0512
邪生のオークは居なかったが、普通のオークは居たので狩って帰る。領都の入り口で登録証を見せて中に入ったら、真っ直ぐに宿へと戻った。
丁度昼前なので、食堂で早めの昼食にするか。そう思いながら宿へと戻ると、練習組以外は食堂でダラダラしていた。
「おかえりなさい。随分遅かったけど何をしてたんです? そもそも武具屋に武器を売りに行くだけだった筈でしたよね?」
「色々あったんだよ。具体的には、尾行されたんで姿を眩ませた後、逆に尾行してやったんだ。そしたら、まーた帝国の連中でな。面倒になったんで叩き潰してきた。その後、侯爵家と関わりのある裏の組織が強襲してきたんで、撤退して領都の外で”ゴミ”を捨ててきたんだよ」
「また帝国が暗躍していたの? 本当に懲りない人達ねえ。いったい何度アルドに叩き潰されたら気が済むのかしら? まだまだ力を残してそうだし、面倒だけど続きそうな気がするわね」
「さて、どうなのかな? 暗部の長になる条件として、特定の人物の暗殺をさせているみたいだからな。その1人は俺らしいんだが、他のターゲットについては分からず終いだ」
「成る程。複数のターゲットを選定して、邪魔者を暗殺したら長にしてやるという事か。帝国からすれば、邪魔な者を暗殺する為に暗部の長の椅子を利用している訳だな。それとこれとは話が別だが、一緒にしてしまっているのが帝国の限界か……」
「そうだね。本来なら暗部の長に相応しい人物を着けるのが正しいやり方だよ。そもそも暗部って斥候だよね? いつから暗殺者になったんだろ。よく分かってない貴族が嘴を突っ込んでるのかな?」
「だとしたら末期症状に近いですね。亡国になっていく国を見ている気分ですよ。かつての王国とは違い、ゆっくりと衰退していく感じですかね? それとも何処かの時点でクーデターが起きるんでしょうか?」
そんな話をしていると、練習をしていたザラとエイルズと共に、ダナとアルメアも戻ってきた。どうも【天耳】を使って話を聞いていたっぽい。
「クーデターが起きる可能性は低くは無いんじゃないかな? 王国の時とは違うけど、国が傾いてる時には過激な言葉が受け入れられるものさ。政治の過激さではなく武力の過激さが受け入れられると、本当にマズいと言わざるを得ないよ」
「確かにね。国が全方位に喧嘩を売り始めると終わりさ。1対多で、1の方が勝つ事なんて絶対に無いんだ。個人ならともかく、国レベルで勝つ事は不可能だよ。そもそも、そんな強大な国になる前に、周囲に連合を組まれて潰されるけどね」
「という事は、アルメアの言う通りにクーデターが起きるか、もしくは皇帝と貴族に分かれて内戦かな? 俺はどちらかと言えば内戦の可能性の方が高いと思う。ワザと内戦起こして、粛清に次ぐ粛清を行うんじゃないかと思うんだよ。そもそも阿呆な貴族に足を引っ張られたのが始まりだしな」
「そういえば、それが始まりでしたね。若い貴族が下らない事を始め、それが失敗した所為で躍起になって取り戻そうとし、更なる失敗を繰り返した。その結果が今の帝国ですからね。悉く邪魔をしたのはアルドですが、傷が浅い内に撤退する事もできた筈です」
俺は席を立ち、宿の従業員に大銅貨13枚を支払って昼食を注文して席に戻る。帝国がどう出てくるか、混乱するならその間に抜けられないか等、色々な事を話し合う。
この国から東の方面に進むには帝国を抜けて行くか、マールから東に抜けて行くかのルートしかない。
しかしマールのルートも最後には帝国に入る事になってしまう為、実質は帝国ルート1択しかない。俺としては、王国の近くの国には既に行っているので、そろそろ東の方に行きたいという気持ちがある。
まだ1年もこの世界に居ないが、この付近の浄化は相当に進んでいるので、そろそろ新しい場所に行って浄化を進めたい。下界の浄化をしなければいけない身としては、綺麗になったのなら汚い場所に移って掃除をする必要がある。
邪気を集める魔道具もあるし効率は良くなってるんで進めたいんだが、帝国がずっとキナ臭い所為でいつまで経っても東に進めない。海洋国も話に聞くだけで行く事が出来ていないし。
最悪は、今のままの帝国を強引に突破しても構わないと思ってるんだよな。草原で散々カマクラを作って寝泊りしてきたので、皆もカマクラに慣れている。
それにエルダ海洋国に抜ければ普通に休めるだろう。ただ、皆も出来る限り穏便に進みたいのは変わらない。だからこそ停滞していて困っているんだ。
まあ、考えても仕方のない事か。帝国が混乱している上に面倒な事になってるんじゃ、通過するのは難しい。
もっと混乱して俺達の相手をする暇が無くなれば、強引に突破も可能なんだが、現状の帝国は中途半端なんだよな。統制が微妙に執れている所為で、今の状況になっている。
帝国としては必死なんだろうけど、周りの国からすれば面倒な事にしかなっていないんだ。このままズルズルと続けられると困るが、かと言って俺達に出来る事は何も無い。なかなか困った状況ではあるんだが、帝国内部で動きが無いと、こっちも動けない。
そんな話をしながらの昼食を終えて、部屋へと戻る。部屋に入ると未だ魔道具は動いていて、問題などは起こっていない様だった。
ダナとアルメアは、再びザラとエイルズを連れて魔法の練習をさせに行ったらしい。俺はどうしようかと思いアイテムバッグを漁っていると、武器が幾つかあったので素材に戻しておく。
マナリアのロングソードや超魔鉄で作った大太刀やガントレット、更には手に入れたばかりのアダマンタイトのマチェットも素材に戻してしまう。
別に必要な物でも無いし、武器も素材も余ってるのが現状だ。ただし表に出せない物なので、アイテムバッグの中に封印するしかない。最高品質の希少金属を表に出すのは流石にマズい。
使い道があんまり無いが、無用な混乱を起こさない為には仕方がないと言える。アイテムバッグの整理もこれ以上は難しいので、他にする事がないかと思ったとき唐突に思い出した。オークを使って作ろうと思っていた物の事を。
まずオークを取り出して解体する。次にオークの骨を麻布の袋に入れて【破砕】する。寸胴鍋に聖水を入れたら袋を浸けて旨味を【抽出】する。
臭味は除外し旨味だけを抽出できたら、取り出しておく。次に買っておいた野菜を入れて、野菜の旨味を【抽出】して取り出す。これでスープは完成だ。
骨と野菜のゴミを捨てに行く際に、宿の料理人に話して薪を燃やした灰を貰っておく。小さい中庭に穴を掘って、宿の生ゴミと骨や野菜の絞りカスを【破砕】して【粉砕】したら埋める。
部屋に戻りボウルの中に灰と聖水を入れたら【念動】で持ち上げる。別のボウルに、少量の聖水と炭酸カリウムを【抽出】したら準備は完了だ。
殻付きの小麦を取り出して、ふすまと胚芽と胚乳に【分離】する。胚乳だけを丁寧に【破砕】して【粉砕】し、サラサラの上質な小麦粉を作る。
後は小麦粉と聖水と塩、それに炭酸カリウムの溶液を混ぜて練っていく。充分に練れたら生地を休ませて【熟成】を使った後、円形に【変形】して折り畳み、細長い麺の形に【分離】する。
これで全ての準備が整ったが、時間としては昼と夕方の間ぐらいだ。おやつの時間と言えば分かりやすいだろうか? 少し食べるには丁度良い時間と言えるだろう。
折角だから練習組にも食べさせてやるか。【念話】で連絡したら、椀を出して1人分の麺を鍋で茹でる。椀の中に適当に魚醤を入れてから、沸騰させておいたスープを入れる。臭味の無い非常に良い匂いがするな。
丁寧に浄化したのと、雑味の部分を抽出していないからだろうな。これを作るのは、【錬金術】の無い地球では無理だろう。麺が茹で上がったので椀に入れて、ようやくラーメンの出来上がりだ。具の無いシンプル過ぎるラーメンだけど、作るのは大変だよ。
さて、まずは味見をしないと!。
▽▽▽▽▽
0512終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨145枚
大銀貨515枚
銀貨248枚
大銅貨575枚
銅貨220枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




