0376
「この国を引っ繰り返したら、ようやくヴェスティオンに復讐できる! 傭兵ギルドも総長も皆纏めて潰してやるぞ。俺達を散々コキ使っておきながら、見捨てやがって」
「暗殺者紛いの仕事だって請け負ってた俺達を無視して、ポッと出の王女がランク12だと!? 許せる筈が無いだろうがよ。どれだけ手を汚してきたと思ってやがる」
「仕事としてやらせておきながら失敗したらあっさり見捨てる。それが傭兵ギルドのやり方だからな。アイツ等は驕ってやがる、誰かが一度叩き潰さなきゃならない」
「クソッタレどもめ、何年掛かっても必ず潰してやる。何を利用しようが、誰を利用しようがだ。所詮俺達を駒の様に使う事しか考えてない連中だからな。皆殺しにしてやる」
「ああ……。でないと、アイツ等が浮かばれない。必ず、必ず潰してやる。あんなゴミを使おうが、どう罵られようが構わない。代わりにギルドは潰す」
何か矢鱈に恨みと憎しみの強い奴等だ。言っている事が事実なら言い分も分からなくはないんだが、こいつ等の言い分が正しいって証拠がそもそも無いしな。さて、どうするか……。
こいつ等の話が事実だと仮定した場合、傭兵ギルドに復讐したいだけで、聖王国を転覆させる必要は無いよな? この3人を利用すればいいと思うんだが……裏で潰されそうだしなぁ……。
聖王国と傭兵国家って裏で繋がってそうな気もするし。仮に繋がってるとしたら、この3人を聖王国に渡しても秘密裏に処理されるだけだろう。繋がってなかったら? ……それも、難しいな。
繋がってなくとも王女の件もあるし、有耶無耶にしてしまいそうだ。自分の国で国家転覆を狙ってる奴等が、実は傭兵国家への復讐者で”とばっちり”だったにしてもだ。
俺としては既に60人以上殺害してるんで、ここで止まる気は一切無い。ただし、この国が信用できるかは全く別の話だ。こいつ等を使って、その辺りを計るか……それがいいな。
俺は部屋の中の3人に対して【衝気】を使い気絶させた後、枷を嵌めてから【忘我】と【白痴】を使った後に起こす。話を聞いても、先程盗み聞きした内容と変わらない事しか話さない。
なので【昏睡】を使い強制的に眠らせておく。その後3つ目の部屋の前に行き様子を窺うと、中に居る奴は寝ていた。何故か椅子に座って寝ているうえ、直ぐに逃げられる様にしている。
非常に用心深い奴みたいだが、俺に対しては何の意味も無い。中の奴を【衝気】で気絶させた後、枷を嵌めて【忘我】と【白痴】を使い話を聞き出す。随分と目つきの悪い奴だな……。
「お前は何者だ? 何故この国を転覆しようとする?」
「私は王族だぞ。その私に不遇を強いたのだ、そんな国は滅んで当然であろうが。貴様こそ何者だ? この国の王族に対して随分と頭が高い奴だな。誰かこやつの首を刎ねよ!」
「この部屋には、俺とお前しか居ないっての。それよりも聖王国の王族だと? いったいどういう事だ。お前は、かつての小国の王族じゃなかったのか?」
「それは表向きの話だ。私はこの国の3代前の王が、神殿の娘に産ませた子を祖父に持つ。私には正しく王族の血が流れているのだよ。分かったらさっさと枷を外せ! 無礼者め!」
「そんな事はどうでもいい。それよりも、この国の王族はそれを知っているのか? お前が王族の血を僅かながらも引いているという事をだ」
「そんな事は知らんな。あの愚鈍な者共が知っていようが関係は無い。全て始末し、私の血が正統な血となるのだからな! だからさっさと枷を外せ! いいかげぇっ!?」
面倒になったんで顎を強打して気絶させた。……それにしても面倒臭い話になってきたぞ? さっきの奴等は傭兵国家とギルドに対する復讐。コイツは傍流の王族の血を持っている。
本っ当に面倒臭い状況になってるなー。後は全部この国の奴等にやらせればいいか……。そうだな、俺が悩む必要なんて無かったんだよ。この国の奴等がケツを拭けばいい事でしかない。
さて、そうと決まったら、まずは死体の処理をしよう。俺はアジトの入り口に行き、穴を掘って死体を放り込み【浄炎】で燃やした後【粉砕】して埋めた。
アジトに戻って金目の物を物色すると、神殿との繋がりを示す証拠や傭兵ギルドの暗殺の証拠などが次々と出てきた。金銭を含めて全て回収し、アジトにあった縄で4人を縛る。
もう一度4人に【昏睡】を使い深く眠らせたら、王城まで隠密の4つの技を使って運ぶ。王城の中を進み玉座のある所まで来たら、縄を外し王族だと言ってた奴を玉座に座らせる。
自称王族の足と3人の体を縄で縛り、コイツ等の手前に証拠を置いて立ち去る。後はこの国の連中がどうにかする事であって、俺達がいちいちしゃしゃり出る事じゃない。帰って寝るか……。
宿の部屋に戻った俺は綺麗に浄化して寝ようと思ったのだが、寝る前に分捕ってきた金を調べる事にした。金の入った革袋だったり、無造作に置かれていたのも回収してきたんだよ。
全部で幾らあるのか数えておこうと思って……よし、終わった。銅貨37枚、大銅貨81枚、銀貨92枚、大銀貨41枚、金貨23枚、大金貨17枚、白金貨4枚。結構持ってたんだな。
数え終わったし、そろそろ寝るか。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界160日目>
おはようございます。今日は火の季節最後の日です。毎年土の季節20日ぐらいまでは暑いらしいので、まだまだ暑い日は続くみたいだ。まあ地球の日本だって秋になっても暑いしな。
今日は傭兵国家へと行く日だが、出来得る限り早めに王都を出たい。王城に置いてきたバカの所為で足止めを喰うのは面倒だ。置いてきたのが悪いと言われればそれまで何だが……。
上手く解決するにはアレがベターな選択だったと思う。自分で解決するのかと問われれば御免被るとしか言えないし、クッソ面倒な事になるのは火を見るより明らかだ。
だから、このまま全てを無視してヴェスティオンに向かおうと思う。それに昨日の奴等が言ってた事が事実なら、ヴェスティオンも結構キナ臭い国だって事になる。気を引き締めよう。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル」
「ニャー」 「グルゥ」 「ワォン」
3匹の水皿に聖水を入れてやり、ゆっくりとする。3匹は聖水を飲み終わったのか、足元で遊び始めたので床に座って相手をしてやる。……あれ? そうだ、【錬金魔法】書くの忘れてた。
焦る必要も無いし、今日の夜か明日の朝からでいいや。フォルに教えるなら普通に教えれば済むし、わざわざ書いた物を見せて教える必要も無い。先延ばしの言い訳はこれで大丈夫。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャオ」 「ガウ」 「ワン」
「今日から傭兵国家ヴェスティオンに行くんだけど、向こうのダンジョンはどうなのかねぇ……。虫地獄のようなダンジョンはもうこりごりだよ」
「入ってみないと分からない以上は、どうにもなりませんね。いつダンジョンがあんな風に変わるかは誰にもわかりませんし、それに変わって簡単になってるかもしれませんよ?」
「簡単になってくれていると助かるわね。流石にあのダンジョンと同じのは2度と御免だわ。アレは嫌がらせがあまりにも酷すぎて、まともな者は攻略しようとしないでしょう」
「それはもう思い出したくも無いから横へ置いておくとして。今日からヴェスティオンへ行くんだけど、どうなのかな? 私は行った事が無いんだよね」
「ヴェスティオンへは、ここから西に行き伯爵領を越えればヴェスティオンに入る。ヴェスティオン自体は小国と言っていい程に国土が小さいから、3つのダンジョンは近くにある」
「へー……。僕も行った事は無いんだけど、そんなに小さい国だったんだね。かつての小国って王都が一つに町が二つ、それに村が五つとかだったんでしょ? 小さいよね」
ふーん、そんな小さな国だったのか……。
▽▽▽▽▽
0376終了時点
大白金貨3枚
白金貨8枚
大金貨36枚
金貨89枚
大銀貨171枚
銀貨135枚
大銅貨612枚
銅貨39枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




