0048
朝食も食べずに話を続けていたので、朝食をいつも通り3人分注文し、大銅貨3枚を支払って一息吐く。騎士団長の方はともかく、アホ王女がチラチラこっちを見てきて鬱陶しい。
「アルド……。たぶんあの子、謝りたいんだろうさ」
「知ってる」
「知っていてその態度はどうかと思いますよ?」
「一期一会」
「「???」」
「目の前の人は一生に一度しか会わないかもしれない。それでも最善を尽くしなさい。……というような意味の言葉だよ」
「……成る程ねぇ。その時の態度が、後でどう巡ってくるかは分からないからね」
「自分の知らない所で、自分の評価は決まります。……大事な事ですね」
「も、申し訳ございませんでした!」
「申し訳ありませぬ」
「じゃあ、これで終わりな。悪い雰囲気で朝食を食べたくないし」
「団長! 確保致しました。如何しましょう?」
「奴等の嘘と、離宮の近くや王城で何をしていたか吐かせろ!」
「「「「ハッ!」」」」
こうしていると騎士団長だな。最初の印象が悪過ぎるが、有能でなきゃ騎士団長になる訳がない。……あれ? 魔銅の話も囮か? その辺りを聞いてみる。
「魔銅の話は一部事実ですな。一定以上の者に魔銅の装備を与える事は、既に陛下がお決めになりました」
「それでも結構な量が要るね。どれだけの期間、掘るのやら」
「希少金属には手を出さないのか?」
「……アルド? 集めるのも、精錬するのも、加工するのも、信じられない程に大変なんですよ?」
「ちょっと待ちな! アルド、もしかして希少金属を扱えるのかい?」
「??? ……出来ないなら言わないが?」
「あー……。アタシ達が惚れた男は、とんでもない男だったね。改めて理解したよ」
「本当に……。アルドなら、あっさり作ってしまいそうです」
そりゃ作れるさ。魔神に何度も何度も、嫌と言うほどやらされたんだ。問題なく作れる。
オリハルコンじゃなくてアダマンタイトが地味にキツいんだ。アダマンタイトは魔力の通りが悪過ぎる。
ちなみに希少金属は少量しか取れないが問題ない。例えばマナリアなんかは銀か金に混ぜて使う。マナリア銀やマナリア金と言われる物だ。希少金属は単体では大した意味が無い。
ヒヒイロカネは銅と、アダマンタイトは鉄と、オリハルコンは金との合金だ。希少金属は自然界には鉱脈や鉱床の様な形では存在しない。世界各地に少量ずつ点在している。
その為、集めるのも精錬するのも苦労する。その上、加工難度は最高難度だ。おそらく下界のほとんどの鍛冶師は希少金属を扱えない。そもそも正しい炉があるんだろうか?。
俺はいつか希少金属に手を出すだろう。後でバレるよりも、今バレた方がまだマシだ。後でバレて刺客を送られても面倒だからな。
仮に刺客を送られても殺されてやる気は無いし、逆に組織を潰すつもりではあるが。
「希少金属が扱えるのですか!?」
「まぁ。細かい事は教えられないが、何度も練習させられたからな」
「何度もねぇ……。面倒はゴメンだから、アタシは要らない」
「私もです。暗殺者を始末するのは簡単ですが、面倒臭いんですよね」
「面倒な”だけ”ですか……」
「そりゃあねえ。アタシとシュラを何だと思ってるんだい?」
「<剣の踊り子>殿と、<血狂い>殿ですな」
「分かってるじゃないか」
食事中もそんな話しをしながらだったが、雰囲気はかなりマシになっている。やはり第一印象はとても大事だ、自分の事として戒めにしよう。
食事後、ゆっくりしていると2人の騎士が入ってきた。
「団長! 少々お耳を」
「うん? ……………。成る程、そういう事か! 直ぐに戻るぞ、準備せよ!」
「「ハッ!」」
「殿下、申し訳ございませぬが……」
「分かっております。あの様な事をしてしまったのです、我侭は申しません」
「有難うございます。皆様申し訳ございませぬが、これで失礼致します」
「構わないさ。本分を果たしな」
「えぇ、あなたは近衛の騎士団長なんですから」
「元気でな」
2人と騎士は直ぐに宿を出て行った。どうやら面倒臭い事に巻き込まれずに済んだらしい。良かった、良かった。変なフラグとか要らないし、勘弁してほしかったからな。
なんだかんだと昼前だ。さっき飯食ったトコなんだが!? 今日は朝からずっとペースが乱されてるので、宿でゆっくりしていた方が良いかもしれない。そう思い部屋に戻る。
戻ってくると、2人は酒を飲み始める。今日はしょうがないなと思ってると、酒もそこそこにベッドに誘ってきた。昼から良いのか? と思いながらも、2人を何度も撃沈させる。
気付くと夕方になっていたので、全て浄化して食堂に下りよう。2人は余韻が残っているのか、腕を組んで離れようとしない。それを見た女将さんは、ニヤニヤしながら近づいてきた。
「3人とも、やっと下りてきた。……それにしても”お盛ん”だね!」
「そりゃそうさ。目の前に、夜がスゴい恋人が居るんだよ? 求めない方が”失礼”さ」
「全くです! ……それにしても、いつか勝てるんでしょうか? もうこのままでもイイ気がしてきましたが……」
「せめて、せめて1回くらいは勝ちたいじゃないか」
「ダナさんもシュラさんも、1度も勝てないのかい?」
「「勝てない!」」
「うーん……。とんでもないんだねぇ」
「やっぱり勝てなくてもいいです。そういう風に愛してもらいます」
「女として、1度くらいは勝ちたいと思わないのかい!?」
「だって、しょうがないでしょう? 教えて貰う側ですよ、私達?」
「そりゃ、そうだけどさー」
「アレです、蹂躙されるのもイイものですよ? 凄く愛されてるのが分かりますから///」
「それは知ってる///」
これ以上は聞くのを止めてスルーしよう。部屋からの流れで2人の頭の中がピンク色のままだ。色々な意味で危険すぎる。ここが食堂だって忘れてるだろ?。
3人分の夕食を注文して大銅貨3枚を支払ったが、受け取る女性従業員の顔は真っ赤だった。ごめんなさいね、下ネタ女王が2人いて。時間が経てば元に戻るから。……たぶん。
食事後、2人は部屋から食堂に酒を持ってきた。どうもピンク色は治まったらしい。女将さんと一緒に複数の酒を一杯ずつ飲んでいる。結構減ってるが、どんだけ飲んでんだよ。
また酒作りを頼まれそうな気がする。確か酒って、糖分が有れば作れるんだったかな? この世界特有の物で作ってみたいが、色々調べないと無理だ。
そんな事を考えていると、食堂にヴェルさんが来た。何かあったんだろうか?。
「お三方、少しは落ち着かれましたか?」
「……ヴェル。その話はとっくに終わってるよ」
「終わってる。……ですか?」
「正式に謝罪がありましたし、ある事があったので帰りましたよ」
「ある事とは一体?」
「アタシ達も知らないよ。ライブルが報告を受けて、直ぐに帰ったからね」
「そうでしたか」
「そんな事より、アンタも飲みな! ラミアは酒に強いだろ?」
「まぁ、お酒は強いですね。種族的にも個人的にも」
「細かい事はいいんだよ! さっさと飲みな」
「では失礼して……ゴクッ……ゴホッ! ゴホッ!」
「あっさり成功ですか。まぁ、普通に飲んじゃいますよね?」
「な、何ですかコレは? 凄くキツイんですが……あれ? 美味しい?」
「美味しいだろう? 酒精が強いんだけど、凄く美味しいんだよ」
「とても美味しいです! ……でも、こんなお酒ありましたか?」
「小さい事を気にしてはいけませんよ。お酒に失礼です」
「そうですね! こんな美味しいお酒、初めてかもしれません」
「アタシも初めて飲んだ時は驚いたもんさ」
酔っ払いは放っといて、ゆっくりしていよう。古今東西、酔っ払いは碌なもんじゃない。部屋に帰ろうかな……。
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0048終了時点
金貨18枚
大銀貨53枚
銀貨23枚
大銅貨26枚
銅貨5枚
風鹿の角槍
風鹿の角の太刀
赤豹の爪の小太刀
剣熊の爪の打刀
赤豹の爪の小烏丸
強打猪の牙のファルクス
剣熊の爪の斧
風鹿の角の十手
剣熊と風鹿の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と風鹿の肘防具
剣熊と風鹿の膝防具
剣熊と風鹿のブーツ