0406
17層の転移紋は北西北にあった。18層へと進み、北西北を目指して進んで行く。この層も意外に早く見つけたので、転移紋に乗って19層へと進む。面倒が無くて何よりだ。
19層は夜の森だった。……これは初めてのパターンだけど、殺意が高過ぎないか? 幾らなんでも”普通の傭兵”ならここで死ぬぞ。【空間把握】で調べたら黒い奴ばっかりだ。
ダークバットやダークオウル、ブラックウルフにブラックベア。この層は確実に殺しにきてる。ジャン達はこの層を突破できるのか? 流石に気を付けてやらないと駄目だな。
ジャン達は東北東に進む事を決めたようで、方位磁針モドキを確認しながら進んで行く。【気配察知】は使えるので敵襲は分かるのだが、問題はリヴィが強襲された場合だ。
【気配察知】を使えないリヴィは、強襲や奇襲をされると反応出来ずに攻撃を受ける可能性が高い。この層ではリンデと隣り合わせで進んで行く事となり、今はリンデが警戒している。
森そのものは浅いので、そこまで大変ではない。ただ、浅いからこそ、敵も奇襲しやすいとは言えるのだが……。とにかく、魔物の気配に注意しながら進んで行き、転移紋を発見した。
20層へと移動し、再び夜の森を進む。東北東へと進んで行き転移紋の近くまで来た時、北に驚く程の呪いを感知した。嫌な予感がするなぁ……神鉄の時と同じぐらい強い呪いだぞ……。
「済まないんだが……ここから北に異様な程強い呪いを感じるんで、ちょっと行ってくる。洒落にならないほど呪いが強いから、皆はここに居てくれ」
俺は夜の森を、身体強化を使いながら素早く移動していく。呪いの大本には、黒いオーガがポツンと立っていた。その手には大脇差が握られているが、洒落にならないほど濃密な呪いを放ってるぞ。
俺は黒いオーガに気付かれる前に、【集中】を使って浄化を始める。前後不覚になる程に集中したが、何とか解除した時には、いつも通り白いナニカになっていた。これは変わらないな。
大脇差を確認してみたが呪いは残っていなかった。抜いてみると、やはり神鉄で出来ていて美しい刀身をしている。俺に浄化させなきゃいけない程、呪力が世界に溜まっているのだろうか?。
そう思うほど、異常に強い呪力の物を用意してるしなぁ……。まあ、世界から呪いが少しでも減るんなら良いんだけどさ。とりあえず、皆の下に戻ろう。ここで考えても仕方がない。
「おかえり……って、何かあったのかい? 深刻そうな顔をしているけど、その割には怪我をした訳でも無さそうだし……。ん? その刀はどこで……って、それが原因なんだね」
「ああ……うん。とりあえず、この大脇差はダナに渡しておくんだけど……これ、神の金属で出来てるから気を付けてほしいんだ。それと、絶対に無くしたり、奪われたりしないでほしい」
ダナが不思議そうな顔をしたので、俺は皆を集めて神の金属の話をしておく。皆は唖然とした顔で俺の話を聞いており、呆気にとられている。希少金属の上があって驚いているんだろう。
神の金属の特徴である、壊れない、劣化しない、あらゆる力の邪魔をしない。この3つを丁寧に教えていく。と言っても、難しい事ではないので直ぐに話は終わるのだが……。
皆はいつまで驚いてる気だ? 先へ進むんだから、そろそろシャキっとしろ! と言いたい。皆はゆっくりと理解していったのか、いきなり爆発するように騒ぎ始めた。……耳が痛い。
「え!? ちょっと待っておくれよ。これが神の金属って奴で出来てるのかい!? これが……はぁっ? 何だいコレ! うわー……何だか分からないけど、ヤバそうなのは分かるよ」
「本当ですね!! ダナが抜いたので分かりましたが、物凄くヤバそうな雰囲気がしますね。何でしょうか……とんでもないオーラを感じるのは、私だけじゃないと思いますが……」
「ええ、私も感じるけれど……。何と表現していいのか分からないわね。……こう、言葉が出てくるようで出てこないのよ。出そうとしているのか、出すまいと抑えているのか……」
「うん。分かるよ、その感覚。言おうと思うんだけど、畏れ多くて口に出してはいけない気がするんだよね。……よく考えたら、主様の太刀からも同じ雰囲気がしていたような?」
「ああ。俺が持つ神鉄の太刀だろう? 一応渡しておくけど、後で返すようにな。色々説明が面倒だったのと、知らなかったら気にも留めずに済むから言わなかったんだよ」
「そのまま黙っててくれても良かったんだが……。ああ、2振り目が手に入ってしまったから隠せなくなったんだな。こんな物が2つも手に入るとは、普通は考えないか」
「だよね。手に入るとか以前に、世界中でアルドしか持ってなかったし、アルドしか知らなかった物だよ? 知られてもいないんだから、余計な事は言わないと思う」
「何と言いますか……仮に渡されたとしても、持つのを拒否したいですね。自分ではとても無理だと言うのが分かります。多分、一生を掛けても使い熟せないと思いますので……」
「何と言って良いか分からないが、凡人は持つ事すら許されない。そういう雰囲気があるのは良く分かる。ただそこにあるだけなのに、気圧される武器は初めてだ」
「気圧されるだけで済んでいるなら良いじゃないですか。私なんて怖いですよ。あれは正しく使えないと自分を斬ってしまう武器でしょう。多分、触れただけで斬り裂かれてしまいます」
「世の中には、自分が知らない事は沢山あると言いますが……。これは、その究極と言ったところでしょうか。知って良かったのか悪かったのか、判断が付きかねますね」
「うわぁ……。知っちゃいけない事を知ってしまった気分だよ。というか、神の金属って……冗談でも何でもなく洒落にならないんだけど、その辺り本当に分かってるのかな?」
色々皆が喋っているが、それを無視して俺は解体をしている。白いオーガを解体し終わった俺は、吸い付く下着を量産”させられた”後で、やっと製作に入る事が出来た。
まずは、不要だという事でリヴィのカットラスと小盾を穴を掘って【粉砕】し、魔銅のショートソードをインゴットにした後、要らない部分を穴に捨てて【粉砕】する。
ゴミ捨てが終了したので、リヴィに聞いて必要な武器を作成していく。どうもカットラスは使い勝手が良くなかったらしい。切る武器は二郎刀でいいので、別の武器が欲しいそうだ。
色々と話し合った結果、作るのはエストックとスティレットになった。エストックは今までも作った事があるので、直ぐに出来る。要望通りに、剣身は70センチと少し短めにした。
これは腰に差している時に邪魔にならない長さにしてほしいと頼まれたからだ。スティレットも前に作った事がある。いつ作ったって? 大分前にライブルに渡したのを忘れたのか?。
スティレットは止めを刺す為に作られた、刃の無い刺突専用の短剣の事だ。刃渡りは30センチで錐のような形をしており、プレートアーマーの隙間を突き刺して相手を殺す。そういう風に使う物だ。
両方刺突武器だが、スティレットは頑丈に作るのでマンゴーシュのように使えるだろう。携帯性の高い武器にしておかないと、二郎刀が使えなくなってしまうからな。あっちがメインだ。
打撃系の武器が無いが、斬撃と刺突が出来れば十分だろう。リンデがウォーハンマーを持っているので、そっちに打撃を任せればいい。さて、流石にそろそろ先へと進もうか?。
次は21層だ。……まさか忘れてないよな? うんうん、ジャンは忘れてなかったみたいで何よりだ。神の金属が衝撃的だったのは分かるが、ダンジョンに居る事を忘れちゃ駄目だろうよ。
そろそろ先へと進まないとな。……いや、俺の所為じゃないよ。そもそも俺が呪いの武器をダンジョンに放り込んでる訳じゃない。危険すぎるアレは、絶対に放っておいたら駄目だ。
それは分かるだろ? そうそう、アレは浄化するしか無いんだよ。それよりも、そろそろ進むぞ。ダレてるんじゃない! シャキっとしなさい! ……全く。
▽▽▽▽▽
0406終了時点
大白金貨3枚
白金貨8枚
大金貨36枚
金貨89枚
大銀貨170枚
銀貨127枚
大銅貨156枚
銅貨39枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




