0449
<異世界185日目>
おはようございます。今日はセム氏族の所に行った後、隣のロン氏族の所まで行けたらいいなぁ……と思っています。
なかなか上手くは行かない気がするけど、最後のウォルガ氏族は時間が掛かりそうだからな。2氏族は早めに終わらせたいところだ。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル、フヨウ」
「ニャ」 「グル」 「ワォン」 「………」
4匹と共に外に出ると綺麗な朝焼けが辺りを照らしていた。そんな中で俺達は少し暖めた聖水を飲んでゆっくりしている。
4匹の水皿に入っている聖水も温めてあり、何故かフヨウもゆっくり飲んでいるな。いつもの様に吸収しないのは何か理由でもあるんだろうか?。
下らない思考を止め、綺麗な朝焼けを見ながらボーっとするという最高の時間を過ごす。すっかり太陽が顔を出して明るくなると、幻想的な景色も終わり日常がやってくる。
そんな気持ちの中、少し早いが朝食を作る事にした。草原の朝は思っている以上に冷えているので、暖かい朝食にしよう。
明らかに寒いとまでは言えないが、ようやく涼しくなってきた王国と違って既に涼しいのが草原だ。やっぱり風を遮る物が無いと寒くなりやすいんだろうな。
火の季節なら良いんだろうが、それ以外の季節だと寒いのかもしれない。とはいえ、元の世界のモンゴルなどとは違い、ここは南に位置している。
言うなれば、インドネシアやベトナムの位置に草原があるようなものだ。魔物とか様々な要因でそうなっているんだろうが、何故草原が広がっているのかは俺も知らない。
……色々考えてるんですよ、飯寄越せと言われても困るんだけど? あー、はいはい。とりあえず昨日作った干し肉でも齧っててくれ。
昨日の干し肉を少し渡しながら、干し肉と野菜と硬パンを煮込んでいく。硬パンは【分離】を使って小さくして、クルトンみたいにしてから煮込んでいる。
多分ふにゃふにゃになったり、煮崩れて溶けたりはしないと思う。そうして煮込んでいると良い匂いが辺りに広がったのだろう、皆が起きてきた。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニ!」 「グ!」 「ガゥ……」 「………」
「3匹は干し肉を食べてるのかい? お腹が空いて我慢出来なかったのかねぇ……。良い匂いで起きたアタシ達も、他人の事は言えないけどね。それにしても良い匂いだし、朝から暖かい物は助かるよ。草原は思っているより風が冷たいから、温まりたい」
「確かにそうですね。聖王国の北端のように、水の季節には凍え死ぬ程に寒くなる。という訳では無いでしょうが、それでも冷たい風が吹き続けると寒いですね。……頂きます。暖かい食事をとって体の内側から温まると安心します」
「そうね。朝早いと冷たい風だけれど、昨日も日中はそれなりに暖かかったから朝だけだと思うわ。……よく考えたら、暖かいであって暑いでは無いのよね。季節が移り変わるのは早いわね、本当に」
「毎年の事だけどね。気付いたら暑くなってたり、寒くなってたり。そんな事の繰り返しで、ふと気付いたら十数年経過していたりするよ。不老長寿ってそういうものだし、寿命の短い種族以外は晩年は似たり寄ったりだろうさ」
「成る程、そういう年の取り方をするのか。とはいえ、この状態がずっと続いていくだけとも言えるんだな。他の種族と違って、不老長寿は寿命が無いからこそ、晩年の状態が続いていくという事か。良いのか悪いのかは、まだ分からないな……」
「まだって……、多分100年後も200年後も分からないって言ってそうだけどね。不老長寿だけじゃなく、どんな種族でも良かったのか悪かったのか分からないと思うよ。晩年なんて、そんなものじゃないかな?」
まあ、<人生と言う物語は、死んで初めて完成する>。という言葉が確かあった筈だし、死ぬまで分からないだろう。死んだら考えられないから、結局は決められない、答えが出ない事なんだと思う。
自分の内面なんて他人には完全に理解できないだろうし、外面は自分では完全に理解出来ない。結局のところ、一個人に対してでさえ完璧な結論なんて出せやしない。
そんな答えの出ない話は放り投げて、朝食も終わったのでさっさと移動を開始しよう。
俺はカマクラと焼き場を壊し、鍋や椀などを綺麗に浄化したら魔道具を取り出す。昨日決めた通りに、邪気の吸引と浄化をしながら移動していく。
体感で1時間ほど移動すると、遠くにゲルっぽいテントが複数見えたので魔道具をアイテムバッグに収納する。
ゲルというのは、元の世界でモンゴルの人が使っている大きいテントみたいな物の事だ。雨なんかも入ってこない優れものだと聞いた事がある。
「何者だっ!!!」
「俺達は塩を届ける仕事を請けた傭兵だ! セム氏族とロン氏族、それとウォルガ氏族への塩の運搬を頼まれている。ここ、セム氏族が1番最初だ!」
「塩を持って来ただと? ならば樽で運んできた筈だ! まずは1樽そこに置いて下がれ!」
面倒だと思いながらも、言われた通り1樽置いて後ろへと下がる。槍を持った戦士風の男は樽を開けて中身を確認したのだろう、「付いて来い!」と言って集落の中に案内し始める。
周りで女性や子供がこっちを見ているが、敵意や悪意は一切感じない。となると、あの男の愛想が悪いだけかよ。
俺達は案内されゲルの中に塩の樽を置いていく。丁度俺のアイテムバッグの中には1トン分あったので、それを全てだしたらゲルを出る。
すると、皺が年輪のように刻まれた、3人の爺さん婆さんがゲルの外に居た。周りには護衛の戦士だろうか、屈強な奴等が揃っているみたいだ。
「お前達、大長老様方だぞ! 頭が高い! さっさとひれ伏せ!!!」
「五月蝿いわ、若造めが!! 横からしゃしゃり出てくるでない!! 引っ込んでおれ!!」
「申し訳ございませぬ。不老長寿の方も知らず、若造がご無礼を致しました」
「いや、貴方からの謝罪は受け取れないな。謝罪というのは、謝罪するべき者がしなければいけない」
「……然様で御座いますな。そこの若造の頭を地に擦りつけ、謝罪をさせよ」
「「「「ハッ!」」」」
槍を持った男は、無理矢理土下座状態にされたうえ、額を地面に擦り付けられて謝罪させられた。額から結構な血が出ているが、誰も気にしていない。
大長老たちから話を聞くと、塩を運んできてくれた者を悪し様に扱っていると聞いて慌てて来たらしい。そしたら【神眼族】が居て、ビックリして謝罪に来たそうだ。
この草原では、かつて古い時代に【神眼族】が草原の民を助け【浄化魔法】も教えた話が今も伝わっている。363年で117人の子供が出来たそうだが、病に倒れて亡くなったという。
草原の民にとっては、それ程までに【神眼族】は大恩ある種族らしい。今でも何処かの氏族の子供が【魔眼族】として生まれてくる事があるらしく、氏族の吉兆だと喜ぶんだそうな。
その話を聞いている間中、ダナの顔が引き攣っている。何故かと言えば、周りの連中の顔がどこかで見た事のある顔をしているからだ。
非常に分かりやすく言うと、崇拝するような顔をしているんだよ。俺達もそうだが、いつ狂信者に変わるか分からないので凄く怖いんだ。
俺達の事も話す事になったが、まさか全員が不老長寿だとは思わなかったらしく、大長老達は腰を抜かしてしまった。
何だか悪い事をしてしまったので謝ったら、何故か謝罪された。このままだと謝罪合戦になりかねないので、謝罪を打ち切って次の氏族の元へ移動する事を告げる。
俺達を歓待したかった様だが、早く塩を手に入れて氏族を安心させる必要もある為、送り出してくれる様だ。
やれやれ、歓待なんて勘弁してくれよ。そんな事になったら更に面倒な事に巻き込まれかねない。とにかく狂信者予備軍からは離れるに限る。近付いたところでメリットが無いし、デメリットしかない。
気を取り直して先に進もう、次はロン氏族の所だ。
▽▽▽▽▽
0449終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨116枚
大銀貨218枚
銀貨226枚
大銅貨335枚
銅貨124枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




