0455
皆と朝の挨拶を終えたのだが、直ぐにでも朝食を食べたいらしく催促された。起きて直ぐだけど、まぁいいか。
俺は少しだけスープを煮込み、その間に硬パンに聖水を【合成】して柔らかくしておいた。そのパンを全員に渡した後、スープを椀に入れて朝食の開始だ。
馬乳のスープは柔らかい味がするので、今回のも皆に好評だった。朝から食べるのに丁度良い味なんだろう。
そろそろ香辛料も厳しくなってきたが、コレはそう簡単には補充出来ないしなぁ……。流通は回復しているかもしれないがマールで買った香辛料も多いんだよ。
向こうまで行かなきゃ手に入らない香辛料もあるんで、流石に手に入れるのは難しい。まあ、いつかは無くなるんだし、次にマールに行くまでお預けだな。そんな話をしながら朝食を終えた。
食事を終えてゆっくりしていると、戦士が1人来て中央のフルゲに来てほしいと言われたのでついて行く。昨日と同じで族長の右に大僧正、左に長老衆が座っている。俺達は入って直ぐの族長の対面に腰を下ろし話を聞く。
「朝から御足労かたじけない。今日はこれからの事を話し合おうと思っていたのだが、早速ボルン氏族からの先触れが到着した。随分頑張ったらしく、夜通しで来てくれたので今は寝ているが、ボルン氏族は昼までには確実に到着するだろう」
「うむ。ボルン氏族がそれなら、一番遠いセム氏族は早ければ夜には到着するじゃろう。明日の朝に到着すると、戦士の出発は明後日になってしまうのう……。この差は大きいが如何するべきかな?」
「最悪、セム氏族は1日遅れで出発させては如何じゃ? 早う敵を止めねば押し込まれるやもしれぬ。確か73年前の戦いで、待った所為で押し込まれた戦いがあった筈じゃ」
「それは聞いた事があるが、58年前の戦いでは全氏族揃って戦いに出て快勝した事もあるぞ? 何も態勢が整わん内に出る事もあるまい。とはいえ、どうするかは族長が決める事じゃ」
「………全氏族が集まるのを待つ。今回は敵の装備がいつもと違うのでな、浮ついて戦っても勝てるとは思えん。俺は敵を甘く見る事はせん。父上も常々敵を甘く見るなと言っておられた」
族長の言葉に嬉しそうに頷く長老衆。どうやら、若い族長を迷わせる為にワザと逆の意見を言い合ったらしい。こうやって族長に相応しいかどうか試されていくんだろう。やっぱり上に立つって大変だなぁ……俺は絶対にやりたくない。
俺達はどうするかと問われたので、「今日一日動かないならベルーザの村まで野菜を買いに行ってくる」と言うと変な顔で見られた。大僧正から「いつお戻りに?」と聞かれたので。「夜までには戻ってくる」と言うと、余計に変な顔をされた。
どうやら早過ぎて理解が出来ないらしい。面倒なんで、それ以上は説明せずに話を終わらせた。今日一日休みだと分かったので、全力で走って買いに行ってこよう。
カマクラに戻った俺は、一応ダナに薪と炭と干し肉を昼食分渡しておいて出発する。今回は本当の意味で全力を出す為にフヨウも置いていく。ウォルガ氏族の所を出た後、身体強化と共に【風魔法】の【突風】を使った。
魔力を強く込めて使えば、背中を押す強風にする事も可能な魔法だ。ウォルガ氏族のところから北東に向かって一気に進んで行き、昼になるより早くベルーザ村に到着した。
俺もまさかここまで早いとは思ってもいなかったのだが、【突風】の威力を甘く見ていたかもしれない。
村の食料店に行き、野菜を金貨1枚分買っていく。店の人には拒否されかけたが、西のムル国が攻めてきた話をすると売ってくれた。他にも硬パンを大銀貨1枚分、馬乳も銀貨3枚分購入して店を後にした。
武具屋に行き探していると目的の物を発見した。銅製の鎧か鎖帷子が無いかと思って来たんだが、両方ともあって良かった。鎧は大銀貨1枚で、鎖帷子が銀貨4枚だったので即購入する。
食堂に行き早めの昼食と思い大銅貨1枚を払って食事をした。ベルーザ村でやるべき事は終わったので直ぐに出発し、村が見えなくなるまで進む。見えなくなったら立ち止まり、買ってきた野菜を全て冷凍して保存し直す。
栄養がどうのこうのと言っていたが、野菜が無いよりマシだという事を今回は痛感した。なので冷凍もフリーズドライも積極的にやっていこうと思う。
肉も野菜も穀物も必要なんだなぁ……味的にも。それが分かっただけでも良かったのかもしれない。飽食の日本じゃ分からなかったと思う。年中直ぐ手に入るし。
今度はウォルガ氏族の所へと戻るので南西へと全力で走っていく。途中、ダッシュボーアの邪生とビッグボアの邪生が居たので浄化してアイテムバッグに収納しておく。その後も走り続け、夕方前にはウォルガ氏族のところへ戻る事が出来た。
カマクラの前に行くと、4匹が駆け寄ってきて頭を擦り付けたり、頬を擦り付けたりしてきて動けなくなってしまう。皆もカマクラから出てきたので帰ってきた事を知らせ、早速鎧と鎖帷子を【融合】して一塊にしたら銅だけ【抽出】する。
その銅にニッケルを混ぜて白銅にしたら、【変形】させて小さめの寸胴鍋を作った。今まで7人+4匹分を2つの鍋で必死に作ってたんだけど、限界に近かったんで新しい大きな鍋が欲しかったんだ。
塩に強い白胴にしたからか、中々良い仕上がりになったんじゃないかと思う。自画自賛でしか無いが……。
その後、邪生の解体を行い、それぞれの部位に分けてアイテムバッグに仕舞っていく。少し思うところがあり、骨や腱などもアイテムバッグに収納しておいた。
まずは鍋を使ってかす肉を作っていく。ジュワー、パチパチという音と共に辺りに揚げ物の匂いが広がると、子供達が寄ってきて匂いを嗅いでいる。
お腹が減ったのか物欲しそうに見ていたので、揚がった物を少し分けてあげる。あまり食べると夕食の時に困るだろうから少しだけだが、それでも「美味しい!」を連呼してる。
子供って味が濃いのが好きだからなぁ。自分にもそんな頃があったなと思いつつ、どんどんと揚げていく。
すると、大僧正が来て俺の顔を見てビックリしている。夕方前に、ベルーザ村に行った筈の俺が居たからビックリしたらしい。
……が、その直ぐ後に、かす肉をジっと見るのはどうなんだ? アンタ大僧正だろうに。別に多少なら食べても良いけどさ。あーあー……揚がったところの奴は美味しいけど、熱いに決まってるだろ。
他の僧侶も寄って来たので、少しだけ分けてやる。「美味い! 美味い!」と五月蝿いので作り方を教えてやったら驚いているな。作り方ではなく、材料に驚いたらしい。
草原でも、獲物の内臓類は捨ててしまうんだそうだ。勿体ないと思うが食べ方なんかを知らないと、食べようとはしないのかもしれない。
元の世界とは違って、この世界だと冬である水の季節にも普通に魔物が居るからな。わざわざ内臓類を食べなくても、狩りに行けば肉は手に入ってしまう。
だからこそ、無理して食べるなんて事はしないんだろう。保存食の大半は、食べ物が殆ど得られない冬の為に発達したようなもんだ。
食べ物が得られるなら、逆に発達しないんだろうなぁ……。それでも地方によっては食糧の関係で発達したりもするんだよな。
この世界でもソーセージなんかは在るから、全く発達しない訳でもない。まあ、食べられる物が増えるんだから。誰も否定はしないだろう。食べない人は居そうだが。
僧侶達は新しい食べ物と油が手に入る事に喜び、「次に獲物が獲れたらやってみます」と言って去って行った。大僧正を無理矢理引っ張って……。というか、あの大僧正どんだけ食ったんだよ。子供達以上に食って行ったぞアイツ。
あの大僧正に、お肌テカテカの呪いあれ! ……実際それぐらい食って行ったんだよ、マジで。
レバーを一口サイズに切り、塩と胡椒モドキで味付けしながら、聖水で戻した干し肉と野菜と共に炒めていく。ニラっぽい野菜が売ってたんで買っておいたんだが、早速レバニラに使うとは思わなかったな。色々調味料が足りないが、そこは仕方がない。
それでも美味しそうな匂いがする。
▽▽▽▽▽
0455終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨115枚
大銀貨216枚
銀貨217枚
大銅貨334枚
銅貨124枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




