0453
お尻が痛いのと、俺達が乗っていると馬の負担が大きいので馬車を出て外を歩いている。大僧正は乗っていてほしそうだったが、俺達は断った。遅いうえに尻が痛いんじゃ話しにならない。今は外でボールを投げて遊んでいる。
ゆっくりと進む馬車に合わせて歩いているので、いつもより遥かに遅い。更にはウォルガ氏族の女子供を守らなくちゃいけないので、離れる事も出来ない。
まあ、守る対象が居るのでイライラはしないんだが、暇ではあるんだよな。だからボールを投げて遊んでいるんだが……。
それに走り回らないと、運動不足になるかもしれないし。単に4匹が楽しそうだからやっているという部分もあるんだけどね。
フヨウはカエデの背に乗ったり、マートルの背に乗ったりしている。飛び跳ねて背に乗ったりしているので、思っている以上に細胞が強化されている気がする。
朝食を食べていないのを思い出したので、干し肉を切って渡していく。歩きながら食べるというのもマナーが悪いが致し方がない。
干し肉を食べたり聖水を飲んだりしていると、近くに来てジーっと見てる子が数人居たので干し肉を分けてやった。「ありがとー」という言葉と共に馬車に乗り込んで行って「美味しー」を連呼している様だ。
3匹も歩きながら干し肉を齧り、とりあえずお腹を満たすと、ボールで遊んだりしながらついて行く。
塩を持ったままだが、撤退して落ち着く場所までは持っていてほしいと頼まれているので仕方がない。俺達としても無責任に塩を放り出していく訳にもいかないしな。
昼頃になり、一旦止まって昼食の用意となった。俺達は一団の外側に焼き場を作り、焼き網を出して準備をする。
硬パンはまだ沢山あるので問題無し。既に野菜は無いが、そこは諦めよう。昼だからスープ系を作ってもしょうがないので、普通に焼肉でいいか。
邪生のビッグディアーの肉が余っているので、取り出してステーキ状に包丁で切って焼いていく。人前なので【分離】などは使えないが、王角竜の包丁は良く切れるのでストレスは無かったりする。
それよりもスパスパ切れるのでちょっと楽しい。邪生の肉を焼いていくと相変わらず良い匂いがしてくるんだが、周りの女子供がガン見してきてちょっと怖い。
硬パンに水分を【合成】し柔らかくする。見られているので【錬金魔法】を使ったんだが、それでも驚かれたらしい。
驚き声と共にウチの女性陣が呆れた目を向けてきたが、「硬パンをそのまま食べたいのか?」と聞くと、呆れた目を止めて素直に柔らかくした硬パンを受け取った。やっぱり硬いままでは食べたくないらしい。
「あの……その肉は灰色の様ですが大丈夫なのですか? おそらく邪生の肉だと思いますけど、とても危険なのではありませんか? 私達だと肉類は全て破棄するので、食べた事は無いのですが……」
「うん? アンタは食べた事が無いのかい。邪生の肉はちゃんと浄化し切れば食べられるんだよ。特に邪生の肉は普通の魔物の肉より美味しくてね、アタシ達はよく食べるのさ。アンタも食べてみるかい? アンタ1人ぐらいじゃ大した量でもないしね」
ダナがそう言うので俺は邪生の肉を追加で焼き網の上に乗せる。ジュージュー音がして、脂が溶けて滴り落ちて弾け、辺りに鹿肉の油の甘い匂いが広がる。
そりゃこうなるよねー、と言わんばかりに周りに人が集まり、子供達は涎を垂らしている子も居る。ウチのメンバーを見回すと仕方がないと諦めた表情をしていた。
邪生のビッグディアーの肉をそこに居る者達に渡し、好きに食べる様に言う。貰った者達はそれぞれの量に切り分けて、各々に渡していた。
俺達は一足先に昼食を開始する。肉とパンだけだが、野菜類が無いのだからどうしようもない。パンに挟んで食べるのだが、肉の油が染みた部分が美味しい。ここに野菜のシャキシャキが欲しいと思うのは当然の欲なんだろうな。
そんなことを考えながら食事を終えると、あちこちから満足そうな吐息が聞こえる。邪生の肉を初めて食べたからか、大僧正まで夢中で食べているぞ。
血を穢れとしていないし、肉食を禁忌にもしていないので当たり前のように貪ってるなー。僧侶の中には泣きながら食ってる奴まで居るぞ……。いや、マジで、そこまでか? 泣くほど美味いか? 美味いのは美味いんだが……。
まあ、アレ等は放っておこう。邪生の肉は完全に浄化しないと食べられない事は何度も言っておく。完全に浄化しないまま食べると、邪生になってしまう危険な物であるという事も合わせて伝える。
浄化も碌にせず食べるのは危険すぎると、ここに居る者達は理解しただろう。邪生の肉を浄化し切るには、最低でも【聖浄】が使えなければ無理だ。
【聖浄】を何度か掛ければ、おそらく浄化し切る事は出来るだろう。そう言うと大僧正に渋い顔をされた。何でも若くして大僧正に成れたのは、【聖浄】が使えるからなんだそうだ。
詳しく話を聞くと、草原の僧侶は持ち運べる小さな神像に祈りを奉げるらしく、それ以外は修行をしているらしい。何の修行をって聞いたら、肉体を鍛える修行なんだそうだ。
【浄化魔法】の修行をしろよ。そう言うと、どういう修行をしていいか分からないそうだ。昔の【神眼族】は戦い方を教えてはくれたが、【浄化魔法】は魔法陣しか教えてくれなかったらしい。
気合いで使え! 的な教えしか無く、正しい使い方が良く分かっていないみたいだ。流石にアレ過ぎたのかダナに頼まれてしまったので、【浄化魔法】の紙束を渡しておいた。
紙束の内容を写しておくように言うと、早速大僧正が書き写そうとして揉めている。全員で一度に書き写し、直ぐに終わらせて返すべきという僧侶連中と、秘儀は限られた者しか見てはいけないという大僧正。
下らない揉め事なので、「さっさと全員で書いて返してくれ」と言ったら直ぐに収まった。大僧正からは若干恨みがましい視線を向けられたが、無視して歩き出す。
昼食後も歩いて行くのだが、何処まで行くのか若い僧侶に聞いておく。殆どの僧侶は外を歩いているので誰に聞いても良いんだが、直ぐに答えてくれそうだし近くに居たので聞いてみただけだよ。そう言って緊張を解そうと試みる。
何と言うか、物凄く緊張して”畏れ多い”オーラが凄いんだよ。俺達が全員不老長寿なのは既に説明してあるので、余計に緊張するんだろうが。
その緊張し過ぎの若い僧侶に聞くと、西の国が攻めてきた時の撤退場所はだいたい決まっているらしく、夜になる前には着くだろうとの事だ。
何だかんだと言って、草原の民が乗る馬は帝国の馬より力が強く足が速い。なので馬車の速度もそれなりには出ていて、時速で言うと8キロから12キロぐらいは出ている。
10時間移動すれば80キロから120キロ移動できると考えれば、撤退には十分な距離なのかもしれない。それに早馬は既に出して、各氏族の元に向かわせたそうだ。
俺達は見なかったが、戦士は夜間に馬で走る訓練を受けている様で、夜の間に通り過ぎたんだろうと言われた。昨夜は特に月明かりが強かったので、走りやすい日で良かったと言っている。
夕方頃には落ち着く為の場所に着いたらしく、幌馬車も止まって徒歩の者達がゲルのようなテントを建てていく。俺達は離れた所に土のカマクラを作り準備は完了だ。
それを見ていた僧侶連中と子供達は呆然としているが、そのまま放っておいて焼き場を作り焼き網を乗せる。まだ夕食には早いので聖水を飲みながら休憩をしていると、馬が十数頭こちらに駆けて来た。
「族長が帰ってきたぞ! 直ぐに大僧正様の所にお通しするのだ! 敵の情報などを含めて話し合いをせねばならぬ!!」
「まだフルゲが建っておらぬではないか! 我等も合力し直ぐに建てるのだ! 女子供を待たせるでないぞ!!」
「「「「「「ハッ!」」」」」」
あのゲルはフルゲっていう名前だったのか、初めて知ったが結構どうでもいい情報だな。ゲルと呼んでも伝わらないから、覚えておく意味はあるんだが……。
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0453終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨116枚
大銀貨218枚
銀貨224枚
大銅貨335枚
銅貨124枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




