0503
店を出て皆を伴って帰り道を歩く。今は王都とダンジョンの中間くらいだ。皆に話してみたんだが、可能性としては低いだろうとの事。そもそも魔物に殺されるというのが恥であるらしく、これを表沙汰にすれば恥を掻くのは帝国の側となるらしい。
兵士にとって、他国との戦争で亡くなるのは仕方がない事だが、魔物に殺されるのは恥となるそうだ。これは王国だろうと聖王国だろうと変わらないらしく、何処の国においても恥にしかならない事らしい。
そもそも、帝国の奴等はなんで使者を放ってダンジョンに潜ってるんだ? その辺りがよく分からないんだよな。
間者との情報交換などは終わらせてる筈だろうし、いったい何の目的でダンジョンに潜り続けてるんだろう。リンデも知らない様だし、明日ライブルか王太子に聞いた方がいいか?。
妙な難癖を、俺達に対しても使ってきそうなんだよな。というより、俺達に対しての方が使いやすいだろうし、ダンジョン内で俺達が襲ってきたとか平然と嘘を吐きそうだ。
そう話すと、全員から妙な目を向けられた。いやいや、難癖を付けて金を毟ろうとする奴なんて何処にでも居るぞ? ……当たり屋とか。
「……アルドの故郷にはそんな奴が居るのかい? そんな事を言ったところで……ああ、言い掛かりや暴力で無理矢理奪っていくのかい。その始まりが難癖を付けるって事なんだね? それなら、まあ、居ない事もないねぇ」
「それは横に置いておきましょう。それより、帝国がそこまで見境無く動きますかね? あそこは色々な策を使いますが、面目に非常に五月蝿い国でもあります。自分達の名が下がる事を許容しますかね?」
「それは無いんじゃないかしら。一般人は知らないでしょうけど、帝国の貴族は策がバレたのを知っている訳だし、それで既に名が下がってるもの。これ以上名が下がる事を、今はしないんじゃないかしら?」
「あそこの国は汚い策を弄しても、それがバレなければ良いというスタンスだね。ただ、バレると結構な突き上げを受ける国でもあるんだよ。要するに上手くやれって事なんだろうけど」
「バレなければ策だったと評価されるだろうが、バレれば恥を掻くだけだからな。帝国としてはアルドに表に出されてしまった策は、全て恥に変わってしまったという事か……」
「それならアルドを恨むのも分からなくはないね。とはいえ策を弄する以上は、こうなる可能性は必ずあるんだけど。それはともかくとして、精鋭が死んだ事で難癖を付けてくる事は無さそうで良かったよ」
確かに。帝国がこっちに難癖を付けてこないなら別にいいんだが、付けてくると鬱陶しい事になるからな。
使者だから迂闊に殺す訳にもいかないし、帰り道で不幸になってもらう訳にもいかない。折衝して決まった事を報告して貰わなきゃ困るだろうしなぁ。
仮に難癖を付けてきた時の為の対応を考えておいた方が良いか。王国内で妙な事をしてきたりはしないだろうが、それでも警戒して悪い事はない。帝国は信用ならないし、いちいち面倒な国だ。
……そう言えば、マールとの国境の町に居た、娼婦に落ちてでも任務を遂行すると言っていた隊長さんは、いったいどうなったんだろうな?。
ああいう現場の人間が割を喰うのは普通にある事とはいえ、納得はいかないだろう。現場で歯を食いしばっている奴がいる一方で、阿呆みたいに魔物に喰い殺される奴が居る。
あの隊長さん達が知ったら、忠義なんて一発で吹っ飛びそうだ。精鋭がこんな恥ずかしい事をしてるんだしな。
食堂に入り大銅貨18枚を支払って夕食を注文したら席に座る。皆と今日あった事を話していたら夕食がやってきた。遅くも早くもない時間で食事がやってきたが、ある程度は一定にしてほしいところだ。毎回バラバラ過ぎないか?。
食事後、部屋に戻り椅子に座ってゆっくりする。3匹が足をペシペシしてくるので聞くと、どうやらミードとブラッシングらしい。
水皿にミードを入れてやり、ブラッシングを始める。良い気分なのは分かるんだが体を左右に振るのは止めてくれ、ブラッシングがし難くて仕方がない。
マートルだけは動かずにゆっくりミードを舐めているが、ダリアとカエデはテンションが上がったからか体を左右に揺らしていた。
今は止めて大人しくしてるが、何故テンションが上がったんだろう。イマイチ分からないが、特に何かある訳じゃないみたいだ。急にテンンションが上がっただけか。
ブラッシングと酒のコンボで早くも瞼が下がり始めているみたいだ。甘いけど酒精は強い酒だからなぁ……とはいえ、何故か4匹はミードを好むんだよな。皆から酒を貰う事はあるんだが、それでも1番の好みはミードらしい。
遂に寝てしまった4匹を、【念動】でスライド移動させて定位置へと運ぶ。相変わらず連れて行かれながら移動させているが、少しぐらいは待てないんだろうか? 【房中術】のみで撃沈させて、今はゆっくりと寝転がっている。
【空間把握】を使って確認し浄化を終えたら、おやすみなさい。
<異世界205日目>
おはようございます。今日は王太子から報酬を貰って、北のダンジョンに行くかどうか決める日です。
この報酬は依頼の報酬であって、作った物に対する報酬は各騎士から既に受け取っている。何でもオルニアが宿に来るらしいので、それを待って移動という事になるんだろう。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル、フヨウ」
「ニャー」 「グルゥ」 「ウォフ」 「………」
聖水を入れてやると直ぐに飲み始めた。酒を飲んだ次の日はやっぱり喉が渇くんだろうな。2杯目を入れてやると、チビチビと飲んでいる。
4匹を見ながらダンジョンをどうするか考えていく。と言っても、どちらでも良いと言うのが本音ではあるんだが、皆で決めるのが1番揉めないだろう。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ」 「ガゥ」 「ワン」 「………」
「今日は報酬を受け取るだけで終わりだったよね? ギルドには行かなきゃいけないだろうけど、ダンジョンに行くかどうかは決まったかい?」
「それは朝食の時に皆と話し合いをしようと思ってる。結局、全員で話し合うのが1番揉めないだろうし」
「それはそうでしょうね。とはいえ、少なくともジャン達は断らないでしょう。あの者達は将来の為に、家を買うお金が欲しいらしいですし」
「そういえば、そんな事を言っていたわね。村に3人で住める家を建ててもらう為のお金が欲しいそうよ。まあ、その後の生活も考えれば、もっと稼ぎたいのが本音でしょう」
【覚醒】を使い2組7人を起こしてから部屋を出る。玄関辺りで多少待つと出てきたので、合流して食堂へと移動していく。
食堂へ入り大銅貨18枚を支払ったら、席に座り聖水を飲んでゆっくりと待つ。ダンジョンの話をしたら、何故かリンデ達の方が積極的に賛成していた。
話を聞いてみると、リンデ達の実力では、とある層で行き詰っていたらしい。簡単に言うと洞窟の層だ。ジャン達は1つ目は強引に突破したらしいが、2つ目でギブアップしたそうで、それ以上は進めていないらしい。
ちなみに、2つ目の洞窟は19層だった様だ。ウチの女性陣は範囲魔法とかでフルボッコにして進んだみたいで、自慢気に話している。
1つ目の洞窟は12層で、リンデ達はここを突破出来なかったらしく、浅い層で稼ぐしかなかったらしい。4匹の誰かがついて行っていただろうが、守る事しか頼んでなかったからなぁ……。
それに、コウモリの大群は数の暴力だから捌けないだろう。先に進めない事に変わりは無いな。リヴィは一緒に組んでいた者達に洞窟の攻略は任せていたので、役に立てないと早々に諦めたそうだ。
ザラとエイルズは洞窟の層を攻略した事は殆ど無く、毒コウモリが出てこない場合のみ攻略した事があるらしい。何でも浅い層に洞窟がある場合、普通のコウモリしか出ないんだそうだ。
色々な傭兵が居るんだなぁ、と改めて思わされるな。とはいえ、危険に飛び込まないのも傭兵の大事な心得か。
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0503終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨140枚
大銀貨506枚
銀貨221枚
大銅貨596枚
銅貨144枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




