0472
子供達の相手をしながらだったが、ガルドルさんの家に近付くと子供は居なくなった。こっちは村外れだし、行ってはいけないとでも言われているんだろう。
家の前でガルドルさんを呼ぶと奥さんが出てきた。なのでガルドルさんが居るか聞くと、鍛冶場に篭っているらしい。
案内してくれる奥さんに付いて行くと、途中で3匹が娘さんに捕まっていた。3匹に娘さんと遊んでてくれと頼むと一緒に遊び始めた様だ。
鍛冶場に居たガルドルさんは鉄を叩かずウンウン唸っていたので、声を掛けてから鍛冶場の中に入る。
「お主か……今日はいったいどうしたのだ?」
「実はですね、草原の方で戦争があって参加する羽目になったんですよ。戦争自体はもう終わってるんですが、敵にプレートアーマーの部隊がありましてね、戦利品として大量の鉄を貰ったんです。精錬して減らしたんですが邪魔なんで、買い取ってくれませんか?」
「ふむ……まあ、お主が精錬したという事は相当質の良い鉄にしてあるだろうから、買い取るのは問題無い。それよりも、量がどれだけあるかだな。最近鉄の武具も良く売れるので金はあるのだが、買える量にも限度があるからな」
俺はインゴットにしておいた鉄をどんどん出していく。最初は普通だったんだが、全部出した今は唖然としている。奥さんも唖然としているので、思っているよりも遥かに多かったらしい。
「流石にこれだけの量の鉄は買えん。量があまりにも多過ぎる。思っていたよりも遥かに多いが、いったいコレはどういう事だ?」
「最初に戦ったプレートアーマーの部隊は400人居たんですよ。その後、別の部隊の100人も倒したんで全部で500人ですかね? 更に1人1人が大きな鉄を張りつけた盾も持ってましたんで……。これでも5氏族と山分けにして減らしたんですよ?」
「減らしてコレとは……。という事は、敵のプレートアーマーは、しっかりとした重いプレートアーマーだったのだろうな。6等分してこの量という事は、キッチリと細部まで鉄で作られた良質のプレートアーマーだったのじゃろう。でなければ、これ程の量にはならん筈だしの。ワシが買えるのは半分だな」
「じゃあ半分買い取って下さい。こんなに鉄が大量にあっても、使わない俺からすれば邪魔でしかありませんし、アイテムバッグにも限度がありますからね」
「まあ、そうだろうな。そういえば、お前さんが王太子殿下に言ったのか? 久々に王城から依頼があったぞ? 刀を2本とグラディウス? とかいう剣だ。何でも王都の鍛冶師どもでは上手く作れんらしい。こっちとしては仕事なんで構わんのだが、あの剣はなかなか良いな。アレもお前さんが教えた物だと聞いたが?」
「そうですね。王都の鍛冶師組合は帝国の間者に乗っ取られてたんですよ。その所為で、何の為なのか分からない剣を作ってたんで、兵士や騎士が使うなら頑丈な方が良いだろうと教えたんです。まさか、ガルドルさんの所にまで注文を出すとは思いませんでしたよ」
「成る程、それでか……。あのクズどもと仕事をするなど御免だったから、この村まで来たのだが、まさか帝国の間者だったとは……。どうりで滅茶苦茶な事を言う筈だ。最初から王国の鍛冶師を潰す気だったのであろうよ」
そんな話をした後、ガルドルさんから金貨3枚を受け取り帰る事にした。玄関まで見送りに来てくれたガルドルさん達に礼をして、ウィンさんの所に向かう。
武具屋で鉄が売れれば良いんだが、売れなかったらどうしようかな? 最悪は、鍋とか釘にして売っ払えばいいか。
「やあ、いらっしゃい。ウチに来て買う物なんてあったかい?」
「いえ。今日はですね、買い取ってほしくて来たんですよ。ガルドルさんでも買い切れない程の鉄がありましてね、それで困ってるんです。あ、後ついでに魔物の素材もです」
ウィンさんにも草原での戦争の話をし、納得してもらったので鉄のインゴットを出す。全部出し終わると難しい顔をしていた。やっぱり量が多いらしい。
「ウチは武具屋だからねぇ……買い取れるのは半分が良い所だね。ただ、邪生の素材は高く買い取らせてもらうよ。それに真っ直ぐに変形してもらったりしたからね! 使い道が色々できるし、本当に劣化しない【練成魔法】って凄いよ!」
全部で金貨1枚と大銀貨16枚になったのは大きな収入と言えるかもしれないが、未だに鉄が余っているのはマイナスだ。
とはいえ4分の一にまで減ったんだから、大分減ったとは言えるか……。邪魔でしかないが、アイテムバッグに残したまま宿に帰る事にした。売れる場所も無いしな。
部屋に戻ると、皆は久しぶりの村だからか寝ていたり買い物に出掛けたりしている様だ。寝ているフォルを起こさないように、静かに遊んでいる3匹と一緒にゆっくりする。
そういえばと思い、【無音動作】を使ってそっと部屋を出たら村を出る。川を少し遡り石をある程度回収し、木を1本伐って収納したら村へと戻る。
村の中の食料店で殻付きの小麦を銀貨2枚分買ったら宿へと戻り中庭に行く。まずは拾ってきた石を使い石臼を作る。構造自体は単純だし、この世界にもある物なのでパパっと作り試しに動かす。
問題無い様なので幅の狭い石臼も2つ作り3種の石臼が出来た。次に木を使って目の細かい篩を作ったら殻付きの小麦を挽いていく。
1番幅の広い石臼で挽いた後で篩に掛けて殻などの不要な物を排除する。更に幅の狭い2つの石臼で挽いたら、綺麗な小麦粉の完成だ。
流石に【錬金術】や【練成術】を用いた時とは違い若干残っているものの、全粒粉に比べれば真っ白と言っても差し支えない小麦粉となった。これなら料理が美味しくなるだろう。
ええ、この小麦粉はあげますから、だから横でジーっとこっちを見るの止めてくれませんかね? 俺が綺麗な小麦粉を渡すと喜んで持って行く女将さん……。
石臼作ってる辺りから横でジーっと見続けていたんだよな。一言も発さないからちょっと怖かったんだ。何と言うか、無言の圧力をガンガン感じながらの作業は余計に疲れたなぁ。
石臼と篩をアイテムバッグに収納したら、食堂に行って少しゆっくりする事にした。聖水をコップに入れて飲みつつボーっとしていると、買い物などに行った皆が続々と帰って来ては酒作りを頼まれた。どうやら大分減っていたらしい。
土の季節は果物が豊富なのと久しぶりにアルダ酒、つまりシードルが飲めるとあって喜んで買い占めて来たらしい。……良いのか? 怒られたりしない?。
話を聞くと2日後にアルダは入荷するらしく、売れ残るよりはと食料店が売ってくれたそうだ。他にも酒の肴になりそうな物も含めて色んな話を聞きながら夕食まで酒作りをした。
途中でフォルが起きてきて、急いで食料店に酒の材料を買いに行ったのは笑ったが。それと、早めの収穫がされた柿をディルが持っていたので、【熟成】を使って熟しすぎ一歩手前のジュクジュクの柿を作るとディルは凄く気に入ったみたいだ。
アレって人によって好みが分かれるんだよなー。俺はどっちでも食べるし特に問題は無いんだが、人によってはジュクジュクがダメって人もいるし、ディルみたいに気に入る人も居るからなぁ。
栗とかは無いのかなと、ふと思ったが、俺が食料店に行った時も見なかったな。栗の事を話すと皆が疑問符の付いた様な顔をしているので、この近くには無いんだなと思って話すと、イガイガは在るらしい。
つまり栗は在るんだが、誰も食べられるとは思わなかったみたいで、食べ物扱いされていなかっただけみたいだ。大森林には結構落ちているらしい。
栗のイガイガは、この季節の風物詩で天然のトラップみたいな扱いをされているようだ。足元に気を付けない奴等が踏んでしまい余計な怪我を負うのは、良くある新人の失敗なんだとさ。
栗が沢山落ちるって事は、魔物の餌は豊富にあるって事か。山の方には団栗の木も多いのかもしれないな。アレも色々な生き物の餌になる重要な木だしな。
大森林は、やっぱり食べ物が豊富なんだと分かる。特異点になる筈だ。
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0472終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨140枚
大銀貨252枚
銀貨232枚
大銅貨332枚
銅貨144枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




