0509
モグラの竜を打ち倒したんだが、調べて分かった事がある。こいつは馬鹿デカイものの竜じゃないって事だ。
モルダスと呼ばれる魔物にそっくりならしく、どうもそいつの変異種というか巨大種みたいなものだろうとの事だ。アルメアがそう言うので、多分間違ってはいないだろう。
とにかく倒したモルダスを強引に引き摺り出し、無理矢理血抜きをして軽くする。【抽出】を使って血抜きをした後なら【念動】で持ち上げる事が出来た。体の長さが8メートルほどもあって、正直に言うと重過ぎるんだ。
現在、無理矢理血抜きをした血を、フヨウが地中に行って吸い上げている。ダンジョンだから放っておけば消えるんだが、フヨウ的にはやった方が良い事なのかね?。
とにかく、皮を剥いでみるものの、防寒具に使えても防具には使えなさそうだ。肉を綺麗に削ぎ落とし、柔らかい皮に加工した。何かに使えるだろうと思い、ザラとエイルズに渡す。
肉を少し【分離】して塩を振って【加熱】する。焼けてきたら少し齧ってみた。既に浄化は何度もしているので、腹を壊す事は無いと思うんだが……なんだろう、安物の鶏肉のようなパサパサ感の肉だな。
可能な限り良い状態になるように解体したんだが、それでコレか? ……という事は、元々美味しくない肉なんだろうな。
皆にも食べて貰ったが、かなりの不評だったので捨てていく事に決まった。モルダスの肉を地面に置くと、穴から脱出してきたフヨウが早速肉に向かって行く。
爪はかなりの硬度を持っていて、最後の層に出てくる魔物に相応しいとは言える。しかも結構長いので、グレートソード4本ぐらい作れる量があるな。というか、作って売るか。
硬度が高いと言っても、超魔鉄よりは粘りが無い分劣ってしまう。硬ければ良い訳ではなく、折れない為の粘りも重要だ。強力な魔物の素材の場合、折れるよりも前に相手が保たないので問題にはならない。
だが、竜が相手だったりすると、斬れずに折れたりしてしまう。前に岩硬竜を相手にアルメアが大太刀で攻撃したが、アレは下手な斬撃なら折れていた可能性があった。
粘りがあると折れ難いが、その反面柔らかくなり武器としての質は落ちる。硬さと粘りを両立させないと良い武器とは言えない。まあ、一つの成功例が、日本刀の技術だというだけだ。
そんな事を考えている間にグレートソード4本が出来た。皆は怪訝な顔で俺の方を見てるが、売り物だと言うとあっさりと納得した。
「それにしても、オーガのゾンビ以来かい? 最後の層に竜が居なかったのは。これからは、こういうのが増えそうな気もするね。アタシ達にとっても、竜の素材は貴重な物になるかもしれないよ?」
「元々貴重な物だと言えば、それで終わる話でもありますが……。それでも装備している竜素材は多いですからね、言いたい気持ちは分かります。ただ、アルドが超魔鉄と呼ぶアレで、既に十分過ぎる素材でしょう? それ以上を求める必要って私達以外にありますか?」
「無いでしょうね。私達の場合は未見のダンジョンに潜って、最奥の竜を討伐しなければいけないし、その際に神の金属というものが必要な場合もあるでしょう。でも、そこまで到達できる者が私達以外に居ない以上は、必要無いでしょうね」
「まあ、私達の場合はアルドの使命というか、神命に付き合ってるみたいなものだから、普通と違っていて当然なんだけどね。神様から命じられた”下界の浄化”には、最悪に備えて神の金属が必要という事さ」
「しかし……神の金属で出来た武器は、それぞれが使う武器の形で手に入っているな。極めて恣意的な気がするのだが、やはり神様が関わっておられるのだろう。ならば次は私だろうか?」
「でも神の金属が出てくるって事は、凄まじい呪いも出てくるって事だよ? それが良いのか悪いのかは僕には分からないけど、世界の呪いは減っているんだよね? アルドが浄化してるのは呪神様が抑えている呪いでしょ?」
「間違いなくそうだな。そもそも呪神が呪いを生み出す事は無い。つまり、この世界には呪いの神が必要な程、呪いが多かったという事になる。神の金属で出来た武器を創り、込められるだけ呪いを込めて、ダンジョンに送り込んでいるんだろう」
「それで、アルドに浄化させると……。あんな物、アルド以外に浄化できる奴なんて下界には居ないしね。仕方がないんだろうけど、アレの恐ろしさを知ってるだけに心配だよ」
「まあ、大丈夫だ。流石に神様も、俺が対処不能な量の呪いを送ったりはしないさ。呪神としても呪いの量を減らしたい訳だしな。呪いを減らせる奴を、死なせる理由が無い」
そろそろ帰らないと、既に夕暮れぐらいだと思う。なるべく早く移動したが、ザラとエイルズの遅さもあって、思っている以上に時間が過ぎている可能性がある。
皆と一緒に脱出紋に乗り外へ出るともう夜だったので、俺達は慌ててダンジョンの門を出て領都へと戻った。宿に戻ると、直ぐに食堂で大銅貨18枚を支払い夕食を注文する。
椅子に座り一息吐くと、ようやく落ち着く事が出来た。皆も同じなのか、顔を見回して苦笑いしている。温めた聖水を飲みながら暫くゆっくりしていると、夕食が運ばれてきたので食べ始めた。
お腹が空いていたんだろう、思っている以上によく食べている。ウチの女性陣以外は足りないからか、自分のお金で追加注文をしていた。俺達は早々に部屋に戻る事にして席を立つ。
食べ過ぎないように注意をしておき部屋に戻ると、鍋敷きを取り出して料理を始める。実は俺も若干足りていなかったんだ。
小麦粉と塩と聖水でチャパティの生地を作り、【熟成】を少し使って寝かせておく。その間に干し肉を聖水で戻し、凍らせた野菜をだして解凍する。
次にチャパティの生地を円形に【変形】して焼きながら、隣のフライパンで戻した干し肉を焼く。焼いた干し肉に魚醤を掛けたら、焼いたチャパティに野菜と一緒に載せて挟む。タコスの完成っと。
本来ならトウモロコシの粉を使ったトルティーヤを使うんだが、細かい事は気にしちゃいけない。それに小麦粉のトルティーヤもあるらしいし。
さて、ひとく……しょうがないな。タコスを半分に切り、ダリアに渡す。今日も横でジーっと見ながら、時折「私の分は?」と見てきてたんだ。さっき夕食をガッツリ食べてたのに。まあ、タコスを作ってる俺が言えた事じゃないが……。
うん、美味い! ……はいはい、分かってます。皆の分も作りますよ。その為にチャパティの生地も多めに作ってあるんだし。6個のタコスを作り終えると、ようやく終わった。
ただし1人に半分ずつなので、最後の半個が余っている。コレの取り合いは起きていないが、牽制は既に始まってるなー。漫画的に言うと、目線で火花が散っている感じだ。
あっ!? ……こういう子いるよなぁ。皆が火花を散らす中、フヨウがあっさりと食べてしまった。何と言うか、凄いマイペースな感じで食べられたので、皆は毒気を抜かれた様な顔をしている。
食べ物は喧嘩が起きやすいから、フヨウが食べてくれて良かった。皆も恨んだりはしないだろう、そこまですると唯の恥晒しだからな。替わりにミードを要求されたが、それぐらいは問題ない。
女性陣も求めたので入れてやったのだが、未だに作ったミードが無くならない。蜂蜜も多くを残したままだし、次にマールに行くのは大分経ってからになりそうだ。
シャローもマールに帰る事を望んでいる風には見えないし、そういう言葉も聞いたことが無い。あまり深く関わらない方が良いと思って、関わって無いんだよなぁ。家族関係がどうしても鬼門っぽいから、どうしようもないんだよ。
そんな事を考えながらボーっとしていたら、ディル以外の全員が撃沈していた。どうやらお腹もいっぱいで、良い気分のまま酒盛りをしたらしい。ディルが呆れながらも教えてくれた。
ディル自身は距離をとって、【念動】の練習をしていたみたいだ。さぞかし練習し難かっただろうと思う。4匹を【念動】で移動させ、皆をベッドで寝かせる為に運ぶ。ディルも【念動】で手伝ってくれたが、大分使える様になったな。
ディルを【房中術】と【精気】で大満足させて、布団に横になる。目を瞑ると直ぐに意識が無くなった。
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0509終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨142枚
大銀貨506枚
銀貨209枚
大銅貨518枚
銅貨144枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




