0042
昼食が終わり、ゆっくりと休憩する。川のせせらぎが聞こえてきて、鳥の鳴き声が聞こえてきた。とても優雅な時間だ。
「リスの肉、ホントに美味しかったねぇ」
「えぇ。アレなら野営の食事としても十分です」
「美味しくなる魔物は他にも居るかもしれないね」
「そうですね。色々倒してみましょう」
どうやら2人は花より団子の様だ。時代的な部分でもあるが、生活に余裕が無いと無理か。食い気の話を聞いていてもしょうがないし、そろそろ出発しよう。
出発し更に西へと進むと、山に近くなって来た所為か登りになってきたな。斜面を登るように進んでいると横から魔物が現れた。
「これは、ゴブリン!? 妙な反応が4匹こっちに来る!」
「「「「グギャギャ……」」」」
「こいつは、アースゴブリンだよ。厄介な……」
「確かに厄介ですね……」
「どういう事?」
「こいつは穴を掘る能力持ちさ!」
「いきなり足元に穴を開けられるんです」
あー……、そういう能力か。とはいえ魔力反応で分かるんだよなぁ。足元に反応があったので、俺は直ぐに前に跳んで槍で首を斬った。穴を掘る以外は普通のゴブリンと変わらないな。
気付けばシュラが2匹とダナが1匹倒しており、戦闘は終わっていた。処理をさっさと済ませて先に進む。少し進むと、今度はコボルトっぽい反応だ。
「何か、コボルトっぽい反応が5匹来る」
「「「「「グルルルル……」」」」」
「イエローコボルトかい」
「コレは普通の者より鼻が良く、どこまでも追い駆けて来ます」
「ここで倒せばいいさ」
鼻が良いだけなのでさっさと始末する。処理も素早く済ませて先へと進もう、雑魚と戦っても儲からない。旅の事を考えても、できる限りお金は稼いでおきたいところだ。
儲かる魔物を探しながら進むも、アースゴブリンとイエローコボルトが4匹ずつ出て来ただけだった。日帰りなのでここで終わりにして帰る事にする。
帰りは身体強化を使いながら帰路を急ぐ。修行になって丁度良いのだが、失敗しながらなので止まっては進むの繰り返しだ。
結局、村に着いた時には夕方だった。直ぐに解体所に行き査定を頼むと、ベグさんとジャロムさんが来た。
「今日の獲物は、投石リスと鉄蟷螂。それにアースゴブリンとイエローコボルトか」
「投石リスが解体されてますね。食べました?」
「ああ、昼食になったよ」
「成る程な、それ以外は問題なく綺麗だ。投石リスは1匹大銅貨3枚だが2匹の肉が無いので、投石リスは全部で大銅貨6枚という所だな」
「鉄蟷螂は1匹大銅貨6枚、アースゴブリンは1匹大銅貨3枚、イエローコボルトは1匹大銅貨6枚です」
「ゴブリンとコボルトは同じかぁ……」
「鼻が良い、能力持ち、それ以外に違いが無いからな」
「あー……、確かに」
「鉄蟷螂は食べる所が無いけど、代わりに鎌が使えるからその値段なんですよ」
「成る程」
「その値段でいいよ」
受付で登録証を返して貰い、売却金と木札を受け取る。ギルドへの道すがら、売却金を1人大銅貨38枚に分けた。これが今日の収入か……。
ガックリしながらギルドへ行き、入り口の扉を開け中に入る。ミュウさんの所で手続きをして宿に帰った。
宿の食堂で3人分の注文をし、大銅貨3枚を支払って一息吐く。
「今日の収入はちょっと少ないな」
「まぁ……とはいえ、少ない時はこんなものでは?」
「そうだね。今日は高く売れない魔物ばっかりだったけど、そういう日はこんなものだよ」
「そうなのか……まぁ、当然と言えば当然か」
「それよりも、今日は身体強化で疲れました」
「ホントにねぇ。あんなに大変だとは思わなかったよ」
「身体強化に集中すると前を見てないんですよね。あんなに転ぶなんて……」
「アタシもさ。子供じゃないんだけど……」
「ゆっくり慣れていけばいいさ。いつか笑い話になる」
「そこまで頑張るとしますか」
「アルドに見捨てられたくはないしね」
「見捨てはしないよ。丁寧に容赦なくシゴくだけだ」
「「えーっ……」」
「どっかのジジイと同じやり方だよ」
「「闘神様……」」
食事をしながら、この話はテンション下がったかな? 食事後、ダナとシュラは酒場に酒を買いに行ったので、俺は先に部屋に戻る。武具や道具を浄化していると、2人が帰ってきた。
「アルド、いつもの【熟成】を頼むよ」
「了解」
「アルド。今日はエールを買ってきたのですが、美味しくできませんか?」
「ん~? 蒸留してウイスキーにするぐらいか?」
「それは!? 美味しいのかい!?」
何だか”作れ”という圧が凄いので作る事にした。とにかくエールの水分を減らせば、蒸留したのと変わらないよな? それと危険な成分は除去しておこう。
エールに【抽出】を使い、水だけをある程度抜く。更に【抽出】を使って危険な成分を除去する。ついでに【浄化】もしておこう。
全てのエールに対して行い、一つの小樽に纏める。アルコールは40度くらいあるだろう。
その小樽の中身を【熟成】して完成……? 味が分からないので、完成したかどうかが分からない。とにかく飲んで貰おう。
「「ゴク……ゴホッ!! ゴホッ!!」」
「アルコールは40度くらいだから、かなりキツイ酒だって言ったのに……」
「キツイけど、美味しいねコレ!」
「ホントに! このお酒は、ゆっくり味わうお酒ですね」
「ウイスキーは、あんまり味が無いって聞いた事があるんだけど違うのか?」
「??? ……美味しいよ?」
「えぇ、とても美味しいですよ?」
「いや、美味しいなら良いんだ」
酒の味が分からない俺が言っても仕方ないな。それに、どう考えてもウイスキーの造り方と違うし。アレはウイスキーモドキだ。色々違って当然だな。
そういやシードルとか、蜂蜜酒であるミードとか、酒って色々あったっけ? 食料店で何か探しておくか。
2人はウイスキーの所為で酔いが速かったのか、気付いたらテーブルに突っ伏して眠っていた。2人をベッドに運び、浄化して俺も寝よう。おやすみなさい。
<異世界21日目>
おはようございます。昨日は珍しく夜の性活が無かったので少々早く起きました。さっさと浄化して起きるか。朝早い為に浄化しても2人が起きる気配は無かった。
折角なので宿を出て朝の散歩をする。朝焼けの中、村をフラフラ歩いていると食料店に荷物が運び込まれていた。
良く見ると、赤い実やブドウが見えたので大銀貨1枚ずつ買い部屋へ運ぶ。昨日のエールの小樽とブドウを浄化する。次にワイン樽から発酵の為の酵母を【抽出】して小樽に入れる。
ブドウを【破砕】し【錬金術】の【発酵】を使い発酵させる。発酵したら漉して【熟成】を使うのだが、駆け足過ぎて味は大丈夫なんだろうか?。
気にしても仕方ない。赤い実はどう見ても西洋リンゴだったので、シードルを作る。……と言ってもワインと作り方は同じだ。
ただ、発酵中に炭酸が出てくるのでシュワシュワと音がして、部屋に甘い香りが広がる。椅子に座ってリンゴを食べていると2人が起きてきた。
「うん? ……あれ? おはよう、アルド。何で椅子に座ってるんだい?」
「おはようございます、アルド。この香りは何ですか?」
「おはよう、2人とも。これはシードルの匂いだよ」
「「シードル?」」
2人にシードルの説明をしたが、その説明中リンゴの名前がアルダという事が分かった。そのアルダを酒にしたんだと説明したが、不思議そうな顔をした。
この辺りには無いので分からないらしい。完成しているのでコップに一杯ずつだけ飲ませると、「美味しい!」を連呼した。更に飲もうとしたので止めたが、目が諦めていない。
目を逸らす為に、浄化して濃厚にイチャイチャしていたら2人がベッドに誘ってきた。昨夜無かった事が原因らしい。嬉しい誘いだが、もう朝のいつもの時間である。
2人にはディープキスで諦めて貰った。恨みがましい顔をされても……。朝から余計な苦労をした気がする。
▽▽▽▽▽
0042終了時点
金貨13枚
大銀貨20枚
銀貨15枚
大銅貨40枚
銅貨3枚
風鹿の角槍
風鹿の角の太刀
赤豹の爪の小太刀
黄蛇の牙の打刀
赤豹の牙の手斧
風鹿の角の十手
鋼とオーク革の鎧
革と鋼の肘防具
革と鋼の膝防具
革と鋼のブーツ