0386
ダンジョンの最奥に必ず竜が居る訳じゃない。その事について皆が話しているのだが、竜が居ないという事は必ず竜の肉が手に入る訳では無い事に皆が気付いた。その落胆っぷりは……。
そこまでか!? と言いたくなる程に酷い落ち込みっぷりだった。「欲しければ天然の竜を倒せば良いんじゃないか?」と言ったんだが、全員から呆れられてしまった。……何故?。
詳しく聞くと、どうやら天然の竜は点在しているらしい。そのうえ、季節毎に移動しているらしく簡単には見つからないそうだ。それと、当然ながら天然の竜は群れているのが普通となる。
つまり、一斉に攻撃されるとオーガゾンビ以上にどうにもならない。その事を言われると「そりゃそうだ」としか思えなかった。ダンジョンの竜は殆ど1頭しか出てこないからなぁ……。
「ダンジョンの竜はさ、ある意味便利なんだよ。殆ど1頭しか出てこないし、2頭出てきてもそこまで強くないんだと思う。何と言うか、調整されてると言えば分かりやすいかねぇ……」
「自動システムとやらですね。2頭出てきたのは大海竜と海蛇竜だけです。あれはアルドが倒してしまいましたが、ブレスさえ何とかすればそこまで強くはないでしょう」
「確かにそうね。今なら魔法で牽制も出来るし、タワーシールドで恐らく防げるでしょう。そこまでの威力には思えなかったし、岩硬竜の素材で作られた盾だから大丈夫だと思うわ」
「それよりも、大海竜も海蛇竜もそこまで鱗が無いし強くも無かったよ。氷擲竜の鱗は硬かったし、ましてや岩硬竜はもっと硬かっただろう? そういう基準じゃないかな」
「そうかもしれないな。それに、もっと早くに出てきていたら勝てなかったかもしれない。特に岩硬竜はちょっとおかしい硬さだったしな。……もしかして、そこも調整されてるのか?」
「そういうのを考えていっても答えは出ないよ。だから一つ一つに対処していくしか無いんじゃない? 今回のような大量の魔物が出た時に、どうするかを考えようよ」
まあ、フォルが言う事が正しいな。自動システムが何を考えてるか何て考えても意味は無い。それよりも、最奥で出てくる魔物にどう対処するかを考えないと、生き残れないだろう。
特に今回は大量の魔物が一気に攻めてくるという形だった。そして、その形は竜が1頭だけ出てくる形よりも危険である事が分かったんだ。それは当たり前の事だが収穫でもある。
とはいえ、数頼みの戦法はシンプルだからこその厄介さがあるよなぁ……。数の暴力は魔法のある世界でも変わらない。今回はゾンビだからこそ助かったというのは本当に正しい。
ゾンビじゃなかったら対処できたか怪しいし、生身のオーガだったら誰か死んでいたと思う。ダンジョンに操られているとはいえ、知恵があるのがオーガだ。侮る訳にはいかない。
3匹とスキンシップをしながら考えていたんだが、3匹も疲れていたのかあっさりと寝てしまった。ベッドに連行されたものの、皆もいつもの元気が無い。今日は相当疲れたみたいだな。
【房中術】で優しく撃沈しておき、今は【練成魔法】を書き記している。と言っても、そろそろ終わ……よし、終わった。……読み直したが、特に問題のある箇所は無いな。
やっと終わったか……いや、本当に長かったなー。やっと【魔法】を全て記す事が出来た。【錬金魔法】と【練成魔法】はともかく、【光魔法】は広められないな。
簡単に悪用できる魔法なんて、世界にバラ撒いても良い事なんて無いだろう。【光魔法】は封印だな。他の魔法は発展の為に出しても構わないが、まずは王国からだろうなぁ……。
帝国に奪われるだけな気がするが、それは間抜けな王国が悪いだけだ。俺が教えた物が簡単に盗まれたって、俺が悪い訳じゃないしな。巡り巡ってルーデル村の為になればいい。
いつもよりは早いが、そろそろ寝るか。目を瞑って【空間把握】を使い、ジャン達やリンデを綺麗にしたら、おやすみなさい。
<異世界164日目>
おはようございます。今日はヴェスティオン最後のダンジョンがある町への移動日です。ここから北に向かって行って村を1つ越えたら着く町だ。やはりヴェスティオンは小さいな。
国としては小国と変わらない国土しか持って無いが、傭兵を束ねているという事で大きな顔をしてきた。まあ、現在はそれも揺らいでいるが、果たして大丈夫なのかねぇ……?。
傭兵ギルドの本部に関しては、ディルの1件から信用はしていない。結局ディルの故郷の件もどうなったのか分からないし、神殿と共謀して傭兵から毟り取ってた件もどうなったのやら。
更には聖王国の件もどう絡んでるのか分からないが、関わりがありそうだ。ギルドに関しては、碌でもない事がどんどん明るみに出てきているし、岐路に立ってるのかもしれないな。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル」
「ニャ」 「グル」 「ワン」
いつも通りに冷たい聖水を3匹に出す。まだ残暑厳しいので外は暑いが、それでも一時期に比べればマシだ。この世界では暑い時期が長くは続かないらしい。今年だけかもしれないが。
【闘気術】は書いてないが、【魔法】は全て書き終わっているので梳いてやろう。俺はブラシを持って3匹を梳く。聖水を飲み終わっていた3匹はブラシを受けながらうっとりしている。
相変わらず反応が全く変わらないなーと思いながら、ゆっくりとブラシを掛けてやっていると皆が起きてきた。今日はちょっと遅かったか?。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「……」 「……」 「……」
「3匹とも凄くうっとりしていて動かないね? そんなに心地良いのか知らないけど、反応が毎回同じだから多分大丈夫なんだろう。それよりも、今日は何だか辛い感じだよ」
「分かります。昨日の朝に比べれば元気が無いと言うか、体が回復しきっていない所為でしょうけどね。疲れが残っているような感じがするんですよ。恐らくその所為でしょう」
「私もそうよ。昨日の戦闘で魔力をかなり消費した影響ね。若い頃にはあったけど、久しぶりにこの倦怠感を味わうわ。魔力が回復しきっていない影響よ、コレは」
「これがそうか……。魔力を枯渇寸前まで使ったのは多分初めてだと思うんだけど、ここまで辛いとは思わなかったね。何と言うか、気分が上がってこないんだよ」
「そうだな。いつまでも疲労が体から抜けない感じだ。不老長寿になる前はよくあったので、そこまで辛いという事は無いのだが……ただの疲労とは違う感じは変わらない」
「魔力枯渇は本当に大変なんだけど、枯渇寸前まで使っても大変なんだよ。僕は久々だけど、やっぱり辛いんだよねコレ。何と言っても気分が上向かないから、体以上に心がキツいんだ」
俺はテンションの低い皆を横目に、送風機と冷房から魔石を抜いて収納する。……お前はキツくないのかって? 魔法も碌に使ってないのに疲れる訳がないだろう? 当たり前の事を聞くな。
部屋を出る前に、ジャン達とリンデを浄化した後【覚醒】を使って起こしておく。部屋を出て鍵を掛けたら1階に下りて従業員に鍵を返す。大銅貨14枚を支払って朝食を注文した。
丁度そのタイミングでジャン達とリンデが起きてきたので、【空間把握】で忘れ物を確認する。どうやら問題は無い様だ。最後に2部屋を浄化しておいて、全ての確認を終了する。
朝食を食べている最中に今日の予定を話しておこう。……どうやらジャン達やリンデも体と心が辛いらしい。相当の疲労が溜まっている様なので、予定を変更してゆっくり行く事にする。
久々の身体強化をしない移動だが、どのみち夕方までには間に合うので特に問題は無い。無理をさせる気は無いし、させても回復が遅れるだけだろうからな。ここは急ぐべきじゃない。
しかし、ここまで皆の元気が無いというのは珍しいな。
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0386終了時点
大白金貨3枚
白金貨8枚
大金貨36枚
金貨89枚
大銀貨171枚
銀貨133枚
大銅貨421枚
銅貨39枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




