0494
俺の半分を食べさせている間に、もう1枚お好み焼きを焼く事になった。タネを作り焼いている最中に鍛冶師兄妹が帰ってきたんだが、人の昼食をガン見してやがる。
幾ら見たってあげる気はないよ? そう言うも目線を外そうとしない3人。もしかして匂いに惹かれてるのかねぇ?。
最後に魚醤を塗って完成だ。カエデと半分にして食べるのだが、目線が鬱陶しい。だが、そんなものを気にして食事を渡すような俺ではない。むしろ、これみよがしに食べてやった。
3人が心底ガッカリしているが、他人の昼飯を貰おうとしていた浅ましさに対する反省は無いのかよ。
カエデも満足したらしく、食事後に温めた聖水を飲んでいたんだが、今はゴロンと横になっていて欠伸をしている。こりゃ寝るな。別に悪い訳じゃないが、優雅なもんだ。
そう思いながら俺もボーっとしていると、客がやってきた。装備品を見た感じ傭兵6人組の様だ。
朝からも傭兵が何人かこの店に来ている。騎士優先ではあるのだが、傭兵が来たら仕事を請けても良いらしい。そういう契約で建物を借りているそうなので、鍛冶師兄妹は腕を磨く為にも積極的に請けている。
俺が修理に借り出されたのもそれが理由だ。昨日よりも客が多くて鍛冶師兄妹も腕の奮い甲斐があるだろう。
そんな事を考えていたら、バルナーが大きな声で俺を呼んでいた。何があったのかと近付くと、槍の柄が曲がってしまっていてどうにもならないらしい。
総青銅製の槍で、帝国に行った際に買ったそうだが、戦闘中に無茶な使い方をしたらしく柄が曲がってしまって直してくれとの事だ。面倒なんで【変形】でさっさと直しバルナーに渡した。
バルナーは真っ直ぐに直された槍から穂を抜き取り、隅々まで調べて問題が無い事を確認した。槍の穂先を研ぎ直して返し、修理代を受け取っている。
俺は既に椅子に戻ってゆっくりとしていたのだが、傭兵達は店を出る前に目礼をして出て行った。礼儀が出来てるのか、余程嬉しかったのかは知らないが、気分は良いもんだ。
「あんなに柄がグニャっとなってても、簡単に直せるんですね。アレを普通に直そうと思ったら、いったいどれだけの苦労をしていたか。本当に助かりました」
「いやいや、ああいうのは【錬金魔法】や【練成魔法】の得意分野みたいなもんだよ。しかし、魔物に対して石突を地面に刺して迎え撃つとはな。ダッシュボーアは倒せたがあの突進力だ、柄が曲がるのも仕方がない」
「大きなものは人間種を轢き殺すほどに強いと聞きますから、槍の柄が曲がる程度だと幸運なんでしょうね。修理費はそれなりでしたけど、死んでしまうよりはマシですから」
「死ぬほどの借金を背負う場合も無い訳じゃないけどね。そういう傭兵がお父さんの所に来てた事もよくあったじゃない? 何だか草臥れた感じで凄く大変そうだったの……覚えてないの?」
「「覚えて無いな~……」」
まあ大した事でもないし、自分の人生に殆ど絡むような相手じゃないんだろう。興味も無ければ覚えている訳もないし、普通の事だな。
その後もポツポツと客は来るものの、相変わらず修理依頼ばかりで俺の客は来ない。【空間把握】で調べるとそろそろ夕方みたいなので店仕舞いをしようかと話していると、突然大きな音と振動が店を襲った。
鍛冶師兄妹はビックリしているが、俺は直ぐに【空間把握】で調べており、その結果に溜息を吐いてしまった。
それにしても気を抜きすぎだったかもしれない、そこは反省しないとな。溜息を吐く俺に鍛冶師兄妹が妙な視線を向けてくるので、「ナンパ野郎が壁に叩きつけられただけだ」と言っておく。
それと同時に店の入り口が開き、皆が店に入ってきた。……アレ? オルニアと女性騎士も来たぞ?。
「すみません。今日の武器の代金を稼いできました。オルニアに聞いたところ大銀貨1枚で良いと聞いていますので、どうぞ」
「どうも。確かに大銀貨1枚受け取りました。で、使った感想が聞きたいんですが、役に立ちましたか?」
「はい! とても役に立ちました! まさかレッドパンサーが一撃で倒せるようになるとは思ってもいませんでした!!」
女性騎士は興奮しながら話してくるが、オルニアは苦笑しているので詳しく聞いてみた。すると、調子に乗ってレッドパンサーを倒しすぎたので、むしろ持って帰るのに苦労をしたらしい。
その所為で疲れて大変だったと語っている。オルニアはともかく、女性騎士がリンデとリヴィに気付いていないようで何よりだ。騒がれても困る。
オルニアに今日の書類を預けたら、中をチラリと見て直ぐに女性騎士と帰って行った。俺の客は、あの女性騎士しか居なかったんだから鍛冶師兄妹に聞く事も無いか。
それよりも鍛冶師兄妹と皆が話していたりして収拾がつかない。3匹も合流して楽しそうだし、フヨウは早速俺の首に巻きついてる。
パンッ、パンッと手の平を叩き注目を集めたら、皆を引き連れて王都へと戻る事にする。このまま居ても邪魔になるだけなので、鍛冶師兄妹に断りを入れて先に建物を出たら、皆と共に王都の食堂まで帰る。
「こっちは相変わらず客が来ないんで暇でしかなかったが、そっちはどうだった? 20層のミノタウロスやケンタウロスを狙うと言ってたが……」
「20層まで行くのは何の問題も無いさ。ミノタウロスもケンタウロスも倒して売ってきたし、他にも高値で売れる魔物を幾つも売ってきたから大分潤ったよ」
「それよりもですね、ダンジョンには帝国の者達が居るので面倒なんですよ。どうやら、戦争後のゴタゴタを含めて色々あったので、皇太子御一行が友好訪問をしてくるみたいでして……」
「その前の地ならしとして、帝国の伯爵がお城に来ているそうなの。それで王国のダンジョンの確認と称して色々探っているみたい。もしかしたら、間者との情報交換をダンジョンでやっているのかもしれないわ」
「数人ずつなんだけどね、ちょこちょこと居るんだよ。一部の傭兵と親しそうにしているみたい何だけど、案外帝国の傭兵なのかも。妙な事はしないと思うけど、帝国だから信用はならないところさ」
「それよりも、問題は精鋭であるプレートアーマーの部隊が5人ほど居た事だろう。浅い層だったが、何やら色々試していた。私としては、アレが1番気になるところだ」
「分かるんだけど、僕はむしろ囮の気がするけどね。精鋭部隊を目立つ囮にして、他の奴等が何かしてる。帝国の話を皆から聞くと、そっちの可能性の方が高そうだよ」
「帝国ねぇ……もしかしたら、近衛の本部から遠ざけられたのは、それが理由にあるのかもな。ところで話は変わるが、ジャン達やリンデ達は稼げたのか?」
「僕達はそれなりには稼げています。20層ぐらいまで行く事は出来ますけど無理をしても仕方がないので、その手前で戦ってますね。リザードマンとか珍しいのを狙って狩っています」
「ジャンと私達は日によって場所を変えながら狩りをしている感じだな。急いでいないので、ゆっくりと安全を担保して狩りをしている。今の所はそれで上手くいっているな」
「そうですね。安全と危険を天秤に掛けて、丁度良いところで狩りをしていますね。程よい緊張感が無いと、むしろ危険ですので……」
「私達は少々難しいところですね。私やリヴィは良いのですが、ザラやエイルズが問題で……アレを殆ど食べて無いので魔力や闘気がそこまで無いんです。だから2人に合わせると遅れてしまい、深い層まで進めません」
「それに関しては仕方がないよ。私達じゃ完全浄化は不可能だしね。【神聖八重浄化】を使い熟すとか無理に決まってるじゃないか。世界中に1人しか居ないよ、そんな非常識な奴」
「「ご迷惑をお掛けしてます……」」
まあ、仕方がないだろう。それを分かってるから、リンデもリヴィも怒ってはいないんだし。あの2人なぁ……夜中に徘徊して邪生を探しておくか。どうせ日中は碌に仕事が無いし。
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0494終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨140枚
大銀貨258枚
銀貨226枚
大銅貨238枚
銅貨144枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




