0433
部屋に戻ってゆっくりするのだが、部屋にはディルが居て眠っていた。俺は起こさないようにしながら、椅子に座り一息吐く。聖水の樽を出して冷やしたら、コップに入れて飲み始めた。
そういえばビキニアーマーズはどうしたんだろう? あのカオスに巻き込まれた可能性が高そうだが、助けてやる気にはならない。【空間把握】で調べると酒を飲んでいるみたいだ。
あのカオスに自ら飛び込んだのか、それとも巻き込まれたのかは知らないがご愁傷様。部屋にはディルの他にフヨウも居るが、他の3匹は居ない。3匹は食堂で食べ物を貰って食べている。
どのみち、夕食の時にフヨウが行って全て綺麗に片付けるんだろう。それまではフヨウもゆっくり休んで……って、聖水が欲しいのか? 俺は水皿に聖水を入れて、フヨウの前に置く。
フヨウは体の一部を触手のようにして水皿に入れ、一気に吸い上げて吸収する。相変わらず音は無いんだが、吸い上げる速度が滅茶苦茶速いな。もう少し欲しいみたいなので入れてやる。
マッタリとしながら時間を過ごし、夕食の時間になったのでディルを起こして食堂に向かう。一階の食堂に下りると、ウチの女性陣と女将さん以外は全員撃沈していた。あーあー、もう。
俺は女将さんに大銅貨16枚を支払いジャンを呼んでくる。ジャンは少し仮眠を取っていたらしく、顔色が幾分かマシになっていた。戻ってきたのでフヨウに掃除を頼むと早速始めた。
「そこで撃沈している全員は、昼ぐらいからこうじゃなかったか? 違っていたとしても真昼間から酒を飲んで騒いでたのかコイツ等は。幾ら休みの日とはいえ、オッサンと変わらんな」
「まあ、言いたい事は良く分かるよ。相変わらず、自分達の飲める限度を理解しない子達だよ。酒に呑まれるなって言ってるのに、ガバガバ飲んでコレさ。酒飲みとしたら失格だね」
「どうしてこの子達は覚えないのでしょうね? 少しずつ飲みながら、自分の調子を確認すればいいでしょうに……。それに、味わって飲んでいるとは到底思えませんよ」
「私達もお酒で撃沈してしまう事はあるけれど、それは夜も遅くなってからよ? 流石に昼からお酒で撃沈する事は殆ど無いわね。それに、この子達昨日も休んでたけど大丈夫かしら?」
「さて、微妙なところだとは思うけどね。昨日も雨が降りそうな天気だったから、最初から外に出る気は無かったのかもしれないよ? お金があるなら問題は無いさ」
「そうだね。傭兵なんてそんなものと言ったら言い過ぎかもしれないけど、結局はそんなものだし。魔物を倒して村や町を守る仕事だけど、一攫千金を狙う者が多いのも事実だし」
「大半の者は、一攫千金の前に自分の命を保つので精一杯だがな。私のように裏の仕事をやらされる者も居るだろうし、ほんの一握りの者だけがお金と名誉を手に入れられる」
「まあ、世の中そういうものさ。楽して金持ちになんてなれる訳がない。自分の命ぐらい賭けないと、地位も名誉も金も手に入らないもんだ。だからこそ、賭けて死ぬ奴は幾らでも居る」
「ダナが言う、そういう者達から傭兵ギルドは毟り取っていたんですよ、神殿と結託してね。今考えても碌な事をしませんね、ギルドと神殿は。傭兵が暴れるのも当然です」
「傭兵が暴れるって、何かあったんですか? 私達はずっと村に居ましたし……少し聞きましたけど、傭兵が暴れるなんて話は無かったような。……ああ、神殿の非道がバレた後ですか」
「お布施の金額が半分になった話だね。そういえば、村の神殿もお布施の額を半分にするって言ってた様な気がする。最近は神殿になんて行かなくなったから、詳しくは知らないけど……」
「ファレンが修行と称して【浄化魔法】を沢山使ってくれる様になりましたからね。アルドさんの言われていた通り、生活の中で魔法を使う事はとても重要だとわかりましたし」
「実際、サリーだって色々な魔法が上達したって言ってたじゃないですか。私だけじゃないでしょう? ルタやララだって、依頼の際に身体強化を使ってるって言ってましたよ!」
「頭が痛いから大きな声出さないで……。こんなになるまで飲んだのは久しぶりだけど、誰なの? 私のコップにお酒を混ぜてたのは? 途中から飲まないように麦茶を頼んだのに……」
「うう……お酒はもういいよ……当分飲みたくない。頭が痛いし、眠いし、最悪だ。リンデに飲まされそうになった時、断れば良かった……。少しだけならって思ったのが失敗だったよ」
「まるで私が悪いみたいに言わないで下さい。自分で飲んだのですから、自己責任ですよ。私だってアルドさんの作るキツいお酒だと、気付いたら朝だった事は何度もあります」
「何か仕方がないみたいに言ってるが、そうなる前に飲むのを止めろよ。味わって飲まずにガバガバ飲むから、気付いたら寝てるんだろうが。まずは味わう事を覚えるべきだろ?」
夕食が運ばれてきたので食べる。今日は久しぶりのスタンダードな夕食だ。パン、ステーキ、サラダ、スープ。俺がこの宿に来て最初に頼んだ食事と同じ物か。ちょっと感慨深い感じがするな。
そんなに昔じゃないし、まだ一年も経っていない。とはいえ、何時の間にか沢山の人が周りに居る。殆どが女性なのは何故なんだろうか? ……まあ、そこは横に置いとくか。
この時代の男は何をするか分からないからな。日本だって昭和の始め頃までは、殺人や強姦という犯罪は想像出来ないほど多かったんだ。まあ、日本に限った事じゃないんだが……。
つまり、歴史を遡れば遡るほど、犯罪率というのは高くなる。この世界も当然犯罪率は高いのだが、これは現代日本に比べて高いというだけで、治安の悪い国と変わらないかマシなぐらいだ。
地球に居た時も、治安の悪い国なんて行った事がないというか、行く訳がないので分からないんだけどね。いきなり強盗に襲われるとかは、この世界だと殆ど無い。理由は多分騎士や傭兵だろう。
地球なら警察に捕まるだけだが、この世界だと問答無用で殺される場合がある。犯罪者側も、いきなり切り殺される可能性がある以上は慎重になるのは当然だ。そういう意味では安全だと思う。
とはいえ、一つ裏の路地に入るだけで危険になるのは普通の事だ。騎士も表通りは巡回するが、小さな裏通りまでは巡回したりしない。それに、スラムに関しては騎士も傭兵も近寄らない。
治安の事をここに居る皆に言ったところで、何言ってんだコイツ? と思われて終わりだ。危険だとは思うが、この世界に暮らしている人はコレが普通なんだよ。俺も慣れたなぁ……。
いつしか問答無用で殺すようになったからな。そうしないと守れないし、見逃したとしても、後で何をしてくるか分からない。結局、殺した方が手っ取り早いし安全なんだ。
夕食後、部屋に戻ってゆっくりと寛ぐ。傭兵ギルドでガルドルさんと話してたりしたので、帰るのが遅くなった事を皆に説明しておく。ビキニアーマーズが偶然ギルドに居た事も言っておいた。
「ビキニアーマーズはルーデル村で金を稼ぎたいらしい。今まで何処に居たのか知らないが、金が必要になったのか、それとも何か欲しい物でもあるのか……」
「あの2人、そういえば革鎧を着てなかったかい? アルドが言ってるデフィルの鎧は着てなかったけど、吸血鬼の里に居る時に何か言われたのかねぇ……? 防御力は殆ど無いし」
「まあ、アレは象徴的な意味合いしかありませんからね。古の英雄デフィルも、何故あのような鎧を着たのかは分かっていませんし……。いつから持ってるかも分からない鎧なんですよね」
「……あら? 私も思い出そうとしたんだけど、古の英雄デフィルはいつからあの鎧を着ていたのかしら? 物語では気付いたら着ていた様な……あんな鎧をいったい何処で手に入れたの?」
「どこでも良いんじゃない? もしかしたら、武具屋で安く売ってたのかもしれないよ? 確か、最初の方は殆どお金も無い生活だった筈だし、良い鎧を買うなんて出来なかっただろう」
RPGの最初かな? <たけやり>か<こんぼう>か悩むよね?。
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0433終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨108枚
大銀貨219枚
銀貨213枚
大銅貨472枚
銅貨91枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ
 




