0516
「た、大変だ! 帝国が、今度は南のバロッサという国を攻めたらしい! 援軍に行った我が国の兵士もマールと一緒にバロッサという国に攻め入ったんだそうだ!」
「そうなのかい!? ウチはもういいから、他の所にも伝えてやっておくれ」
「ああ、分かった! それと、これから香辛料がまた減るかもしれないって村長が言ってたから、気を付けてくれ!」
「分かった!」
帝国が攻めたか……ただマールとガイアルムの連合もバロッサに攻め入っているという事は、連合はバロッサを蹴散らしたのか? それともバロッサの軍は本国が攻められるので慌てて戻ったのか?。
それによって帝国の慌しさが変わるぞ。場合によっては連合は進軍を停止し、帝国とバロッサの戦争に変わる可能性もある。
そうなれば帝国の思惑は完全に外れた形になるからな。バロッサの軍が疲弊しておらず連合が横槍を入れてくれないとなると、面倒な戦争がダラダラと続きかねない。
俺達にとっては最良とも言える状況だけど、混乱すると周りに波及するからな。それは周りの国も望んでいないだろう。
まあ、嗾けて漁夫の利を頂こうとするから、こんな失敗をするんだ。下らない謀略ばかりするから敵が増えるんだよ。完全に自業自得としか言えない。
……詳細が分からないから多分だけど、そんなに間違っていないとは思う。
「帝国が混乱する可能性は十分にある。俺達は明日、辺境伯の領都まで行く。そこで帝国の情報を収集するが、混乱したり浮ついているようなら一気に通過するつもりだ。つまり今日が最後になるかもしれない」
「そうですか……。結局、僕は役に立ったんでしょうか? 本来なら神殿との矢面に立つ筈だったんですよね?」
「そうなんだが、世の中は予定通りにはいかないって事だろうさ。お前さん達は驕りさえしなければ、十分に生きていけるだけの力はある。後は適当に魔法でも修行すれば、村の救世主になるかもな。まあそれは冗談として、俺が教えてやる事はもう出来ない。だから後は好きに生きていけ。ただし有名になると大変だから、そこだけは忘れない様に」
「「「「「「「ハハハハ……」」」」」」」
「特にリヴィが居るんだから、有名になった時の大変さは聞いておくと良い。絶対に有名になんて成りたく無くなるだろう。……それじゃあ、おやすみ」
「「「「「「「おやすみなさい」」」」」」」
既に書き終わっていたので紙束を全て回収し部屋に戻ると、皆は酒を飲んでいた。実は夕食後、皆は酒を飲むと言って部屋に戻ってたんだ。
その皆に先程の話を伝え、明日辺境伯の領都まで行く事を話しておく。物事って急に起こったりするけど、ここまで急に起こる事も珍しい。
そんな話を皆としていると、4匹に足をペシペシされたので何を求めているのか聞いてみる。するとミードと干し肉だった。一瞬、酒飲みのおっさんかと思ったが、頭から変な想像を締め出してミードを入れて干し肉を渡す。
その後、皆と明日の予定を話している間に4匹は寝てしまったのか、ズルズルと引き摺られている。4匹を【念動】で動かしたら、【精気】のみで全員を大満足させた。
明日も早いのでさっさと寝るか。もうアイツ等を浄化しなくてもいいだろう。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界209日目>
おはようございます。今日は辺境伯の領都に行きますが、情報によっては帝国へ踏み込むかもしれません。
早速浄化をするんだが、折角だから最後に全てを浄化してやろうと思う。ジャン達やリンデ達に5人組も含めて浄化した後に、魔道具を全力で使って邪気を吸い込む。
全力で邪気の吸い込みと浄化を行ったので、驚くほどに綺麗になった筈だ。帰ってこれない可能性もあるので、出来得る限り綺麗にしておきたかった。
何だかんだと言って世話になった場所を離れるのは名残惜しいが、いつかは出て行かなくちゃいけない以上は、仕方のない事だな。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル、フヨウ」
「ニャ」 「グル」 「ワン」 「………」
「そういえば俺達はここから離れる事になるんだが、4匹はどうするんだ? 俺達についてくるか、それともこの村に残るか? 俺はどっちでも良いと思う。4匹の人生というか生活だからな、好きに選ぶと良い」
4匹は互いを見ながら色々考えた様だが、出した答えは、ダリアとフヨウが俺達についてくるという形で決まった様だ。
どうやら、カエデはリンデ達と、マートルはジャン達と居たいらしい。それもまた彼女たちの人生だし、笑顔で送り出してやろう。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「ガゥ」 「ワフ」 「………」
「今日は辺境伯の領都へ行って情報収集だね。さて、帝国は本当に攻めたのか、それとも欺瞞情報だったのか。ま、行ってみれば分かる事か」
「そうだな。それよりも、カエデとマートルは残る事に決めたらしい」
「そうなんですか? まあ、自分でそう決めたのなら、特に言う事はありませんね。自分の生き方は自分で決めるものですから」
食堂に下りて大銅貨18枚を支払うと、【覚醒】を使って起こしていた7人が起きてきた。なので、カエデとマートルの事を話して2組に頼んでおく。2組とも快く了承してくれた。まあ、2匹とも強いから心強いだろう。
「この証文はジャンに預けておく。5人組からぶん取ってやるといい。その金はそのままジャンにやるから、マートルを頼む事の足しにしてくれ。それとリンデ達には魔金のインゴットと超魔鉄のインゴットな、カエデの暮らしの足しにしてくれ」
「貰い過ぎの様な気がしますが、ありがたく頂いておきます。それで、武具の方は……」
「それは、お前達用に作った物なんだから、お前達の物だ。俺に渡されても困るぞ? ちゃんと使ってやれ」
そんな話しをしながら朝食を食べて、村の入り口まで移動する。7人と2匹は付いて来ようとしたが俺達は断り、自分の生活を考えるように言っておいた。
これからは俺達が居なくなるんだから、今までよりも大変になる。まずは魔法の紙束を写して【浄化魔法】の修行をしろと言っておいた。
俺達は普段と変わらないように、犬獣人の門番に登録証を見せて村の外に出る。皆の顔を見回して1つ頷くと、身体強化を使って一気に走り出す。まずは辺境伯の領都だ!。
サングの町、シグの村、ゴードの町、ロワの村、ナイダの村、領都ディムアスト。昨日と同じ道を辿ってるだけとも言えなくもないが、今日はここから東へ行く。まだ昼には早いので、ディムアストには寄らず一気に進もう。
ハウの村、クレの町、元領都グリュウ、そして辺境伯の領都ファルードへと到着した。昼を少し過ぎているが、構わないだろう。
門番に登録証を見せて中に入る。食堂を兼ねている酒場を見つけたので中に入り、大銅貨9枚を支払って昼食を注文する。酒場のマスターに話しかけて帝国の噂を聞く。
「帝国が南を攻めたって話を聞いたが、マスターは噂とかで何か知ってたら教えてくれないか?」
「お前さん傭兵か? ……正確なところは分からんが、南に向けて帝国の兵士2000が出発したらしいというのは聞いたぞ。帝国から来た商人どもがそんな話をしていた。ただ、アイツ等の中には噂をバラ撒く為の連中も居るんで、ハッキリ言えば怪しい話だ」
「それは分かってる。だけど、噂をバラ撒く奴等が、わざわざ帝国が不利になるような噂をバラ撒いたりはしない。その噂は帝国に隙がありますよ、と言ってる様なもんだ。明らかに帝国にとって得が無い。だからこそ、俺は正しい情報じゃないかと思ってるんだよ」
「まあ、お前さんの言いたい事も分かるし、俺も多分正しい情報だと思ってる。帝国に引き込むための情報って言ったところで、我が国は戦争の準備もしてないしな。それに引き込む意味も分からん。それでも、狙いが南のバロッサと言うのがなぁ……」
南に引っ掛かってる様だが、何かあるのか?。
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0516終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨145枚
大銀貨515枚
銀貨241枚
大銅貨476枚
銅貨220枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




