0474
前にもダナに聞いたが、この世界では腐りやすい内臓を食べる文化は殆ど無い。ソーセージに使われるぐらいで、それも腸が使われるだけで、それ以外は破棄される。かす肉が腸だと聞いて驚いたのは、腸だけで食べる文化が無いからだろう。
寸胴鍋で作ったのでそれなりの量があるが、遠慮もせずにバクバク食べてやがる。誰がって? 5人組とヴェルだよ。あいつ等、酒を飲みながらスープとナンモドキを食べてるんだ。
普通にもう一食分を食べてるのと同じだから太ると思うんだが、酒が入ってるからか何も考えずに食べてるな。しかもスープは干し肉も使ってるので味が結構濃い。酒飲みにとっては丁度良いんだろう。今飲んでるのもエールだし。
今日の酒作りでは途中で聖水が無くなったから、一度川まで行って補充してきたからなぁ……わざわざ新しい樽まで作ったぐらいだなんだけど、本当に酒や料理には水が欠かせないよ。
結構な量の水を消費してしまうのは、仕方がないと諦めよう。それよりも大分酒の量が増えてきたのか、段々怪しくなってきたな。
俺達と5人組しか宿泊客が居ないからか、旦那さんまで飲みに参加してる。俺は早々に退散するべく、隙をついて隠密の4つの技を使い離脱した。
部屋に戻ってきたので一息吐く。やれやれ、酔っ払いに絡まれるのは御免被る。俺は椅子に座り、聖水を飲みながらボーっとした時間を過ごす。この時間の使い方が一番贅沢ではあるが、長くは続かない。まあ、長く続ける気もあまり無いんだが……。
俺が部屋に戻ったからか、4匹も部屋に戻ってきた。部屋に入って直ぐに近付いて来たので、早速甘えにきたのかと思ったがミードが欲しいだけらしい。
回収していた水皿に入れてやると、フヨウが俺の足をペシペシ叩いてきた。どうやら今日はフヨウも飲みたいらしい。フヨウの分も入れてやるが、このミードなかなか減らないなぁ。
まだ3分の2は余ってるし、もともとの量の3倍ぐらい蜂蜜は余ってるんだよなー。今度王城に行ったら王太子にあげようかな?。
あの王太子とライブルなら妙な勘繰りもせずに受け取ってくれるだろう。何かを求める為の献上品じゃないって事は分かってくれると思う。
不用品の在庫処理だと知ったら、どんな顔をするかは楽しみだ。4匹が酒を飲んでいるのを横目で見ながら、アイテムバッグの中の整理を始める。じつは獣脂の大半は武具屋で売ってきた。
何でも、明かり用の油は幾らあっても損は無いらしい。細かい部分の作りこみとか修復などでは明かりが必要らしく、安い油なら獣臭かろうが構わないそうだ。
その流れで、解体所に油の取り方とか、かす肉の作り方を教えたらって言われたんだよな。ウィンさんいわく、酒の肴になる安い肉があれば買う奴は多いらしい。
焼くと煙が沢山出るって話したら、煮込めば良いって即座に返されたしなぁ……。この世界のエルフは普通に肉も食うんだが、むしろ肉を好むのかもしれない。フォルも肉好きだし……。
そんな事を考えていたら、4匹は撃沈していて隣にディルが居た。どうやら他の女性陣は食堂で撃沈してしまっているらしく、既に玄関は施錠されているみたいだ。
ディルを【房中術】と【鋭覚】で撃沈し、布団を敷いたらさっさと寝る事にした。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界194日目>
おはようございます。部屋の中には4匹とディルしかいません。どうやら本当に部屋にも帰ってこず、食堂で撃沈したらしいな。帰ってきたら早速コレか……いや、帰ってきたからかな? 気が抜けたというか、気を張る必要が無いからか。
起き上がって椅子に座り、聖水を飲んで一息吐く。【空間把握】を使うと、食堂は死屍累々の有様だったので全て浄化しておく。
あれ? ジャンが居ないな、と思ったら部屋で寝てる。どうやらジャンも酔っ払いからは逃げたらしい。そうだよな、アレに絡まれたい奴は居ないよな。
ついでなのでジャン達の部屋も、リンデ達の部屋も、5人組の部屋も強力に浄化して綺麗にしておく。
ジャン達の部屋はマシなんだが、リンデ達の部屋と5人組の部屋が酷い。あちこちに荷物が散乱しているし、食べかけの何かがテーブルの上に置かれてる。
元々ビキニアーマーズは片付けをしないみたいだが、前より酷くなってないか? 片づけをしない、もしくは出来ない王女2人と居るからか? 5人組は、恐らく遠慮も何も無いんだろう。
昔からの知り合いらしいし、片付けるにしてもファレンかエルティアぐらいだろう。他のメンツは片付けをするイメージが無い。
見られる事も無ければ、あんなものと言えるのかもしれないな。おっと、4匹が起きてきたか。ここ最近よりはゆっくりだが、宿なんで良く眠れたのかな?。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル、フヨウ」
「ニャ……」 「ガゥ……」 「ワフ……」 「………」
起きた4匹に水皿を出し、聖水を入れて温めてやる。4匹はそれをゆっくり飲みながらボーっとしているみたいだ。良く眠れた反面、なかなか頭が覚醒しないんだろう。
まあ、急ぐ事も何も無いのでゆっくりすれば良い。やっと帰って来れたとも言える訳だしな。
3匹は聖水を飲み終わってゆっくりと頭が覚醒してきたのか、俺の足をペシペシ叩き始めて床に下ろそうとするので床に座る。
すると、早速とばかりに甘え始めた。フヨウは温めた聖水を吸い上げた後、直ぐに俺の体を登り首に巻きついている。皆が起きる気配はまだ無いので、好きに甘えて良いんだけど。
頭や体を擦りつけてきたりと随分甘えてくるのは、草原などで依頼を熟していた時には一定の緊張感を持ち続けていたからだろう。4匹は空気が読めるというか、知能的には人と大差無いからな。
だからこそ草原では熟睡出来なかったんだろうと思うが、よく考えたら動物の方が気を抜かないか……。
カエデがさっきからずっとアピールしてるんだが、もしかして干し肉が欲しいのか? やっぱりそうか。俺は朝食もあるので少しだけ4匹に干し肉を出してやると、3匹は器用に前足で押さえて噛み千切った後、噛んで味を楽しんでいる。
干し肉って保存食だけど、この世界では未だ塩塗れの干し肉しか売ってないんだよな。
食料店でも確認したんだが、塩がたっぷり使われていて塩辛そうな干し肉だった。そのうえ塩を沢山使っているので値段が高いという、何とも言えない代物なんだ。
そもそも塩を使うのは水分を減らして腐敗を防ぐ為なので、塩そのものに殺菌効果は無かった筈。つまり、【錬金魔法】の【乾燥】を使ってカラッカラにしても同じ効果は出るんだよな。
無理して塩を大量に使わなくても良いんだけど、俺以外だと劣化してボロボロになるからこの方法は使えない。結局のところ、塩を使って早く水分を抜くしかないんだよな。それと高濃度の塩分状態だと雑菌は繁殖し辛いんだっけ?。
それもあって昔から保存食には塩だった筈なんだが、あまり詳しく覚えていない。この世界だと上手くやればアイテムバッグで長期保存は可能だからなぁ……上手くやれば。
そろそろ食堂に行くかと思い、椅子から立ち上がって部屋を出る。食堂に着き、放置してある樽やコップを片付けていると皆が起き出してきたが、3匹は未だに干し肉をモグモグしている。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ」 「グル」 「ワン」 「………」
「3匹は朝から干し肉を食べてたのかい? 朝食もあるから沢山食べちゃいけないよ。それよりも、今日はどうするんだい? 休み? ……まあ、そうだろうね。草原から帰ってきたばかりだし、何故か王城というか王太子に呼ばれてるみたいだしね」
「騎士団の事でもありますから、ライブルかもしれませんね。しかし魔物の素材の事でしたから、おそらくは武器強化の事を考えているのでしょう。近衛の標準装備は鉄ですから、武器強化をすると直ぐに劣化してしまいます」
「身体強化がある程度正しく出来るようになれば、当然武器強化の事を考えるわよね。その結果、武器を劣化させる者が多く出てしまった……それで武器強化が出来る武器が欲しくなったと」
まあ、より良い武器を求めるのは、当たり前と言えば当たり前の事だしなぁ……。しかも自分で獲って来れるなら余計に欲しいだろうさ。
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0474終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨140枚
大銀貨252枚
銀貨232枚
大銅貨313枚
銅貨144枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




