0521
2匹と一緒に外に出て朝食の準備を始める。昨日と同じ様にチャパティの生地を作り、かす肉と野菜のスープを作り終えると、丁度そのタイミングで皆が起きてきた。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ」 「………」
「今日は山越えかぁ……。昔みたいに余計な事は起きないと思うけど、起きたらブッ飛ばせばいいかね? シュラと一緒に暴れて余計に面倒になった事を思い出すよ」
「そういえば、そんな事ありましたね。上りでナンパしてきた傭兵どもを殴って大人しくさせた後、下りで商人にしつこく付き纏われましたからね。アレは面倒でした……」
「そんな事があったの? 私が昔来た時はシャルマの町で護衛依頼を請けて進んだから、そういう揉め事は無かったわね。代わりに、同じ様に雇われていた他のチームからの勧誘がしつこかったくらいかしら?」
「結局メルも面倒事に巻き込まれているね。私は臨時にチームに入れてもらっての山越えだったよ。特に何も無か……ああ、チームの女の子に夜這いされて返り討ちにした事はあったね」
「私は任務で隠れ蓑にしたチームメンバーと移動したくらいしか記憶に無いな。特に何も無く標的の暗殺にも成功したので、帝国に対する印象があまりない。なにより帝国での仕事は2~3度しかないしな」
皆と話しながら朝食を食べる。今日の朝は軽い物にしておいたが、これは山越えの為だ。あまりお腹に入れすぎても良くないだろうと思って軽くしたのだが、皆は少々物足りないらしい。ガッツリ食べるなら山を越えてからにしような。そう言って抑えておく。
朝食後、カマクラや焼き場を壊して綺麗な更地にしたら出発だ。寝泊りした場所は少し外れたところなので、正規のルートに戻って山越えを開始する。
早速右に曲がる道があり曲がってから真っ直ぐ進む。今度は180度ターンする様に左へと曲がる道に差し掛かった。
やはり急カーブの向こうは崖になっていて、最初の崖でも落ちたら怪我は免れない高さだった。現在は真っ直ぐ進んでいるが、今のところ奇襲は無い。邪気を浄化しながらなので邪生の襲撃はありそうだと思ったのだが、それも無い。
無い方が良いので助かるのだが、何だか拍子抜けしてしまう。警戒し続けているので油断はしていないのだが、聞いていた話と違う事にちょっと戸惑ってもいる。皆の話だと結構襲われる筈なのだが、もしかしたら俺達が速過ぎるのだろうか?。
馬車が速いと言っても限度というものがあるし、俺達より速いというのはあり得ない。……しかし、2人旅だった昔のダナとシュラもそれなりに襲撃されたと言ってたんだが……。やっぱり速さだろうなぁ。
そんな拍子抜けした思いとは関係なく、足は素早く動き地面を強力に蹴って前へと進む。さっきの急カーブで何回目だ? 思ってるより進んでないというか、なだらか過ぎるだろ!? 非常になだらかな斜面を上ってる所為で、なかなか上に辿り着かない。
矢鱈に面倒な場所だなと思った時、ようやく道の頂上に辿り着いたらしい。山を右回りに行く道があり、山の向こう側へと繋がっている様だ。その道を走っていき向こう側に着いたのだが、こちら側はなだらかでは無く勾配が激しい感じがする。
道と道の間の森の所為で見づらいが、どうも勾配がキツい代わりに距離は短そうだ。距離が短い方が精神的に楽なのでありがたい。
ただ、上る者も下りる者もこっちの方は大変だなと思ってしまう。商人は馬車を使うかアイテムバッグを使うかだが、アイテムバッグは高価なので大半は馬車だろう。
一瞬、崖下に転落する馬車を想像してしまったが、それを忘れて進んで行く。下りなので勢いがつき過ぎる為、適度にブレーキを掛けながら進む。
ある程度走ると、魔物と戦っている傭兵が前を塞いでいた。馬車を守る形で戦っているが、戦闘を有利に運んでいる様なので介入しない事に決めた。
「あれ、どうするべきかねぇ? 戦闘自体は傭兵が勝ってるけど、それなりに疲弊してるみたいだ。危なくなったら介入した方が良い気がするんだけど、皆はどう思う?」
「放っておいて良いのでは? 助けたら助けたで、よからぬ事を言い出す輩の可能性もあります。それに、傭兵は自己責任ですよ? 彼等が目の前で死んだとて、それは彼らの実力不足でしかありません」
「まあ、そうね。とはいえ、どちらの意見も分からなくはないわ。助けないと嫌な思いをしそうだし、でも助けてあげる義理は無いし。難しいところね。私はどちらでもいいわよ?」
「私もどっちでもいいよ。然したる興味も無いし、彼らとて立派な傭兵だ。仮に助けてやってもキリが無いしね。それに、ディアーナもワザと言い出しただけだろう?」
「一応、助けるかどうかを聞いただけか……。まあ、助けた所為で余計な揉め事に巻き込まれたりするのも業腹だからな。私達の旅には関係の無い者達だ。終わるまで大人しく見ているのが1番良い」
「そうだね……あっ! 魔物が新たに出てきたけど上手く対応したね。それなりのチームかクランなのかな? リーダーの男の指示が良いみたい。その御蔭で対処できてるけど、あのリーダーがやられると崩壊しそう」
「確かにそんな感じだな。しかし、リーダーなのに戦いながら指示を出すのはどうなんだ……? 全体の把握が疎かになるぞ。アレだけ人数が居るなら、リーダーは大人しく1番後ろで采配を揮えよ」
「そういえば、何故あのリーダーは後ろで大人しくしてないんだろうね? リーダーが前に出て士気を上げるなんて、普通は追い詰められた状況でやるものだよ。追い詰められてる様には見えな……ああ、そういう事かい」
「チームの女性がキャーキャー言ってそうな感じですね。あれは間違いなく早死にするでしょう。戦闘は格好をつける場所ではありません」
「それが心から分かってる者なら、あんな馬鹿な事はしないわ。頭が痛くなってくるわね、ああいう馬鹿な傭兵を見ると」
そんな事を立ち止まって喋っていると、戦闘が終わった様だ。戦っていた傭兵達は地面に座って休憩している様なので、今の内に横を通り過ぎる事にした。
俺達は戦闘後で気が立っている傭兵を刺激しないように、歩きで横を抜けていく。すると、リーダーをやっていた男がこっちに話し掛けてきた。
「やあ、君たちも傭兵かい? 僕た……」
「そうだ。じゃあな」
俺はそれだけ言うと、横をさっさと抜けていく。ウチの女性陣にも話し掛けているが、ガン無視されているな。
さっさと抜けた後、後ろから「伯爵家の三男たる僕の……」と聞こえたが、どうでもいい。戦闘中に格好をつけるとか、完全に貴族の道楽でしかないな。
それが分かった皆も呆れている。特に俺達にとっては当然の反応だ。傭兵なのに貴族の家を持ち出す奴は嫌われる。
傭兵は自由民だぞ! と説教したいところだが、ああいう奴の所為で帝国では傭兵は嫌われてるんだろうか? ……まあ、どうでもいいか。さっさと下ろう。
その後も何度か立ち止まる事はあったものの、待たされる事は殆ど無く走って行き、遂にロクド山を越える事ができた。昼食の時間を多少過ぎているので、山の入り口から少し離れた所に焼き場を作る。
全粒粉と塩と聖水をダナとメルとアルメアに練ってもらい、その間に干し肉と冷凍野菜を取り出す。
干し肉を聖水で戻し一口大に【分離】したら、野菜も一口大に【分離】する。生地が練れた様なので、【熟成】を使った後で細い麺に【分離】しておく。
聖水と塩を入れた小鍋を沸騰させて、麺を入れて茹でる。フライパンに獣脂を入れて溶けたら、戻した干し肉と野菜と唐辛子を入れて炒める。
麺が茹で上がったら、水気を少し切っただけでフライパンへ入れて絡めながら火を通す。十分絡まったら皿に入れて完成だ。
干し肉と野菜をスパゲッティに和えたんだが、今までよりも自信は無い。上手くできてるとは思うんだが……。
▽▽▽▽▽
0521終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨145枚
大銀貨515枚
銀貨240枚
大銅貨467枚
銅貨220枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




