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0507




 「チャパティに関しては水だけじゃないよ。塩は【錬金術】で精製したものを【破砕】し【粉砕】してキメ細かい粉にしてる。殻付きの小麦も綺麗な粉にする為に、【破砕】と【粉砕】を駆使してキメ細かい粉にしてる。それ等を聖水で合わせて練ったんだ」


 「成る程。小麦と塩と水だけど、それぞれの質が非常に高いって事なのか……。確かに主様の塩は非常に細かくてサラサラしていたし、指で押すと指紋が残るくらいだった。ああいう塩が、質の良い塩なんだね」


 「あれほどサラサラの粉にするのは、アルド以外の者には多分無理じゃないか? 石臼を使っても、臼と杵を使っても、あそこまで細かな粉にする事は多分出来まい。だからこそ、全部を粉にした全粒粉とやらでも美味しい物が作れるんだろう」


 「だろうね。白い小麦を食べるのは王族だけって昔は言われてたらしいし、今でもそういう部分はあるんじゃないかな? あれって凄く手間が掛かって面倒臭いから、孤児院でも嫌われる作業だったからね。一つずつ手で割って中身を取り出してさ。僕達が食べられる訳でもないのに……」


 「僕は白い小麦の粉を作る仕事をしてた事がありますよ。何でも豪商とか貴族の方が買っていってくれるらしく、結構実入りの良い仕事でした。余った部分は粉にして貰えるので、持って帰って団子状にして食べてました」


 「へー……そんな仕事があるのか。まあ、どこかの誰かさんみたいに【錬金術】や【練成術】が使えないと、白い小麦粉を大量に作るなんて無理だろうな。私の実家では白い小麦のパンでは無かったが、それなりに美味しかったがな?」


 「それは庶民が食べる様な、殻も粉にしたパンでは無かったのでしょう。私は実家に居る時から使用人と同じ食事でしたから、普通に食べてましたよ。何だかんだと言って、使用人達は工夫して美味しくしてくれていましたね」


 「勘違いなされているようですが、真っ白なパンを毎日食べているのは陛下だけですよ? 王太子殿下も王子殿下も、そして私も真っ白なパンは滅多に食べられません。アルドさんが仰っている事を信じるなら、陛下の食事は体に悪いようですが……」


 「ウチもそうだね。陛下以外は兄上でさえも真っ白なパンは食べられないよ。子供の頃に真っ白なパンの作り方を料理人達に見せて貰った事はあるけど、あれじゃあ仕方ないって諦めたからね。あんなのを毎日やるって大変過ぎるよ。ちなみに、このチャパティとやらは王城で食べてたパンより遥かに美味しいね」


 「お金を払って食べる食堂ならまだしも、子供の頃から食べてるパンなんてパサパサでボソボソだからね。硬パンよりマシだとは言っても、それでも美味しい物じゃないよ。子供の頃は土の季節のキノコのスープが御馳走だったね。何だか久しぶりに食べたくなってきた……」


 「私は年に一度、お祀りした後の真っ白なパンが楽しみでした。シャンティ様の命日に真っ白なパンを奉げるんですが、夜には家に戻して皆で分けるんです。アレはとても美味しくて……子供の頃はシャンティ様の命日と言うより、真っ白なパンの日でした」


 「ハハハハ! 別に良いんじゃないかい。あの子なら特に怒ったりしないだろうさ。あの子の子供はヤンチャでね、いつの間にか”仕方ない”が口癖みたいになってたよ。子供が年を取って落ち着いてからは、むしろ懐かしそうにしてたぐらいだ」


 「話を戻すんだが、粉にするのは今でも石臼とかなのか? 篩を使ったりして<ふすま>を取り除いたりとかはしないのか? まあ、殻も粉にした方が栄養価は高くて体に良いんだけど、篩くらいなら特に難しくもないだろう?」


 「篩ってなんだい?」


 「マジか……。篩っていうのは、木枠の底が網状になっている物だよ。網の目が細かいと粉は下に落ちて、<ふすま>と呼ばれる殻とかの雑多な部分が上に残るんだ。大きさで分ける道具と言えば良いのかな? ………ほら、コレだよ」



 俺は手枷と足枷を【分離】した際に余っていた木で木枠を作り、網の部分は超魔鉄で簡単な篩を作った。


 相変わらず世間一般とは違い、超魔鉄の価値が暴落しているが気にしてはいけない。皿と殻付きの小麦をアイテムバッグから出し、小麦を【破砕】したら篩を使わせる。



 「あら? コレ便利ね。下に粉が落ちてるけれど、上に殻なんかが残っているわ。コレがあれば美味しいパンが簡単に食べられそうだけど、なかなか大変ね。もっと楽にならないかしら」


 「ソレな。天井の梁に紐を通して、篩自体を浮かせれば良いんだよ。そうすれば揺らすだけで仕分けが出来るようになるから。昔、俺の故郷で紙を作る際に、同じ様な物を使ってたんだ。紙漉きも重労働だからな、少しでも楽にしようとするのは当然の事なんだが……」


 「紙を作る技術かい? 前にも言ったけど、エルフの独占技術だから危険なんだけどねぇ……。紙そのものを作る訳じゃないから良いのかもしれないけど、微妙な感じで怖いところさ」


 「どのみち暗殺などを謀る前に「自分達の技術だから使うな」とでも、文句を言ってくるでしょう。それを待ってからでも良いのでは? まずはルーデル村で使ってみれば良いでしょうし、それで大丈夫なら里の者に手紙でも書きますか」


 「とりあえず、後片付けはこれで終わりか。さて、そろそろ雑談も止めて出発しよう。今日中に行ける所まで行って情報を収集しておくべきだ。明日迷宮が変わっていたら、どうにもならないがな」


 「それは諦めるしかないよ」



 流石に雑談を続けすぎたか……ディルが空気を変えてくれたので、それに乗っかって先へと進む。まだ10層だが、少し早い昼食だったので特に問題は無い。ザラやエイルズが早さに慣れてくれば、もっと早く進めるだろう。


 北へと向かい転移紋から11層へ。11層は北東に、12層は東に進む。13層は再びの洞窟だった。13層を南東に、14層を南に、そして15層を南西に進み、16層へ。


 光が止むと洞窟だった。おいおいおいおい、流石にこういうのは無しだろうよ。……しょうがないな、全く。


 16層を西へ、17層を北西へ、18層を北へと進み、19層への転移紋に乗る。数の暴力と魔法という暴力で一気に進んできたが、普通の傭兵ならギブアップしそうだな。


 特に16層からは大量の毒コウモリが現れた。アレは対処を間違えると詰むだろう。相変わらず陰険なやり口だよ、ダンジョンは。


 光が止むと、今度は夜の森だった。本当に陰険なやり口だよ! 洞窟を苦労して抜けてきた奴に対してやる事か? 自動システムとはいえ碌でもない奴だ。


 19層を北東へと進み転移紋から20層へ。20層を東へと進むのだが、途中で強烈な呪いを感じた。この強さはおそらく神の金属だぞ!? マジかよ……。


 俺は皆にその事を話し、この場を動かず待っていてくれと言って呪いの場所へと向かう。向かった先に居たのは真っ黒なオークだった。


 ただし手に着けているガントレット、アレが凄まじい呪いと邪気を放出している。俺は敵に気付かれないうちに、全力全開の【浄化】を用いて一気に浄化する。


 聖王国で【浄化】の権能の使い方を学んだっていうのに、それでも神の金属に付いた呪いと邪気は凄まじい。思うんだが、俺じゃなかったら死んでるぞコレ。


 【集中】も使い、いつも通り前後不覚になりながらも、何とか完全に浄化しきる事に成功した。白いオークの体から装備品を外すのだが、中型のアイテムバッグの中に防具が入っている。


 いったい誰だよコレを入れたヤツ! 間違いなく神様が絡んでるだろコレ!! 何でマナリアとヒヒイロカネの胴丸なんだよ。


 この世界の全てを知っている訳じゃないが、時代的に胴丸が登場する時代じゃないだろう。この世界は3~4世紀ぐらいなのに対して、胴丸は平安時代後期だろうに。少なくとも、生まれたのは8~10世紀だぞ。


 右で引き合わせるものだし、引き合わせた部分に隙間も無い。間違いなく胴丸であり、腹巻じゃない。わざわざ胴丸を作って送り込んだのか? しかも2つも。


 コレはビキニアーマーズに着させろって事だろうな。ガントレットは1人しかいないし、今回の物は誰に渡すか最初から決まってるようなものだ。


 まあ、いいか。さっさと戻ろう。



 ▽▽▽▽▽


 0507終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨9枚

 大金貨36枚

 金貨142枚

 大銀貨506枚

 銀貨209枚

 大銅貨536枚

 銅貨144枚


 神鉄の太刀

 ヒヒイロカネの矛

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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