0387
全員が疲弊しているのでゆっくり食事をとっていると、威勢の良い連中がドタドタと入ってきてはカウンター席に座って注文を始めた。五月蝿い奴等だなと思っていると妙な話を大声でし始める。
「いやー、俺も話を聞いた時はマジだとは思わなかったぜ! あまりにビックリして朝飯を放り出して、ついつい見に行っちまったからなぁ! それにしても、まさかだよな!」
「本当にな! このまま永遠にゾンビダンジョンだと思ってたのによぉ! まさか普通のダンジョンになってるなんてビックリな事が、本当に起きてるとは夢にも思わなかったぜ!」
「俺は爺さんから聞いた事がありましたよ。昔はここのダンジョンも普通のダンジョンだったって。いつ頃からかゾンビが現れ出して、気付いたらゾンビしか居なくなってたって」
「俺達だって聞いたさ。昔は良かったってな。昨日までは爺どもの戯言だと思ってたさ! まさか本当に普通のダンジョンになるなんて、誰も思わなかっただろうよ」
「これで町も少しは良くなるってもんよ。昔は良かった、昔は良かったってバカの一つ覚えみたいに言いやがって! 俺達は良かった頃なんて知らねーってんだよ! なぁ!」
「全くだ! まぁ、これからは俺達が良い時代を作っていってやろうじゃねぇか! じゃあ景気づけに乾杯!!」
「「「「かんぱ~い!!!」」」」
どうやらゾンビダンジョンじゃなくなった様だが、コイツ等理解してないな? 浄化しなきゃ元に戻ってしまうって事を……。まぁ、いつか誰かが気付くだろうし、頑張って浄化しろよ!。
皆も顔を見回しているが、どうやら浄化したから中が変わった事を理解したらしい。若干バカ騒ぎしている連中を憐れむ目で見ている。朝食後、宿を出て町中を歩いて行く。
昨日までの陰鬱な雰囲気が無くなった印象を受けた。生活している人達の心で、こんなに変わるものなんだなと思う。そんな通りを歩いていき、門で手続きをしたら町を出る。
ゆっくりと歩きながら北東へと進み、その後北へと進む。分岐路に来たので北へと進んで行き、昼頃にはロットの村へと辿り着いた。村の中を見て回りながら浄化をし、食堂へと行く。
大銅貨14枚を支払い昼食を注文したら、席に座ってゆっくりと冷たい聖水を飲む。昼食を待っていると5人組の傭兵が入ってきて近くのテーブル席に座った。平均的なチームか……。
「やっとロットの村まで来たか。しっかし傭兵ギルドが俺達を招集するなんてな、よっぽど今回の不祥事には神経を尖らせてるらしい。俺達からすれば自業自得でしかないがな」
「全くね。散々傭兵から奪っておきながら、危険が迫ると傭兵である私達に護衛を頼むなんて。恥を知らないのかしら今の幹部は! 幾らなんでも総長が許す訳ないでしょうに!」
「本当よね。あのバカ達は神殿と組んでたから総長も動けなかっただけで、明るみに出た以上は総長も大手を振って動けるに決まってるじゃないの。あまりにもバカ過ぎるわ」
「そもそも俺達が総長の命を受けて動いてるって事も知らないんだろ? 所詮その程度のバカなんだから、さっさと潰しちまえば良いと思うんだがな」
「それでは証拠が集められませんからね。総長としても証拠も無しに潰す訳にはいきません。それに、悪質な幹部は国と関わりのある連中のようですから、その証拠が要るんでしょう」
ふーん……とは思うが、話半分で聞いとくか。こんなところで話してる内容が正確だと思うほどバカじゃない。それに、”そういう事にしたい”情報かもしれないしな。信用はしない。
昼食を食べ終わったので、さっさと村を出て進むか。さっきのチームのエルフがチラチラとフォルを見てたんだよ。こんなところで狂信者に遭うのも御免なんで、先を急ぎたいんだ。
身体強化はせずに歩いて行くのだが、朝に比べれば皆気分は良いようだ。恐らく相当回復したか、既に回復は終わってるんだとは思う。いちいち俺が確認したりはしないけど。
自分で把握するべきだし、これも自分を知る練習だ。歩きながら進んで行くものの、若干飽き始めている。皆も回復したからか遅い事にイライラしているが、どうやら気分も上向いた様だな。
皆と話し合い、ここからは身体強化をして一気に進んで行く事にする。さっきのチームも後ろをついてきていると言うか、尾けてきている様なので丁度良いという事になった。
身体強化を行い一気に走っていく。ゆっくりな旅も悪くは無いんだが、わざわざ遅く進む理由も無いんだよな。身体強化で一気に進んだからか、随分早く目的地に到着した。
目の前に見えているのが目的地のグーデンの町だ。この町のダンジョンは戦闘ダンジョンであり、ヴェスティオン最難関のダンジョンと言われている……らしい。あくまでも噂ではだ。
俺達からすれば、ゾンビダンジョンも難易度は高かったと思うし、素材ダンジョンも大変だったと思う。つまり、浅い層にしか行かない奴等の中では最難関なんだろう。
最奥まで行く者にとっては難易度が違うって事だ。今までで1番難しかったのは、間違いなく虫地獄のダンジョンだ。あれほど精神を削ってくるダンジョンを俺は他に知らない。
俺達の番が来たので手続きをして町の中に入る。早速宿を探しながらウロウロし、ついでに浄化をしていく。宿は見つけたんだが、値段が高いか客でいっぱいなところばっかりだった。
困りながら宿を探していると、スラム近くに小さな宿があった。どうやら客が全く入っていない様なので、1日銀貨1枚で2日間貸切にしておいた。貸切の方が安全性は高いからな。
6人部屋と3人部屋、それに1人部屋が2つあるだけの宿なので貸切にしても大丈夫だ。宿の女将さんも認めている。何でも元傭兵の夫婦で営んでいるらしいので、話が通じやすいんだ。
俺達は町を観光する為に自由行動とし、皆と分かれる。3匹は付いてきたので、3匹を目くらましにして浄化を進めて行く。この町も随分汚いが、ヴェスティオンってこんな国なのか?。
傭兵国家じゃなくて汚れ国家だな。そんな下らない事を考えながら浄化していると、子供達が寄って来ていた。流石のパワフルさで、物怖じせずにカエデやマートルを触っている。
ダリアは触られるのが嫌なのか避けていて、今は俺の足元に居る。楽しそうな子供達とウロウロしていると、結構な広範囲を浄化できたし町について教えてくれた。それは良いんだが……。
6人の子供と3匹の串焼きを大銅貨9枚で買わされたのは構わない、何で訳の分からん銀ピカの鎧を着た女傭兵に絡まれてるんだ? しかも従者っぽい奴等を3人連れてるぞ?。
何かギャーギャー喚いてるが、俺が子供達を誘拐するつもりだとか何とか言っている。何だこの難癖は? 後ろの従者は頭を下げてたり、手を合わせて謝っている。……空気読め、バカ姫。
「さっきからギャーギャー五月蝿いが、静かにしてくれないか? 子供達が怯えている。後、訳の分からない思い込みで難癖を付けるのを止めろ、迷惑だ。周りを見て気付け」
周りから呆れられているのが分かったのか、トーンダウンし憎々しげに睨んでから去って行った。俺達に何かしてくるなら秘密裏に殺すか。燃やして【粉砕】すれば問題ないだろう。
それにしても、アレがシュラの言っていたヴェスティオンの第一王女か……。面倒臭い奴だと言っていたが、面倒臭いどころじゃないくらい鬱陶しそうな奴だったな。
鎧の前面にヴェスティオンの象徴である剣と槍の紋章が描かれていたので、シュラが言っていた奴だと直ぐに分かった。それは良いんだが、ああいう面倒臭さだとは思わなかったな。
あそこまで子供で、自分の主観を押し付けてくる奴だとは……。元の世界にも、ああいう頭のおかしいのは居たが、どんな時代にも居るんだなぁ。碌でもない奴って本当に何処にでも居る。
そういった部分に関しては、元の世界も、この世界も何も変わらないよなー。本当に。
▽▽▽▽▽
0387終了時点
大白金貨3枚
白金貨8枚
大金貨36枚
金貨89枚
大銀貨171枚
銀貨131枚
大銅貨398枚
銅貨39枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




