0410
「ふんっ! 傭兵如きが何様のつもりか知らんが、よく分からん死体を竜だと偽って持ってくる程度の者だ。それにわざわざ付き合ってやるこの国も、随分知恵の遅れた国だな!」
「帝国には適わないさ。皇太子の命令も聞かずに好き勝手をする、自称貴族が居る国だしな。そう言えば、帝国の工作員がやってる暗殺組織もあったなぁ……。俺が潰したんだけどさ?」
「ほう、やはり野蛮な傭兵だ。我が国に言い掛かりをつ「証拠は王太子に渡したぞ」けて……」
王太子は殺気を乗せた目で睨みつけている。優男は流石にマズいと思ったのか慌てて口を噤んだ。代わりにこっちを睨みつけてくるが、微風にもならん程度の小者だな。嫌味だけかよ……。
「それにしても、帝国っていう国はポンコツしか居ないのか? 王国の大神殿にまで帝国の侯爵が手を出していたが、結局神罰が落ちたのか、ゴミは首だけになってたらしいがね」
「ああ、あの事件ですかな? 大神殿の中で好き勝手をし、小さい子供を強姦しては虐待して殺していたゲスは、確かに首だけになっていた様ですな。祭壇に首だけがあったそうですぞ」
「神がお怒りになられたのであろうよ。帝国の侯爵も処刑されたと聞くが、本当は”誰が”やらせていたのやら……真相は闇の中ですからな。昔から死人に口無しと言いますし、何があったのか……」
俺の言葉にライブルが乗っかり、そして兵務卿が優男に嫌味を言っている。いつから居るのか知らないが、余程腹に据えかねていたのか嫌味たっぷりに返しているな。またプルプルしてるぞ。
「それは王国の中であった事でしょう? それを我が国の所為だと言わんば「帝国の間者が捕まってたよな?」かりに……」
いちいち俺が横槍を入れるので、相当腹が立つらしいな。この程度で怒りに震えるとか、実に詰まらない奴だ。本当に帝国にはポンコツしか居ないのか、それともコイツが自分を捻じ込んだのか。
この分だと王国との話し合いなどで来たが、何も持って帰る事は出来なさそうだ。そもそも帝国は国際的に不利な状況だからな。戦争に負けた後、更に下らん事をしたうえ発覚している。
正直に言って、ならず者の国と見られているうえに、こんな奴を派遣してくる時点で駄目なんだよ。帝国にとって今は平身低頭に謝罪して雌伏する時なんだ。その時にこんな奴だぜ?。
空気が読めてないと言うか、どうにでも出来ると思っているのか。あまりにも驕りが過ぎると思うが、本人達にとっては普通なんだろう。驕ってる奴は省みる事が出来ないからな。
「王太子殿下! とりあえず、今分かった事を報告致します。まず、この竜と思わしき物ですが、鱗の形状と強度からして確実に竜である事は間違いありません」
「更に鱗の無い部分が多いのですが、剥がした形跡などはありませんでした。という事は、元々こういう竜だと思われます。東の国の方に皮膚の色を変える魔物が居るそうですので……」
「詳細はまだ分かりませんが、我等の結論としては七色竜の可能性は高いと思います。おそらく生きている間しか皮膚の色を変える事はできないのでしょう。ですが、生きたまま捕獲は……」
「まあ、無理であろうな。鉄の檻を作って入れたとしても壊されるであろうよ。七色竜が色を変えるところを見られるのは<竜殺し>だけだろう。……うん? どうやって倒したのだ?」
「どうやっても何も、気配は隠せないから見つけるのは難しくないぞ? 古の英雄とやらは【気配察知】が使えなかったんじゃないかと思う。素早いんで、戦えば結構苦戦するだろうが」
俺とメルとアルメアは七色竜との戦いを、ある程度ボカしながら伝える。途中で【念動】を使い叩き落しているので、そこはボカすしかない。適当に【風魔法】で落としたと言っておく。
信じたかどうかは分からないが、傭兵には奥の手を持つ者は多く居る。そして自分の飯のタネを話すバカは居ない。そういう部分は王太子なら分かっている筈だ。……他の奴はどうでもいい。
「殿下、この竜は如何致しますかな? 素材として使うのか、それとも研究用にこのまま学者達に渡すのか……。竜の皮ですから、とても性能の良い鎧が出来るでしょう」
「うむ。その場合は国の力を結集して、最高の物を作るべきだな。それによって、新たな技術が生まれるやもしれん。マナリアの鎧もあるし、我が国としても誇らしいものだ」
「我々学者と致しましては、鎧にされる前に出来得る限りの研究をさせて頂きとうございます。それが叶わぬならば、4人の絵師にそれぞれの方向からの絵を描かせたいと思います」
「ふむ……仮に鎧にするのも今すぐではない。今の内に絵として残して置いた方が良いか。正しく生きていた時の絵は残せまいが、そこは想像で描くしかあるまいな……」
帝国のアホは完全に無視されていて唖然としていたが、途中から必死に俺を睨みつけてきていた。【空間把握】で分かっているのだが、あまりに雑魚過ぎて相手をする気にもならない。
むしろ必死過ぎる顔を見て笑いを堪えるのに大変だ。俺を笑わせて恥を掻かせようとしているなら、極めて優秀な奴だと思う。もちろんそんな事は無い。無いからこそ面白いのだが……。
どうやら話し合いは終わりの様だ。結局、竜である事は事実だと認められ白金貨1枚となった。「随分奮発するんだなー」と言ったら、王太子からジト目で見られてしまった。
白金貨1枚でも安いぐらいらしい。竜だと分かった上での最低金額が白金貨1枚ぐらいなんだそうな。別に俺としては特に問題ない金額なので、最低金額と言われてもピンと来ない。
そもそも今着ているジャケットも竜の革で作ってるし、メルやアルメアのジャケットやズボンも竜の革で作った物だから珍しくないしな。そう言うと、王太子以外の全員が固まった。
学者2人が詰め寄って来たので、ジャケットと帽子を手渡してやると熱心に調べ始めた。軍務卿と兵務卿は唖然とした顔でこっちを見ているが、王太子は呆れた顔でこっちを見ている。
「私は聞いていたから知っているが、この場で言って良かったのかな? 軍務卿や兵務卿はともかく、学者連中はなかなかしつこい者も多いのだがな。まあ、何とかするんだろうが……」
「何とか……って言うか、ウチにはフォルが居るからなぁ。始祖のエルフに迷惑掛けると、狂信者が出張ってくる。アレ等の相手を本気でする奴等が居るのかね? ってところだ」
「「「あ~……」」」 「「うぇっ!?」」
王太子と軍務卿と兵務卿は物凄く納得してウンウン頷いてるが、学者2人はギョっとした顔でこっちを見てる。どうやらコイツ等は狂信者どもの事を知っているらしい。顔色が変わった。
まあ、誰だって狂信者の相手なんてしたくもないからな、アレ等に絡まれるくらいなら近付いて来ないだろう。何をされるか分からないし、怖すぎるからな。本当に関わりたくない。
「ありがとうございました、お返し致します。その革は加工されていますが、間違いなく竜の革でしょう。竜の革の特徴がハッキリと出ておりますので間違いありません」
「しかしながら、帽子とジャケットでは素材が違うと思われますが如何でしょうか? 帽子の方は硬い皮を持つ竜の物で、ジャケットは柔らかい竜の皮から作られている筈……」
「流石は学者と言うべきなのかね? 俺の帽子は王角竜の革で、ジャケットは海蛇竜の革だよ。それなりに優秀な防具と言って良いから便利ではあるし、柔らかく作ってるからな」
アルメアの上下は大飛竜だから良いが、メルの上下は岩硬竜の物なんだよな……。アレは俺達がそう名付けただけで発見されていない可能性があるんで、迂闊には喋れないんだよ。
それにしても、帝国のアホはこっちを睨んでいた癖に、今はジっとこっちを観察してやがる。どうやらアホな事を考えている様だが、まだ自分がアホだと理解できていないらしい。
何を言い出してくるか楽しみではあるんだが、どうせ俺に一蹴される事しか言わないだろう。
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0410終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨36枚
金貨89枚
大銀貨165枚
銀貨126枚
大銅貨626枚
銅貨39枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




