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0356




 部屋でダラダラと過ごしている。やる事が無いので当然と言えば当然なのだが、この手持ち無沙汰の状況は如何ともしがたい。ふと思いつき、外へと出る事を皆に言ってから宿を出る。


 まず雑貨屋に行きガラス製品を探すも見つからず、小物屋に行ってガラスのアクセサリーを大銀貨2枚分購入する。この時代のガラスは透明度が低く曇っている物ばかりだが仕方ない。


 透明なガラスを作る技術も、板ガラスを作る技術も無い以上は高望みをし過ぎだろう。小物屋でガラスの事を聞くと嫌な顔をされたが、王都にあるガラス工房の場所を教えてくれた。


 場所はスラムの近くで、ここは鍛冶師などの工房も集中している場所らしい。ガラス工房に行きガラスの素である石英を売ってもらう。訝しがられたので、石英を借りて説明する。


 細かい石英を破片も含めて【融合】で一纏めにしたら、次に植物灰の中にある炭酸カリウムを【抽出】し石英と【合成】。その後ガラスの成分のみ【抽出】すれば出来上がりだ。


 こうすれば透明なガラスが出来上がる。工房主は驚いて、俺に専属になって働く事を求めてきたが、傭兵だからと言って断った。


 純粋なガラスのみにした物を、金貨1枚分売ってもらった。それと鍛冶師を紹介してもらい金貨1枚分の銀も購入してから帰る。この時点で何を作るのか分かる人も、かなり居るだろう。


 宿の部屋に戻り、硬木を【変形】させ形を整えたらガラスを丸く薄く延ばす。銀を純銀にして薄く薄く延ばしたら、ガラスにピッタリと【融合】する。硬木で作った物に嵌めれば完成だ。


 手鏡なんて初めて作ったが、大体こんなものだろう。間違っていても、鏡として使えれば問題ない。ガラスを使って方位磁針の蓋も作り、嵌めて動かないように固定してしまう。



 「なんだいソレ? ……ん!? これ鏡かい!? 凄く綺麗に映る鏡だね、こんなの初めて見たよ!! はぁ~……アタシこんな顔してたんだ。何か変な気分だね、ここまで綺麗に写ると」


 「手鏡ですか? これは凄いですね、ここまで綺麗に映る物は初めて見ます。ガラスは曇っている物だと思うのですが、アルドが作ったガラスは向こう側がハッキリと見えますね」


 「これがガラス……? 私の知っているガラスと、このガラスは違い過ぎるわね。こんなに綺麗な物ではないから、鏡に使うなんて考えられない物よ。……普通は」


 「主様が作ったんだから普通じゃない事も多いだろうさ。それにしても綺麗に映る鏡だね。鏡はとても凄いんだけど、それ程の物をポンポン量産してる主様も凄いよ」


 「これを売り出したら、物凄い高値で売れるだろうな。これ程の綺麗な鏡は王族でさえ持ってはいないだろうから、どれ程の値が付くか見当も付かない」


 「1人1つ貰えるみたいだから、この鏡を売り出して欲しくは無いかな……。僕達だけが持っているという状況がいいよね。王侯貴族でさえ持ってない物を僕達だけが持っているんだよ!」


 「フォルの言いたい事も良く分かるよ。あの貴族どもを鼻で笑えるような物を持っているってのは、気分が良いからねぇ。あの子にはしっかりと口止めしておかなきゃいけない」


 「あ、そうか。リンデ達の分も作らないと五月蝿いか……。んー……材料は足りそうだな、なら作っておくか。余ったら方位磁針モドキの魔道具を、もう一個作っておこうか。予備として」



 俺はリンデ達の分の手鏡を作り終えたら、方位磁針モドキも作る。素材が微妙に足りなかったので一回り小さな方位磁針モドキになったが、性能は一切変わらないので特に問題は無い。


 ちなみに手鏡は自分の分もある。色々な事に使えるので、元々自分の分も作れる量の素材を買って来てたんだよ。多めに買ってきておいて良かった。リンデ達の分を忘れてたからな。


 こういう物に対する女性の恨みは怖いから、軽く見る事はしない。とはいえ、今回は完全に忘れていたので、本当に危なかった。とりあえず全て作り終わったので、収納しておこう。


 3匹は床に置かれた手鏡を覗き込んで遊んでいる。どうやら鏡を直ぐに理解したらしく、面白そうに自分の顔を見ている様だ。初めて鏡を見た動物の反応じゃないな、流石だ。


 皆でワイワイやっていると夕方になっていたので、夕食をとりに食堂に行く。大銅貨14枚を支払い注文したタイミングでジャン達がやって来た。どうやら昼からは起きていたらしい。


 まあ、夜眠れなくなるかもしれないし、起きてた方が良いか……。必要なら明日も休みにして、ちゃんと回復してから出発した方が良いのかもしれない。疲れを残しても意味は無いしな。



 「昼からもボーッとしてたような感じです。昨日は本当に体と心の芯までゴリゴリ削られたので、回復するのに時間が掛かってますね。僕もここまで疲れが残ったのは初めてで……」


 「私もそうだな。訓練……という程の訓練も無かったが、それでもここまでのダメージを受けた事は無い。ジャンも言ったが、芯までガリガリ削られたのは私も初めてだ」


 「私は過去に一度あります。バロッサとの小規模な争いでしたが、それでも何人も騎士が亡くなった戦場で味方を無事に退却させる時に……」


 「確かに……帝国との戦争でも何百人も亡くなりました。我が国が勝ったとはいえ、アレは見たいものではありません」



 食事をしながらの会話が嫌な方向に行ってしまったな。シャローも悪気があった訳じゃないんだろうが、おかしな方向に行ったので修正するか。鏡を出せばあっと言う間に変わるだろう。


 俺はアイテムバッグから鏡を取り出して、リンデ、ミレイア、シャローに渡す。済まないな、ジャンの分は素材が足りなかったんで無いんだ。銀は余ってるんだがガラスがな……。



 「ガラスと言うのは高価なんですか? 僕は聞いた事ないので知りませんが……えっ!? 銀に次ぐ高価なもの? それって凄く高いじゃないですか!?」


 「手鏡を作るにはガラスの方が多く要るんだ、その所為で足りなくなったんだよ。石英が採れる所に行けば、タダ同然で手に入れる事も可能だろうけど、何処で採れるのか知らないしな」



 リンデ、ミレイア、シャローの女子3人組は話を全く聞いちゃいない。喋りたい事をマシンガンの如く喋っている。その3人を見てジャンが怯えている気がするのは気の所為か?。


 ああ、アレに付き合わされた事があるんだな? 男にとっては地獄なんだよな。回答を求めないで聞いて欲しいだけだから。あの会話というか一方通行は、男には理解し辛いんだよ。


 女性にとっては良いのかもしれないが、男にとっては凄くストレスが溜まるんだよな。一方的にぶつけられるだけなんで、俺要らなくね? って思うのは当たり前だと思う。


 正直に言えば人形にでも喋ってくれって思う。アレって相手と話しているようで、実は会話になってないんだよ。相互通行じゃなくて一方通行だから。言うなれば、押し付けてるだけだ。


 一段落したのかトーンダウンしたが、それと同時にジャンの表情が元に戻った。相当嫌だったんだな、気持ちは痛い程よく分かる。あれに耐えられるのは、同じ女性だけだろう。


 ジャンとの話し合いで、明日を休みにする必要は無いという事になった。移動だけなら体の疲れだけで済むというのが理由らしい。やはり心の疲れが思った以上に大きい様だ。


 食事を終えて宿に戻り、ラーファンさんに明日宿を出る事を話す。支払っているお金は返却の必要が無い事を伝えて部屋に戻った。3匹は部屋に戻ると早速とばかりにリバーシを始めた。


 他の皆も酒を飲んだりしているので、そういえば魔豊蜂のミードがあった事を思い出しアイテムバッグから取り出す。ミードの甘い香りがした途端、3匹が横でお座りしていた。


 仕方がないので、3匹の水皿に入れてやり飲ませていると全員が見てくる。皆が2杯飲める量だけ渡してアイテムバッグに収納すると、既に1杯飲み終わっていた。……早すぎるだろう!。


 それだけ美味しいという事なんだろうが、直ぐに無くなるぞ?。



 ▽▽▽▽▽


 0356終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨4枚

 大金貨19枚

 金貨66枚

 大銀貨136枚

 銀貨47枚

 大銅貨393枚

 銅貨2枚


 神鉄の太刀

 オリハルコンの掩月刀

 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 オリハルコンのピヌティ

 アダマンタイトの剣

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 大海竜の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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