし、そろそろ終わらせるか」



 俺はそう言って腰にある棒手裏剣を2本、全力の身体強化で投擲する。棒手裏剣は狙いを外す事など無く、真っ直ぐにグライバの眉間と心臓に突き刺さりグライバは倒れた。その直後、グライバが乗ってきた黒馬が突進してきた。


 俺は素早く横に回避して、体当たりを喰らわせる。馬が倒れた隙に、首に膝を落として首の骨を砕いた。全力の身体強化をすれば首の骨など容易く砕ける。馬は赤い泡を吹いて死亡したが、その直後邪気が集まり始める。邪生になる程に俺が憎いのかね?。


 灰色になった馬が立ち上がろうとする前に、全力の【浄化】を行って安らかに送ってやった。馬の血抜きをしてアイテムバッグに回収してからグライバの持ち物を探ったものの、所属を含めて身分が分かる様な物を持ってはいなかった。


 仕方なく死体と剣を回収したが、剣は魔鉄製ではあるもののそれだけだ。戦闘中の魔力の通り方からして、多分そうだろうと思っていたが質は良くないな。帝国は銅は得意かもしれないが、鉄や魔力金属はあまり上手くないのかもしれない。


 さて、朝まで時間は多くないだろうが、もう一眠りするか。



 「うん? ああ……おはよう。流石に皆より後に起きる事になったか」


 「おはよう。まあ、アタシ達も少し前に起きたところだよ。それよりアルドが寝坊するって事は、昨夜何かあったんだね?」


 「特にどうこうって訳じゃないんだが……とにかく外に出て、朝食の用意をしながら話すよ」



 俺はカマクラの入り口を開けて外に出たら、アイテムバッグから朝食に必要な物を取り出して、チャパティを作ってもらう。たまにはナンモドキでもいいんだけど、チャパティの方が健康に良いしな。


 俺は寸胴鍋にかす肉と野菜を入れてさっさと煮込む。【錬金術】【練成術】【魔術】を使って料理をするのは俺ぐらいだろうと、鍋の中を確認しながら考える。下らない思考を破棄したら、昨夜というか今日の朝何があったのかを話していく。



 「黒い馬に乗った気配も殺気も隠さない程度の奴が暗殺に来ただけだよ。本人はグライバと名乗っていたが、本名かどうかは分からない。魔法と剣を組み合わせた剣術だったが、正直に言って俺の相手をするには足りなさ過ぎる奴だった」


 「そもそもアルドの相手にはアタシ達だって足りていないのは横に置いておくとして。皆……グライバって言えば、帝国魔剣流の使い手じゃなかったかい?」


 「確か……そんな名前だったような……。私は拳で戦うので興味も無かったですからね。詳しくは覚えていません」


 「私は知らないわ。そもそも帝国魔剣流というのを聞いた事が無いもの。その流派の使い手なんて分からないわ、御免なさいね」


 「私は聞いた事があるね。確か帝国魔剣流が創始されて以来の天才とか言われていた筈だよ。帝国武術大会で優勝した後に帝国魔剣流にスカウトされたんじゃなかったかな?」


 「ああ、それで合っている。私は強くなる為に習おうとして、門前払いを受けたから良く知っている。帝国魔剣流は、帝国への忠誠と皇帝への忠義が無いと教えて貰えないんだ。少なくとも帝国で生まれ育った者でないと、門前払いを喰らう」


 「そんなに凄い技なのかな? とはいえ、その天才さんはアルドにあっさり倒されたっぽいけど」


 「帝国魔剣流は、ほんの僅かな者にしか教えられず、大半は試験で弾かれるらしい。スカウトされるという事は相当の実力があるからだろうが、今の私達からすれば所詮その程度なのかもしれないな」


 「正直に言えば大した実力は無かったぞ? 身体強化を使わずとも余裕で対処できたからな。結局太刀は使わず、棒手裏剣で殺された可哀想な奴ではあるが……」


 「まともに相手もしてもらえなかったんだねぇ……。アルドがそんな戦い方をするって事は、戦いを甘く見てるのか、それともバカだったのか。多分どっちかだったんだろうけど、実力があると持て囃されてる奴なんてそんなもんかね?」


 「魔剣術か? それが掠りもしないんで癇癪を起こしてたな。まるで子供みたいな奴だったが、帝国”では”実力者なんだろうさ、帝国”では”」



 俺としては、アレで? と思うけどな。



 ▽▽▽▽▽


 0525終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨9枚

 大金貨36枚

 金貨145枚

 大銀貨515枚

 銀貨242枚

 大銅貨449枚

 銅貨220枚


 神鉄の太刀

 ヒヒイロカネの矛

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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