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0524




 「私が帝国に来たのは120年ほど前が最後かな? 少なくとも町並みがおかしかったという記憶は無いよ。シュライアの言う90年前から今までの間に何かあったんだろうね」


 「私は15年ほど前に初めて帝国に来たのだが、その時には既にあんな感じだったがな? 私は逆に、皆の言う調和のとれた町並みというのを見た事が無い」


 「へぇ~……。となると、90年前から15年前までに何かあったんだろうね。帝国の皇帝って種族がコロコロ変わるから分かり難いんだけど、その辺りって誰なんだろう?」


 「確か……先々代じゃないかな? 先代の皇帝は4年ぐらいで亡くなっていた筈で、その前の先々代は100年近く皇帝だった筈だ。確か小人族の皇帝で寿命が長かった所為もあって、歴代で一番在位期間が長かった筈だよ」


 「アルメアの話の御蔭でアタシも思い出したよ。先代と今代の皇帝は獣人族で寿命は短いんだけど、小人族の皇帝の期間は確かに長かったんだ。それと、小人族の皇帝は下手なくせに絵画が趣味でね。下手な絵を描いては他人に見せるらしく、帝国の貴族が困ってるって話しを聞いた事があるよ」


 「あ~……そんな話を私も聞いた事がありますね。私やダナが会った事があるのは、それよりも前の皇帝ですので分かりませんが、その皇帝の可能性が一番高そうですね」


 「そうだろうな。そもそも皇帝の直轄地の町並みを弄れるのは、皇帝以外に居ないだろう。きっと面倒な皇帝だったんだろうが、滅茶苦茶な町並みじゃなくて良かったくらいかもしれないぞ? 下手な奴だと、建物自体が斜めに傾いた様な物を”芸術”とか言い出しかねない」


 「「「「「「あー……」」」」」」



 皆の一言が芸術家という者の意味不明さを物語っているな。せめて一般人でも分かる様な物を作れば良いのに、意味不明な自己世界を作り出して”オレカッケー”をするんだよ。


 昔なら”芸術家”で済んだんだろうが、俺が生きてた時代だと”厨二病”と言われて終わる程度だ。


 芸術は素晴らしいが、行き過ぎると”俺の右腕には邪神が……”とか言ってる奴と何も変わらないというのを自覚して貰いたいところだ。アレだ、何でも芸術と言えば許されると思うなよ! って事だ。


 思考が随分脱線したな。食事も終わっているのでカマクラの中に入って閉じてしまう。いつも通り空気穴は開けてあるので窒息する事は無い。酒を飲んでいる皆と話しながら、残りのダッシュボーアとビッグボーアの邪生の皮をなめしていく。



 「それにしても……アタシが知ってる皮のなめしと全然違うね。【錬金術】や【練成術】を使ってるんだから当然ではあるんだろうけどさ。不思議なもんだよ」


 「俺も色々おかしいやり方だという事は自覚してるよ。ただ、地球でも長きに渡って皮がなめされる過程を解き明かす事は出来なかったらしい。タンニンが効果を及ぼしてると分かったのは、人類が皮をなめし始めて2000年以上経った後なんだ」


 「2000年以上も分からなかったんですか? いえ、分かった事の方が凄いんでしょうね。私達も何故変化するのか何て知りませんし、そもそもタンニンという物が分かりません」


 「渋柿というオレンジ色の丸い果物? があるんだけど、それが異常に渋くて食べられないのは、大量のタンニンを含んでいるからなんだ。柿渋と言ってね、俺の故郷である日本では古くから防腐剤として木に塗ったりして使われてたんだよ」


 「ん? 口の中が変になって食べられない実だろう? それなら私の故郷の集落には山ほど生えている。食べられもしない実だと昔から嫌われていた筈だが、木に塗ったり皮をなめすのに使えたのか……知らなかった」


 「それどころか皮を剥いてお湯に浸した後で吊るしておけば、10日ぐらいで甘くなって食べられるようになるぞ? 甘味の少なかった昔の日本では、貴重な甘い果物だったしな」


 「そ、そんな……アレが、甘い果物……」



 そんなに驚く事か? と思ったんだが、よく考えると最初に食べる方法を編み出した人が居なければ、食えない実でしかないのか。つまりディルの故郷には、何としても渋柿を食ってやるという食い意地が張った人が居なかったんだなぁ。


 皆にはそれぞれ1枚ずつ地面に敷く革を渡しているが、カマクラの大きさが直径6メートル程なので重なる部分が多い。全部を敷くと、結局邪生の革までは必要無かった。ダリアがゴロゴロ転がったりして遊んでいるし、フヨウもコロコロ転がって遊んでいる。


 革だからそれほど柔らかい訳では無いが、感触が楽しいのだろうか? 一頻り遊んだ後、横になって眠り始めた。皆と雑談しながら温めた聖水を飲んでいると、零れない様にコップを移動されてしまう。どうやら2匹が寝たらしい。


 皆を【房中術】【極幸】【至天】で帰って来れなくしたら、全員を綺麗に浄化して横になって目を閉じる。それじゃあ、おやすみなさい。



 <異世界213日目>



 ふと、気配というか殺気を感じて覚醒する。直ぐに【探知】と【空間把握】を使うと、このカマクラに遠くから近付いてくる者が居る。


 そいつは黒い馬に乗る奴で、どうやら【夜目】程度は使えるらしい。明らかな殺気を放っている事から2流、もしくは3流の暗殺者か?。


 俺はカマクラの入り口を壊し外に出て、カマクラの入り口を塞ぐ。近付いてくる奴等に対して自分の気配を隠す事も無く俺の方から近付いてやる。


 すると馬が「ブルルッ」と鳴き、俺が近付いている気配を察知した。夜の暗闇の中では、乗っている奴より馬の方が優秀らしい。



 「お前は誰だ? と聞く意味もあまり無いか、標的だろうし……。成る程、聞いていた容姿と一致する。まさか俺が近付いている事に反応するとはな。奇襲して終わらせようと思ったんだが、そう簡単にはいかないらしい」


 「こちらこそ聞こう。お前は誰だ? 帝国の暗殺者か何かか?」


 「別に間違っちゃいないな。俺は皇帝陛下直属の秘匿部隊の隊長だ。部隊の名前は言えんが、俺の名はグライバ。簡単に言えば、お前さんを殺しにきた」


 「皇帝直属ね……何でそんな奴がわざわざ俺の首を獲りに来るのやら。諜報の奴等を散々始末したからか? それとも特殊な技を使って根こそぎ情報を奪ったからか?」


 「……チッ! そんな事が出来たのか、お前。どうりで王国側が急に対応してくる筈だ。やはり王国の攻略が上手くいかなくなった原因はお前か。お前の始末に俺を向かわせた陛下は正しかったって事だな」


 「上手くいかないも何も、お前等帝国の手の者は今まで上手くいっていたからか、調子に乗って好き勝手をしていたぞ? 現場の暴走が大きな原因だろうに。勝手に俺の所為にするな、迷惑だ。文句なら死んでいった馬鹿どもに言え」


 「その馬鹿どもは、お前が始末したんだろうが。まあいい、帝国にとって邪魔なお前はここで確実に始末する。俺は帝国で1番の実力者だ、裏のな」



 そう言って、男は馬の背から降りた。右肩から左腰に斜めに掛けていたベルトを外し、1メートル50センチはあるグレートソードを抜いて構える。様になってはいるが、構えからはとても強そうには見えない。本当に裏の1番なのかコイツは?。



 「全く強そうに見えないんだが、本当にお前は帝国の裏で1番強いのか? 何か最初から殺気を隠そうともしなかったし、3流にしか見えないんだが……。ワザとそうしているのかと思ったが、そういう感じでも無いし……」


 「フンッ! そんな見え透いた挑発には乗らんぞ」


 「いや、挑発じゃなくて唯の事実なんだが……。まあ、自分に凄く自信があるんだろうな。俺からすれば<井の中の蛙>でしかないが」


 「???」


 「ん? ああ、分からないのか。<井の中の蛙、大海を知らず>。そういう言葉があるんだよ。井戸の中の蛙は、井戸の中を世界の全てだと思い込み、外に広い世界があるのを知らない。そういう意味の言葉だ。分かりやすく言えば、田舎者って事だな」


 「!!! テメェ……覚悟は出来てるんだろうな」


 「お前こそ覚悟は出来ているのか? 目の前の相手は不老長寿だぞ。いったい何百年修行してきたと思っているんだ?」


 「ハッ! バカバカしい。無駄に年をとっただけのクズが。俺が引導を渡してやる」


 「はいはい。御託はいいから、さっさと来い」



 何で律儀に待ってるんだ、コイツは?。



 ▽▽▽▽▽


 0524終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨9枚

 大金貨36枚

 金貨145枚

 大銀貨515枚

 銀貨242枚

 大銅貨449枚

 銅貨220枚


 神鉄の太刀

 ヒヒイロカネの矛

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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