0373
脱出紋からダンジョンを出ると、予想した通り夕方前だった。ダンジョン内では疲れを隠さなかったが、ダンジョンを出た今は精神的に随分楽になったのか笑顔が見える。
あの地獄を潜り抜けた新人4人は、少し凛々しくなったんじゃないかと思う。少々どころじゃなく大変だった。4人も戦っていたが、付いて行くだけでも大変だっただろう。
今日はゆっくり休むといい。昼過ぎにゴブリンを多少食って進んだら、あんな滅茶苦茶な竜との戦いだ。俺でさえも大変だったんだから、新人4人は疲労困憊の筈だしな。
今は解放されて笑顔だが、いつ電池が切れたように動けなくなるか分からない。気を付けて見ててやらないといけないな。……やっと着いた。そう思うって事は、俺も相当疲れていたようだ。
先ずは食堂で早めの夕食をとろう。大銅貨14枚を支払い夕食を注文したら、聖水の樽を出し冷やして飲む。ゆっくり待っていると夕食が来たが普通だった。……虫肉じゃないな?。
一応浄化してから食べるが、これはネイルラビットの肉だと思う。疑問に思ったので近くの店員に聞くと、今日は食べられる虫の魔物が手に入らなかったらしい。成る程、それでか。
店員に謝られたが、俺達の心の中は”永遠に手に入らなくていい”という思いで満たされていた。虫は長い間見たくないし、今回のダンジョンの所為で食べたいとも思わない。
ありがたく普通の夕食を食べた後、部屋に戻って送風機と冷房をいつも通りに使用する。3匹をブラシで梳きながらゆっくりしていると、3匹は直ぐに眠ってしまった。
どうやら3匹も虫地獄に疲れていたらしい。皆を【房中術】と【鋭覚】で撃沈したら、隠密の4つの技を使って窓から外に出る。夜の街をウロウロしながらドンドン浄化していく。
客引きだ喧嘩だとやっている中を進みながら浄化していき、そろそろ終わるかと思ったころ突如として邪気が膨れ上がった。慌てて急行すると、邪生になった奴が男を殺していた。
見た感じ邪生も男なんだが、両方下半身を露出している。……見なかったフリして帰ろう。あっ!? 死んだ。首を絞められて殺されたらしい。その後、邪生は俺の横を通り過ぎて行った。
隠密の4つの技で俺が認識出来なかったみたいだな。殺された男を浄化して、俺は足早に立ち去った。街の浄化が終わったので、邪生は暴れているがさっさと宿に戻ろう。
俺が手を出したりする事じゃないし、この街の神殿が何とかするだろう。宿の部屋に戻った俺は聖水を飲んだ後、布団に横になった。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界159日目>
おはようございます。今日は王都ラグマイアに帰る日です。それは良いんだけど、昨日の邪生騒ぎはどうなったんだろう? 外が五月蝿くないって事は多分解決したんだろうと思うが……。
部屋の中や皆を強力に浄化したら、【空間把握】でジャン達と部屋を浄化する。リンデと部屋も浄化したら起き上がり、椅子に座って聖水の樽を出したら冷やしてコップに入れて飲む。
朝のゆっくりした時間が流れている。この時間が一番静かなんだよな、だからこそ好きなんだ。ゆっくりと落ち着いて過ごしていると、【錬金魔法】と【練成魔法】の事を思い出した。
そういえば2つの魔法をどうしよう? 今までに書いてきている以上は、地上に無い魔法の言い訳は幾らでも出来る。とはいえ、書き記す意味があるんだろうか……?。とりあえず、書くか。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル」
「ニャー」 「グルゥ」 「ワォン」
丁度紙を出そうと思ったら3匹が起きて来たので、今日の夜からでいいやと思い直す。3匹の水皿に冷やした聖水を入れてやると、美味しそうに飲んでいる。俺も残りを飲んでしまおう。
飲み終わった3匹は足元で遊び始めたので、床に座って相手をしてやる。ワシャワシャしてやったり抱きしめてやったりすると、尻尾の動きが凄い。凄く喜んでいるのが良く分かる。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ!」 「ガゥ!」 「ワン!」
「昨日、夜の内に街を全て浄化すると言ってたけど、無事に終わったのかい? まあ、アルドの事だから何の問題も無いとは思うけど、一応ね」
「昨夜は特に何も無かっ……いや、一つあったな。昨日何処の路地だったか忘れたが、路地の奥で邪生になった奴を発見したんだよ。そのまま放って帰ってきたけど」
「アルドの事ですから、前回と一緒で神殿がやる事だと放ってきたんでしょうけど……。この時間で外が五月蝿くないという事は、邪生は無事に退治されたんでしょうね」
「昨日の邪生は男で、最初に殺されてたのも男なんだよな。しかも両方共、何故か下半身だけ露出してたんだ。それで大凡分かるだろ? 俺はそんな邪生の相手をしたくない」
「「「「「「………」」」」」」
「男が男を強姦したのかな? そうじゃないと邪生にはならないと思う。何と言うか、それが分かったからアルドも放って帰ってきたんだろうけど、助ける気は無くなるね」
「確かにゲンナリする光景だろう、ただの犯罪な上に見たくも無いものだ。私もアルドと同じで、私に強要してこないなら好きにしろとしか思わないが……」
「まぁ……同性愛が云々と言う以前に、強姦はただの犯罪だよ。それよりも邪生になるほどだから、相当酷かったんだろうね。邪生になるって事は、簡単に思えて簡単じゃないんだよ」
「そうでしょうね。でなければ、都市部でもっと邪生が生まれてる筈よ。王国の王都も酷かったけれど、邪生が大量に発生していた訳でも無いわ」
俺はそんな話の中、送風機と冷房から魔石を抜いて収納する。皆に食堂に移動しようと言い、最後に忘れ物が無いか部屋の中を確認して鍵を掛ける。1階に下りて従業員に鍵を渡す。
ジャン達とリンデに【覚醒】を使い起こしたら、ノックをして食堂に行く事を伝える。食堂に入り大銅貨14枚を支払って朝食を注文したら、テーブル席に座って雑談をしながら待つ。
ジャン達とリンデが慌てて食堂に入ってきたので、【空間把握】で確認する。2部屋ともに忘れ物は無い様だ。朝食は昨夜と同じネイルラビットだったので、気分良く食べる事が出来た。
朝食後、王都ラグマイアに帰る事を話し入り口の門まで行く。門を出て少しの間は歩くのだが、誰一人振り返る事は無かった。嫌な思い出しかない街になってしまったなぁ……。
とはいえ、文句があるならダンジョンに言ってほしい。全ての元凶はアレだ。虫しか出てこない上に地形で殺しに来るとか、誰であってもブチギレると思うよ。いや、マジで。
ゼマの街から、領都ディオス、ウェトの村、領都リック、パグの村、サムの町、レレの村を越えて王都ラグマイアに帰ってきた。浄化しなくて良いと、やっぱり早いなー。
俺達は門の前の長い列に並ぶ。何処の国でもそうだが、王都の前には長い行列があってなかなか進まないな。特に混雑する時間だっていう事も、あるんだろうけどさ。ちなみに、今は昼前だ。
昼までには王都に入り休みたいんだろう、この時間帯と夕方が1番混雑する。列は少しずつ進むものの、なかなか俺達の順番は回ってこない。前に商人と馬車が多い所為だろうか?。
うん? 初めて来た時と同じく、また商人が横の詰め所に連れて行かれたぞ。商人はギャーギャー喚いているが、この光景は前も見たな。何で連れて行かれるような事をするんだ?。
そう思っていると前に居た商人が教えてくれた。なんでも詰め所に連れて行かれるのは、スラムの裏組織に物資を供給している奴等らしい。そりゃ捕まって当然だ。物凄く納得した。
スラムの裏組織にそこまでするって事は、国家転覆などを狙って動いてるか、少なくとも反体制側だって事だ。もう少し言うと、体制側と手を握る気が無い連中って事だな。
歴史上たまにあるクーデターだが、成功するのかしないのか……。この国の国家としての強さが問われるな。
▽▽▽▽▽
0373終了時点
大白金貨3枚
白金貨4枚
大金貨19枚
金貨66枚
大銀貨136枚
銀貨43枚
大銅貨73枚
銅貨2枚
神鉄の太刀
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




