0363
意を決して、目の前にある神殿に対して【浄化】の権能を使う。ビビッた訳ではないが軽く使ってみた。本当に軽くだったのに、使った瞬間自分の意思で体が動かせなくなってしまった。
パニックになっている最中も恐ろしい力で浄化されていき、ドンドンと力が強まった後、遂に神殿が崩壊した。隠密の4つの技は維持されていたので、その場から慌てて逃走する。
何であんな事になるんだよ!? アレ絶対に浄神が介入しただろ! 俺の所為にされても困るんだけど!? 後、どうやったか知らないけど、神殿の浄化する力が無くなってたぞ!?。
もしかしてなんだけど、あの神殿と同じ物を俺は作れるんじゃなかろうか……? 作れたとしても絶対に作らないが、さっきの感覚は覚えてるんだ。壊す事も作る事も出来そうなんだよな。
それにしても酷い目に遭った。まさか体が乗っ取られるなんて事が本当にあるとは……。少なくとも【浄化】の権能に関しては介入できるらしい。その事はちゃんと覚えておこう。
平民街はさっきの神殿で終わったから、次は貴族街だな。まだ宿を出て1時間も経ってない以上は、出来うる限り浄化しておかないと。俺は気合いを入れ直して浄化を進めていく。
貴族街の浄化中に騎士達が走っていくのが見えた。恐らく崩壊した神殿に行くのだろうが、随分物々しい……アレ!? あれって第一王女じゃないか。物凄く機嫌が悪そうな顔をしてるな。
どうも無理矢理起こされたっぽい感じだ。神殿が崩壊した騒ぎの所為で起きた者が多く、夜中の浄化が上手くいかない。バレたら面倒だし、そこまで邪気が多くないので帰ろうか。
少なくとも聖王国の王都だからか、王国の王都よりも邪気の量は少ない。スラムには汚物の掃き溜めみたいな所もあったが、貴族街や王城は少ないんだよな。見栄があるからかな?。
世界最古の神殿がある場所の貴族街や王城が穢れてたら話にもならない。そういう見栄でも綺麗にするなら悪くはないか。綺麗なのが当たり前というプライドを持つのは良い事だ。
ただ、そのプライドも神殿が無くなったらどうなるかは分からないけど。もしかしたら穢れを撒き散らす程に酷くなるかもしれないし、今までより清浄にしていくかもしれない。
神罰だと思ってくれたら1番良いんだが、果たしてどうなるかなぁ。何となくだけど、適当に破壊した奴を仕立て上げて、そいつの所為にして終わりにしそうな気がする。
部屋に戻ったが、全員気持ち良さそうに寝ているようだ。俺も布団に横になり、浄化してから目を瞑る。今日も一日お疲れ様でした。
<異世界155日目>
おはようございます。浄化はもういいので、今日はダンジョンに行きます。昨日の神殿の崩壊がどう出るかは分からないが、証拠も何も無いので分からず終いだろう。分かる訳がない。
【浄化】の権能自体、教えられなければ存在する事すら分からないんだ。その【浄化】の権能で、あまつさえ俺も知らなかった方法で神殿を崩壊させたんだから理解不能だろう。
ちなみに力の使い方は分かるが、説明しろと言われても説明なんて出来ない。感覚は分かるが理屈は分からないんだから、どうにもならないんだ。皆に説明を求められても、そのまま正直に話そう。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル」
「ニャァ!」 「グルゥ!」 「ワォン!」
何だかテンションが変だな? 昨日の汚物の掃き溜めの所為かもしれないんで、念入りに綺麗に浄化しとこう。昨日の感覚を少し混ぜると、矢鱈ハイテンションになって喜んでいる。
何がそんなに琴線に触れたのか知らないが、物凄く嬉しそうだ。【心静】を使って宥めようか迷っていると皆が起きた。昨日は濃厚な酒の匂いでディルまでダウンしかけたからなー。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「ガウッ」 「ワンッ」
「何だか矢鱈元気だね。何かあった……訳じゃないみたいだし、いったい何が嬉しいんだい? ……まあ、いいか。それよりも、昨夜厠に行くのに起きたら外が結構五月蝿かったんだけど……?」
「何故俺を見るのかは横に置いておくとしてだ。簡単に言うと、昨夜、世界最古の神殿が崩壊したんだよ。その所為で騎士とか色々な奴等が走り回ったり、犯人探しをしているんだと思う」
「ほぼ確実にアルドが関わっているのは分かりますが、今まで神殿を壊すとか罰当たりな事はしなかった筈ですよね? なぜ急に、しかも浄神様の作られた神殿を壊したんですか?」
「俺がやった訳じゃない! 神殿に【浄化】の権能を使ったら、肉体を乗っ取られたんだよ。多分浄神だろうけど、凄まじい力が溢れていって気付いたら崩壊してた」
「つまり、浄神様がアルドの体を使って神殿を壊されたという事? いったい何故そんな事をされたのかしら? 神殿を壊されるなら神罰を落とされれば終わる話よね……」
「いや、前に主様が神罰は簡単には落とせないと言っていた。だから近くまで来た主様の体を乗っ取って壊したんじゃないかな? 浄神様にとっては、どうしても壊したかった物なんだろうね」
「激怒されていたというし、当然の事なのかもしれないな。神殿を見に行ったが、周りのあばら家が本当に酷かったのだ。荘厳な神殿とは、あまりにミスマッチな建物が並んでいた」
「アレを見たら、浄神様が壊そうと思われるのも分かるよ。荘厳な神殿とあばら家。アレは浄神様と群がる腐った神官に見えたからね。神様の怒りを知っていると、当然の事だと思う」
送風機と冷房から魔石を抜いて収納した後に部屋を出て1階に下りると、そこには5人の騎士が居た。騎士達はこちらを見るなり近付いてきて、「貴様等を連行する」と言い出した。
疑いの視線を向けたら、「昨夜神殿が何者かに破壊されたので、その取調べだ!」と説明があった。それやったの浄神なんだけど? そう言いたいのをグッと堪えて、大人しく待つ事にした
何でもジャン達やリンデも連れて行くらしい。まあ、取調べなら全員一緒か。騎士どもは部屋のドアを開けて勝手に侵入しているが、コイツ等、物理的に首を落とされても知らんぞ……。
【空間把握】で確認したら、送風機と冷房を仕舞っているらしく時間が掛かっている。全て仕舞った後、急かされるように俺達の居る1階の入り口に来た。5人の騎士って少ないなー。
まあ、暴れる気などは無いが……。王都の入り口近くにある詰め所に連れて来られたが、人数が多いからか纏めて一室に放り込まれた。ここから一人ずつ呼ばれるんだろうか?。
そう思って待っていると、ガラの悪そうな騎士が7人ほど入ってきて女性陣を見てニヤニヤしている。そいつ等は「傭兵なら登録証を出せ!」と言ってきたので、大人しく出してやった。
何かギョッとした後、急に一人がニヤニヤしながら部屋を出た。どうも下らん事を考えていそうだ。一人の騎士が出て行った後、多少の質問に答えていると新たに3人入ってきた。
「この者どもが偽の傭兵登録証を持っていた者達か? ……ふむ、お前達の傭兵登録証が偽物であった場合、犯罪者として傭兵ギルドに突き出さねばならん。質問には正確に答えよ」
「まず、俺達の登録証が偽物だと言っているのは、そこのアホ騎士どもが勝手に言ってるだけだ。お前等は普通の傭兵を犯罪者に仕立て上げるのか? それが聖王国のやり方か?」
「貴様!! 勝手に口を開くな。下民が!! 貴様等如きは、頭を垂れて騎士団長の質問に答えていればよい!! クズが調子に乗るな!!」
「ほうほう。私達を犯罪者扱いし、更にはクズだと……。へぇ……リヴィアーテ、貴女はこの責任をとれるのですか? 私達不老長寿をここまで愚弄するとはね」
第一王女は眠そうな顔をしていたが、今は驚愕の表情をしている。さて、聖王国としてはこの状況をどうするのかね?。
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0363終了時点
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銀貨46枚
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銅貨2枚
神鉄の太刀
オリハルコンの掩月刀
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
オリハルコンのピヌティ
アダマンタイトの剣
アダマンタイトのサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
大海竜の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




