0442
夕食後、部屋へと戻りゆっくりと寛ぐ。訓練中も4匹は近くをウロウロしたり、フヨウに力の使い方を教えたりしていた。
スライムが魔力や闘気を扱える様になっていくのを見ていると、力の使い方さえ教えればどんな種族でも強くなるんじゃないかと思えてくる。
実際に今のフヨウなら、ソードグリズリーを倒せる可能性は高い。身体強化で動きが速い事と、体を任意の形に変えられるからだ。
首の後ろを取れば高確率で始末できるだろう。表面を溶かされた後、スライムが体の内部に侵入してくるんだ。間違いなく殺される。
そういう意味では最強に近いかもしれないのが、スライムの持つ”溶かす”能力だ。スライムは溶かして吸収するので体に取り込む必要があるが、溶かすだけなら体の表面に酸のような物質を持ってくる事が出来る。
ちなみに、スライムが溶かすときに使う酸性物質は俺にも分からない。
神様にも聞いた事が無いので教えてもらっていない。生物由来の物なら、多分殆どの物を溶かす事が出来ると思う。ただし、金属に関しては分からない。
この世界ではスライムはスライムだ。金属を吸収してメタルスライムになったりはしないし、合体してキングスライムになったりもしない。
不思議な生物ではあるが、ゲームやラノベの様な存在では無く魔物の一種として存在している。単細胞生物が元だとは思うんだが、確たる証拠は無いし分からない。
まあ、スライムは自然にとって有益な魔物なので、そもそも傭兵も狩らないし農家も追い払うだけだ。
それ以前に、人前には滅多に出てこないのがスライムだが……。邪生になったスライムって魔物に狩られるんだろうか? いや、そもそもスライムって邪生になれるのか?。
邪生のスライムなんて聞いた事が無いしな……駄目だ。フヨウに聞いても分からないらしい。
良く考えたらフヨウはセイントなんだから、邪生になったりする訳が無い。浄化する側としても、スライムの邪生は見た事が無いんだろう。
仮に邪生になっても直ぐに殺されそうだしな。ゴブリンの邪生と同じく、他の邪生を生み出すエサになってそうだ。
そんな事を考えながら【心静】を使いつつ撫でていると、4匹はあっさりと眠ってしまった。3匹はともかくフヨウにも良く効くらしい。少し考察したいところだが、既に連れて行かれてるので無理だな。
【精気】を使いながら全員を優しく満足させてやり、今日は俺もそのまま寝る事にした。布団に横になって目を瞑り【空間把握】を使うと、ジャン達もリンデ達も乳繰り合っていたのでさっさと寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界182日目>
おはようございます。今日は風が強くギシギシいっています。何と言うか、今<台風>来てるんじゃないの? そう言いたくなる程の強風が吹いています。もしかしたら台風が近付いて来ていたから天気が悪かったんだろうか?。
そんな事を思うぐらい激しい風が吹いている。この世界でも台風は発生していると思うが、この辺りはあまり来ないのかもしれない。この世界に来て初めての台風か……何か不思議な感じがするなぁ。日本は台風が多い国だし。
懐かしさは感じないので、多分体が違う影響なんだろうと思う。米を食べたいと思わないのと同じなんだとは思うんだが、本当のところは分からない。人というのは肉体で覚えてる事は多いって事なんだろう。肌感覚というか何というか……。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル、フヨウ」
「ニャ」 「ガゥ」 「ワン」 「………」
いつも通り聖水を水皿に入れてやった後、椅子に座ってボーっとしている。今日は強風が吹いているので中庭に出るのも難しいだろう。許可が出れば食堂で、出なければ今日の訓練は無しだな。流石にこの強風の最中に外で訓練などは出来ない。
強風時の訓練? ピンポイント過ぎて訓練の意味は殆ど無いだろう。ザラとエイルズの場合は元々の経験があるので、ゆっくりの運動でも問題は無い。
魔力と闘気の扱い方さえ学んだら、後は自分達で工夫して使うだろう。伊達に長く傭兵をやっている訳じゃない。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「グルゥ」 「ウォフ」 「………」
「今日は起きて直ぐ分かるくらいに荒れてるねぇ……。珍しい事もあるもんだ、暴風が吹くなんて。この辺りは年に一回あるか無いかなんだけど、今年はあったみたいだ。エルダ海洋国の方だと年に3、4回あるそうなんだけど、こっちじゃ滅多に無いんだよ」
「暴風は一度起きると通り過ぎるのに一日ぐらい掛かりますからね。こういう日は魔物も傭兵もお休みですよ。風の強さによっては吹き飛ばされる事もありますから……それよりも今日は一日、宿が壊れないように見張っておかねばなりません」
「そうね。あの子は大丈夫かしら? ウチの家はいくつか強化してあるから、そうそう壊れる事は無いと思うんだけれど……。風がそこまで強くないなら、一度見に行った方が良いかしらね」
「そう言って吹き飛ばされたり、大量の雨に流されたりするんだから気を付けた方が良いよ? 帝国の東部だったりエルダ海洋国なんかだと、毎年暴風の中で田畑を見に行って亡くなる者がいるらしいから」
「田畑を見に行くのは仕方がない気もするがな。収穫が駄目になったら暮らしていけなくなる。決死の思いで少しでも収穫を守ろうとするのは、どうしようもない事だ。危険だと言っても居なくならない理由だな」
「でも田畑が駄目になった農家って、臨時で魔物を狩っていたりするよね? もちろん正規の傭兵じゃないから大変だけど、慣れてる孤児院仲間も居たよ。収穫があっても生活が難しい事もあってね、よく魔物狩りをしているらしいんだ」
強風でギシギシと鳴る中、暢気に話をしているウチの女性陣。悲鳴をあげたりはしないが、この時代の人はこんなもんだろう。食堂へと向かい大銅貨18枚を支払って朝食を注文すると、朝食だけは提供できると女将さんに言われた。
何でも、宿では朝食の分までしか確保しておらず、昼食以降は旦那さんが食料店や解体所に行き吟味してくるんだそうだ。
しかし、暴風の吹き荒れている中で買出しに行くのは無理なので、今日は朝食しか出せないみたいだ。これに関しては仕方がないだろう。
天候の問題であって宿の問題じゃない。流石に宿に責任を求めては駄目だろう。俺達は了承し、朝食を待つ事にした。
皆は昼食をどうするかを話しており、ディルやフォルは身体強化を使って急いで狩りに行けば良いなんて言い出している。
強風が厄介なだけで出来なくもないだろうが、いつもより危険性は高いぞ? 注意しないと何が死に繋がるか分からないからな。
……やっと2人は起きてきたのか。朝食が運ばれてくる前、ギリギリに起きてくるっていうのもどうかと思うがな。【覚醒】使ってコレか?。
何だか呆れてしまうが、昨夜遅くまで盛ってたんだろう。リンデやリヴィもお猿さんに成り掛けている気がするので、ダナやシュラに言って注意してもらう。
リンデとリヴィに関しては、俺が注意しても効き目が薄そうなんだよな。別に軽く見られてる訳じゃないんだが……。
朝食を食べた後、女将さんに食堂の使用許可を求めると、「壊さないなら構わないよ」と言われ許可が得られた。何かあったら木を伐ってきて補修しよう。
隅のテーブルと椅子を移動させ、2人の訓練を始める。とはいえ、昨日と同じくゆっくりの動きと微弱な身体強化だ。
だからこそ、何かを壊すような激しい運動じゃない。【集中】を使って強制的に集中させたら、ゆっくりとした動きで教えていく。
体重移動や重心移動のやり方なので、繰り返し何度も何度もさせて体に教え込む。最速の動き、最大威力の動きなど様々な動きをさせる。
それが終わると、抜き足、差し足、忍び足、摺り足などの歩き方や足の動かし方を教える。訓練の終了を宣言した時には、丁度お昼になっていた。
硬パンなんかはあるしなぁ……ちょっと無理矢理に昼食を作ろうか。
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0442終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨116枚
大銀貨219枚
銀貨234枚
大銅貨371枚
銅貨124枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




