0364
「貴様っ! 殿下を呼び捨てとは許される事では無いぞ!! 今すぐにこボォッ!!!」
部屋を出て戻ってきた騎士が喚いて剣を抜こうとしたので、とりあえず身体強化をして膝蹴りを喰らわせてやった。なんか悶絶して呻いているが、鬱陶しいうえ知った事じゃない。
騎士団長と呼ばれた奴は即座に第一王女を守る位置に移動したが、他の阿呆どもは驚いて呆然としているだけだ。ウチのメンバーは、いつでも武器を取り出せるようにして構えている。
「……き、貴っ様---っ!!! 今直ぐこの剣の錆にしてくれるわ!! 我等騎士を愚弄しおって!!」
「騎士団長! 今すぐそいつ等を制圧するんだ! 私は他の騎士達を呼んでくる。そこに居る方々は、本物の不老長寿の方々だ。更に言えば、そこの方は<血狂い>と言われる方だよ!」
「「「「「血狂い!?」」」」」
「今さらですか? 随分な死にたがりばかりが居ると思いましたが、そうではなく愚か者ばかりだっただけですか……。しかし、”聖王国”と言う割には腐った奴が多いですね?」
「とりあえず鬱陶しいアホどもを動けなくしておけばいいか……。それにしても、何処が”聖”王国なんだろうな? この国の王都に来た途端コレだもんなぁ……」
俺は【念動】を使って、バカどもが足を動かせないように押さえ込んでいる。その御蔭もあって、後から入って来た騎士達に、バカ7人はあっさりと取り押さえられた。
騎士団長は未だに警戒心を露にしているが、俺達にとってはどうでもいい。それよりも第一王女の顔が盛大な渋面になっている事に、大笑いしそうになって大変なんだよ、こっちは。
「此度は真に申し訳ありませんでした! この国の第一王女として謝罪させて頂きます。不老長寿の方々を犯罪者に仕立て上げようとするなど、許される事ではありません」
「別にいいのですよ? 謝罪しなくても。その代わりに妙な噂が各国を飛び回るだけですが……。まぁ、腐っているのに”聖”王国とか自称してるんですから、仕方がないですよね?」
「本当に申し訳ない!! シュライア殿、勘弁して下さい! そんな事になったら、希少種族の協力や、魔力薬や霊薬が手に入らなくなってしまう」
「王侯貴族にとって、自分の命の保険と言える物だからねぇ……。古い時代に希少種族を救ったのは、当時の不老長寿だから信用度は高いんだよ。その不老長寿が言う事だから……」
「まぁ、彼女等は普通に信じるだろうね。仙女族は仙丹を作れるし、天女族は希少な薬草の栽培方法を知っている。他の希少種族もそれぞれ特別な何かを持っているんだよ」
「ですから、不老長寿や希少種族に喧嘩を売ると、あっと言う間に様々な薬や貴重な品が手に入らなくなるんです。かつての時代にも、ソレをやらかしたバカな国はありましたしね」
「知っているし、我が国は不老長寿の方々や希少種族の方々に喧嘩を売る気なんてないんだ。そこのバカどもは陛下に上奏して、必ず始末する事をお約束する!」
バカ7人は取り押さえられたままだったが、顔面蒼白になり震えている様だ。そんな事よりも、リンデが微妙な顔をしているのは何故なんだろう? ミレイアも同じ様な顔をしているな。
「何と言いますか……憧れがあったのですが、それが全て憧れでしかなかったのだなと思い知りました。もっと、こう、完璧な方なんだと思っていましたが、あり得ない事だったんですね」
「そうですね。殿下の仰られる通りかと……。私も憧れではありませんが、似たような感情はありました。されど、現実は残酷なようです」
「ちょっと待とうか君達。私は昨日の夜から、最古の神殿が崩壊した原因と犯人の調査をしていてね。あまり寝てないんだよ。その所為で……うん? ……殿下?」
「申し遅れました。私、リンデリア・エッド・ガイアルムと申します。犯罪者に仕立て上げられそうになった程度の新人傭兵でございますが……以後、お見知りおきを」
その瞬間、第一王女と騎士団長の顔が盛大に引き攣り、7人のアホどもの顔は土気色になっていた。隣国の王女を犯罪者に仕立て上げようとした事に、ようやく気付いたらしい。
そもそも第一王女や騎士団長は、隣国の王女の顔ぐらい覚えておくものである。それが、リンデが自己紹介するまで気付く事さえ無かった。つまり、外交問題まっしぐらな状況だ。
この時点で聖王国側は相当追い込まれている。大幅な譲歩をしないといけない状況であり、王国側の面目を回復しなければいけない。でないと、行き着く先は戦争しかなくなってしまう。
流石に王族が侮辱されて黙っている国は無い。名誉を回復するには戦争をするしかなくなる、という事は王女や騎士団長なら簡単に分かる事だ。リンデもバラさなきゃいいものを……。
「ジャン達はリンデの護衛な。俺達はダンジョンに行くんで後は宜しく頼む。流石に国を挙げてリンデを守るだろうから、ジャン達は護衛っぽくしてればいいから」
「ち、ちょっと待って下さいよ! 僕は護衛とかした事ないんですから無理です! ミレイアやシャローはあるでしょうけど、僕はそんな事とは一切関わりのない平民ですよ!?」
「大丈夫だ、心配するな! 俺も無い! だから誰がやっても同じだ。ミレイアとシャロー以外は訓練した事も無いんだから、誰がやっても変わらないんだよ」
「あのー……私は元近衛の魔法士団ですから、要人の護衛なんて訓練した事もありませんよ? それをするのは我が国の騎士団であって魔法士団ではありません」
「私は”掃き溜め”と言われた元第五騎士団の者だ。要人の護衛なんていう大きな役目が与えられる筈もないからな、訓練を受けた事も無い。多分だが、その訓練は第二騎士団だ」
「あー……ちょっといいかな。確かに我が国は全力を上げてリンデリア王女を守るけれども、魔法士”団”ってどういう事? 王国では魔法士”隊”だよね?」
「申し訳ありません! 私は商業国家マールの元近衛魔法士団で隊長をしていた、シャロー・ディーザルと申します。現在は近衛を止めて傭兵をしておりますので、傭兵として扱って下さい」
「い……いやいやいやいや。おかしい、おかしいよっ! 何でマールの元近衛とか居るんだ!? 我が国の恥が色んな所に拡散しちゃうじゃないか! 何でこんな事になるんだよ!?」
7バカの顔は今にも死にそうな顔になっており、周りの騎士達の7バカに対する殺気が凄い。騎士団長は頭を抱えているし、第一王女はパニックを起こしている。何と言うか、大変だ。
俺達は暢気にしているし、ダンジョンに連れて行ってもらえないリンデは悲しそうな顔をしている。ジャン達は勘弁してくれって顔をしているし、この状況カオス過ぎないかな?。
両国の事を考えて無かった事にしても良いんだが、水に流すだけの金銭か何かで保証しないと駄目だろう。あと7バカの首。水に流すにしても、これぐらいは最低限必要だ。
それを提案すると、まるで救世主を見る目で見てきやがる。第一王女や騎士団長がそんな顔をするなよ。せめて部下の前では取り繕う事をしようぜ? 大変なのは分かるけどさぁ……。
俺の視線の意味を理解したのか、咳払いをした後に2人とも澄ました顔に変わった。そうそう、それでいいんだ。後はリンデとの間で話し合えばいい。俺達はゆっくりしているからさ。
3匹が俺の足元でちょろちょろしてるんだが……コレは喉が渇いたんだな。聖水の樽を出して冷えた聖水を3匹の水皿に注いでやると、3匹は美味しそうに飲み始めた。
皆も好きにコップに入れて飲んでいる。……えっ!? 俺達自由にし過ぎ? 別に良いじゃない、もう緊張したり警戒する事も無いんだしさ。それにしても、何でこんなバカが騎士なの?。
えっ!? 軍と近衛は違う? ……ああ、王国で言う王軍と近衛の違いと同じか。7バカは王軍で他の騎士は近衛な訳ね。正しくは両国ともに、王都防衛軍と言うらしい。略して王軍かよ。
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0364終了時点
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