0500
昼になったのでオルニアに聞いてみた。いつまでこの仕事を続ければいいのかと聞くと、実は明日までらしい。
「あれ? 言ってませんでしたか?」と言われた瞬間、殴ってやろうかと思ったが止めておいた。報連相も知らんのかと思うも、それ以前の時代だと思ったからだ。
ちなみに明日仕事が終わりで、明後日報酬が支払われるらしい。一応傭兵ギルドを通した仕事になるらしく、最後にギルドに報告しなきゃならない様だ。……面倒臭いな。
そんな話しをしていると、鍛冶師兄妹とオルニアは昼食へと行った。俺とフヨウも昼食にするべく、まずは全粒粉を使ってうどんの麺を強引に作る。
干し肉に聖水を【合成】して戻し、かす肉と凍らせた野菜を一口大に【分離】したらフライパンで炒める。
うどんの麺を、浮かせた聖水の球に入れて【加熱】で茹でていく。茹で終わったら水気を【凝水】で取り、フライパンの中に入れて一緒に炒める。
最後に魚醤で味付けしたら、焼きうどんの完成だ。焼きそばでも良かったんだが、中華麺って確か<かん水>が必要だった筈なんだよな。
昔、漫画で読んだ事はあるんだが、微妙に思い出せなかったんだ。中国料理の漫画で<かん水>の元となる石っぽいのが出てきた記憶はあるんだが、それ以上思い出せなかったので仕方なく焼きうどんにした。
普通に美味しいから、焼きうどんでも良いな。とはいえ中華麺は作りたいんだよな、ラーメンの為にも。
でもなー、ラーメンを食べるなら餃子とチャーハ……ちょっと待て、何で俺は餃子を作らなかったんだ! チャーハンは無理でも餃子は作れただろう! ちくしょう! 明日は餃子にしよう。
それと……麦飯? 今何か降りてきたぞ。麦飯って米を使ってないのもあったよな? 雑穀だけの麦飯ってあった筈だ。
思い出せ、思い出せ! 確か昔の刑務所では、雑穀の麦飯が出ていて体に良い食事だったとか何とか……。んー、出て来そうで出て来ないな。
とにかく麦飯でいいから食べよう。体に良いし、小麦粉料理ばかりだと飽きてはいないが、違う物が食べたい。そう言えば吸血鬼の里には山芋があったんだっけ? とろろを掛けた麦飯を思い出すべきだった。
今は焼きうどんを素直に味わう。餃子と麦飯は明日だ明日。流石に冷めるし、目の前の焼きうどんに失礼だ。それに周りの鍛冶師兄妹とオルニアが鬱陶しい。早く食おう。
ガックリしている阿呆どもは横に置いておき、午後からの仕事を始める。フヨウ? さっさと吸い上げて食事を終わらせてたよ。
飲むのも食うのも恐ろしく速いからさ。アレって食事じゃなくて吸収だからなぁ。あの程度の栄養で足りてるのかは分からないが。
午後からも客が矢鱈に来る。鍛冶師兄妹のところにも修理依頼が来ている様だし、向こうを手伝い、こっちも手伝ってもらいを繰り返しながら仕事を進めていく。
結局、午後からの客は41人に達した。大銀貨41枚の収入だが、本当に数が多いと利益も大きい。まさか一日でここまで儲かるとはな。
そろそろ店を閉めようかという時間になったが、丁度皆が店にやってきた。いつも通り鍛冶師兄妹が店を閉めてくれるので、俺は一足早く皆と王都に帰る。
代わりに掃除などは【浄化魔法】などを使って俺がやっているので、持ちつ持たれつという感じだ。食堂に行く前に雑貨屋に寄ってシャツと麻縄と麻紐を銀貨3枚で買って食堂へと行く。
食堂で大銅貨18枚を支払い夕食を注文したら、席に座って皆の雑談を横で聞く事にした。ダナ達は今日、浅い層をウロウロしていたらしい。
本当は深い層へ行ってお金稼ぎをするつもりだったそうだが、帝国兵を見かけて不審に感じたらしく【気配察知】を使いながら監視をしていた様だ。
あっちに行き、こっちに行きを繰り返したみたいだが、尻尾は掴めなかったと悔しそうにしている。
アルメアが言うには、こちらの事がバレていたんじゃないかと思える部分が幾つかあったそうだ。ダナかディルぐらいしか【気配消失】の訓練はしていないし、【魔力察知】で気付かれたのかもしれない。
【魔力察知】自体も誤魔化す方法は幾らでもあるので、それを教えておく。特に難しい事ではなく、内側に押し込むような感覚で居ればいいだけだ。【魔力察知】は表面的な魔力しか察知出来ない。
多少体の深い部分に魔力を持っていけば、途端に察知できなくなるのが【魔力察知】だからな。皆に教えなかったのは、気配を誤魔化す方法の方が難しいからだ。
まあ【気配察知】と【魔力察知】を比べたら、【魔力察知】の方が簡単なので当然と言えるのかもしれない。どのみち、それ以上となれば【探知】や【空間把握】を習得しなければ調べる事は出来ないだろう。
もしかしたら、俺も知らないような技が下界に在るのかもしれないが、俺が知らない以上は考慮の内には入らない。
夕食を終えて、隣の宿に帰る途中に帝国の精鋭を見た。初めて見たが、プレートアーマーを着てガチャガチャ音を鳴らしながら宿か何処かに移動をしている様だ。
……しっかし五月蝿いな、アレ。思っている以上に音がするぞ。草原だと、あまり五月蝿くは感じなかったが、街中だと凄く五月蝿い。
ハッキリ言えば、簡単に貫通されたりして殺される鎧があんなに五月蝿いとか、殺してくれと言っている様にしか見えない。
それが分からないのか、周りの普通の帝国兵はドヤ顔で歩いてる。何か悲しくなってきたんで、見ないフリをしてやろう。
そのまま宿に入り、ジャン達やリンデ達と別れて部屋に戻る。部屋に入り椅子に座って落ち着くと、聖水を出して温める。
さあ、飲もうかと思ったら4匹が足にじゃれついて来たので水皿に入れてやる。自分のコップに入れて落ち着いて飲んでいると、ダナが話しかけてきた。
「アルドはさっきの帝国兵を見てどう思った? ここ最近離れているからさ、アルドの意見が聞けてないんだよ。普通の兵士の方はどうでもいいんだ、あのプレートアーマーの方をアルドはどう見たか聞かせてくれるかい?」
「プレートアーマーの方と言われてもなぁ……。別に何の変哲も無い、普通の青銅の全身鎧だろ? 【探知】を使っても、【空間把握】で調べても普通だったな。更に言えば、中の奴も大した実力は無い。体は鍛えられてるが、それだけだ」
「鍛えられてるが、それだけ……ですか?」
「そうだ。言葉は悪いが、体を鍛える”だけ”なら俺の元の世界でも出来る。どのみち邪生の心臓でも食べない限り、大幅な肉体の強化は無いんだ。鍛えても限度があるんだよ」
「まあ、それはそうよね。鍛えたら鍛えただけ強くなる訳でも無いもの、肉体に限界がある以上は限界までしか強くならないわ」
「ああ。それ以上を求めるなら、魔力と闘気を鍛えあげるしかない。身体強化をはじめ、他も鍛えあげて”総合的に”強くなる事が重要だ。ただ、帝国の精鋭は肉体しか鍛えていない。1人しか見ていないから全員がそうなのかは分からないが、おそらくは変わらないと思う」
「成る程ねぇ……。という事は、仮に襲われたとしてもアタシ達で十分対処可能だね。ハッキリ言って、襲ってくる可能性は低いと思ってるんだけど、万が一が無い訳じゃない。だから考えておかなきゃいけないんだけど……」
「そう言えば、ディアーナは昔見た時より弱そうだと言っていたね。もちろん、精鋭の中でも上下はあるだろうけど、そういう意味では無いんじゃないかな?」
「何と言っていいか分からないんだけど、プレートアーマーの精鋭を見てるとさ、対処方法が沢山出てくるんだよ。昔じゃ出来なかった事が今は出来るだろ? アルドから沢山学んだからね。だから、昔に比べて弱そうに感じたんだよ。草原での事もあるし……」
「「「「「あー……」」」」」
「草原では、プレートアーマーの兵士を焼き殺したからな。アレをここでもやればいいだけだと考えれば、確かに帝国の精鋭は脅威でも何でも無い」
「アレは酷かったからね。【火弾】を撃ってたのは僕達だけどさ、途中からちょっと可哀想になってきたよ。もちろん、手加減なんてするつもりも無かったけど、焼かれて逃げられないのは流石にね……」
言いたい事は分からなくも無いが、侵略者でしかないからなぁ。
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0500終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨140枚
大銀貨426枚
銀貨223枚
大銅貨150枚
銅貨144枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




