0430
宿に戻った俺は部屋には戻らずに、大銅貨16枚を支払って夕食を注文する。皆も食堂に居たので丁度良い。テーブル席に座り聖水の樽を出してコップに入れようとすると足が叩かれた。
4匹の水皿にも入れてやると、美味しそうに飲む3匹と一気に吸い上げる1匹が居る。……うん、何と言うか見慣れたなぁ。音は無いんだけど、漫画ならズゾゾゾゾって感じの擬音だろう。
今日の夕食はスパイシーなゴブリン肉だった。ゴブリン肉はどうでも良いんだが、香辛料が結構使われてるぞ? ……という事は、流通が回復したんだろう。早い方なのかな……?。
美味しいのは分かったから落ち着けシャロー。香辛料たっぷりの料理に飢えていたのか、物凄く喜んでるなぁ。気持ちは分かるし、やっぱり我慢してたんだろう。ゆっくり味わいなさい。
あーあー、人の話を聞いてないな。自分でお金払ってお代わりしてるよ。まあ、自分のお金なんだから好きなだけ食べなさい。……って、またお代わりするのか? 俺は部屋に戻ろうっと。
正直どんだけ食うんだって量を食べてたんだが、大丈夫なのかね? アレは。まぁ駄目でもジャンが何とかするだろ。俺達は部屋でゆっくりしよう。送風機に魔石をセットして起動する。
雨が降っていて若干蒸し暑いので、部屋の中の水分を【凝集】して予備のコップに入れる。窓から捨てたら、もう一度【凝集】を使って水分を集める。これで部屋の中の湿度は大丈夫だ。
コップの中の水はフヨウが全部吸収してしまった。皆の衣服や体に関しては、食堂で【乾燥】を使って乾燥させてあるし、湿度は【凝集】を使って減らしてあるので問題は無い。
今日は俺達だけじゃなく、サングの町からの商人などが泊まっているそうだ。当然商人達を護衛してきた傭兵達も泊まっている。見た目は不良傭兵じゃ無さそうだが、どうなのかね?。
一応、誰に対しても敵意や悪意を持ってないのは確認済みだが……手を出してきたら消せばいいだけか。俺は部屋の中で、手始めに青銅と鉄の精錬を行う。炭は確かまだあったよな……。
あった、あった。不純物を横に……これってニッケルか? 要らない不純物の中にニッケルがあったが量は少ない。これは置いておくかな。他の不純物は置いといて、後で捨てよう。
まずはショートソードの剣身を作る。ごく普通の、何の変哲も無いショートソードを青銅で作ったら確認する。特に問題も無く、質の良い平凡な剣が仕上がった。……うん、問題なし。
続いて、質の良い鋼を作った後、鉄を芯にして外側に鋼を被覆した形のショートソードを作る。こちらも質の良い平凡な剣が出来た。……うん、問題は全く無いな。上手く出来たみたいだ。
「何でわざわざそんな事をするんだい? アルドが作ってるし、見ただけで質が良いのは明らかなのに、ワザと平凡な剣を作る意味があるのかい? 面白いと言えば面白いけどさ」
「まあ、非常に質が良く、素晴らしい出来の平凡な剣ですからね。……うん? もしかして買う者が見抜き難い物をワザと作ってるんですか? ああ、やっぱりそうでしたか……」
「なかなか面白い事をするわね。でも、それをしてどうするのかしら? ……えっ? そのまま納めるの? ああ、ギルドで購入する者達に見抜かせるのね。上手くできるのかしら?」
「言いたい事は分かるんだけど、ベテラン連中が買っていって無くなりそうだけどね。……それでも良いのかい? 成る程ね。それならそれで、ちゃんとした目を持ってるって事か……」
「ベテランの者達よりも、あのギルドマスターが見抜いて正しい値段を設定しそうだがな。それにアルドの作った武器は質が高いんだから、下手な値段設定は出来まい」
「確かにね。鉄一つとっても質が凄く良いから安い値段には出来ないだろうし、見抜けるかどうか以前に値段でバレちゃうよ。結局普通に作っても同じじゃないかな?」
「確かにそうだが、そもそもショートソードなのは多くの者が買って行っても問題の無い剣だという事。そして癖の無い剣の方が使いやすいだろうという事からだ」
「まあ、そこまで平凡な剣なら誰にとっても使いやすいだろうね。とはいえ、質が良くて壊れ難いように作ってるのは流石アルドだと思うけど、代わりに明確な利点が無い気がするよ」
「使いやすさじゃないんですか? 誰が使ってもある程度は使える物というコンセプトなんだと思ったんですけど、違うんでしょうかね? ……あれ? そういえば……?」
「アルドは前に王都の鍛冶師組合の武器に対して、何をコンセプトにしているのか分からないって言ってたわね。その割には今作ってる物って……平凡過ぎるし、何かおかしいわ」
「俺が平凡なショートソードを作っているのは、いわゆる新人向けという意味だぞ? 近衛騎士が持つのに平々凡々な剣はおかしいが、新人傭兵が持つ分には特に間違ってはいないさ」
「ああ、そういう事か……。確かに近衛騎士が持つのなら、頑丈なのか、取り回しが良いのか、抜き易いのか。色々あるけど、職務に応じて剣も変わるだろうね。だけど新人は……」
「ああ。新人など、そもそもその領域にすら入っていない。どんな剣を求めるかではなく、剣の振り方の基本を学ばなければいけない段階だ。ならば、平凡で癖の無い剣の方が良い」
「前にアルドが言ってたけど、剣そのものは中途半端な武器だから、特化した武器の方が使い勝手は良いって言ってたね。リーチなら槍、威力なら斧、頑丈さならメイスって……」
「当然そうなるだろうね。確かに中途半端になりやすいし、頑丈かと聞かれたら悩むのが剣なんだよね。取り回しは良いから何処でも使えるって利点はあるんだけどさ」
「それなら短めの小剣で良いと言われそうですよね。何と言うか、剣って格好良いというイメージがありますけど、武器としてみると平凡な部類に入る物ですから」
「それは仕方がないわよ。長剣や大剣や両手剣でなければ、携帯に便利な武器というぐらいしか利点が無いもの。正確には、携帯に便利で多少のリーチがある武器……かしらね?」
「日本刀の中でも打刀はそのコンセプトだな。平和な時代になってから多く作られるようになったと言われてる。そもそも戦がよくあった時代ではメインは弓で、近接は槍だしなぁ……」
「魔法の無い世界でも、遠距離武器が基本となるのは変わらないんだね。弓を射ち、石を投げて攻撃したら、その後は近接戦で槍を使う。しかも凄く長い槍を使うのが基本らしいし……」
「なるべく敵から攻撃されず、こちらが一方的に攻撃する。勝つ為の基本と言えるが、それだけに頭を悩ませるのだろうな。帝国との戦いでも、兵士の大半はパイクで戦っている」
「へぇ~、そうなんだね。僕は戦争なんて話でしか知らないから分からないけど、長い槍で戦うんだ……。それって相手も同じなんでしょ? 結局リーチの差なんて無いんじゃないの?」
なんか戦争の話にズレてきたんで、剣を作るのに集中しよう。青銅のショートソードが5本、鉄のショートソードを5本作ったところでベッドに連れて行かれた。集中し過ぎたかな?。
【鋭覚】と【精気】で撃沈し、今日はさっさと寝る事にした。【空間把握】を使いジャン達の部屋を綺麗にしたら、おやすみなさい。
<異世界179日目>
おはようございます。今日もどうやら雨みたいです。季節の変わり目だけどよく降るなぁ……。適度に浄化してるから村の作物は平気だけどさ、こんなに雨ばっかりだと駄目になりそうだ。
とはいえ、収穫が終わって新しいのを植えている畑も沢山あるから、大丈夫そうではあるけど。雨が少なかったとは聞いてはいないが、多かったとも聞いてない。最近はどうなんだろ?。
この雨が長く続くのか、それとも続かないのか、それによって農家の動きも変わるんだろう。大変だとは思うが、今年は俺も手助けしたから病気関連は殆ど問題なかった筈だ。
この時代は収穫が多くて困る事は無いんだが……少ないのは困るからなぁ。
▽▽▽▽▽
0430終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨108枚
大銀貨215枚
銀貨213枚
大銅貨518枚
銅貨91枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




