表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
518/1948

0517




 「うん? ああ、南のバロッサを攻める事を疑ってる理由か? 単純な事さ。南のバロッサを攻めても帝国にとって大した意味が無いんだ。帝国にとって南のバロッサは半属国に近い。つまり言う事を聞かせられる相手だ。そこを攻めて支配しても無駄に手間が掛かるだけと言えるだろ? だから疑ってるのさ」


 「飼い犬みたいなものか。それにしても半分とはいえ属国だとは思わなかったが、もしかして裏切りか何かあったのか? 属国の様な国をわざわざ攻めるって事は、領土欲しさか、それとも懲罰的な戦争か。言う事を聞かなくなってきたって事は?」


 「それに関しては分からんな。噂としては、よくある噂だからな。バロッサが帝国の言う事を聞いてるのは、いつか裏切る為だとか、警戒が緩んだら攻める為だとか。むしろ帝国側が国内を引き締める為に、意図的に出してるんじゃないかと言う奴もいるくらいだ」


 「成る程ねぇ……。それにしても、酒場のマスターが随分詳しいもんだ。それも意図的かい? ここは国境にある辺境伯のお膝元だからね、”そういう奴”も居るだろうさ」


 「……お嬢ちゃん、あんまりそういう事は言わない方がいいぜ? 場合によったら……」


 「ダナがお嬢ちゃんですか……面白いマスターですね? ならばマスターは小僧とでも呼びましょうか。数百年生きている私達からすれば、ただの鼻垂れ小僧でしかありませんからね」


 「鼻垂れ……いや、その前に数百年? もしかしてアンタ等……いや、お客さん達は不老長寿か。こりゃあ、参った。俺が悪かった! 流石に不老長寿の方々からすりゃあ、俺なんぞ鼻垂れ小僧だわな。お詫びに1つ。帝国が南を攻めたのは本当だ、理由は新しく見つかったダンジョンだと聞いている。どうも鉄が豊富に取れるらしい」


 「ああ、それは駄目ね。猛獣の前に肉を置いた様なものよ。哀れな肉は貪られるしかないわ。でも、新しいダンジョンが見つかるなんて、珍しい事もあったものね。私が生まれて200年を越えるけど、1度も聞いた事が無い筈よ」


 「さっきは新しく見つかったと言ったが、元々あったのを隠してたという話もある。その辺りに関しては噂があり過ぎて、どれが本当の事か分かってないのが現状だ。だが、その噂が1番正しいと俺は思ってる。言う事を聞く半属国を攻めるんだ、そこには喉から手が出る程欲しい物が無いとおかしい」


 「確かにそうだな。……ごちそうさま、美味しかったよ。それと情報をありがとう、助かったよ」


 「もし帝国に行くなら気を付けなよ。あの国は今、貴族どもが疑心暗鬼になっているらしく、妙な因縁を吹っかけてくる事もあるらしい。傭兵の中にも妙な因縁を吹っかけられて、命からがら逃げてきたって奴等も居たんだ。村に泊まる方が安全だそうだから、覚えておくと良い」



 俺達は感謝を述べて酒場を後にした。あのマスターの話は半分程度に聞いておけばいいとして、今から帝国に入るか否か。


 ……ちょっと悩むところだが、こういう時は一気に行ってしまった方が良いだろう。悩んだままだと、その内動けなくなるかもしれない。


 皆と話して、一気に行く事に決まった。悩んでいる間に帝国が戦争に勝利して、落ち着かれると困った事になるというのが理由だ。落ち着いたら、間違いなく俺達の方に矛を向けてくるだろうしな。


 それに帝国の領土は結構広い。特に左右に広いのが特徴で、北は魔境の大森林と呼ばれている開拓不能の地だ。


 南は王国より狭いとはいえ、川があって南の陸地と遮られている。東のエルダ海洋国とは長年争っていて、帝国の遣り口はバレていて警戒されている。だから西の王国を狙ったんだろうが、これも失敗した。


 半属国と言えるバロッサを攻めて成果が無かったら、間違いなく帝国は没落一直線だな。まあ、そんな事は分かってるだろうから、全力をあげて獲りに行くだろう。


 バロッサも本気で抵抗するだろうから、時間が掛かりそうだな。その間に俺達は抜けてしまうか。帝国のダンジョンに寄るとか、余計な事は全て無しだな。


 俺1人ならどうにでもなるんだが、皆を連れている以上は危険はなるべく減らしたい。不老長寿といえど死ぬ以上は、最大限に警戒するべきだ。ただでさえ、こっちの命を狙ってる連中の懐に入っていくんだしな。


 門で登録証を見せて外に出る。あの戦争以来だな、この先の国境へ行くのも。感慨に耽ってる場合じゃない、そろそろ走るかね。


 俺は皆に【念話】で走る事を伝え、身体強化を使って走っていく。移動の最中は、ずっと邪気を集める魔道具を使って邪気を集めながら【浄化】している。


 国境の森の小道をジグザグに走り抜けながら帝国との国境へ進んで行く。戦争中も含めて国境には検問所が無い。


 まあ、深い森が続く場所だ。こんな所に検問所を作っても、勤務する連中が魔物に殺されるだけか。そんな下らない事を考えながら走っていると、帝国の辺境伯の領都が見えてきた。領都フェイラーというらしいが、通過するのでどうでもいい。


 辺境伯の領都を通過して皆を進ませる。俺は隠密の4つの技を使い領都に侵入し、街の中央付近で邪気を一気に吸い込み【浄化】した。


 魔道具無しなら結構な時間が掛かるのだが、魔道具有りだと吸い込んで【浄化】して終わりだ。3分も掛からない楽な仕事だなぁ。さっさと済ませたら、先へと進んでいる皆に合流する。


 直ぐに合流した俺達は先へと進む。皆に先程見た辺境伯の領都の様子を教えるが、兵士が多く常駐していた事にちょっと驚いていた。


 今さらながらに傭兵ギルドと上手くいっていない事の意味が分かったんだろう、俺も見てビックリしたからな。兵士なのに、疲れきっていて生気の感じられない連中ばかりだった。


 おそらくは、魔物と戦うノウハウも無いままに討伐する任務に就かされているのだろう。仲間の死を見て疲れ果ててしまったのだろうが、その文句は辺境伯に言うしかない。


 まあ、もしかしたら辺境伯は”病気”か何かで亡くなって、交代しているのかもしれないが……。その辺りは興味も無いので調べる気にもならない。


 ダナ達は帝国の地理を知っているので【念話】で教えて貰いながら進んで行く。パルモの村、エッディの町、シガードの町を越えてイラサの村に到着した。


 この辺りはシャガード子爵領になるらしい。正確にはシガードの町がシャガード子爵領の領主が住む町みたいだ。その辺りも特に興味が無い。


 イラサの村に到着した俺達は宿を探したが、1つしかなく満室だった。なので、俺達は村から離れたら土のカマクラと焼き場を作って休む。近くに大きな池があるので水の確保は問題ない。寒くなってるし、煮込み系の料理にするか。


 俺は殻付きの小麦を出して丸ごと【粉砕】し、聖水と塩を渡したらメルに練ってもらう。その間に聖水を寸胴鍋に入れて沸騰させたら、かす肉と干し肉に冷凍野菜を入れて煮込んでいく。


 メル以外も手分けして練っている様だがシュラが手持ち無沙汰なので、寝かせてある生地に【熟成】を使って円状に伸ばしたら焼いてもらう。


 料理の出来ないシュラだが、焼いたりする事は何故か出来る。切ったり味を整えたりなどは壊滅的なのに、何故か焼いたりする簡単な事だけは全く問題が無い。


 とはいえ竈で焼くのは駄目なので、焼くと言っても串焼きとか網焼きだけなんだが……。なので、チャパティを焼き網の上に乗せて焼いてもらっている。


 肉と野菜の煮込みは、最後に塩と胡椒モドキで味を整えたら完成だ。早速食べて行くのだが、熱々のチャパティと一緒に食べると美味しいな。


 外が少し寒くなってきているからこそ、美味しく感じるのかもしれない。ダリアには小さく千切ったチャパティを煮物の中に入れて出したのだが、美味しそうに食べている。


 流石に外で野宿している様な連中を襲ってくる事も無いだろう。暗部の長が決まってないとはいえ、夜も魔物は活動している。


 その中で動き回るのは余程暗闇に適応していない限り、いつ死んでもおかしくない。ありえないレベルの阿呆以外はそんな事はしないだろうが、帝国なんだよなー……。居そうな気がするので用心だけはしておくか。


 食事後、皆はカマクラの中に入っていくが、俺は後片付けを終わらせる。皆も最初の頃は手伝おうとしてくれたが、【浄化】で綺麗にしてしまう為に出番が無い。


 結局、俺1人でやるのが1番早いとなったんだよな。まあ、直ぐに終わるから良いんだけど。


 全てアイテムバッグに収納したら俺もカマクラに入り、空気穴以外は閉じてしまう。偶にトイレに行きたくなった人に起こされる事はあるが、それ以外はグッスリ眠れるのでカマクラも悪くないと思っている。



 ▽▽▽▽▽


 0517終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨9枚

 大金貨36枚

 金貨145枚

 大銀貨515枚

 銀貨241枚

 大銅貨476枚

 銅貨220枚


 神鉄の太刀

 ヒヒイロカネの矛

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ