0379
皆から飛んでくるジト目を無視しつつ、先程の単語の事を考える。俺が引っ掛かったのは”不正”という単語だ。まさかアレが表にバレるような事になるとは、思ってもいなかった。
ここは傭兵国家ヴェスティオンだ。神殿と傭兵ギルドが裏で不正をやっていた。そんな事が表に出るとは思えず、闇に葬られるものとばかりに思っていたので驚いている。
とはいえ傭兵ギルドの事は出ず、神殿だけを悪として出すものかもしれないので注意は必要か。そう思っていたら、大声で神殿とギルドの癒着を叫んでいる。まさか全部表に出たのか?。
「神殿の奴等がバカ高いお布施を俺達から取っているだろ! 傭兵ギルドの本部は賄賂を貰ってそれを見逃してたんだってよ! フザケるんじゃねーってんだ!!」
「ギルドの本部かよ!? マジか……ギルドの本部の奴等は俺達から金を奪ってたって訳か! クソが、フザケんな!! 俺達がどんな生活してると思ってやがるんだ!!」
「クソ高いお布施だと思ってたら、ギルドへの上納金かよフザケやがって! 神殿の奴等もギルドの奴等も許せねぇ! ここで許したら、アイツ等はこれからも同じ事を続けるに決まってる!!」
怒った傭兵どもは食堂を出て行った。アイツ等は無駄金を取られているのを知らなかったのか。こりゃ相当の揉め事に発展しそうだな。しっかし、何で神殿の事なのに傭兵が知ったんだろ?。
朝食後も皆からのジト目が止まらないので、仕方なくダンジョンで話すと言うと止めてくれた。そんなに聞きたいかねぇ……? 聞くと取り返しがつかない事も世の中にはあるんだが。
ヴィムの町の北東にダンジョンはあるので、道すがら昨夜の事を説明する。【探知】と【空間把握】でウチのメンバー以外に人が居ないのも確認しながら話しているので、聞かれる心配は無い。
「そんな事が昨夜あったんだね。それにしても金貨風呂って……。夢があるっちゃあるけど、物凄く汚いと言われたらさ……。新人が聞いたら夢が壊れそうな一言だよ」
「とはいえ、アルドの話を聞けば当然だとしか思えませんし、誰が触ったか分からない物ですよ? 本当にやるなら、アルドに浄化してもらってからやれば良いんです」
「そこまでしてやる意味はあるのかしらね。金貨風呂が出来るほどに稼いだら、そんな事をする虚しさも分かると思うけれど……? 分からない者がやるんでしょうね」
「そうだろうと思う。そもそも金貨風呂って何の意味があるのか分からないしね。確かに夢はあるのかもしれないけど、所詮お金が無い時の夢でしかないよ」
「十分にお金が稼げたら、何に使うかを考えるだろうからな。金貨風呂に使っても、何かが手に入る訳ではないから満足もしないだろう。本当に虚しいだけで終わるだろうな」
「僕はそんな夢を持った事が無いから分からないなー。何か意味があるようには思えないし、知り合いがやってたら唯のバカだと思うよ。あまりに情けないとしか思えないし」
「確かにそうですね。お金は欲しいですけど、それは生活の為であって金貨風呂のような事の為じゃありませんし。村に帰った時の為にも、ダンジョンで稼がないと……」
「うむ、そうだな。ご家族の為にも稼いでおくべきだ。とはいえ、ここ最近のダンジョンは酷かったから仕方がない。あんな虫地獄で稼ぎたいとは思えないし、そもそも無理だ」
「そうでしたね。アレは本当に酷かったです。精神がゴリゴリ削られながらも進んで行くしかないという状況でしたから、アレは戦争より厳しいと思いますよ。もう二度と御免です」
「この先何があろうとも、アレよりはマシと思うのでしょう。それ程までに最悪でした。なかなか死なないし、動き続けるし、中から寄生虫が出てくるし、最悪の中の最悪でしたね」
潰れると体液を撒き散らすんで、シュラはあまり戦おうとはしなかったんだよな。他の武器でも似たような状態にはなるんだが、潰したら四方八方に飛び散るから嫌なのは分かる。
石壁で囲まれた所に来たので、入り口で登録証を見せて中に入った。朝から大変賑わってるみたいだが、買取をやっている商人が多いな。素材ダンジョンだから当然と言えば当然か。
<迷宮紋>の前に並んでいる者は居なかったので、さっさと中に入る事にした。こちらに対して悪意を向けている者が結構居たみたいだが、手を出してくるのかは分からない。
とりあえず1層に着いたが草原か。いつも通りに陣形を組んだ後【空間把握】で調べると、転移紋は北にあったので北へと進んで行こう。ビッグラビットぐらいしか見当たらないな。
転移紋まで来たが、思っているよりも傭兵が少ない。もしかしたら、大多数の傭兵は神殿か傭兵ギルドに行ってるのかもしれないな。それなら、この少なさも理解できる。転移紋から2層へ行こう。
2層も草原だったし、転移紋も北だった。これは楽なパターンかもしれない。北の転移紋から3層へ。3層も草原であり、転移紋は北にあった。さっさと進み、転移紋から4層へ。
4層は海だった。……随分早いが、まぁいいか。【水魔法】を使って海産物をゲットしたら、既に見つけていた南の転移紋から5層へと進む。5層と6層も南へと進み、転移紋から7層へ。
7層は森だった。所々で木を伐っている傭兵を見かけるが相変わらず多くはない。今回は東だったので転移紋から8層へ。8層と9層も東へ行き、転移紋から10層へと進む。
10層は山で、金属を掘っている奴等が居るものの少ない。ここは西に進み転移紋から11層へ。11層と12層も西へと進み、転移紋に乗って13層へと進んで行く。そろそろ昼かな。
13層は洞窟だった。しまった、さっきの層で昼食にしていれば良かった。まだ早いとはいえ、食べられる所で食べておきたかった。仕方がない進んで行くか。まずは北に行ってみよう。
北へと進むのだが、このダンジョンの洞窟はコウモリでなければ虫でもない。洞窟なのに狼が出てきたぞ? ここでは獣タイプの魔物しか見ていない。という事は、そういう事だろう。
ここまでに倒した魔物は、全て魔石を抜いて燃やしている。高く売れる魔物でもないので、無駄に嵩張るだけだしな。素材ダンジョンだからか、安値の魔物しか出てこないんだよ。
13層は北東にあった。ウロウロしたものの無事に見つけたので14層へ。14層と15層も北東へと行き16層へと進む。光が止むと草原だった。またかと思いながら南へ行く。
やはり予想通り南西に転移紋があった。今度は時計回りにズレるらしい。とりあえず17層への転移紋前で昼食にしよう。焼き場を作り魔鉄の焼き網を出したら勝手に焼かせる。
海産物と氷擲竜と岩硬竜の肉を出して好きに切らせてる間に、硬パンに水分を【合成】してから聖水の樽と香辛料を出す。3匹には先に【熟成】済みの竜の生肉を出してある。
「やっぱり竜の肉は堪らないねぇ! 何度食べても美味しいし、それぞれの竜によって味が違うんだよ。本当に不思議で美味しい肉さ! 食べられるだけで幸せだよ、本当に!」
「アルドが浄化しているから問題なく食べられますけど、数日前の肉ですが大丈夫何ですかね? お腹を壊したりするような物を出したりしないでしょうし、焼いてますけど……」
「大丈夫かどうか以前の問題だな。そもそも数日経っても熟成される事も無く新鮮なままなうえ、浄化する必要が無いほどに汚れも何もつかないという異常な肉だよ」
「そう言えば前にもアルドが言ってたわ。数日経っても新鮮なままで全く熟成もされてないって。むしろ、わざわざ【熟成】という【錬金魔法】を掛けなければ食べられないのよね」
「そこまでする価値があるんだけれど、普通の者達じゃまともに食べる事も出来ないんだ。これほど美味しい物だと知らないのは気の毒ではあるけど、教えたくはないね」
まぁ教える必要も無いし、渡す必要も無い。王太子とライブルぐらいかな食べさせたのは……とはいえ、あの2人は「寄越せ!」とは言ってこないだろう。
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0379終了時点
大白金貨3枚
白金貨8枚
大金貨36枚
金貨89枚
大銀貨171枚
銀貨135枚
大銅貨540枚
銅貨39枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




