0484
宿の部屋に戻り、再びフォルの指導を行う。今は素材が無いので、魔力と闘気の循環を緻密に精密にさせている。
この練習ならいつでも出来るし何も必要としない。特にフォルは長く魔力の循環訓練を一人でしてきたくらいだ、細かく教えれば後は自分で伸ばしていけるだろう。
実際に俺は一切の乱れを許さない程にやらされたからな。本来なら自分でそこまで難易度を上げていくべきなんだが、どうにも”使えるからいいや”が多い気がする。
上を目指して進まないと停滞するか後退するかしかないのに、努力を怠る奴が多いんだよ。仕方がないのかもしれないが……。
まあ、かつての元の世界の自分だったら絶対に今ほどの努力なんてしていないだろうから、気持ちとしては分からなくもない。でもそれを考えると、神界では精神的な操作を受けていた可能性が否定できないんだよなー、特に念神。
【念術】にそういう技が多い以上はどうしても疑ってしまうが、相手は神様なので明確な証拠なんて残す訳が無いしなぁ。掘り下げなくても良いところだし、藪をつついて怪物が出てきても困るんで、この事を考えるのは封印しよう。
おっと、もう夕方か。食堂に行くかね。皆に一声掛けた後、ドアを開けて食堂に行こうとしたら、足元から4匹が部屋の外へ走っていった。
3匹は分かるんだが、フヨウが思ってる以上に速い。コロコロ転がるように移動してるんだが、思っているより遥かに速くて驚いた。
いつも俺の体を登ったりする時は、もっとのっそり動くのに、何故今だけ猛烈に速かったんだろうな? ……まあいいか。
女将さんに大銅貨18枚を支払い夕食を注文してテーブル席に座る。皆と雑談しながら待っていると、ジャン達とリンデ達と5人組がやってきた。
ジャン達とリンデ達は、一日中魔力と闘気の循環を練習していたらしい。……練習と言えなくもないだろうが、アレは練習か?。
ジャン達は確かに練習してたが、リンデ達がやってたのは身体強化の訓練だ。正しくは微弱な身体強化をしながらの体操をしていた。これは【空間把握】で確認していたので俺は知っている。
何故か体操をしていたので不思議に思い調べてたんだよ。まさかダイエットの為にやってるとは思わなかったけどな。幾ら邪生の心臓を食べていると言っても、太る時は太るのでどうしようもない。
ちなみに太っていたのはリンデだ。若干だがお腹に肉が付いたらしく、練習の名目で運動をしていた。
もちろんだが俺は余計な事は言わない。言っても何の得も無いし、リンデが矢鱈に強い眼力で俺の方を見てるんだよ。睨まなくても言わないっての。女将さんが夕食を持って来てくれたので、何とか意識が横に逸れたな。良かった、良かった。
「皆、聞いたかい? 何でも盗人が捕まって村の中央で処刑されたらしいよ。村の家々から色んな物を盗んでたらしくてね、返そうにもどれが誰のか分からなくなってしまってるんだってさ。村長も含めて一人一人から聞いてるらしいんだけど、大変みたいだね」
「嘘を吐くようなのも居ない訳じゃないだろうし、本当かどうかも調べるのは難しいし大変だろうね。盗んだ奴本人に聞いたってどうせ覚えて無いんだろうし、既に処刑されてるんじゃねぇ」
「何でも盗みをやったけど、盗まれた物自体は売ってないらしくって、それで首を落とされたらしいよ。本当なら石を投げられる筈だったって教えてもらったけど、石を投げる処刑って何なんだろうね?」
「石投げの刑はそのままの意味ですよ? 磔にされた者が死ぬまで石を投げられ続けるというもので、怪我ぐらいしかしない為に、なかなか死ねないというものです」
「首を落としたという事は、盗まれた物は多分無くなってないと思ったのでしょうね。それで、苦しませずに殺す事に決めたという事よ。それにしても、いったい誰が処刑人をやったのかしら?」
「処刑をしたのは傭兵ギルドのギルドマスターらしいよ? 一振りで綺麗に切り落としたって褒められてたけど、そんなに難しい事なのかい? 私はそういうのサッパリ分からないんだけど……」
「そうだね。綺麗に切り落とせないと、その分苦しませる事になるんだ。それと、やっぱり相応の技と知識が無いと処刑人は務まらないんだよ。一部の国では名誉ある職業らしい事も、過去に聞いた事があったと思う」
「人の首を落とす仕事など、わざわざしたいという者も居ないだろうからな。名誉とお金はキチンと与えておかないと、無理矢理命じてやらせるしかなくなる。首を落とす者も世の中には必要な者だ」
「刑罰として定められている以上は、執行する者が必ず必要だからね。執行する者が居なきゃ罰は与えられないけど、そんな事になったら国の大恥だよ。刑罰一つ満足に執行できないなんて」
「村を大きくしていった先が国だからなぁ。村の事と思っても、実際には国に通じる事って結構多いんだよ。元々の国の出来方を考えたら、当たり前過ぎる事なんだけどな」
なんだかリンデとリヴィは若干渋い顔をしているな。村と国は違うと言いたいのか、それとも2人とも本質は理解しているのか。どっちかは分からないが、なんとなく後者っぽい感じがする。
夕食後、部屋へと戻る。明日には出発しなければならないが、おそらく明日中に王都には到着すると思う。ビキニアーマーズの2人がついて来れるかは分からないが、仮にあの2人が遅くても間に合う筈だ。
ん? 今日もミードか? まあ、4匹は飲み過ぎたりしないから良いけど……そうそう、あまり大量に飲むのは体に良くないんだ。だから気を付けてくれよ? 4匹は直ぐに理解したらしい。飲み過ぎる事さえしなきゃいいんだ。
ゆっくりと味わって舐めている様だ。まあ、好きにしてくれて良いんだけど、リバーシしながら酒を飲むのが4匹の定番になりつつある気がする。そのうち訳の分からない打ち筋になって寝るんだろう。
他の皆も酒を飲んでいるが、ここ最近酒量は減っている。理由はお金が掛かっている事もあるが、一番の理由は飲み方を完全に理解したからだろう。
この世界に元々ある酒と比べて、俺が作る酒はアルコール度数が高い。その事を正しく理解したっぽい。後、単純に慣れたんだろう。
美味しい物も食べ慣れると普通になるのと同じ様に、珍しい酒も毎日飲むと普通の酒になるってところかな? 飲む量が減るなら何でも良いんだけどね。
健康が心配になるレベルの飲み方は非常に危険だからなぁ……。この時代だと知られてないだろうし、急性アルコール中毒で暗殺できたりして。
アルコール度数80以上の酒を無理矢理飲ませてやれば十分に殺せる気はする。酒を飲ませて前後不覚にした後、アルコール度数の高い酒を飲ませるんだ。煽れば簡単に飲む気はするんだよなー、古い時代だし。
おっと、下らない事を考えていたら4匹は既に寝たらしく、いつも通りベッドに連行されてしまった。【精気】のみで全員を満足させたら、布団に横になり目を瞑って【空間把握】を使い浄化していく。
明日から移動なので、今夜の内に頑張っているジャン達の部屋は無理で……リンデ達の部屋も無理だな。2部屋ともに無理だし、さっさと寝るか。
それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界198日目>
おはようございます。今日は王都に移動する日です。王都に行くのも普通になってきたな。
王太子の手紙には魔物の素材を加工出来なくて困っていると書いてあったが、兵士の武具に使うのは分かるが同じ物を支給されるのも軍の良いところだと思うんだけどなぁ。
傭兵の俺が言っても意味は無いが、同じ物を持たせて平均化する事に軍の意味はあるんだと思っている。
そうする事で想像しやすく、戦闘の推移に対処しやすい様に考えられている筈なんだ。わざわざ個性的にして読みにくくする必要があるんだろうか?。
まあ、俺は国とは関わりは無いし、依頼された仕事をするだけだから別に良いけどさ。何かモヤモヤする。
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0484終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨141枚
大銀貨250枚
銀貨234枚
大銅貨401枚
銅貨144枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ
 




