0383
「【練成魔法】を書き記していたのかい? まあ、凄い集中力で没頭していたのは見てたから分かるけど……それにしても使えないからか、見てもよく分からないねぇ」
「仕方ありませんよ。魔法陣自体の形も違うぐらいですから、根本的に違うものなんでしょう。【属性魔法】とも【浄化魔法】とも違いますからね」
「そういえば、そうね。魔法陣の形自体が違っているのには、何かしらの意味があるのでしょうけど……。祖母からも聞いた事は無いし、いったいどんな理由があるのかしら?」
「こっちを見ながら言われてもな。その違いには欠片の意味も無いぞ。単にそういう図柄にしただけだ。五亡星と六亡星の違いは、関わる神様の違いみたいなものだ」
「……関わってる神様が違うから、五亡星やら六亡星と言うものになってるのかい? でも変だね。【属性魔法】と【浄化魔法】、それぞれに沢山の神様が関わってそうだけど」
「正確には全部六亡星の筈だったんだが、創造神が「自分の関わるものは個性的にしたい」と言い出したらしい。それで創造神の関わる錬金魔法と練成魔法だけ魔法陣が違うんだよ」
「「「「「「神様……」」」」」」
「ニャ……」 「グル……」 「ワン……」
3匹を含めて、全員が呆れてるって珍しいな。気持ちは分かるんだけど、神様だって意思が在るんだし個性を出したい事もあるだろうさ。別に悪い事でもないし、良いと思うんだけどな。
魔法陣がどんな形をしてようが効果が変わる訳でも無いし、むしろ見分け易いんだから良いだろうに。そう言うとジト目を向けられたんだが、何故? ……これは本当に分からないぞ?。
分からないんで、この話はもう止めよう。送風機と冷房から魔石を抜いて収納したら、部屋を出るついでにジャン達とリンデを【覚醒】で起こす。後は放っといて大丈夫だろう。
食堂へと行き大銅貨14枚を支払って朝食を注文する。席に座ってゆっくり待っていると、ジャン達とリンデが食堂に来た。昨日忘れていたからか、今日は忘れ物が無いようだ。
朝食がやってきたので食べている間に、今日の攻略について話す。陣形や進み方、転移紋の探し方など様々な事を話し朝食を終えた。宿を出て町を歩き、門で手続きを済ませて町を出る。
町の北西にダンジョンがあるのだが、あまり賑わっていないらしい。何でだろう? 平均的なダンジョンなら色々な物が手に入るから、十分に儲かるダンジョンだと思うんだがなぁ……。
<迷宮紋>から中に入ると、そこは墓場だった。……どういう事? ……もしかしてホラー系か? それなら人気が無いのは良く分かる。この世界にもアンデッドは居るからな。
この世界のアンデッドは、放置されていた死体などに邪気が長い時間蓄積して出来る。邪生と言うか半邪生と言うか、かなり微妙な存在である事に変わりは無い。
邪生に比べてレアで、遭う確率は低い。基本的に弱くて遅く脅威にはならないので、農民ですら簡単に倒せるからだ。その為、誰も脅威とは見ないが、腐った死体という脅威ではある。
不潔の極みであり、病気を撒き散らす者として怖れられている訳だ。なお、スケルトンタイプのアンデッドは存在しない。骨だけで動くとかあり得ないから、仕方がないというか当然だ。
ゲームじゃないんだし、現実では肉無しにどうやって体を支えるんだ? という話になる。死ねば魂を浄化されるので、ゴーストタイプの魔物もこの世界には居ない。これも当たり前だ。
「皆が嫌なのは分かるが、【浄化魔法】の訓練が出来ると思えば良い。出てきたらガンガン浄化してやれば済むだけの話だ。じゃあ、進んで行くぞ!」
皆は自分のやるべき事を思い出したのか、陣形を組んで進んで行く。人が少ないので方向が分からず円を描くように進んで行き、北に転移紋を発見した。しっかしゾンビばっかりだな。
【浄化魔法】だけで始末できるので楽と言えば楽だ。ついでに動きが遅いので脅威にはならない。皆の体は綺麗にしているので病気になったりはしない為、ガンガン浄化しながら進んで行く。
2層も墓場で北、3層も墓場で北、4層も墓場で北、どんだけ墓場が好きなんだよ。5層に着いたが、そこは荒地だった。遠目にゾンビが見えている。纏めて浄化していくかね。
人が少ないので【浄化】の権能を使い、ダンジョン自体も浄化しながら進んでいる。墓場の地形もそうだったが、所々にお金になる木があったりして金儲けは出来るダンジョンだ。
ただ、ゾンビが居る事による陰鬱な雰囲気が、このダンジョンの人気が無い理由だろう。人が少ないからこそ、取り合いせずに儲ける事が出来るという部分もあるんだろうが……。
荒地は西に転移紋があったので6層へと進む。7層も荒地で西、8層も荒地で西、9層も荒地で西、楽なので助かる。皆は【浄化魔法】の練習が出来ていて何よりだ。特にジャン。
今までも練習などはさせていたが、使う所は多くなかった。獲物を自分で処理させたりとか、ダンジョンでの戦闘で使わせたりとかぐらいだ。前回のダンジョンでも使わせたしな。
ただ、ここへ来て何度も練習させながら指導しているからか、ジャンの腕が急速に伸びている。アンデッドは【浄化魔法】だけで倒せるので、分かりやすいのが良いのかもしれない。
どんどん倒しながら進み、コツなどを教えながら進んで行く。10層に到着したが、そこは夜の墓場だった。……あのさぁ、墓場推しが酷すぎないかな? まぁ、進むんだけどさ。
【光球】を使いながら、暗がりから襲ってくるゾンビを倒す。……これなんてゲーム? そんな冗談も言えるほどに酷い。大して強くもないゾンビを、ただ浄化していくだけなんだ。
流石に腕が上がると言っても飽きてきている。仕方なく、シュラとアルメアとジャンには【集中】を使っておいた。10層の転移紋は南にあったので、南の転移紋から11層へ。
11層も南、12層も南、13層も南、14層も南、次の層もアンデッドだろうが、そろそろ何処かで昼食にしないといけないな。皆の心がダレてきている。この状況は良くない。
15層は沼地だった。辺りを見回すと所々にゾンビが見える。平均的なダンジョンではなくゾンビダンジョンじゃないか。いったい、いつからゾンビダンジョンだったんだろうかね。
転移紋は東だろうから東へと歩いて行く。このダンジョンは普通では攻略は難しいだろう。俺達は【浄化魔法】で簡単に始末しているが、普通なら頭を潰したりしなくちゃいけない。
上手く倒さないと飛び散るし、その所為で病気に罹る怖れもある。敬遠するのは当たり前で、ここで金稼ぎをする奴等は大変だろう。東の転移紋に入らずに、その場で焼き場を作る。
転移紋のある場所は島のようになっていて、周囲100メートル程は沼地部分が存在しない。とにかく今の内に昼食を食べてしまおう。ここから先もゾンビばっかりだろうからな。
「この【熟成】の終わった氷擲竜の肉と岩硬竜の肉は、そっちで切り分けてくれ。……そうそう、焼き網も薪や炭も出しているから好きに焼いてくれ。こっちはパンを柔らかくしてるんだ」
「相変わらず良く切れる包丁だね。王角竜の素材で出来てるんだから当然だけどさ。野菜の準備は終わってる? 今日は普通にサンドイッチで良いんじゃないかい?」
「私はマズくなければ何でも良いですよ。料理には一切タッチしませんから。……えぇ、そもそもいつも料理はしていないでしょう? 何故か失敗するんですよ。仕方がない事で諦めています」
「香辛料の入れ物取ってくれる? ええ、それよ。ありがとう。香辛料もそうだけど、焼けている竜のお肉ってとても良い匂いがするのよね。流石と言うか何と言うか……」
「何回嗅いでも良い匂いだからね。……えっ、これで終わり? 今回で竜の肉は終わりみたいだから、良く味わって食べなければいけないね。じっくりと堪能しようっと」
皆が好き勝手に喋りながら、肉を焼いて食べている。サンドイッチにしたり、パンと一緒に食べたりしている御蔭で、大分リラックスできた様だ。
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0383終了時点
大白金貨3枚
白金貨8枚
大金貨36枚
金貨89枚
大銀貨171枚
銀貨133枚
大銅貨449枚
銅貨39枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




