0441
話はここまでにして、そろそろ朝食を食べに行こう。そう言って皆と一緒に1階の食堂へと下りる。カウンターに居た女将さんに大銅貨18枚を支払って朝食を注文したら、テーブル席に行き座って雑談をしながら待つ。
今日は休みでもあるので、【覚醒】を使ったのはザラとエイルズだけだ。2人は起きてくるだろうが、他の連中はそのまま寝ているんじゃないかと思う。そんな事を話していたタイミングでザラとエイルズが食堂に来た。
2人は若干眠そうだが、体調に問題は無さそうだ。昨夜、寝る前に浄化した時には眠っていたが、遅くまで乳繰り合ってたんだろうか? あんまり夜更かししても次の日がツラいだろう。休む時はちゃんと休むようにな。
そんな事を言うと、2人の目は右往左往し激しく動揺しているのが分かる。気配を感じられる様になれば、ナニをしているのか何となく分かる様になる。
その事を伝えると、動揺は収まったがジト目で見られた。何故、宿で気配を探ってるんだ? という事らしい。
宿でも危険に晒されないとは限らない。そんな事を言ってやると、2人は黙ってしまった。恐らく2人にも何かしらの経験があるんだろう。
宿の中も絶対に安全ではない以上、安全の為に探るのは当たり前の事だ。酷い所では宿と犯罪者がグルの所もあるしな。
朝食が運ばれてきたので食べる事にする。朝っぱらからする様な話では無かったのでありがたい。とはいえ、小さな村でも町でも、宿に泊まって襲われるという事は無い訳じゃないし、この世界は未だそういう時代だ。
地球でも似た様な時代は長くあったので、野蛮だとか言う気は一切無い。日本でも古い時代は、旅人を襲うとかは当たり前にあった事だ。余所者というだけで襲われて身包み剥がされたり、殺されたりする。そんな時代は長くあった。
そもそも、ある程度安全に旅が出来るようになったのは、江戸時代中期辺りからとか言われていた筈。お伊勢参りなんかを庶民が出来るようになったのが、たしかその辺りだったと記憶している。あくまでも一説だったので、正しいかどうかは知らない。
平和な時代にならないと安全な旅なんて出来ないんだよ、元の世界では。この世界だと魔物という危険な存在が居て、それを狩る傭兵が居る。
傭兵は転々と移動したりするので、余所者を受け入れるしかない状況が出来ている訳だ。だから旅人として見た場合は、この世界の方が時代的には安全となる。
元の世界で言うところの3世紀~5世紀と考えると、特に傭兵の安全はかなり担保されていると思う。それでも、余所者として襲ってくる場合があるんだから厄介だ。
ただし、そういう村には傭兵も近付かないので魔物に滅ぼされたりするのだが……。
朝食後、中庭に出てザラとエイルズを鍛える。今日も雲が出ていて天気が良くない。季節の変わり目だから仕方がないんだろうが、急にスッキリ晴れなくなったな。
まぁ、今は関係無いか。俺は2人に【集中】を使って、魔力と闘気の扱い方から教えていく。
2人の魔力と闘気の扱いに関しては、そこまで悪くはない。少しずつ直させて完成度を上げていくだけで、基本的な部分に関しての間違いは殆ど無かった。
どうも、ダナやシュラに教わった事の練習で上手くなっていったそうだ。間違った方法じゃなくて良かった。
【忘却】まで使って教えるのは非常に面倒臭いからな。誰かさんの時にやる羽目になったが、出来れば2度とやりたくないくらいには面倒なんだ。
2人を教えるのはそこまで苦労しなさそうで本当に良かった。そう思いながら、ひたすらに【集中】させて徹底的に教え込む。
2人には可哀想だが基本ぐらいは早く終えてほしいので、前後不覚にならない程度の集中をしてもらっている。○○ハイみたいな状態になっているかもしれないが、そこはそれ、気にしてはいけない。
無理矢理集中させて訓練をさせていたら、あっと言う間に昼になっていた。どうやら俺も集中していたらしい。
2人と自分を浄化して中庭から食堂に戻ると、5人組がダラダラとしていた。
そういえばコイツ等も同じ宿に泊まってたんだっけ? 碌に仕事をしている姿を見ないんだが大丈夫なのかね? そう思いながら女将さんに大銅貨18枚を払おうとすると止められた。
不思議に思い話を聞くとジャン達とリンデとリヴィは、まだ寝ているらしい。なので大銅貨13枚を支払い昼食を注文する。
テーブル席に座り昼食を待っていると、2階からダナ達が下りてきた。そのダナ達が席に座ったタイミングで、ジャン達とリンデとリヴィが起きたようだ。
俺達の昼食が来たので食べていると、今日の予定を暢気に話すジャン達が居た。呆れてしまったが、「今は昼だぞ」と教えると唖然とした顔をしている。
やっぱり朝だと誤解してたのか……。どうやら3人はジャンの実家に行くつもりだったらしく、かなり慌てているみたいだ。
休みなので妹達の世話を買って出るつもりが、昼まで寝過ごしていたんだから話にならないな。ジャンはガックリしてるが、昼に起きてくるお前が悪いんだから諦めろ。
まあ、実家ではサングの町に居た時よりは楽らしい。妹2人で留守番させていた時よりは村の方が安全なんだそうだ。
村だと似た様な年齢の子と遊んでいるそうなので、親兄弟としたら安心できるんだろう。それでも昼から様子を見に行くらしい。……まあ、頑張ってな。昼まで寝ている兄だと、面目丸潰れだとは思うが。
昼食後、再び中庭に出てザラとエイルズに教え込んでいく。昼までに基本の修正は終わっているので、今度は応用だ。
動きながら魔力と闘気を使い、微弱な身体強化を続ける。【集中】を使っているので気を散らす事も無く、黙々と訓練に励む2人。これは今日一日で終わりそうかな?。
微妙なところだが、明日まで掛かったとしても大した苦労じゃない。予想していたよりも遥かに楽で助かる。
今までに一番大変だったのはリヴィで、僅差でシャローか……。時間はダナ達の方が掛かっているが、あれは【集中】なんかを使ってないからなぁ……。同列には語れない。
ギリギリで足りなかったが、とりあえずここで今日の訓練を終える。明日も訓練だと伝え食堂に入ると、ダラダラしている5人組が居た。……コイツ等本当に大丈夫なのか? 体を売ったりとかしてないよな? そう聞くと5人から物凄く怒られた。
邪生を何度も狩ったりしていたので、お金は十分にあるらしい。ココ山の邪生も何度も狩っていたそうで、5人組のランクは既に6だそうだ。
なので、ゆっくり無理せず傭兵稼業を行う事にしたんだそうな。なかなか優秀なようで何よりだ。そう言うと、何故かジト目で見られた。
女性従業員に大銅貨18枚を支払い、夕食を注文したらテーブル席に座る。皆も食堂に下りてきて席に座ると、今日一日の話になった。
「ザラとエイルズは明日も訓練だよ。もう少しやれば基本は卒業となるだろうな。明日一日、早ければ半日で終わるんじゃないか? あの2人、ちゃんと教えられた事を練習してたみたいで、あんまり直すところも無かったからなぁ」
「ふーん、アタシ達が教えた事も含めてちゃんと頑張ってたんだねぇ。その割には、お金があんまり無いのも本当みたいだけど、吸血鬼の里に居たからかね? あそこだと食堂に持って行って食べさせて貰うくらいだろうからさ」
「そうですね。ウチの里だと、山に行って魔物を倒して持って帰ってくるぐらいでしょうか? アーマーベアなら儲かるでしょうが、頻繁に出てくる魔物でもありませんからね。となると必然的に小物が多くなりますから、儲からないのは仕方がないでしょう」
「この村は大森林を抱えてるから、色々特殊なんだよね。ウチの里や魔眼族の里では、お金を稼ぐのは難しいよ。魔眼族の里は知らないけど、ウチの里ではお金を稼ぐ気もあんまり無いだろうし」
「そうだな。この村は近くで狩りをするだけで十分儲かるが、こういった所は稀にしかない。代わりに、儲かるほど魔物が多くて大変だとも言えるが……。川も含めて丁度良い立地なのだろうな」
危険が近い割には川が助けてくれてるって事か……確かに良い立地なのかもしれないな。
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0441終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨116枚
大銀貨219枚
銀貨234枚
大銅貨389枚
銅貨124枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




