0496
部屋に戻り、温風で3匹をしっかり乾かしていると皆が起きてきた。4匹は少しのぼせたのか、冷たい聖水を飲みながらゆったりと寛いでいる。流石に昨夜のように眠たくはなっていないらしい。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ……」 「グル……」 「ワフ……」 「………」
「何だか元気が無さそうだけど4匹は大丈夫なのかい? アタシ達も今日は休みにしても良いし、4匹はアルドと一緒に居ても良いと思うよ?」
「ダナ。元気が無いのではなくて凄く温かいです。多分お風呂に入っていたんではないでしょうか? 4匹とも体温が高いですし、冷たい聖水を飲んでいるみたいですね」
「朝からお風呂って良いわね。私も入ってこようかしら? でも朝からだと、宿の従業員の邪魔になりそうだから止めておくわ」
そんな事を話してる皆を横目に見ながら、ザラとエイルズのみを強制的に【覚醒】で起こし【念話】で部屋に来るように言う。
少し待っていると、ザラとエイルズが部屋に来た。【覚醒】で起きるとシャキっと目覚めるので、寝惚けるという事はあまりない。体が回復していない状態だと眠気が続く事はあるが、2人は大丈夫みたいだ。
「部屋に来るように言われたので来たのですが、私達にいったい何の用でしょうか?」
「すまないな、こんな朝早くに呼び出して。とりあえず、そこの椅子にでも座ってくれ」
椅子に座ったのを見届けた後、直ぐに【念話】で皆に話して2人を押さえ込ませる。俺はアイテムバッグから邪生の死体を出して心臓を抜き取り、半分にしたらザラとエイルズに無理矢理食わせる。
再び思いっきり抵抗しているが、皆は面白がりながらも無理矢理口に入れて咀嚼させる。飲み込んだ後、流石に2人は怒って大声で騒ぐ。
「いったい何を考えているんですか!! またこんな物を無理矢理食べさせるって! 如何に不老長寿の方々でも……」
「魔力と闘気は著しく増大しているけどな? 自分の魔力と闘気を感じて、体型も確認してみれば分かる」
俺から言われ、幾らか冷静になったんだろう。2人は言われた通りに魔力と闘気を確認して愕然としている。修行によって僅かに増えていた魔力と闘気が一気に増大したからだろう。
今までの苦労は何だったのかと思っても仕方がないと思う。更に大きな声で騒ぐのは分かっていたので、【止音】を使って音の広がりを止める。
「それが邪生の心臓の効果だ。ただし、完全に浄化したものじゃない限り、絶対に食べるなよ? 食べたら邪生になってしまうからな? これは脅しでも何でもなく唯の事実だ。邪生の心臓を完全に浄化するには、【神聖八重浄化】を完璧に使い熟す必要がある。俺以外はまず不可能だと思っていれば良い」
2人も邪生になど、なりたくないのだろう。コクコクと頷きながら、俺が出す邪生の心臓を自分から食べていく。
2人の体は大きく変化しなかったが、多少胸が大きくなったのと、体型が更に良くなったらしい。最近肉が付いてきていて、2人とも少し困っていたそうだ。
武器も良くなりお金にも余裕が出てきた事で、前ほど動かなくなったのが原因だと考えているみたいだが……。本当にそうか?。
俺が魔鉄で武器を作ってやってから、それまでに比べて相当楽になったのが大きいらしい。運動量は減ったが安全性は上がったので、痛し痒しというところか。
運動量を減らしたのは自分達なので、仕方がないのは分かっている。ただ、楽になれば当然、今までと同じ苦労などしない。
結局、分かってはいるがズルズルと運動量が減り、減った分だけ肉が付いてきていた。悪循環に陥る手前だったみたいで凄く感謝されたんだが、それもどうなんだ?。
運動量を増やせば済んだ話だと思うんだがなぁ……。全部食べた2人は満腹らしく、それ以上は入らないとの事なので朝食は無しとなった。
ジャン達とリンデ達に【覚醒】を使って起こしたら、宿の玄関へと歩いて行く。ザラとエイルズは歩くのも結構辛そうだが、吐き出すまいと踏ん張っている。
ジャン達とリンデ達と合流した俺達は、食堂に行き大銅貨16枚を支払って朝食を注文した。テーブル席の椅子に座って雑談するが、今日は朝食が早く来なかった。
なので、その間にザラとエイルズの事を話しておく。ジャン達もリンデ達も直ぐに理解したが、5つの心臓を一気に食べさせられた事に同情しているみたいだ。
とはいえ、これである程度は付いて行ける様になったんだからリンデ達も稼げるだろう。それに、草原でのように戦争に巻き込まれたら足を引っ張られる可能性もあったからな。
それが無くなっただけでも良い事だ。帝国の奴等が来てるって言うし、俺の事を今も目の敵にしている可能性もある。
<備えあれば憂い無し>とも言うから、悪い事は何も無い。そう言っているにも関わらず、白い目を向けてくるのは何故だ。
実際に魔力や闘気は増大してるだろうに。一度に心臓5個は厳しかったかもしれないが、強化された肉体なら問題ない筈だぞ。
「そうポンポン強化するなって言いたいんじゃないかい? もしくは、出来るなら草原の国に行く前にやってくれって事だろ?」
「「まあ………そうですね……」」
そういう事か。皆もそう思ってんの? ……あっそう。言いたい事は分からなくもないが、そもそも邪生が居なきゃ駄目だって事を忘れてないか?。
ルーデル村近辺にも邪生は居ただろうけど、今のルーデル村だと邪生狩りの様な状態だから難しいんだよ。俺が倒す前に他の傭兵に獲られる可能性がある。
そもそも傭兵は獲物の取り合いをしている訳だし、取られたからって文句は言えない。邪生は高く売れるんだから、倒せるなら取り合いになるのは当たり前だ。
その事を指摘すると、皆は納得したようだ。王都もそうだが、【浄化魔法】を教えた所では邪生狩りが増えるだろう。
これ自体は良い事なうえ、浄神の命令である”世界の浄化”に沿う形でもある。なので邪生狩りはむしろ推奨される事だ。
結果として、邪生の心臓は手に入り難くなるが仕方がない。俺のするべき事である以上は、邪生の心臓を食べさせる事よりも、”世界の浄化”を優先するのは当然だ。
俺の立ち位置が分かり難かったのかもしれないが、今は皆も納得している感じだな。その後、王の直轄地を走り回って5匹の邪生を倒してきた話をすると、全員に呆れられた。まさか王都の周囲の町を回っていたとは思わなかったみたいだ。
朝食後、皆と一緒にダンジョン前まで行き、俺は昨日と同じ剣のマークの建物へと行く。マートルと一緒に中に入ると、鍛冶師兄妹と数人の騎士が居た。
もう修理依頼の客が来てるのか。随分早いが、修理なら昨日の内に出しておけよ。そう思いながら椅子に座ると、騎士数人がこっちに来た。……何の用だ?。
「すまないが、君が魔物素材で武器を作ってくれる錬金士か? 私達の武器を頼む」
「錬金士ではないが、魔物の素材で武器を作るのは俺で間違いは無い。とりあえず素材と希望する武器を教えてくれ」
騎士は全部で4人居たのだが、全員が求めたのは剣だった。スタンダードな剣で良いらしいので、持って来ていたスマッシュボーアの牙で一つ一つ作っていく。
至ってシンプルな両刃剣で、刃長は60センチ。4人とも中型の盾を使うので、これぐらいの長さで良いらしい。あまり長すぎると片手では扱い辛いからなぁ。
俺が刀身を作り終わると、丁度タイミング良くオルニアがやって来たので記録させる。その後、刀身を鍛冶師兄妹に渡して、鍔や持ち手に鞘をどうするのか4人の騎士と詰めていく。
詰め終わったら、さっさと部品を作って組み立てたら完成だ。4人の騎士は大銀貨4枚を払った後、新しい剣を手に嬉しそうに店を出て行った。
今日は朝からいきなり4人とかビックリしたな。いきなり客が増えるのは止めてほしいもんだ。どこか嬉しい部分があるものの、また暇になりそうな気もする。今日のお仕事はどうなるんだろうな?。
▽▽▽▽▽
0496終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨140枚
大銀貨262枚
銀貨226枚
大銅貨204枚
銅貨144枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




