0462
皆の朝食が終わったので、いつもの様に食器などの浄化を終えた後、ゆっくりと中央のフルゲへと向かう。
中に入ると、中央奥にウォルガの氏族長、その右後ろに先代さん。右にセム氏族とロン氏族の戦士長、そして左に手枷と足枷を嵌められたコーニャ氏族とボルン氏族の戦士長が転がっている。
俺はフルゲに入る直前から、このアホ2人には【白痴】を使って準備をしておく。俺達はいつも通り、入り口に1番近いところに座る。すると早速とばかりにウォルガの氏族長が話しかけてきた。
「朝早くから御足労頂き、ありがとう御座います。つきましては、この2人を拘束したのが貴方だと聞きましたが事実でしょうか? そして、されたのであれば、何故こんな事をなされたのでしょうか?」
「それを話すには、まず昨夜……と言うより今日の朝かな? 朝早く、敵の食糧を奪いに行った話をする必要がある。まず、逃げて行った敵軍の野営地に侵入し食糧を奪ってきたのだが、その際に中央の豪華なテントに侵入し敵の情報を得てきた。この手紙だ」
俺は横にいた警護の若い戦士に、ウォルガの氏族長へ手紙を持って行かせる。手紙を読み進めると段々顔色が悪くなっていくのを見て、周りも何が書いてあるんだと騒ぎ始めた。
「静まれ!! この手紙には後詰の軍が来る事が書かれているだけだ。……これは真の事なのですか?」
「真実だが、その事はどうでもいい。後詰の軍の野営地にも侵入して食糧を奪ってある。それよりもだ、その後詰の軍の豪華なテントにも侵入したんだが、そこでこんな手紙を見つけた」
俺は先程手紙を運んでくれた若い戦士に手紙を渡す。その手紙を受け取って読み進めたウォルガの氏族長は、顔を真っ赤にして射殺さんばかりにアホ2人を睨みつけている。
あの裏切りの証拠を読めば当然そうなるわな。最初から裏切り者が居たんじゃ、俺達が居なかったら確実に草原を切り取られてただろうし。
「この愚か者どもめ!! 草原の戦士でありながら裏切りをするとは許し難き事よ!! 貴様らのやった事は許される事ではないぞ! 草原を売り払うような事をしおって!! コーニャ氏族長とボルン氏族長には俺から話をしておく。貴様等の一族郎党は全て放逐だ!!」
「「なっ!?」」
「我等が裏切ったとて何が悪いのだ!! 良い暮らしの為に氏族を売って何が悪い! 贅沢がしたくて何が悪いと言うのだ!!」
「然様だ! おのれ等とて贅沢をしておろうが! 我等はいつまで経っても下っ端ではないか! 成れても戦士長にしかなれぬ! 氏族長ほどの贅沢をするには裏切るしかあるまい!!」
【白痴】を使ってるからか、堂々と贅沢がしたいから裏切ったと言ってるなー。本人等はマズいと思って言い訳をしようとしてるんだろうが、口からでるのは本心と事実のみ。
あまりにも堂々と贅沢の為に裏切ったと言っているので、周りの奴等は唖然としている。
「お前等本当にバカだなぁ……。そんな手紙を持ってきていると言う事は、草原を切り取った後、邪魔者のお前等を草原の民に始末させる為に決まってるだろうに。どのみち、俺がその手紙を取ってこなくても、お前達はバラされて終わりだったんだよ」
「「!!!」」
「言われてから気付くほどの無能だから利用されるんだ。自分達が賢いとでも思っていたのか? お前達は最初から唯のバカだったぞ?」
「その者どもを外に出せ! 草原の掟に従い処刑する!!」
連れ出されるアホ2人は最後までギャーギャー喚いていたが、戦士達に無理矢理連れ出された。その際に手枷と足枷は外しておいたので、今は回収してアイテムバッグの中だ。
いったいどういう方法で処刑するのか聞いてみると、刃物で首を斬り失血死させるというものらしい。その後、死体を放置して終わりなんだそうだ。
草原の魔物に食われるところまで含めて罰ならしく、共同の墓に入れてもらえないのは氏族の者ではないという事になるらしい。
それぞれの氏族には季節毎の居留地に昔から続く墓があるそうで、亡くなったらそこに埋葬されるんだそうだ。代々の氏族の者全員が入る墓なので、連帯感の為に共同にしたのかね?。
季節毎に移動するが、居留地に到着したら直ぐに墓を詣でるのが氏族の掟だと教えてくれた。奴等はそこに入れず、何処かも分からない場所で死に、魔物の腹の中が墓という事か。
草原の民としたら、非常に重い罰なんだろうな。俺には全く分からないが。死んだらそれ以上の苦痛は無いしなぁ。
まあ、ケチをつけたい訳じゃないんで、それ以上は考えるのを止めようか、意味無いし。
俺はウォルガの氏族長とセム氏族とロン氏族の戦士長、それにコーニャ氏族とボルン氏族の戦士長代理に食糧を分けて渡していく。彼らもここまで多いとは思っていなかったんだろう、大慌てで受け取っている。
フルゲの中で食糧を出していき、話し合いの後に各氏族のアイテムバッグに入れていくのだが、その量が多過ぎたのか途中で受け取りを拒否された。アイテムバッグの容量が厳しいらしい。
実はウォルガ氏族以外は、持って来ているアイテムバッグが全て小型だったので入れられる量が多くない。まあ、中型を持つウォルガ氏族でも厳しいらしいのだが……。
結局、彼等が拒否するまで食糧を渡したものの、3分の一近くは余ってしまった。仕方がない、俺達でゆっくり食べていくか。売ると言ったって高が知れているし、食べた方が無難だろう。
重装兵の多くを失い、食糧も全て失ったので戦争が出来る訳も無く、ムル国の連中は撤退せざるを得ない。更に、全て合わせて2200名の兵士を動員していた事も説明する。
そこまでの兵を動員した以上は相当の金銭を使っているので、次に攻めるには結構な時間が掛かるだろうという事も説明しておいた。
各氏族の代表は納得している様だったので、そこで話を終わらせる。別に何かがあった訳じゃなく、もしかしたら破れかぶれで突っ込んでくる可能性を考えただけだ。
重装兵400を失ったとはいえ、残り1800が飢えて突っ込んでくると厄介な事になるが……敵も流石にそこまでバカじゃないだろう。
そう思っていると一人の戦士が慌てたようにフルゲの中に入ってきた。……考えただけでフラグか?。
「失礼します! ムル国の兵と思われる者どもがこちらに迫ってきております! かなりの数の者が攻めてきており、正確な人数は分かりません!!」
「飢えた奴等が、こっちを攻める事を選んだという事か……。しかし、何で食糧も無いのに命令を聞いてるんだ? 普通の軍なら食糧が無いとなれば兵士は命令を聞いたりなんてしないぞ?」
「もしかしたら、こっちを攻めれば食糧が有るとでも言ったんじゃないかな? 襲って奪えば食べられるって言えば、飢えた連中も言う事を聞くかもしれないからね」
「私もアルメアの言う通りだと思う。飢えた獣の様な連中だと考えれば、命令と言うよりも食糧を求めて襲ってきているだけだろう」
「この状況で使える策は2つだな。一つはここから撤収して逃げる事だ。奴等には食糧が無いからな、放っておけばドンドン弱っていく。飢えで十分弱った後、各個撃破すれば済むという方法だ」
「成る程、飢えている連中と無理して戦う必要は無いという訳ですな。今は獣の如く暴れる連中も、更に飢えれば力を出す事も出来なくなる。そうなれば戦士に成り立ての者ですら戦えるでしょう」
「もう一つは、いつも通り戦う事だ。当然ながら相手の攻撃範囲には入らず、馬の機動力を活かして外から矢を射続けて殲滅するという方法になる。飢えている連中に、冷静に隊列を組んだり戦う事なんて出来ないからな。最初の戦いとは違って敵はそこまで纏まってはいないだろう。どっちにする?」
「………戦いましょう。我等は不老長寿の方々にお任せするばかりで、殆ど何もしていませぬ。それでは草原の戦士の名折れ。ここで敵と戦い、見事に打ち払わねばなりません」
そう言って、ウォルガの氏族長はフルゲの外に出た。
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0462終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨135枚
大銀貨236枚
銀貨237枚
大銅貨354枚
銅貨144枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




