表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
462/1948

0461




 まさか、また食糧を盗むという事をやるとは思わなかったが、これが有効な戦術である以上は仕方がない事でもある。


 そんな事を考えつつ、食糧を載せた輜重の馬車からドンドン盗んでいく。アイテムバッグに詰め込めるだけ詰め込みながら回収していき、体感で一時間くらいで全てが終わった。


 かなりの時間が掛かったが、1200名分の食糧と考えれば致し方がないとも言える。それでも切り詰めて持ってくるのが当然の事だ。


 干し肉や小麦粉など保存が利く物が殆どで、一部青豆なんかもあった。アレも塩を振ってボリボリ食べるだけの物だが、よくある物なだけに兵士が不満を持ちづらいのかもしれない。


 帝国の時には小麦粉と野菜だけだったが、ムル国の場合は種類が豊富な代わりに生鮮食品が無い。攻め込む先が草原だと言う事もあるんだろうか? そこらへんの野草を……って、可能性が結構高そうで困る。


 確か日本の戦国時代の戦もそんな感じで、相手の領地に攻め入ったら、そこの野草なりを食い荒らすんだっけ? ペンペン草も生えないほど食い荒らすんで、その後飢える者が続出するって何かで読んだな。


 しかし、1200名分の食糧は持ってきていると思える量だったので、野草云々は無いと思うんだが。まあ、敵軍の食糧事情を考えても仕方がないか、そもそも俺は盗む側だしな。


 しっかし、まだ着かないの……あった。あれが後詰の軍か。近付いて……輜重は後ろね。了解、了解。


 さて、今度はこの馬車の中身を奪っていかなきゃいけないんだが、歩哨が2名立っているんだよなー。一気に眠らせても良いんだが、まずはぐるーっと回って調べてみるか。


 ……あっぶねぇ、歩哨を見張る歩哨が居るぞ。と言っても、歩哨を監視する歩哨を監視する歩哨を監視……という厄介なものでは無かったので安堵している。


 歩哨が居て、それを監視している歩哨が居るだけだ。食糧を積んだ馬車の前の歩哨は、馬車の警戒しかしていない。つまり歩哨を監視している歩哨から眠らせれば良いだけだ。


 そっと近付いて【昏睡】を使い眠らせたら、その場に横たえておく。次に馬車を守っている歩哨を眠らせて準備は完了だ。


 【昏睡】で強く眠らせているので、相当な衝撃を受けても起きる事は無い。今の内に食糧を全て奪い、これ以上進軍出来ないようになってもらおう。


 俺は手当たり次第に食糧をアイテムバッグに収納していき、体感で一時間ほど経った頃にようやく終わった。まだ夜は明けてないが、そろそろ撤退しないとマズいかもしれない。


 そう思い、最後に中央にある豪華なテントに近付き【空間把握】で様子を窺うと、中ではカイゼル髭のオッサンが寝ていた。


 先鋒を任されていた太ったオッサンと違い、こっちはカイゼル髭かよ。本物のカイゼル髭を生で見るのは初めてだ。もちろん、大した意味は無い。


 寝ている場所の近くには色々あるが、驚くべき事にマナリアのロングソードとアイテムバッグが置いてある。このオッサンの私物だと思うが、希少金属製の武器を戦場にまで持ってくるなよ。


 俺はオッサンに【昏睡】を叩き込み、マナリアのロングソードとアイテムバッグを盗んで撤退する。貰える物は慰謝料として貰って行くに決まってるだろう。アイテムバッグも中型だし、とてもラッキーだった。


 後詰の軍の野営場所から離れてからアイテムバッグの中を確認すると、多少の食糧と金銭と手紙が幾つか入っていた。中を読むと、あのコーニャ氏族とボルン氏族の戦士長へと宛てた手紙だ。


 どうやらあのバカどもは裏切り者だったらしく、ある程度戦った後に撤退を進言させて、領地の切り取りを確定させる気だった様だ。戦場にワザワザこんな手紙を持ってきている時点で、バラす気マンマンだよなぁ……。


 アホが捨て駒にされるのはどうでもいいが、この手紙は上手く使って膿を出してしまうべきだろうな。俺は急いで皆の下に帰る為、【突風】まで使って全速力で走っていく。


 ちなみに、入っていたお金は大金貨以下が20枚ずつだった。取引用に持ってきたんだろうか? 妙にキッチリ揃ってるな?。


 朝日が顔を出し、ゆっくりと夜が明け掛けている時刻になったが、やっと帰ってこれた。俺は直ぐにアホの居るフルゲに行き【昏睡】を使った後、手足に枷を嵌めて拘束する。これで逃げる事はできなくなったな。


 やれやれ、アホを断罪する前に朝食の用意をするか。俺はカマクラの前に戻り、寸胴鍋にかす肉と野菜を入れて聖水を注いだら煮込んでいく。


 小麦粉に塩と聖水を加えて練ったら、団子状にして鍋に入れて一緒に煮込む。次に小さな鍋と脂の入った壺を取り出し、【念動】を使って鍋の中に脂を入れていく。


 【加熱】して脂が溶けて揚げ物を作る温度になったら、残っている邪生のビッグボアの肉に小麦粉を付けて揚げ始める。


 シャー、パチパチという音と共に良い匂いがしてくるが、カマクラを閉じているので起きてこない。次々と揚げていき、揚がった物は皿に載せていく。全て揚げきったら余分な油を【抽出】し壺に入れて【浄化】する。


 これをしておくと、何回揚げ物を作っても油が減る事はあっても綺麗なままなんだ。廃油にせずに最後まで油を使い切る事ができるので、物凄く便利だと思う。元の世界じゃ絶対に出来ない事だな。


 さーて、そろそろカマクラの入り口を開けるかー。


 カマクラの入り口部分をそっと壊し、土埃が立たないように開けて少し待つと、途端に全員が目を覚ました。


 女性陣はともかく、4匹は昨夜お腹いっぱい食べて大変だったろうに。食事の臭いで目を覚ますとは……また同じ事になったらどうすんだ。



 「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」


 「おはよう、皆」 「ニャア」 「ガルゥ」 「ウォフ」 「………」


 「何だか良い匂いがすると思ったら、蛇肉のから揚げだね。それにスープの用意も終わってるみたいだけど……昨夜、食糧を盗みに行かなかったのかい?」


 「いや、食糧は二ヶ所から奪ってきたから沢山あるよ。それに色々大変だった事もあってね。まあ、その話は朝食が終わった後にする事になると思うから、その時まで待ってくれ」


 「また厄介な何かがあったんですね? うん? この椀に入れてくれた白い物は何ですか? 小麦粉を練った物? ……ああ、パンの代わりですか。へぇー、これは<すいとん>と言うんですね。まあ、頂きます」


 「小麦粉を練った物に味が染み込んでいて美味しいわね。柔らかくて食べやすいし、苦労もせずに作れそうなところも良いわ。それにしても蛇肉に小麦粉を付けて揚げると、こんな風に変わるのね」


 「前のはカリカリの衣だったけど、今回のはしっとりという感じだね。これはこれで美味しいから、後は好みの問題じゃないかな? 私はこっちの方が好きだよ」


 「私はカリカリのも良かったと思うが、どちらにしても美味しいから特にどうこうとまでは思わないな。それよりも、他の肉を揚げるとどうなるのかの方に興味がある」


 「あー……確かにそうだね。他のお肉ならどんな感じになるかは気になるよ。油でギトギトになるのか、それともサラっと食べられるのか。鹿肉なんかはちょっと怖いけど、楽しみでもあるかな?」



 鹿肉なー……想像もつかないがどうなんだろうね? 確かにちょっと怖い気はするな。それにしても皆朝からよく食うなぁ、4匹もそうだけどさ。猛烈な勢いで食べててビックリする。


 俺は一足早く食事を終えたので、食器などを浄化しながら皆の食べっぷりを見ていると、近くに複数の戦士がやって来た。



 「申し訳ありません。コーニャ氏族の戦士長とボルン氏族の戦士長が、手枷と足枷をされて拘束されているのですが、何かご存知でしょうか?」


 「知っている、というかやったのは俺だ。説明は後でするから”朝食後、中央のフルゲに行く”と伝えておいてくれ。後、その2人は絶対に逃がすなとも言っておいてくれ」


 「「「ハッ!」」」


 「一度の説明で済ませたいんで、皆に先に伝える事はしないぞ? 大した事でも無いしな」



 若干疑いの眼差しを向けられてるのは、何故だ?。



 ▽▽▽▽▽


 0461終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨9枚

 大金貨36枚

 金貨135枚

 大銀貨236枚

 銀貨237枚

 大銅貨354枚

 銅貨144枚


 神鉄の太刀

 ヒヒイロカネの矛

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ