0361
「東では魔物に押し込まれた時期があったのだが、その打開策として王女をランク12にし傭兵を呼び込む。そういう政策が執られて、総長も了承したと聞いている」
「僕もそういう噂は聞いた事あるよ。本当かどうかは知らなかったけど。それぐらい大変なんだって意見と、王女の道楽だって意見が大半だったのを覚えてる」
「どっちもじゃないかい? 何と言うか、あの王女の性格的には、どっちもって可能性が1番高い気がするんだよね。周りから言われても耐えられるだろうし、楽しむだろうからさ」
「まあ、そういう性格なのは間違い無いですね。リヴィアーテの場合、目立って女性からの注目を増やそうとしても何ら不思議ではありませんから。あの取り巻きも、その成果でしょう」
「女好きの王女様の考える事は分からないわ……。バレるとマズい気がするんだけど、それでも問題なく過ごして来れてるって事は大丈夫なのかしら?」
「おや……? 聖王国の王女は女好きだったのかい? 知らなかったけど、知らなくてもいい、極めてどうでもいい情報だね。東のダンジョンに居るとしても、私達には関わらないだろう」
「あの王女は客寄せならぬ傭兵寄せの為にランク12になったのか……とはいえ、本当に傭兵を集めるのに役立ってるのか疑問があるな。男ってだけでアレだったしなぁ……」
第一印象があまり良くないんだよな、あの王女。その後は多少マシにはなったんだが、関わりたくない相手であるのは間違いない。俺達には関わってこないだろうし考えるのは止めよう。
送風機と冷房から魔石を抜きアイテムバッグに収納したら、部屋を出て食堂で大銅貨14枚を支払う。ゆっくりと待っているとジャン達もリンデも部屋を出てきた。今日は早いな。
【空間把握】で確認しても忘れ物は無かったので、部屋も綺麗に浄化しておく。朝食後、宿を出て街の入り口で順番待ちの列に並ぶ。それなりに前に人が居る為、時間が掛かりそうだ。
昨日の兵士が居て目が合ったが、その瞬間苦虫を噛み潰した顔をした。何だアレ? と思ったら、前に並んでいた商人が教えてくれた。あいつはボッタクリの手引きをしているらしい。
つまり昨日のバカ高い宿とつるんでいる奴らしく、金を持っている奴を見つけたら宿に教えに行かせるんだそうだ。情報を聞いた宿は、情報通りの奴には足元を見た値段に変えるというやり方をしている。
領外の奴にしかしない為、ここの貴族は取り締まらないらしく長い間放置されているそうだ。最近はバレているからか、優良な客に避けられる宿として逆に有名なんだと教えてくれた。
情報に感謝を伝えておいたが、結構大きな声だったからか兵士の顔が更に歪んでいた。あの商人、絶対にワザと大きな声で喋ってたよな。兵士には裏から金でも渡ってるんだろう。
バレていたら恥にしかならないと思うんだが、何でここの貴族は取り締まらないんだろうな? まあ、アホどもの失敗なんだから教えてやる義理も無いし、放っとけばいい事か。
領都の外へ出た俺達は、一路北へ向かって走っていく。北へと進んでいるのだが、まるで涼しくならないのは何故なんだろうな。少しぐらい涼しくなってくれても良いと思うんだけど?。
この辺りでは殆ど変化は無いんだろう。暑さに辟易していると侯爵領の領都バムに到着した。侯爵家の領都の割には妙に小さいぞ? 何か理由がありそうだが、この街の浄化が先だ。
中に入りウロウロしながら浄化する。この街はどうやら王都への中継地点の役割しかないらしい。むしろ、ここで王都に危険な物が行かないか見張っているというか、門の役割だな。
この街は、小さい癖に外壁が高く分厚いんだよ。篭城するのと調べる事の両方の為にあると言えば分かりやすいかな。王都の為の門であり、壁の役目をこの街が担っているという事だ。
国にとっても王都にとっても、ここの侯爵は重要なんだろう。壁の役なんて信頼してないと任せられないからな。俺としては小さいので浄化が楽で助かるというくらいの意味しかない。
それほど苦労もせず浄化が終わったので、領都を出て更に北へと向かう。まだ昼にもなってないので昼食を食べるには早い。結局、王都に行ってから昼食を食べる事になり、少し急ぐ。
このままだと、王都に到着するのは昼を回りそうなんだ。空腹で走るのも嫌なので、ペースアップして進む事にした。シャローも身体強化の移動に慣れたらしく、急いでも大丈夫だ。
元々全力ではなかったし、1番遅いシャローに合わせてペースを落としていただけなので早める事は可能だ。王都近くになってくると、周りに馬車なども多くペースが上がらなくなった。
ぶつかる訳にもいかないので自然とペースが落ちる事になったが、近くまで来れているので十分だろう。どうやら昼には到着できそうだ。既に遠目には王都が見えてきている。
門前まで来たので列に並び、ゆっくりと待つ。流石に王都だけあって列が長い。順番待ちで時間が掛かり、結局昼を大幅に過ぎるなんて事にならないだろうな。早く進んでくれよ。
「しっかし、相変わらずの城壁だね。昔シュラと一緒に見た時も、あの大きなバリスタは在ったんだよ。今も変わらずこっちに向けられてる。懐かしいやら腹立たしいやら……」
「そう言えば、ダナは昔も怒ってましたね。一般人にバリスタを向けるなんて何を考えているんだと。まあ、アレが固定式だと知った時には2人で大笑いしましたけど」
「バリスタが固定式って……。他の方に向けられないバリスタに何の意味があるのかしら? その方向から離れれば何の意味も無いでしょうに。一体何を考えて取り付けたのかしらね?」
「取り付けた当時は意味があったのかもしれないよ? まあ、何の意味があったか想像も付かないけど。そろそろ普通のバリスタに変更するべきだとは思うけど、どうなんだろうね」
「予算が足りないのか、変えたけど黙っているのか。その辺りは分からないし公表もされないだろう。兵士達にとっては固定されていても、バリスタがあるだけで安心なんじゃないか?」
「強力な武器があるから負けないって感じなのかな? それはそれで駄目な兵士が出てきそうではあるけど……武器があるから訓練に身が入らないとか居そうじゃない?」
リンデやミレイアにシャローは、さっきのフォルの発言をスルーしてる。という事は、そういう兵士は多いか少ないかは別にして居るって事か。武器があれば勝てるなんて唯の妄想だぞ。
武器があれば勝てるなら、世界中の軍人は必要なくなるだろう。そんな事には成り得ないのだから、武器があれば勝てるなんて事はあり得ない。まあ、子供でも分かる話だ。
地球なんて武器が高度になりすぎて、武器を使う為の訓練をしなきゃいけないくらいだ。素人だと、どう使ったらいいか分からない武器まであると言われている。もちろん、見た事は無いが。
列は進んでいるんだが、俺達が思うより遥かにゆっくりとしか進んでいない。何故かと思ったら、前のほうで商人が捕まっているみたいだ。御禁制の物でも積んでいたのかね?。
両腕を抱えられて横の詰め所に連れて行かれている。商人はギャーギャー喚いているが、兵士は聞く耳持たずだな。商人が連れて行かれた後は割と早く進んで行く。
俺達の番が来たので登録証を見せて中に入る。あっさりと入れたのは良いが、あの商人は何故向こうに連れて行かれたんだろう? 変な勘違いで俺達まで連れて行かれないだろうか。
目の前で誰か連れて行かれると、疚しい事などしてないのに気になるな。そういえば、この世界ではアイテムバッグを調べられた事は1度も無い。不思議と言えば不思議だ。
大量殺傷武器とか持ってたらどうすんだ? 地球ならアイテムバッグの持ち込みすら禁止されるだろうなぁ……。
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0361終了時点
大白金貨3枚
白金貨4枚
大金貨19枚
金貨66枚
大銀貨136枚
銀貨46枚
大銅貨283枚
銅貨2枚
神鉄の太刀
オリハルコンの掩月刀
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
オリハルコンのピヌティ
アダマンタイトの剣
アダマンタイトのサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
大海竜の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




