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0464




 帰り道を走りながら隠密の4つの技を使う。全速力で走っていると、前方で戦いの音がし始めてきた。どうやら、まだ戦っているらしい。


 ウチの女性陣については、ギリギリまで手出しをしない事は決めてある。これは草原の民の戦争であるという事と、彼らの戦いを尊重する為だ。


 戦場を突き抜けるように走りながら、草原の民の戦い方を見るが散発的な戦いしか出来ていないらしい。どうやら矢が無くて戦えない者が多い感じだ。敵の数も残りは300程と多くないので、余計に散発的にしかならないんだろう。


 俺は戦場を縦横無尽に動き、まだ使える矢を全て回収したらウォルガの氏族長の下に行く。近付いた後で隠密の4つの技を解除したら、護衛の戦士がギョっとして慌てて警戒を始める。俺は謝罪しつつ近付き、矢を取り出しながら話していく。



 「驚かせてすまない。敵軍の責任者と言える貴族っぽい奴等は逃げ出していたが、追い駆けてブチ殺してきた。後、戦場に散らばってた使えそうな矢は回収してきたんで使うといい。早く戦争を終わらせて、凱旋しなきゃいけないだろ?」


 「感謝いたします。おい! 皆に矢を渡してこい! その矢で一気に終わらせるぞ!」


 「「「「「ハッ!」」」」」



 氏族長の横で護衛をしていた戦士達が、前線に居るものの矢が無くて戦えなかった者達に補給していく。補給を受けた者達は敵の周りを走り出し、タイミングを合わせて一斉に矢を射ち始める。


 敵の周りを回るように走りながら矢を雨のように降らせて攻撃する。これが草原の戦士の戦い方みたいだ。


 結局、俺が矢を補給してから20分くらいで戦闘は終わった。途中から【浄化】の権能を使って、戦場を浄化していたので邪生は生まれていない。


 ただし、俺が居ない間に敵が3人ほど邪生になったので、それなりに犠牲者が出てしまったようだ。ウチの女性陣は協力しようかと言ったんだが、断られたらしい。


 彼等の戦いを汚す訳にもいかないので、已む無く見守る事にしたそうだ。その結果、被害が出てしまったらしいが、それが彼等のいつもの戦争でもあるので何とも言えない。


 俺達は塩を運んでくるだけの筈が、いつしか戦争に巻き込まれてたんだよなぁ……。今さらな事に気付いたが、本当に今さらでしかなかった。


 戦闘後、戦士達が倒した敵の死体や戦場をあさり、持ち帰る物などを選別している。その間、俺達は穴を掘って、身包みを剥いだ死体をどんどん放り込んでいく。


 いつも通り、ある程度溜まったら【浄炎】で燃やし、また死体を放り込んでいく。既に持ち帰る物を手に入れた者達が手伝ってくれたので、予想よりも早く終わらせる事が出来た。


 実際、敵の数はかなり多かったので大量の死体がある。俺達だけなら結構な時間が掛かっていただろう。戦士達が手伝ってくれた御蔭で、穴を3つに増やして3人で【浄炎】を使う事が出来るようになったのが大きかった。


 最初の1200の内500程は倒していたが、残りの700と後詰の800を合わせた1500程と戦った訳だからなぁ。1500程の死体を焼くのは本当に大変だ。


 俺達だから連続で使い続けられるんであって、普通の奴等じゃ絶対に無理だ。……考え事の最中に、誰かのお腹が鳴った。そう言えば、また昼食を食べてなかったな。


 昼食を食べておらず、お腹が減っているみたいだが、このままウォルガ氏族の居留地まで帰るのか、それともここで野営をするのかが分からない以上は料理が出来ないんだよな。


 落ち着ける場所なら良いんだが……すまんが、この干し肉でも噛んでてくれ。俺はフォルに干し肉を渡すと、4匹にも多少渡しておいた。


 戦士達の方を見ると、馬に乗って移動している。疲労困憊と言える状況なのに帰るのかと思い、近くの戦士に聞いてみると、死体を埋めた場所の近くではゆっくり眠れないとの事で少し離れるらしい。


 まあ、答えには納得したのでついて行くか。……別に不満がある訳じゃないんだ、若い戦士達はボロボロで動くのも大変そうだと思っただけなんだ。


 馬に揺られながら、眠いのか体力が空なのか、フラフラしている若い戦士達に声を掛けながら移動していく。ある程度移動し夕日が出てきたところで止まり、野営用のフルゲを建て始めた。


 俺達はそこから少し離れた所に土のカマクラと焼き場を作る。アイテムバッグから焼き網を出したら、料理を始めよう。といっても邪生の肉は全て食べたので、かす肉の馬乳スープと干し肉を戻した物を焼いてパンに挟むくらいだ。


 ……小麦粉があるんだし、スープじゃなくうどんにするか。小麦粉、塩、聖水を混ぜて練っていき、練り終わったら【熟成】を使って生地を休ませる。その間にスープを干し肉とかす肉と野菜で作り、香辛料で味を整える。


 【分離】で生地を麺にしたら、小鍋に聖水を入れて【加熱】して沸騰させ茹でていく。今日の麺は締めなくてもいいか。【冷却】と【浄化】で締めても良いんだが面倒だ。


 茹で終わった麺をスープを入れた椀に入れて完成だ。麺は沢山作ったのでお代わりの分はある。それじゃあ、そろそろ食べようか。



 「久しぶりだけど良いね、うどんは。盗んできた食料の中に小麦粉が沢山あったらしいけど、アルドはパンにはしないね? 作る手間は然程変わらないと思うんだけど、硬パンを買ってくるのには何か意味があるのかい?」


 「別に意味も何も無いけどな。ただ、パンを作るには酵母が必要だった筈で、それが無いと柔らかいパンは作れないって聞いた事があるから作らないだけだよ。酵母の作り方は知っているけど、パンの作り方を詳しく知らないんだ」


 「パンの作り方ですか……それよりもアルドの言った酵母の方が気になりますね。それはもしかして、吸血鬼の里で作っている瓶に入っている物でしょうか? 何でもパン作りには欠かせない物らしいのですが……」


 「ああ。果物なんかで作るアレね! 確かにアレを入れた方が柔らかくなって美味しいのよね。私の家では”パンのアレ”としか呼んでなかったわ。正しくは祖母がそう呼んでいたから、私もそう呼んでいるだけなんだけど」


 「私も知ってるよ。アルドはアレを酵母と呼ぶみたいだけど、アレに決まった名前なんて無いよ。色々なところに有ったり無かったりするもので、高位の貴族の家なんかでは作ってるんじゃないかな?」


 「ふむ、そういったパンを柔らかくする物があるのか。私は聞いた事が無いし、柔らかいパンと言われてもピンと来ないな。硬パンでなければ柔らかいと思うが……」


 「ぼくは知ってるよ。上手く作れる人は割と簡単に作れる物だよね? 孤児院でも作ってる人が居たよ。確か、貴族の家の下働きをしている知り合いから教えて貰ったとか言ってたかな? でも、そんなに柔らかくなったっけ?」


 「確かパンに酵母を混ぜて練ったあと生地を休ませて発酵させる。これが一次発酵で、その後パンから空気を抜いたりして潰したら生地を寝かせる。これが二次発酵。二回発酵させてから焼かないと、柔らかいパンにはならなかった筈だよ」


 「「「………」」」



 うん? ダナとメルとアルメアが驚いて固まってるんだが、料理をする3人が固まってるって事は知らなかったんだな。


 何となくだけど、この世界のパンは酵母を使っていても一次発酵までしかしてなかったんだろう。そしてそれが当たり前だったと……普通に売ってるパンは酵母を使ってる形跡が無いんだよな。


 多分だけど、手を抜いて安く仕上げているんだろう。知っていても知らなくても、安く仕上げて高く売るのは商売の基本だしな。暴利を貪るのでも無い限りは普通の事でしかない。


 そこに怒ったりはしないが、美味い物があればそっちを買うのは当然だ。誰かが始めれば、硬いだけのパンは売れなくなる気がするんだけど……誰かやってくれないかなぁ。


 ルーデル村に帰ったら旦那さんにでも教えて、柔らかいパンを普及してみようかな? そうすれば酵母を使って発酵させたパンが主流になるかもしれない。

 

 今さら俺の命を狙ってくるバカは居ないだろうし、居たら始末すればいい。



 ▽▽▽▽▽


 0464終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨9枚

 大金貨36枚

 金貨135枚

 大銀貨236枚

 銀貨237枚

 大銅貨354枚

 銅貨144枚


 神鉄の太刀

 ヒヒイロカネの矛

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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