0502
昼になったので、アイテムバッグから殻付きの小麦と聖水を出す。ボウルに小麦を入れて全て纏めて【粉砕】する。聖水を入れて練っていき生地を作り横に置く。
次に、かす肉と干し肉を出して聖水を【合成】して戻した後、【粉砕】してミンチにする。買ってきた野菜も適当に【粉砕】し、混ぜ合わせてタネを作る。残りの野菜は全て凍らせて、アイテムバッグに収納した。
置いといた生地を小さな薄い円状にし、中にタネを入れたら包む。ヒダを付けるのは面倒なのでくっ付けるだけにした。端同士を【融合】でくっ付けて剥がれない様にしたら餃子の完成だ。
【錬金魔法】と【練成魔法】と【念術】を駆使して一気に量産した所為か、400個近くを作ってしまったが、300個はアイテムバッグに仕舞う。
一気に魔法で作った方が楽だったので作ったんだが、作りすぎたかね? 完全に浄化して冷凍してから収納したので、多分腐ったりはしないだろう。
フライパンを出して獣脂を入れたら【加熱】して脂を溶かす。肉の匂いが強いが気にせず餃子を入れて焼いていく。一度に焼けるのはフライパン2つで50個か。
2回焼けば済むので楽だな。そう思いながら程よいところで聖水を少し入れて蓋をしたら蒸し焼きにしていく。……そろそろかな? うん、大丈夫だ完成してる。ダリアの皿に25個、俺の皿にも25個を入れたら早速次を焼く。
さあ、実食! と思ったらダリアさんってば、超ガっついてるんですけど? そんなに美味しいのか……これは期待できそうだな! それじゃあ、いただきます!。
……うん、思っているよりも餃子だけど、野菜を粉砕しすぎたな。野菜は破砕ぐらいで良かったと思う。ただ、自分で作ったとは思えない程に美味しいのは間違い無い。
かす肉の油と干し肉の旨味が凄い。保存食なのに、餃子を噛んだ瞬間に油と旨味がジュワーと出てくるんだ。野菜のシャキシャキ感が無いのが減点だが、普通に美味しいだけにそこが引っ掛かるな。
次は失敗せずに作りたいもんだ。普通ならここでビールとなるんだろうが、俺は酒を飲まない人なのでそんな物は要らない。
聖水で薄めた魚醤を付けて食べてみるが、これも美味いなぁ……。よしよし、追加分も焼けた。ダリアも食べ終わっていたので、25個を追加すると猛然と食べ始めた。
俺も25個を追加して食べるのだが、コイツ等は最後の最後まで人の食事を邪魔しないと気が済まないのか? 今日は特に酷く女性3人が涎を垂らしそうなんだが……。
さっさと食べてしまうと、物凄い落胆の声を出した。気持ちは分かるが、他人の食事に対して出す声か? それに修理の客が来てるぞ。慌てて接客に入る様だが、何で客の騎士まで俺達の食事を見てるんだよ。……そこまでか?。
フライパン等をコッソリ【浄化】してアイテムバッグに収納したら、午後の仕事の始まりだ。相変わらず、今日が最後だからか客が多い。午前と違って短槍や斧の注文もあったので楽しく作っていたが、夕方前に盾の作成を依頼された時にはビックリしたな。
色々話し合った結果、元の盾に素材を被覆する形になったんだが、革を剥がしている最中に鍛冶師の適当な仕事の部分を見つけてしまい、バルナーが激怒していた。
硬革処理が非常に甘いというか、適当な革だったんだ。ハッキリ言えば売り物にならない失敗作を、見えない様に貼り付けていたという事だ。
真面目に仕事をしているバルナーならキレても仕方がないが、騎士は「よくある事だ」と苦笑いをしていた。とはいえ、俺が作ってやった盾を試している時は物凄く嬉しそうだったので良かった。
本人いわく、「鉄の剣でないと安心出来なかったが、この盾が作れるなら頼めばよかったと後悔している」そうだ。
その客を最後に、俺の仕事は終わった。午後からの客は午前より少なくて38人だった。大銀貨38枚と考えると多いが、これで終わりだからな。騎士達も金を稼いでから作りに来ていたし、大変だっただろう。
俺は儲かったが、騎士達のダンジョンアタックは今後どうなるんだろう? 元々は騎士達の武器の為に特例で認めたらしいし、普通なら今回限りで終わりか。何故か好評だったので続けるという未来が見えそうだが……きっと、気のせいだろう。
仕事が終わって、ちょっと物悲しい気持ちでいたら皆が帰ってきた様だ……が、様子が変だな。何か微妙な顔をしているというか、納得がいってなさそうな感じの表情だ。いったい何があったら、あんな表情になるんだろうな? 少し聞いてみるか。
「皆、おかえり。それは良いんだが、微妙な顔をしているのは何故なんだ? 皆が揃って似た様な顔をしてるって事は何かあったのか?」
「ただいま、アルド。何かあったと言えばあったし、無かったと言えば無かったんだけどね。何と言うか……簡単に言うと、帝国の精鋭がダンジョンで魔物に殺されたらしいんだよ」
「調子にのったらしく、魔物に集られて殺されたそうですよ。私達が見たのは腕や足を食い千切られた姿だけですが、帰ってきたらいきなりでしたから驚きまして……」
「漏れ聞いた話だと、調子にのって魔物を深く追いかけ過ぎたようね。それで近くに居た魔物に一気に集られてしまって……。仲間もなかなか助けられなかったみたい」
「ハッキリ言えば、やってはいけない事をやった愚か者の末路というところだね。魔物を追いかけるとか絶対にやっちゃいけない事だ。そもそもダンジョンというのは魔物のテリトリーであって、人間種のテリトリーじゃないんだよ」
「精鋭とは言っても帝国兵……つまり兵士だ。傭兵とは違って基本を知らなかったんだろうな。強いと言っても素人がダンジョンに喰われただけと考えると、よくある事でしかない」
「アルメアさんが言う様に、愚か者の末路と言うのが1番適切だね。ただ、腕や足を喰い千切られた死体なんて見たくなかったけど」
「それは誰だって見たくないですよ。僕等だって見たくは無かったんですけど、人だかりがあったのでつい……」
「本当にな。つい、で見に行くんじゃなかったと思う。どの層だったのかは知らないが、青銅とはいえ全身鎧が喰い千切られる程だ。熊系の魔物かもしれないな」
「その可能性は高そうですね。熊系の魔物は弱い者でも、人間種を簡単に喰い千切る程のパワーがありますから」
「確かにそうですね。アレ等のパワーの前では、全身鎧って意味があるのでしょうか? 喰い千切られますし、切り裂かれますよね? ソードグリズリーなら簡単に切り裂くでしょうから、魔物相手には役に立たないのでは?」
「リンデ……。それは古くから傭兵にとっては常識だよ。そもそも金属鎧自体を身に着ける傭兵は少ないんだ。音が五月蝿いうえに、簡単に殺される。仮に魔物の攻撃を防げても、集られたら終わりなんだ」
「そうだね。傭兵の防具は要所だけで良い。それは昔から言われる事だよ。デフィルの鎧もあながち間違いじゃないと言われるのは、そういう部分があるからだ」
「ですね。戦争と違って魔物との殺し合いにルールなんてありませんから、出来る事は全てしなければいけません。金属鎧では音がして五月蝿いうえに、重くて逃げ足が鈍ります。逃げ足が鈍れば集られて終わりですから……」
「鎖帷子もそうだが、重い鎧を装備しても最悪の事態から免れる事は出来ない。最悪の事態を回避する1番の方法は逃げる事だ。それは古今東西において全く変わらない事なんだよ」
<三十六計逃げるに如かず>って言うしな。命さえ残っていれば幾らでもリベンジ出来る。死ぬ事に比べたら逃げる事は恥でも何でも無い。下らない死に方するくらいなら、逃げてリベンジした方が良いに決まってる。
まあ、世の中にはそう思えない奴も居るし、面目がどうとか言う奴も居る。とはいえ面目で勝てる程、戦いというのは甘く無いんだがな。
それはともかくとして、この事で帝国が王国に難癖付けてくる可能性は無いんだろうか? あれほど色々な事を王国側にしていたんだ、この事を利用するぐらいしてきそうだが……。
▽▽▽▽▽
0502終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨140枚
大銀貨506枚
銀貨221枚
大銅貨632枚
銅貨144枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




