0381
ダナやシュラはこの件については微妙な表情をする事が多い。まあ2人は高ランクなうえに、片や元ギルドマスターだ。どちらもギルドを信用しないと、成り立たない立場だからな……。
特にダナはギルドマスターをしていたから、どうしても本部を信用しない訳にはいかなかっただろう。それを100年近く続けてきたんだから、色々な思いがあって当然だ。
自分の心の中で折り合いをつけなければいけないが、そう簡単に出来れば誰も苦労はしない。少しの間はそっとしておくのが1番良いし、愚痴なんかには付き合ってやろう。
「その優しい顔は止めてくれないかい? アタシもシュラも傷付いてないよ。むしろ、やっぱり汚い事をやってたかと納得したくらいさ。だよねぇ? シュラ」
「ダナの言う通りです。私達としては傭兵として活動しているだけで、ギルドを信用していますし、していません。ダナなんて、ギルドマスターとして汚い部分も見てきたでしょう?」
「ああ、沢山見てきたよ。仕方がない事もあれば、納得出来ない事もね。当たり前の事だけど、組織である以上は汚い事もするさ。とはいえ、今回の事は納得しかねるけどね」
「仮に汚い事をするにしても、それは所属している者達の為にやる筈です。ですが、今回の事は完全に上の者達が私服を肥やす為にやっていた事ですからね。納得などしませんよ」
「それはそうでしょうね。お二人の言う通り、組織というのは所属している者達の為に動くものよ。それが、一部の者達が私服を肥やす為にやっていたとなれば……」
「あの傭兵達もそうだけど、所属している連中の怒りは相当に大きいだろうね。元々傭兵なんて命が軽いと言えばそれまでだけど、だからといって虐げていい訳じゃない」
「私としては、聖王国の国家転覆を狙っていた連中が言っていた事は、間違っていなかったんじゃないかと思う。今回の事でそれを強く思ったな。それに、暗部を抜けて良かったとも」
「そうだよね。今回のような事をやっている組織なら、裏の連中なんてあっさり見捨てると思う。それに、残っていたら絶対に都合よく使われていた筈だよ」
「何と言うか、今回の事で傭兵ギルドって大丈夫なのかな? って思い始めています。少なくとも残り2つのダンジョンに行ったら、直ぐに帰るべきだと思うんですが……」
「私もそう思う。今のヴェスティオンに居ては、妙な事に巻き込まれかねない。あまり良い状況とは言えないし、治安が悪くなっていくかもしれないからな」
「大きな事があると治安が悪くなるのは何処の国も変わりませんが、ヴェスティオンはギルドと国の双方が大きな組織ですからね。どちらの事でも治安は悪化しそうです」
「傭兵であれば多少の荒事は……と思わないではないですが、わざわざ危険に飛び込む意味はありませんしね。2つのダンジョンに早めに行って、さっさと帰りましょう」
さて、カウンターの傭兵達も愚痴を言ってるだけで新しい情報も無いようだし、そろそろ部屋に戻ろう。部屋に戻った俺は送風機と冷房に魔石を入れて、いつも通りに使用する。
部屋に戻る際に1番後ろに居たんだが、悪意を向けてくる連中が多少居たんだよなぁ……。多分騒いでいた傭兵の内の何人かだと思う。今日は【空間把握】で監視しておいた方が良いな。
特に1人部屋のリンデは守ってやらないと駄目だ。王女だからな、守らないと絶対面倒な事になる。3匹の相手をしながら監視しているが、今の所は特に問題ない。来るなら深夜かな?。
3匹をワシャワシャしたり梳いてやりながらも監視の目は緩めない。ジャン達もリンデも何の問題も無いが、バカはいつ下らない事を始めるか分かったもんじゃない。
3匹が眠ってしまい、ベッドへ連れていかれたので【房中術】と【喜昇】で撃沈させる。椅子に座って聖水を飲みながら監視は続けているんだけど……おかしいなぁ、動きが全く無いぞ?。
仕方なく【錬金魔法】を書き記しながら時間を潰そう。アルメアと話した通り、結果を書き記しながら進めていく。意外に良かったのか、悩む事も無く書き進める事が出来た。
バカはとにかく他人の邪魔がしたいらしい。調子良く書いていたら動きやがった。まあ、深夜だという事もあるんだろうが、面倒な事をしやがって……って、宿の従業員もグルかよ!!。
俺は太刀とサバイバルナイフを持ったら、隠密の4つの技と【止音】を使って部屋を出る。バカどもはリンデの部屋の前に集まっているが、音を出さずに開けようとしているらしい。
3人居るが一閃して2人の首を刎ねて、開けようとしている奴は左手のサバイバルナイフで心臓を後ろから突き刺した。これで終わりだ。俺は死体を回収して血などを浄化しておく。
宿の中を調べて、俺や仲間を狙う者がいないか確認した後に外へ出る。町の外まで出たら穴を掘って死体を捨て、【浄炎】で焼いたら【粉砕】する。その後、宿の部屋へと戻った。
【空間把握】で確認しても問題は無いようなので、眠たくなるまで書き記していく。後少しで終わるところまで書けたが、もう限界だ。今日も一日お疲れ様でした。
<異世界162日目>
おはようございます。今日は次のダンジョンがあるムディの町に移動します。と言っても、ここから村を1つ挟んだだけの場所にある。ハッキリ言って近いので、昼前には余裕で着くだろう。
それよりも昨夜のバカどもの中に宿の従業員が居たが、朝から宿は大丈夫か? 浄化しながら【空間把握】で確認しても、特に何かがあった訳じゃなさそうだ。宿も落ちついている。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル」
「ニャー」 「グル」 「ウォフ」
3匹にいつも通り聖水を出してやり、一緒に飲む。3匹は十分に水分を補給したら、早速とばかりに甘えてきた。仕方がないなと思いつつ、書き記すのは諦めて3匹の相手をする。
楽しそうではあるが、大きくはしゃいだりはしないな。何となく皆を起こさないようにしている気がする。この時間を長く続けたいのかね? あーあー、マートルは我慢の限界か……。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ」 「ガゥ」 「ワン」
「今日は移動の日だけど、一つの村を挟んでるだけの場所だからねぇ。ゆっくり移動してもアタシ達ならお昼前には着いてしまうだろうから、ダンジョンに軽く潜るかい?」
「どっちでも良いのでは? そんなに急ぐ必要も無いですし、次のダンジョンは平均的なダンジョンです。明日に回しても、十分攻略出来ると思いますよ」
「私達は移動の速度が速いからね。だからこそ事前情報がなくても攻略できてしまうんだけど……。とはいえ、半日で攻略する事は流石に無理だから、どちらでも良いんじゃないかな」
送風機と冷房から魔石を抜いて収納したら食堂へと移動する。相変わらず寝ているジャン達を【覚醒】で起こしたら、後はゆっくりと待つ事にした。朝食までには部屋を出てくるだろう。
大銅貨14枚を支払って朝食を注文したら、席に戻り聖水の樽を出して冷やして飲む。雑談をしながら待っていると、朝食が来るのとジャン達が部屋を出てくるのは同時だった。
慌ててジャン達は席に来たが【空間把握】を使うと、ジャン達もリンデも部屋に忘れ物をしていたので取りに行かせる。慌てて取りに戻ったが、部屋を出る時に確認ぐらいはしような。
朝食を食べながら今日の予定を皆に話す。まずは西のアウブの村に行った後、南西にあるムディの町に行く。そこが2つ目のダンジョンのある町だ。遅くとも昼前には着くだろう。
朝食後、宿を出たのだが、従業員の事を聞かれる事は無かった。入り口の門で門番に登録証を見せて手続きをしたら町を出る。西へと向かって移動をし、アウブの村に到着した。
体感で1時間ぐらいか、俺達の移動速度が早いので何とも言えないが、距離的には近くも無く遠くも無いって所かな。村に入ったら、3匹を連れて浄化をしながらウロウロする。
途中で大銅貨3枚分の干し肉を買って、3匹に与えたりしながら浄化を終えた。
▽▽▽▽▽
0381終了時点
大白金貨3枚
白金貨8枚
大金貨36枚
金貨89枚
大銀貨171枚
銀貨135枚
大銅貨493枚
銅貨39枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




