0520
小川に行って水を汲み、その水を聖水にしていると魚が跳ねた。幅5メートルくらいの小川だが魚は住んでいるらしい。折角なのでアイテムバッグに入っていた硬木で竿と糸を作り、超魔鉄で針を作る。
適当な虫を【探知】で見つけ、【念動】で捕まえて手元に寄せたら針に付ける。後は投げ入れてゆっくりと待つ。浮き等が無いが渓流釣りなんてこんなものだし、気にしなくていいだろう。問題はあの虫で魚が掛かるかどうかだが……ヒット!。
こんな時代じゃ魚もスレてないんだろう、簡単に釣れたな。小さな魚だが、イワナ? ヤマメ? 釣りはした事があるが、魚には詳しくないんだよな。子供の頃は町中の池に行って、ブラックバスなどを釣っては回収ボックスに放り込んでいただけだし。
とにかく首を落として殺し、腹を切って腸などを取り出す。近くに穴を掘ってやっているので、水を汚したりはしていない。開きの状態にしたら濃い塩水を作って浸けておく。【錬金術】を使ってもいいのだが、それは【乾燥】の時だけでいい。
確か干物を作るには30分くらい濃い塩水に浸けておく必要があった筈だ。それまでは釣りを続けよう。その後、夕日が出てくるまで釣りを続けて13匹の小さな魚が釣れた。【浄化】しているので寄生虫の心配も病気の心配も無い。
干物は一夜干しの様な水分量にしてある。カラカラに乾いた干物は美味しくないし、浄化して凍るギリギリの温度なら長期保存が可能な筈だ。それに1人1匹と考えると直ぐに無くなる量でしかない。
そろそろ皆の下に戻るか。ダリアもフヨウも暇だったろうに、何故か一緒に居たなぁ……まあ2匹にとっては魚が目当てだったんだろう。最初の1匹の頭や腸は捨てたが、それ以降は全部フヨウが食べていたし、途中でダリアに2匹あげたしな。
ダリアは美味しそうに食べていたので、俺としては夕食が楽しみだ。川魚だからあっさりしているだろうが、一旦釣りを止めて解体していた邪生の肉もある。今日は久しぶりにバーベキューにしよう。チャパティさえ作れば、後は焼いて食うだけで済む。
「おかえりー。魚は釣れたかい? アタシが見に行った時には3匹ぐらい塩水に浸けてあったから、少なくとも3匹は釣れたんだろうけどね」
「全部で13匹釣れたから、1人に1匹はあるよ。今からチャパティの生地を作るけど、誰か手伝ってくれない?」
「私が手伝うわ。簡単だし、何より身体強化を使えば昔より楽なのよね。200年ぐらい無駄に苦労をして生きてきた気分よ。それに、こんなにサラサラで綺麗な粉なんて見た事も無いし」
「そういえば綺麗で細かい粉に製粉すれば、もっと美味しくなるってアルドが言っていましたね。正直に言って、私はもう硬パンを食べたくありません。アルドが【錬金術】で柔らかくしてくれてましたけど、それでも美味しくないんですよ」
「まあ、それは当然の事だよ。作ったばかりの物と、作ってから何日も経っている物を比べてもね……。それに粉のキメ細かさも違うし、使っている水も塩も違うんだ。主様の料理は美味しくて当然だとも言えるんだよ?」
「アルドは水が違えば料理が変わると言っていたな。何でも水には硬水と軟水があり、同じ料理でも水で全く別の味になってしまうとか。聖水の様な水で料理を食べられるのは、世界広しと言えども私達ぐらいだろう」
「世界中の神殿を探しても、多分浄水を作るので精一杯じゃないかな? しかもアルドが簡単に作っていた浄水じゃなくて、もっと質の悪い物だけど。多分それでもボッタクリ価格で売られるんだろうけどね」
俺達で作った生地に【熟成】を使った後、1人分に分けたら円形に【変形】させていき、既に出していた焼き網の上にチャパティを乗せて焼いていく。
その横で肉や川魚の開きなどを並べて焼いていくのだが、ダリアさんのテンションが高い。どうにも川魚が気に入ったらしい。
一夜干しのような形になっているので塩分が結構多いんだが、魔物のうえ邪生の心臓を食べ……あっ! 忘れてた。
うっかりしてしまい邪生の心臓を出すのを忘れていたので、慌てて出して9等分にして皆で食べる。特に変わった事も無く、僅かに魔力と闘気が増えただけだった。
干した魚は【分離】を使って骨を全て外してあるので、子供が食べても安全だ。身の間にある厄介な骨も【練成術】の敵じゃない。
だからなのか、最後には余っていた分までダリアに食べられてしまった。そこまで美味しかったのかもしれないが、魚しか食べないのは体に良くないと思うよ?。
俺は野菜を出し、焼けた魚の身を解して和える。混ぜながら魚醤を掛けてサラダにして食べる事にした。皆も自由に美味しそうに食べていてるので、バーベキューでも問題は無かった様だ。
毎日似たような料理だと飽きるからな。とはいえ、料理が得意ではない俺では限度があるし、皆が知っている料理は多くない。
この世界では料理が発展し辛いんだろう、そんな気がする。肉類がどうしても多くなるし、移動が難しいので発展が阻害されやすい。
傭兵や商人などは移動するものの、そういった者達は噂話などを伝えるだけで終わる。料理技術など、そもそも秘伝になりやすいものは伝わらない。
強いて言えば、こんな物を食べた、あんな物を食べたというぐらいだろう。それで再現するのは至難の技だ。天才とかそういうレベルの料理人だけだろう、そんな事が出来るのは。
だからこそ発展し辛い分野となるのはしょうがない。まあ、下らない事を考えてないで、今は料理を楽しもう。
久しぶりの魚を堪能した食事も終わり、今は焼き場の前でゆっくりとしている。皆もカマクラに入らずに雑談をしながら明日の予定を話す。
山を500メートルほど上るのだが九十九折の坂になっているらしく、どうしても時間が掛かるとの事だ。敵国に簡単に攻めさせない為と、伏兵で迎撃する為にそういう形に作られたらしい。
昔の国境だから当然というべきなのだろうが、どっちが先にしたのかは分からないものの両方九十九折になっているそうだ。つまり上るのも下りるのも時間が掛かる。
俺達ならショートカット出来そうだと思ったら、道の周りは森と崖になっているらしい。落ちたら死ぬ高さなので非常に危険みたいだ。……それも迎撃用か。
そろそろカマクラの中に入ろうか? そう言ってカマクラの中に入り、入り口を閉じた。【光球】を使いカマクラ内部を照らしながら雑談を続ける。
ダリアとフヨウはミードを欲しがったので入れてやると、皆も飲み始める。早々にダウンしたダリアとフヨウを移動させるも、酒を飲んでいた皆も撃沈していた。
唯一飲んでいないディルを【房中術】と【極幸】で撃沈した後、俺も横になる。皆を完全に浄化したら、おやすみなさい。
<異世界211日目>
おはようございます。今日は山越えの日ですが、簡単に越えられるほど甘くは無いのかもしれません。九十九折もそうだが、曲がりくねった道の途中で魔物に襲われる事が多いらしい。
崖と言っても全てが崖では無く、上から見ると右端や左端の部分が崖になっている形みたいだ。つまり右や左に進む道の間は森になっているらしく、そこから魔物に奇襲される事もよくある事らしい。
一気に走りぬけるか、ゆっくり進みながら全て蹴散らすか。どちらかの進み方でしか安全を確保出来ないと言われている。そういう風に、昨夜の雑談で聞いた。
結局のところ結論としては、俺達の場合は一気に進むのが1番良いだろうとなった。身体強化で走り抜けるのが1番楽なのと、傭兵や商人の中には喧嘩を売ってきたり、すり寄ってくる者がいないとも限らない。
面倒事に巻き込まれる前に一気に向こう側へ行きたいというのが、皆の一致した結論だった。
「おはよう。ダリア、フヨウ」
「ニャア」 「………」
起きたので直ぐに温めた聖水を出してやると、ガブガブ飲み始めた。やはり喉が渇いていたらしい。フヨウは酒を飲んでも特に変わらないみたいだ。
スライムなので当然かもしれないが、利尿作用は効かないらしい。
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0520終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨145枚
大銀貨515枚
銀貨240枚
大銅貨467枚
銅貨220枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




