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0374




 ようやく王都の門を通過した俺達は、さっさと前に泊まっていた宿へと行く。宿の従業員に大銅貨14枚を支払い、前回と同じ8人部屋と4人部屋と1人部屋をとった。


 隣の食堂に行き大銅貨14枚を支払って昼食を注文したら、テーブル席に座って一息吐く。とりあえず虫地獄からは遠ざかる事ができたか……。トラウマにはなってないが酷かったなぁ……。



 「やっと一息吐けたけど、これからどうするんだい? ヴェスティオンに行くにしたって、この子の賠償問題が解決しないと行けないだろうし……いったい、いつまで足止めを喰わされるのかねぇ」


 「そうですね。国家としての賠償ですから、早々決まる事は無いでしょう。ヴェスティオンに行って帰ってきたら、丁度決まっている頃なのではありませんか?」


 「案外それぐらいのタイミングかもしれないわね。流石にヴェスティオンから帰ってきても決まっていない……そんな事になったら国家としての大恥だもの」


 「それ程の大恥を晒すのも、良くある事と言えば良くある事なんだけどね。国家なんてそんなものだとも言えるよ。払わないと恥を掻くのに、必死に減らそうとする。無様だね」


 「払った額が国家としての見栄になるのにな。減らすという事は、国家としての面目を捨てる事を意味しているのに、理解出来ていないという事か……」


 「国の中枢に居るのに、国の事を何も理解していないのかな? 国に恥を晒させるって、一族が皆殺しにされても文句は言えないよ。それ程の事なのにねー」



 こういう時代だと、一族皆殺しとかは当然行われる。余程の事がないとそこまでの罰にはならないが、それでもあり得るという事が重要だ。特に国家に関しては凄く重いからなぁ……。


 国家の面目を毀損するって事は、王から国民までの全ての面目を毀損するのと同じ意味を持つんだよ。古い時代ではそれが当たり前だからこそ、一族郎党根切りがあるんだよな。



 「でも、第一王女様が誓紙まで出されたんですから大丈夫だと思いますよ。流石に王女様に恥を掻かせようとする方は居ないでしょうし……」


 「ジャンは知らないだろうが、王族にも派閥があったりしてな。マールの王族にもあったが、そういう派閥の足の引っ張り合いの果てに、王族に恥を掻かせようと画策する者も居るのだ」


 「確かにそうですね。その……誰とは申しませんが、誰かが王弟殿下を殺してしまったので、その辺りは無くなったと思います。ですが、それまでは結構酷いものでした……」


 「まぁ、何処の国にも似た様な事はありますよ。我が国にも無い訳ではありませんが、王子殿下が愚か者をあえて抱えているのと、必死に抑え込んでいるので大丈夫なだけです」


 「この国のそういった部分は不明だが、それ以前にスラムに反体制組織を作られている時点でどうかと思うがな。商人が捕まってたが、国のお膝元に作られちゃ駄目だろうに」



 皆もその事に関しては微妙な表情をしている。俺達に関わってくる可能性が否定できないからだろう。俺も門前での商人の話はフラグなんじゃないかと思ってるんだよな。


 嫌な話をしていてもしょうがない、宿の部屋に戻ってゆっくりしよう。昼食を食べ終わった俺達は部屋に引き上げ、送風機と冷房を設置していつも通りに使用する。今の内に行くか……。


 俺は皆に一言断ってから街に出る。実は大銅貨の枚数が心許なくなってきてるんだ。どこかで両替しなきゃなー、と思いながら王都をフラフラ歩く。今は3匹も居ない。暑いしね。


 フラフラしているとアクセサリーを置いている雑貨屋が目に入ったので寄っていく。色々見て回るが”コレ!”という物も無く、結局冷やかすだけになってしまい店員に睨まれた。


 雑貨屋を出てフラフラするも面白そうな物を売っている所も無く、商店が並んでいる区画の端から端まで歩いてしまった。仕方ない戻って食料店で何か買うか。そう思い踵を返す。


 戻っていく最中視界にチラリと映った物に興味を引かれた。簡単に言うと手鏡だ。ただし随分と曇ったガラスの手鏡で、見えるのか見えないのか良く分からない代物だった。


 重要なのは品質では無く手鏡の形にした事だ。この世界では置くタイプの鏡が全てで、”携帯できる鏡”なんていう物は無い。つまり新しい発想で生み出された物だという事だ。


 こうやって色々な物が出来ていくと思うと、それはそれで面白いものだ。買わない俺に白い目を向けて来たが、あの程度の品質の物に金を出す気は無い。さっさと食料店に行くか。


 食料店に行きブドウと樽を大銀貨1枚で購入する。大銀貨5枚を出し、大銅貨500枚に両替してもらったら店を出る。そのまま宿の部屋へと戻ったら、ブドウと樽を取り出す。


 袋の中のブドウを非常に強力に浄化して樽に詰めたら【破砕】する。次にダナからワイン樽を借り酵母を【抽出】したら先程の樽に入れる。聖水を少し入れた後、一気に【発酵】する。


 その後【熟成】すればワインの完成ではある。……早過ぎるからもっと【熟成】するか。更に【熟成】を強く使い、一旦【念動】で樽の上に上げて余計な雑味の元を【分離】する。


 その後、樽に戻したら再び【熟成】。これで完全に完成だと思うんだが……うん? 横で3匹と酒飲みがワクワクした顔で待っている。まぁ、いいか。実験で作った物だしな。


 3匹の水皿にワインを入れた後、飲兵衛どもに樽を渡す。一気に全部飲まないようにと言っておいたが、人の話を聞いてないな。「凄く美味しい!」を連呼して収拾が付かない。


 あれは放っておいてジャンに渡す手鏡を作るか。素材はあるから簡単に作れるんだが、作るのをすっかり忘れてたんだよな。ジャンに渡すのと予備で3つ作ればいいか。待たせたしな。


 それにヴェスティオンの3つのダンジョンを攻略したら、一度ルーデル村に帰るんだしお土産ぐらい要るだろう。俺の手作りで悪いが、お土産として持って帰って貰おう。なら4つかな。



 「手鏡を作ってるのかい? ああ! ジャンの分か。そういえばジャンにだけ渡してなかったんだったね。何だか真ん丸なガラスだけど……何の意味があるんだろう?」


 「単に丸く作っておいただけだよ。角が無い方が壊れ難いって思っただけさ。今日店を冷やかしてたら手鏡が売ってたんだけど、あの曇ったガラスで作ってたなぁ」


 「あれしか無いんだから当然なんじゃないの? 王侯貴族だって持って無い物だからね、僕達が貰ったのは。普通は銅で出来ている鏡なんじゃないの?」


 「流石にそれは無いですよ。我が国の王城で使われている鏡は銀で出来ている鏡です。同じ銀ですが、この手鏡ほど綺麗に映ったりはしませんね。何故でしょう……?」



 さて、技術が未熟である以上は駄目な原因なんて沢山あるし、それは作った奴に聞いてくれとしか言えない。そんな事を考えながら最後の一つを作っていると、誰かが部屋に入ってきた。



 「失礼するよ。リンデリア王女に話しがあってね、まずは皆さんに聞いてもらお……。ここに居たんだね、リンデリア殿……。まあ、いいか。一緒に聞いて貰えば」


 「リヴィアーテ、いったい何をしにきたのですか? 正式な使者ではなく貴女が直接来たという事は、何も決まっていないという事でしょう。何か話す事がありますか?」


 「シュライア殿……一応私も第一王女だし、隣国の姫を持て成したりとか色々あるんだよ。というか、やっておかないとバカどもが五月蝿いんだ。迷惑だという事は良く分かってる」


 「まあまあ……。リヴィアーテ様が来られている以上は、愚かな貴族が関わってくる事も減るでしょう。思っている以上の愚か者は何処の国にも居ますので、無くならないとは思いますが」


 「そうだね。我が国にもそういうのが居るよ。祖先の功績だけで大きな顔をしている穀潰……。何だい、ソレ!? それって、まさか鏡かい!? 何でそんなに綺麗なんだ!!」



 急に五月蝿くなったと思ったら、こっちを見やがったのか……ってオイ! 作った手鏡を勝手に持って行くんじゃない! シュラに殴られるのも当たり前だろうに……。



 ▽▽▽▽▽


 0374終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨4枚

 大金貨19枚

 金貨66枚

 大銀貨130枚

 銀貨43枚

 大銅貨545枚

 銅貨2枚


 神鉄の太刀

 ヒヒイロカネの矛

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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