0385
「しっかし、あのオーガのゾンビの大群は困ったねぇ……。まさか、あんなに大量のオーガゾンビに襲われるとは思ってもいなかったよ。最奥なら普通は竜だろうに!」
「確かにそうですけど……竜が出てくるのを望むのもどうかと思いますよ。まあ、私もどちらがマシかと言えば、竜の方がマシだとは思いますけどね。今回は大変でした」
「私も大変だったわ……。それに今回ほど同時発動の練習をしていて良かったと思った事は無いわね。たとえ【小浄】や【清浄】でも、同時発動が出来れば随分楽になるのが分かったし」
「私も【浄炎】や【聖浄四重浄化】の練習をしていて本当に良かったよ。かなりの範囲を浄化出来た御蔭でオーガゾンビの突進を随分防げたからね。ただ、数が多過ぎるとは思ったけど」
「アンデッドとはいえ、あそこまで大量のオーガに襲われた者は居ないのではないか? 普通の傭兵では絶対に突破出来ないだろう。アルドが相当援護してくれていたしな」
「そうだね。突然オーガゾンビが倒れたり、動かなくなったりしてたから援護してくれたのは分かったけど、それでも大変だったよ。こんなに【浄化魔法】を使う事になるなんて……」
「僕達も頑張りましたけど、そこまで役には立てませんでした。【浄化魔法】は教えて頂きましたけど、1つ1つしか使えませんので同時発動の練習をしないと……」
「ジャンの気持ちは良く分かる。私も悔しさでいっぱいだ。同時発動が出来ないので全く手が足りなかった。使えるようになっただけで喜んでいる場合ではなかったな」
「その同時発動も簡単では無いんですけどね。メルさんのように8個同時展開なんて、本来ならあり得ないと言われる事ですよ? あれは真似出来るような事じゃありません!」
「言いたい事は良く分かりますけど、アルドさんは10個同時展開を狙ってやっていましたからね。完全に制御出来るそうですよ? どこまで難しいのかは想像も出来ませんが」
「………」
「いや、呆然とされてもな……。ちなみに魔神は何個でも完全に制御するから、比べても意味は無いと思うぞ? 俺は20個ぐらいで限界だしな。魔神と比べたら、精々そんなものだ」
「「「「「「「………」」」」」」」
いや、だから呆然とされても困るんだけどな。魔神は完全制御のうえにガトリングのように放ってくるから、アレを見ると自分はその程度でしかないと思うんだ。いやいや、マジで。
……比べるものが間違ってると言われてもなー。長い間神界に居たし、神様達以外に比べる相手が居ないんだからしょうがないだろう? はぁー、やれやれ。……ってされても困るんだけど。
魔力が無くなって辛そうだったのに随分元気だな。その元気があるなら脱出しても大丈夫そうだ。それにしても、ここは儲からないダンジョンだった。ゾンビばっかりで話にならない。
次のダンジョンは、もう少しマシなものを期待したいところだ。この国の最初のダンジョンが1番マシとか止めてくれよ。このダンジョンも相当浄化したから、これからはマシになると思うけどさ。
さてそれじゃ!? ちょっと待て、向こうの方に反応があるぞ!? 俺は皆に一言伝え、一気に身体強化で移動する。荒地の岩の後ろに……あった! ……マジかよ、2つもあったのか。
しかもここへ来て分かった。向こうにも反応がある。この最奥の層は、いったいどうなってるんだ? 色々ありすぎるし、今までのパターンと随分違うぞ。とりあえず回収してこよう。
俺は【探知】と【空間把握】を使って調べ上げ、回収出来る物はすべて回収して皆の下に戻った。聖水を飲みながら休憩していた御蔭か、皆の疲労は幾分マシにはなったらしい。
「急いで走って行ったって事は、また何か見つけたんだね? いったい何があったのか知らないけど、随分時間が掛かってたみたいだから色々見付けたんだろう?」
「まあな。まずはアイテムバッグの中型と大型だ。岩の後ろに隠されるように置いてあったんだが、普通の奴だと絶対に見逃すだろう、アレは。厭らしい所に置きやがる」
「大型のアイテムバッグはジャンですかね? やがて一人立ちするにしても、ジャンがリーダーでしょうし。そうなると、ジャンが大型のアイテムバッグを持つべきでしょう」
「あの……僕が持って大丈夫でしょうか? 大型のアイテムバッグは命を狙われると聞きましたけど、僕が持っていても守り切れないと思います。流石に持つ自信はありません」
「だから今から練習するんだろ? と言いたいところだが、これは無理強いしてもしょうがない。ジャンは中型のアイテムバッグで、小型のはミレイアに渡してやるといい」
ジャンに中型のアイテムバッグを渡して中身を入れ替えさせたら、ジャンの小型のアイテムバッグをミレイアへ。ミレイアが持っていたアイテムポーチはジャンに返していた。
大型のアイテムバッグをどうするかと悩んでいると、ダナが横から引っ手繰っていき中身を入れ替え始める。……まぁ、良いか。中身を入れ替えたダナは、自分の中型をリンデに渡す。
受け取ったリンデは中身を入れ替えた後、小型のアイテムバッグを俺に返してきた。俺は小型のアイテムバッグを収納し、次の物を取り出した。……何でこれがあったのやら。
俺が取り出したのは、アダマンタイトで作られたガントレットと、オリハリコンで作られた鉄扇だ。鉄扇と言うかオリハルコン扇か? 結構重いし使い勝手が悪そうだがなぁ……。
何でこんな物があるんだか。防御には使えそうだが微妙と言えば微妙だ。ちなみに、ガントレットはさっさとシュラが持っていった。あのガントレット、拳の部分にスパイクが付いている。
間違いなく、防具じゃなくて殴打用の武器だろう。シュラが身に付けて嬉しそうにジャブを打っている様子を見て、アルメアが微妙な表情をしているな。姉として色々あるんだろう。
鉄扇の方は誰も使う気が無いそうなので、さっさとインゴットにして収納する。オーガゾンビは何故ここにある武器を使わなかったんだろう? ゾンビになって知恵を失ったからかね?。
そんな事よりも、そろそろ帰ろうか。体感では夕方ぐらいだと思うし、ここでダラダラしていてもしょうがない。俺は皆に声を掛けて<脱出紋>に乗り、ダンジョンを脱出する。
ダンジョンを出た俺達は、さっさとムディの町に帰った。相変わらず寂れて陰鬱な感じの町だが、ゾンビダンジョンの町というイメージが付いた所為なのかもしれないと、ふと思った。
夕方だったので、部屋に帰る前に大銅貨14枚を支払い夕食を注文する。冷やした聖水を飲んでいると直ぐに夕食が来た。相変わらず普通の食事だが、万人向けの料理と味で助かる。
個性的過ぎても困るし、落ち着いた味は色んな意味で助かるんだよな。食事後、部屋に戻って送風機と冷房を使用する。まだ涼しくはないが、直ぐに部屋が冷えていくだろう。
「しっかし、最奥に竜が居ない代わりに大量のゾンビが居るなんて思わなかったよ。愚痴じゃなくて今後も同じ事があるかと思うと、対策を考えておくか心構えはしておいた方がいいね」
「そうですね。最奥に必ず竜が居る訳ではないという事は今回判明しましたから、これからはあり得る事として考えておいた方が良いでしょう」
「数で攻めて来られると非常に大変だから、対策はキチンと考えておいた方が良いわ。今回はアンデッドだったから助かったけれど、次も大丈夫と思うのは危険よ」
「そうだな。どんな相手であっても、数を頼りに一斉に突撃されると捌き切れない事は十分にあり得る。今日は偶然上手くいった……ぐらいに考えておくべきだ」
「確かにね。今日のオーガゾンビの群れ、凄く怖かったよ。あんなに一気に魔物に攻められた事なんて今まで無かったから、動けるようになるまでに時間が掛かったんだ」
いきなり大量の敵が攻めてきたら、ビビってもしょうがないんじゃないかな?。
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0385終了時点
大白金貨3枚
白金貨8枚
大金貨36枚
金貨89枚
大銀貨171枚
銀貨133枚
大銅貨435枚
銅貨39枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




